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松任谷由実が別れの悲しさを表現する『Hello, my friend』

もうすぐ卒業シーズンだ。少し前までは何とも思わなかった通学路も、数える程度にしか通らないとなると感慨深くなる。いつも顔を合わせている友達の中には、地元を離れて新天地での新しい生活を始める者もいれば、地元に残って将来のことを考える者もいる。これが正解と一概に言えないからこそ、不安や期待を抱えながら人は成長するものだ。

まもなく到来 卒業シーズン


もうすぐ卒業シーズンだ。少し前までは何とも思わなかった通学路も、数える程度にしか通らないとなると感慨深くなる…。

いつも顔を合わせている友達の中には、地元を離れて新天地での新しい生活を始める者もいれば、地元に残って将来のことを考える者もいる。これが正解と一概に言えないからこそ、不安や期待を抱えながら人は成長するものだ。

あなたはもう学生ではないかもしれない。働きながらこの季節を迎え、自分が過ごしてきた青春の日々を懐かしむこともあるだろう。

学生の頃の友達と会っていたり、付き合っていた人が今何をしているか知っていたりしますか?疎遠になった人のことを思い出しながら、松任谷由実の『Hello,my friend』を聞いてほしい。

愛しい君へ綴る


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Hello,my friend 君に恋した夏が あったね
みじかくて 気まぐれな夏だった
Destiny 君はとっくに 知っていたよね
戻れない 安らぎもあることを Ah…
悲しくて 悲しくて 帰り道 探した
もう二度と 会えなくても 友達と呼ばせて
≪Hello,my friend 歌詞より抜粋≫
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「拝啓 ○○様」のように挨拶から歌詞はスタート。夏に恋した"君"への思いを綴った手紙のような歌詞だ。

燃えるような暑さも過ぎてしまえばあっという間。焼けるような暑さの日もあれば、川が氾濫するほどの雨が降ったり、嵐のような強い風が吹いたり。夏の気まぐれな天候のような、激しくも短い恋だった。

浮かれていた主人公をよそに、"君"はとっくに長続きしないことに気づいていた。夏の暑さと恋の熱さでのぼせていたのは主人公だけ。付き合うまでの心地よい関係にはもう戻れない。二人は別れるしかなかった。

別れた悲しさを爆発させながら主人公は一人で家路につく。通い慣れた家路を忘れるわけはないのに、帰り道を"探す"。自分の目の前の道すら頭に入ってこないほど、"君"のことで頭がいっぱいだ。

もう会えないかもしれないけど、せめて友達としての関係だけでも続けたいと健気に思うところがまた悲しい。

つい、強がっちゃう…


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Hello,my friend 今年もたたみだした ストア
台風がゆく頃は 涼しくなる
Yesterday 君に恋した夏の痛みを
抱きしめる この季節走るたび Ah…
淋しくて 淋しくて 君のこと 想うよ
離れても 胸の奥の 友達で いさせて
≪Hello,my friend 歌詞より抜粋≫
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別れの歌なのに「さようなら」などの別れの言葉を使われていない。あくまで前向きで、強がろうとする『Hello, my friend』という言葉がまた物悲しい。

恋によって付いた傷口がこの季節を迎えるたびに疼く。言葉にしなくてもいい、自分の胸の中だけでも友達だと思わせて。卒業してしまったら、夏に恋した相手だけでなく、友達とも距離ができてしまうとわかるのも過ぎて大人になってからだ。

ダークで落ちついたトーンの曲と松任谷の低くて伸びのある歌声が、別れの悲しさを表現する『Hello, my friend』。この季節に昔の友達や恋人のことを懐かしむ大人の皆さんに聞いてほしい一曲だ。

TEXT 田中利知(Twitter

1954年生まれ。シンガーソングライター。 1972年、多摩美術大学在学中にシングル「返事はいらない」で荒井由実としてデビュー。 以降、“ユーミン”の愛称で親しまれ、J-POPシーンの女性トップランナーとして、それぞれの時代に、「ひこうき雲」「やさしさに包まれたなら」「あの日にかえりたい···

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