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アジカン「エンパシー」歌詞の意味とは?ヒーローの生き様を刻み込んだ「ヒロアカ」映画主題歌!

2021年8月に第3作目となる劇場版「僕のヒーローアカデミア」が公開されました。その主題歌『エンパシー』と挿入歌『フラワーズ』を担当したのがASIAN KUNG-FU GENERATIONです。今回は『エンパシー』に注目し、歌詞の意味から楽曲の魅力を掘り下げていきます。

アジカンが「ヒロアカ」主題歌に

▲アジカン - 『エンパシー』【OfficialMusicVideo】

僕のヒーローアカデミア」は、週刊少年ジャンプで2014年から連載中の大人気漫画です。

”個性”という特殊能力を持って生まれることが当たり前の世界のなかで、”無個性”の主人公、緑谷出久がヒーローになるべく成長していく姿を描いた作品です。

連載開始から、その人気はとどまることを知らず、2016年にはアニメが放送開始。2018年には第1作目となる劇場版が公開されました。

今回、アジカンが主題歌と挿入歌を担当した作品は、ヒロアカの劇場版第3作目となる「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション」です。

アニメ本編のストーリーと時系列は繋がっていますが、映画自体はオリジナルストーリーで展開されるので、初めて「ヒロアカ」を見る人でも楽しめる作品です。

「ヒロアカ」は日本のみならず、世界でも人気の高い作品です。

アジカンの後藤も「ヒロアカ」は、正統派のジャンプが積み上げてきた歴史の上で花開いている、と話しています。

だからこそ、主題歌の依頼が来た時とてもありがたく光栄に思ったそうです。

自分達が楽曲を担うならば、きちんとこの作品の一部となれる作品を生み出したいという強い想いで制作したそうです。

アジカン自ら『エンパシー』と『フラワーズ』について語っているインタビュー動画がYouTubeで公開されているので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

何も出来ない自分への空しさ


エンパシー』では、野間口徹と神尾楓珠が出演するドラマ風のMVも話題です。

歌詞の内容をMVのストーリーとも照らし合わせながら考察していきます。

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何もない街の静けさ
何もない手の頼りなさ
それでも ただ身体ひとつ
ふたつ目には まだ夢の残骸よ
≪エンパシー 歌詞より抜粋≫
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この楽曲は、まさに0の状態から始まります。
主人公は何かを成し遂げたという経験がなく、何かを掴み取ったことも無いと感じています。

当然、自分に対する自信も何もなく、ただ存在しているだけのような空しさを自身に感じているのではないでしょうか。

かつての夢はボロボロになって転がっています。

この部分は、まさに「ヒロアカ」の主人公・出久の生い立ちと重なります。

個性も何もなく、幼少期からの夢であるヒーローとしての活躍が絶望的だった出久の心境はこうだったのかも知れません。

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音のしない部屋の気まずさ
君のいない日々の味気なさ
それでもまた
身体ひとつで立つ
目の前に広がる現在を
≪エンパシー 歌詞より抜粋≫
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MVでは、父方の実家に帰省する親子の様子が描かれています。

親子の間に会話はあまり多くなく、多感な時期の息子と父親の微妙な距離感が感じられます。

「音のしない気まずさ」とは、同じ空間にいても沈黙がつづく彼の関係性に重なります。

また、ドラマのストーリーから、父親がかつてバンドマンを目指していたことが分かります。

とすると、この部分は夢を諦め、安定した人生を選んだ父親が、大切なギターを手放したときの状況を表しているとも考えられます。

それでも体ひとつで現実に向き合い続ける様を表現しているのではないでしょうか。

「エンパシー」に込められた想い


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ときに激しい雨に打たれても
夜にひとり抱えた言葉でも
きっと憐れみも悲しみも
煎じ詰めればエンパシーで
僕らの魂の在処かも
ほら
≪エンパシー 歌詞より抜粋≫
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エンパシー(empathy)とは「他人の感情や経験を理解する力」を指します。

そして、よく耳にするシンパシー(sympathy)は「同情、共感といった感情の動き」を指します。

分かりやすく言い換えると、シンパシーは、”可哀想だと思う相手”に対して湧き上がる同情や、”自分と意見の近い相手”に対して抱く感情であるのに対し、

エンパシーは自分と”違う考えや価値観を持っている相手”や、特に”可哀想と思っていない相手”に対して、何を考えているのか想像する能力です。

逆境に置かれた時も、孤独に苛まれた時も、他人への理解を忘れない姿勢こそ「ヒロアカ」で描かれ続けてきたヒーローではないでしょうか。

持って生まれた個性に対してコンプレックスを持つ人もいるかもしれません。

しかし、誰かと比べることなく自分を愛せる人が他人の気持ちを想像できる優しさや強さを持てるのでしょう。

MVでは父親が、ギターに興味を持った息子のために弦を張り替えて渡してあげるシーンが描かれています。

かつて音楽に挫折したほろ苦い過去を持ちながらも、息子の「弾いてみたい」という気持ちを汲んで弦を張り替えてあげる父親。

彼の行為は、まさしく「エンパシー」と呼べるのではないでしょうか。

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ヨレたフォームで日々を進み
アスファルトの海を乗り越えた
その果てに自由が見えるでしょう
向こうでは世界が叫んでいるぜ
いつでも
≪エンパシー 歌詞より抜粋≫
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これまで遠くから眺めていたアスファルトの海。主人公は、その先に何もないと思っていたのかもしれません。

もしくは、自らアスファルトの海という無機質なもので線引きをすることで、その先の未開の地に足を踏み入れないようにしていたのかもしれません。

しかし、不恰好なやり方でも何とか進み続けた先には、たどり着いた者にしか見えない自由な世界が広がっていました。

”向こうの世界”は、何が待ち受けているか分からないのに、生き生きとして見える新しい世界。

主人公が一歩踏み出したいと思えば「いつでも」新しい世界へ飛び込むことが出来るのです。

ストーリーと楽曲の相互作用


人間誰しも考えたことがあるであろう「自分らしさ」や「アイデンティティ」。

それらの特性をさらにフォーカスした世界観が「ヒロアカ」です。

バトルアクションであるがゆえに、それぞれの”個性”には魅力もあれば、相性の悪い敵にとっては攻撃しやすい弱点にもなり得ます。

ボーカルの後藤は、

「デクたちの成長を見ると、ヒーローたちにもそれぞれの悩みがあるんだなって思います。ヴィランとだけじゃなくて、それぞれ自分と戦っている。そんな彼らの姿に勇気をもらいながら、主題歌を書きました。」

と、語っています。

この楽曲は「ヒロアカ」で描かれるヒーロー達の”エンパシー”を後藤が汲み取って制作されたのでした。

アジカンはこの楽曲を、映画ならではの立体的な音響にあわせてミックスしたそうです。

ストーリーと楽曲が相互作用しあい、素晴らしい作品に仕上がっているので、ぜひ映画でも楽しんでみてください。

1996年結成。後藤正文(vo.g)、喜多建介(g.vo)、山田貴洋(b.vo)、伊地知 潔(dr)による4人組ロックバンド。 03年メジャーデビュー。同年より新宿LOFTにてNANO-MUGEN FES.を立ち上げ、2004年からは海外アーティストも加わり会場も日本武道館、横浜アリーナと規模を拡大。 2016年にはバンド結成20···

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