3月は旅立ちの月
3月は、どこでも「さよなら」と「おめでとう」がこだまする時期だ。この時期を代表する楽曲がレミオロメン通算3枚目のシングル『3月9日』。この曲は、卒業ソングとして大変人気のある楽曲なのだが…。
実は、卒業ソングとして生み出された曲ではない。この楽曲はレミオロメンメンバー3人の共通の友人の結婚式をきっかけに作られた曲なのだ。
楽曲タイトルでもある『3月9日』。この日に結婚する友人を祝うために、この曲は作られたのだ。
そのため、PVも結婚式のシーンで構成されており新婦の妹に堀北真希、新郎役に池田鉄洋が出演。また驚くことに、池田はリリースから10年後の3月9日に婚姻届を提出している。
しかし、2007年に「定番の卒業ソング」ランキングで1位を獲得。それから2011年までに5連覇を達成しており、現在でも卒業を祝う楽曲として必ず挙げられている。一体、どうしてなのだろうか?
鍵となるのは学生生活をよぎる歌詞
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流れる季節の真ん中で
ふと日の長さを感じます
せわしく過ぎる日々の中に
私とあなたで夢を描く
3月の風に想いをのせて
桜のつぼみは春へとつづきます
≪3月9日 歌詞より抜粋≫
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そもそも、この楽曲が卒業ソングとして愛されるのは、学生生活を彷彿とさせるような歌詞が多いからだろう。大人になると1日1日が短く感じてしまうもの。しかし、学生の頃は日が長く感じるものだ。
それなのに、勉強に部活動、バイトなどなど生活はせわしない。夢を思い描きながら、早く大人になりたいと思うこともある。
また、この楽曲はタイトルが3月9日と卒業式に近い日付になっている。この楽曲を歌った卒業生の中には、楽曲と卒業式が同じ日にちだったという人もいるくらいだ。
結婚式のお祝いソングとして作られながら卒業ソングとして人気を集めているのは、自分の思い出とリンクしやすい部分もあるからなのだ。
思い出のすぐそばに寄り添う歌詞
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瞳を閉じれば あなたが
まぶたのうらに いることで
どれほど強くなれたでしょう
あなたにとって私も そうでありたい
≪3月9日 歌詞より抜粋≫
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思い入れのある楽曲を聴くと、人は思い出を呼び起こす。
普段は思い出さない顔も、鮮明に思い描くことができるのだ。それは親しい友人かもしれないし、大好きだった恋人、片思いの相手と人それぞれだろう。
共通するのは、その人がいてくれて良かったと想う気持ちだ。そう考えると、この楽曲は卒業生から大切な人へ贈る感謝の歌として、長く浸透している理由も納得できる。
言葉では伝えきれない想いを、この『3月9日』は伝えてくれる。だからこそ、今でも愛されているに違いない。