これぞ『僕街』が起こしたリバイバル!ASIAN KUNG-FU GENERATION『Re:Re:』



ASIAN KUNG-FU GENERATION『Re:Re:』はアニメ『僕だけがいない街』のオープニングテーマ。もともとこの『Re:Re:』は、2004年のアルバム『ソルファ』収録の曲。2016年1月にこのアニメの主題歌に採用となり、2016年3月にシングルとして発売されます。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONことアジカンは、J-ROCKシーンで活躍する存在。アニメ『鋼の錬金術師』の主題歌だった『リライト』が有名です。他にも様々な曲を発表し、2000年代から現在にかけて最前線で活躍する4人組のバンド。自身がフェスを主催し、様々なアーティストとコラボするなど、常に精力的に活動しているアジカン。

アニメ『僕だけがいない街』、通称『僕街』はヤングエースで連載の漫画原作のアニメ化作品。時間をさかのぼる能力を持つ主人公が、過去の世界で事件を解決しようと試みるミステリー作品。藤原竜也、有村架純主演で実写映画化も実現しました。



『僕街』では、主人公が過去に戻る能力を「再上映(リバイバル)」と呼びます。物語は2006年からスタートし1988年にリバイバルする展開。物語のスタートがくしくも『Re:Re:』がもともと発表された時期と近いのも奇遇です。

『Re:Re:』が内容に見事にハマっている
ことに驚きます。まるでこのアニメの為に書き下ろされたのではないか、と感じる人もいるでしょう。歌詞は「君」を失い後悔している内容。

“君を待った 僕は待った 途切れない明日も過ぎて行って
立ち止まって振り返って とめどない今日を嘆き合った
記憶だって 永遠になんて残らないものとおもい知って
僕はずっと掻きむしって 心の隅っこで泣いた”


「君を待った」「僕は待った」「途切れない明日も過ぎて行って」という歯切れのよいフレーズでスタートするこの曲。この時点で「僕」と「君」が登場し、日が過ぎていくことが分かる内容。続く「立ち止まって振り返って とめどない今日を嘆き合った」という歌詞。この時点で『僕街』の内容に近いことが分かります。『僕街』は主人公の青年藤沼悟が過去に戻り、死んでしまったヒロイン加代を助けようとする物語。「今日」や「明日」という時間の概念が非常に重要な作品です。

「記憶だって 永遠になんて残らないものとおもい知って 僕はずっと掻きむしって 心の隅っこで泣いた」このフレーズも印象的。悟は、初登場時は過去の記憶をほとんど忘れています。しかし、それがきっかけで「掻きむしって」「心の隅っこで泣」くような事件が発生。この事件の原因をつきとめるために悟は過去の世界に飛びます。このフレーズはまさに、『僕街』の冒頭の展開を反映しているように見えるのです。

“そしてどうかなくさないでよって 高架下、過ぎる日々を
後悔してんだよって そう言い逃したあの日
繋ぎ合った時もあった ほどけない感情持ち寄って
それが僕のすべてだった それもたった今 失くしたんだ”


「なくさないでよ」「後悔してんだよ」というフレーズが悟の後悔の感情を表現。それまでつないでいたメロディを「そう言い逃したあの日」で一旦切ります。このフレーズも後悔の感情の表現。劇中での悟の後悔の感情がこの歌によって強調され、視聴者に伝わりやすくなっています。

「繋ぎ合った時もあった ほどけない感情持ち寄って それが僕のすべてだった」このフレーズで「僕」と「君」が近い関係であったことが分かります。劇中で悟と加代の関係が近くなっていくことを暗示するかのような歌詞。そしてその関係が失われることが歌詞上で表現されます。『僕街』はこの喪失を食い止めようとする物語。

“僕は今日も掻きむしって 忘れない傷をつけているんだよ 君じゃないとさ”
この曲はフレーズ終わりをほとんど「て」と「た」に統一し、でリズムを作っています。しかし、ラストで「忘れない傷をつけているんだよ」「君じゃないとさ」で変化をつけています。この変化により「僕」の感情が伝わりやすくなるんですね。「忘れない傷」という表現で「僕」がずっと「君」を忘れられないことが伝わり、「君じゃないとさ」と歌うことで「君」がいかに大切な存在だったのかが伝わるようにできています。

もともとはアジカン自身の曲、『サイレン』『ラストシーン』そして『Re:Re:』と歌詞上のストーリーがつながっています。今回のアニメでこの『Re:Re:』を知った人は、元の制作の意図をたどるのも面白いでしょう。

『僕街』劇中で過去に戻る現象を作中でリバイバルと呼んでいますが、この曲自体が本来の意味でリバイバル、再評価される現象が起きています。もともとはまったく別に作られた曲なのにも関わらず、見事に主題歌としてハマるという非常に珍しい現象。かつて『リライト』をヒットさせたアジカンは、『Re:Re:』で再び新たな魅力を見せ、自身をリライトしているのです。



TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)

丸本莉子セカンドアルバムレビュー「ジブ…

生まれて来られなかったUAの「情熱」