仕事の休憩に、休日に。つい行きたくなるようなお気に入りのレストランやカフェはあるだろうか。決まった場所を見つけておくと、ふとしたときに立ち寄って落ち着けるのがいいところ。お決まりのメニューだとしても家での食事とは違う充実感を得られることがあるし、思わぬ気づきと出会えることだってあるからだ。
ポルノグラフィティの「オニオンスープ」は、そのタイトル通りオニオンスープが評判のレストランでのお話。
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春の兆しは重く閉ざされた人の口も
軽くするのか ランチ時の店内は華やいで
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歌詞中にあるように、段々と陽射しは穏やかになり、けれどまだまだ温かいものが手放せない季節。オニオンスープを求めてランチにやってくる人も陽気に誘われ会話が弾む。
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温かいスープをひとすくい口へと運んで
たぶん幸せはこんな味付けなんだろうって
いつもくだらない悩みで空腹を満たそうとしてきた
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オニオンスープの基本的な材料は、たまねぎ、コンソメ、塩、コショウなど。その味はシンプルだと言っていいだろう。しかしシンプルなだけに優しい味がする。華やかな彩りにはならないし、食卓の上ではもしかするとかなり地味かもしれない。けれどひとすくい、それだけでどこかホッとする味ではないだろうか。
わたしたちの毎日には迷いや戸惑いがつきもので、たくさんの悩みを同時に抱え込みすぎてしまうことがある。だからいつもどうしようもないことばっかりが空きっ腹にたまっていく。誰かとの会話も、いつの間にかつまらないことを言い合うだけになってしまっているかもしれない。
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まだ冷たい水 皿を洗う奥の見習いコックに
俺たちだって頑張ろうぜなんて思ってみたりして
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レストランの奥には見習いコックがいる。この見習い、まだ冷たい水で皿を洗うばかりの状態。その姿を見つけた俺は、人としてまだまだの自分と重ね合わせてエールを送るのだ。
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穏やかに誰かの笑顔を一度でも作れると
人はそれを思い出し何度も笑える
そんな風に思えるには あと何枚お皿を洗いましょう？
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この部分にあるように「誰かの笑顔を作る」ことこそ、人としての理想の姿。しかしそれは決して簡単なことではない。コックだって自分だってそうだ。難しいことだからこそ、一度の成功で何度だって微笑むことができる。そのためにはあと何枚お皿を洗えばいいのか。冷たい水で手は痛くなるばかりだ。
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胸いっぱいで店のドアをくぐり抜ける頃には
二人でくるはずだったことなんて忘れていた
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ここで明かされるのが「二人でくるはずだった」ということ。くだらない悩みばかり空腹の足しにしてきたツケが回ってきたのか、恋人からは既に愛想を尽かされてしまっていたのだ。それでも、もう大丈夫。今日このレストランで、本当に味わうべきものは一体なんなのかを知ることができたから。
人は油断すると、すぐによくない腹ごしらえの仕方をしそうになってしまう。近くにいてくれる誰かのためにも、もちろん自分自身のためにも、心の温まるようなお気に入りメニューを探してみてはどうだろう。
TEXT:asta
