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【インタビュー】ラックライフが2マンツアー「TeToTeToTe」を開催!新曲「Hand」と合わせてその魅力を紐解く。 (1/2)

『劇場版ツルネ -はじまりの一射-』の主題歌として書き下ろされた新曲『Hand』を8月1日に配信リリースしたばかりのラックライフ。そんな彼らが2マンツアー「TeToTeToTe」を開催する。今回は新曲のことはもちろん、待望の2マンツアーについても話を聞いた。
『劇場版ツルネ -はじまりの一射-』の主題歌として書き下ろされた新曲『Hand』は私たちの背中を押してくれる楽曲だと思う。それはきっとボーカル・PONが等身大の言葉を紡ぎ、楽曲にしたからなのだろう。前半のインタビューでは、そんなPONに話を聞く。彼の人となりが少しでも読者に伝われば幸いだ。

音楽と弓道は似ている。PONが感じる共通点とは。

──TVアニメ第1期『ツルネ ―風舞高校弓道部―』のOP主題歌から引き続き、劇場版の主題歌も担当することになりましたが、率直に今のお気持ちをお聞かせください。


PON:すごく嬉しかったですね。また頼んでもらえたらいいなと思っていたけど、自分からはどうしようもできないことなので。でも今回また担当させていただくことになり、誰かに必要とされる喜びみたいなものをすごく感じて。とにかく嬉しかったですね。


──弓道を題材にするアニメですが、PONさんは弓道にどんなイメージを抱かれていましたか?

PON:原作の小説を読ませていただいたときに、弓道と音楽はすごく近しいものなんやなと思って。1つの的を狙って矢を射るみたいなところが僕らがライブハウスでライブをするときに大事にしていることにすごく似ているなって。たくさんのお客さんがいる中で1人1人狙って歌を歌うことにすごく近しいところがあるなって思ったんですよね。

それに気づいたときに弓道を勉強してそのことについて深掘りして歌うのではなく、自分が知っているバンドのことを歌にしようって思って作ったのがTVアニメ第1期OPの『Naru』って曲なんですけど。だからあの曲は弓道のことは1つも歌ってないし、自分がアニメに出てくる登場人物と同じくらい一生懸命やってきた音楽について歌ったみたいな感じですね。



──なるほど。弓道と音楽に重なる部分を見つけたんですね。

PON:そう!「全く同じやん!それで歌えばいいやん」って。僕らは『ツルネ ―風舞高校弓道部―』の主題歌を担当する前から「あなたの心に刺さって抜けない歌を歌いにやってまいりました、ラックライフです」っていう自己紹介をしていて。これがこのまま歌になったらいいと思って歌にしたのが『Naru』という曲ですね。


──心を歌で射るみたいな。

PON:歌がぶっ刺さって抜けなくなって、そのまま僕らの音楽なしでは生きていけない身体になればいいなと思いながら音楽をやっているので、それを歌にしようって思ったのが、『Naru』って曲でした。

──素敵すぎますね。ラックライフは過去にもアニメ作品の楽曲を多く生み出されていますし、アニメの楽曲とその他の楽曲の作り方の違いはあるんですか?

PON:それはゼロです、ないです。全部一緒ですね(笑)。始まりのスタートが違うだけっていう。例えば今回の『ツルネ』ってものに合ったものを作るのか、日常でPONが感じていることからスタートするかの2つの違いだけで、2歩目からは一緒です。

1歩目が原作を読んで自分の日常と重なる部分を探す作業になるだけなので、2歩目が一緒というよりかは、2歩目がいつもと一緒な場所って感じですかね。重なる部分を見つけてしまったら、正直、弓道やアニメのタイアップだからとかは考えてないです。でもそれがアニメのキャラクターだったり物語に一番近いものを作る術だと思ってやっていますね、今は。

▲ラックライフ / Naru [Music Video](TVアニメ『ツルネ ―風舞高校弓道部―』OP主題歌)

全部“この手”なんやなと思ったんです。

──今回の『Hand』ですが、背中を押してくれる曲というか、すごくエネルギーのある楽曲だと思うんですが、タイトルが『Hand』になった理由を教えてください。

PON:全部がこの手なんやなと思ったんです。今回の曲に関しては絵コンテみたいなものを見せてもらって、最後のシーンが手をかざすシーンだったんですよね。そのシーンを見て、そこだけは重ねようかなと思って、<この手の中には>という歌詞からスタートしました。

結局全部この手で叶えていくものやし、この手で掴んでいくものやし、何を掴むかは自分次第だし、そういう意味も込めて『Hand』というタイトルにしました。


──サウンドやリリックはどのように構成されていったんですか?

PON:頭のサビからですかね。弾き語りながら、どういう風に駆け抜けようかなと考えてた。エンディングだからといって、じんわりするものではなく、ちゃんと物語と合ったものにしたかったというか、エンディングっぽい曲にはしたくなかった。監督さんとも話をして爽やかではあってほしいということだったので、そこを意識しつつ、メロディやワードをいつも通り組み立てていきましたね。


──それでは、いつも弾き語りでメロディと言葉が同時に出てくる感じなんですか?

PON:いや、そんなこともないですね。弾き語りで歌詞とかも適当な日本語を当てはめて歌いながら、今のいいなと思ったら録音を回して録ってみたいなことの繰り返し。その中で今回だったら、<この手の中には>みたいなビタッとくるワードが出てくるというか。ハマるものを拾っていってそこからどう解釈していこうかなって。

なんとなく言葉とメロディがマッチしたものから「これがどういう意味やろ?」と自分で紐解いていく。意味のないものに意味を持たして1つの曲にしていく感じですかね。「この手の中には何があるやろな?」みたいな連想ゲームをしている感じ。

▲ラックライフ / Hand [Music Video] (『劇場版ツルネ -はじまりの一射-』主題歌)

ミュージシャンというより、僕は歌歌いなんです。

──PONさんはコメントで「何者になるでもなく、俺は俺になったし、ラックライフはラックライフに」というコメントをされていたと思うんですけど、それってすごい難しいことだと思うんですよね。きっとみんな何者かになりたいと思うし、上手くいかなくて落ち込んだりしてしんどくなることの方が多い気がするんです。そんな中でPONさんのこのマインドがすごくすごいなって思ったんです。


PON:自分って人が作ってくれるものだと思うんですよね。結局赤ちゃんのときって生まれた瞬間から人格ってないじゃないですか、個性はもちろんそれぞれあるんやろうけど、そこからどんな人と関わっていくかが大事というか。小さい円だった自分に、日頃母親から言われていること、父親が言ってくれた言葉、先生からもらった言葉、友人と遊んだ思い出とかでどんどん円が大きくなっていって、今のPONが出来上がったんですよ、多分。だから、周りのおかげなんですよね、全部。

こうやって僕が今喋っている言葉も誰かと一緒に生きてきたから感じたことやし、全部誰かのおかげで、自分がそもそも持っているものはすごく少ない。1人でいて寂しいというマイナスなことも誰かといたからこそ抱く感情じゃないですか、誰かといたからこそ生まれた感情なんですよね。全部、誰かと何かを積み重ねてきて、出来たPONという人間なので。

もちろん自分のことが好きじゃない瞬間もあるし、元々そんなに自信のあるタイプでもない。今だって自信ないわってなることもあるけど、この感情って誰かにもらったものなんですよね。周りの好きな人たちに作ってもらった自分だから、「ほな、もうちょっと自分のこと好きになれんちゃう?」って思える。自分を否定すると周りの人も否定することになるなって。だから絶対ダメなんです、否定したら。

「自分のことを信じなさい」と言われたらハードルが高いけど、「周りのこと信じてみ?」って言われたらそんなにハードル高くないと思う。そうやって自分が自分になっていく、それ気づいた瞬間が僕にはありましたね。


──なるほど。今回の『Hand』も人との繋がりがあったからこそだし、今後もずっとPONさんとラックライフの円を構成する一部分になる。

PON:そうです。京都アニメーションさんが必要としてくれたからというのが僕の自信になるし、「この曲を作ったよ」と言って聴いてくれる人がいることでまた自信になるし。そういう風に誰かと関わることが自分を少しずつ成長させていくんやろなって思って日々生きていきたいなと思っていますね。


──そういった想いがPONさんの曲作りに大きく影響しているんですね。

PON:そうだと思いますね。曲作りってハードル高いじゃないですか。だって曲をゼロから作るんですよ?めっちゃ訳が分からんことじゃないですか(笑)。人に言えへんこととか、本音で思ってることをわざわざメロディに乗せて知らん人たちに歌うってめっちゃキモいじゃないですか(笑)。

でもそれだったら胸を張っておこうと思う。そうすれば聴き手は感動してくれるかもしれない。日常にはない、変なことをやってるわけですよ、音楽を作るってことは。わざわざ自分の言葉をメロディに乗せる意味を考えたら、より人に届けたいからやし、音楽が好きやからだと思う。だから一生懸命やる。嘘をついたら意味がないんですよね。嘘を歌う意味なんてない。本当に言いたいことやからわざわざメロディに乗せて歌っているんです。


──ただ、ここ数年間は何かを生み出すことが困難な状況だったと思います。未曾有の事態の中で曲作りをしなければならなかったと思いますが、いかがでしたか?

PON:正直、ほんまに辞めようかと思いました。コロナ禍で全てが一旦ストップして、頑張って組み立てたスケジュールも無くなった。そんな状況でもTVやラジオからは音楽は聴こえてくるんですよ。ただ、僕たちの音楽はどこにも流れてない。好きで聴いてくれる人たちはもちろんいるんやろうけど、自分たちがやってきた音楽が認められてない気がして、絶望を感じた。「もうええやん、やる意味ないやん」って。だからその期間はバラエティ番組しか観れなかったです。


──本当にあの期間は辛かったですよね。そこからどう立ち直っていったんですか?

PON:音楽のことを考えない時間を作ろうと思って、家の近くの川に行って、缶コーヒーとタバコを持ってずっと空を見てたんです。そしたら、知らないうちに考えているんですよ。音楽のことや人のことをね。「あのバンドの誰々は元気かな、地方のライブハウスは潰れてないかな」って。それぐらい自分の中に音楽は浸透していた。さっき言った話じゃないけど、音楽によって、関わった人たちによって自分は作られてきたから、もう一回やらなしゃあないやんって。


──なるほど。やっぱりキッカケは“人”の存在だった。

PON:うん。自分たちのライブに来てくれてた人に会うためにはライブをしないといけないから、人に会う1つの方法としてまた音楽を作り始めた。それが立ち直ったキッカケです。


──ラックライフとPONさんの歴史の背景には絶対人の存在があるんですね。

PON:そうだと思います。こんなことを言ったらアレだけど、僕はそんなに音楽は好きじゃないと思うんです(笑)。音楽が好きというよりかは歌うのが好きで、ライブをやることが好きで、人と関わることが好きな人間。だから、ミュージシャンって感じではなくて、歌歌いって表現が自分にはしっくりくるのかなって思いますね。

〈ただそれだけ〉という歌詞がキーワード

──PONさんの人となりが少し紐解けたところで、『Hand』の好きなフレーズを教えて頂こうと思います。

PON:そうですね~。でも<「ただそれだけ」>って歌詞が出てきたのは、すごく自分の中ではキーワードやなと思っていて。これは僕の音楽の始まりについて歌った歌なんですよね。僕が小学校4年~5年生くらいのときにKinKi KidsをMステで観て、「俺はコレになる」と思って、「カッコよすぎる!剛派!」って思いながらカラオケに通い詰めて。

当時はオーディション番組がいっぱいあったし、EXILEやCHEMISTRYも好きやったから、きっと俺は高校を卒業したらシンガーになって、23歳くらいで売れてMステに出て、25歳くらいで紅白に出るっていう妄想をしながらやっていたんですけど(笑)。

その初期衝動が最初のAメロに詰まってるんですよね。<音が道を示すような 「ただそれだけ」胸に掲げ 歩み始めた今日まで>がその初期衝動なんです。そこから高校に入り、ドラムの大石が後ろの席にいて、「軽音部を見に行こうや」って言われて、そこで観たバンドの先輩がすごくて「コレがやりたい!」ってなって。その瞬間がAメロに詰まってるんですよね。そこから、ただそれだけで走り出したんですよ。



──なるほど。すごくいい歌詞じゃないですか!

PON:あはは(笑)。人気者になるぞって思いながら走り出して、体育祭でどんだけ後輩に「写真撮ってください」って言われるかが勝負みたいな(笑)。本当にただそれだけで走り出して、2番になったら、<「ただそれだけ」ではない>ってなるんですよ。

それこそさっき話したみたいにいろんな人に出会って、感じて、自分が感じたことでムキムキになっていく感じっていうんですかね?ただそれだけではない、もっと誰かと繋がる意味やったり、歌を歌うことの意味、何を伝えたいかみたいな。ただそれだけじゃないいろんな気持ちがくっついてやっているよって。<ただそれだけ>ってワードが出たのは嬉しかったですね。

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高校の同級生PON(Vo&Gt)、ikoma(Gt&Cho)、たく(Ba)、LOVE大石(Dr)の4人からなる大阪・高槻出身のギターロックバンド。 人と人との繋がり、ライブハウスとオーディエンスへの思いを真っ直ぐに歌い続け 「100万枚売りたいのではない。100万人の心に届けたい。」をスローガンに東京大阪···

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