「レ・ミゼラブル」は世界中で人気のミュージカルで、舞台はもちろん、映画版もたいへん人気ですよね。
劇中歌は有名な曲ばかりですが、長いミュージカルなので「あのシーンの歌って何だっけ?」と気になることもありませんか?
レ・ミゼラブルとは
「レ・ミゼラブル」は、19世紀初頭のフランスを舞台にした歴史ミュージカル。
1985年のロンドン公演から現在に至るまで世界中で上演され、トニー賞受賞や記念コンサートなど多くの話題になっています。
日本でも1987年の初演以来、多くの人気俳優がキャストをつとめる公演が繰り返され、その人気は留まることを知りません。
2012年は、ミュージカル「レ・ミゼラブル」を完全映画化したミュージカル映画がヒュージャックマン主演で製作され大ヒット。
映画の成功と共に劇場版ミュージカルもますます人気が出て、社会現象にもなりました。
あらすじ
工場長で市長のジャンバルジャンには、「実はかつて投獄されていた罪人である」という秘密がありました。
仮出所を機に名前を変えて新たな人生を歩んでいたのですが、ジャベール警部は彼をかつての罪人ではと執拗に追いかけます。
一方ジャンバルジャンは、不運のまま亡くなったファンテーヌの娘のコゼットを引き取ってパリへと姿を消しました。
そして10年後、政府への不満が爆発し混乱状態のパリ。
ジャンバルジャンの娘として育てられたコゼットは、革命を志す学生のマリウスと出会います。
革命の嵐はジャンバルジャンだけではなく、それぞれの想いを抱いたパリの人々の運命を大きく変えることになるのでした。
レ・ミゼラブルの歌【第一幕】
「レ・ミゼラブル」は長い年月を描いたミュージカルで、序幕、第一幕、第二幕に分かれています。
序幕は囚人だったジャンバルジャンが仮出獄して、新しい人生の出発を自ら誓うまでのお話。
第一幕では、市長となったジャンバルジャンがコゼットを救いパリに逃げるところと、10年後のパリで学生たちが政府に対して蜂起する戦いの前夜までを描いています。
まず初めに「レ・ミゼラブル」第一幕の歌から、人気の曲を紹介しましょう。
民衆の歌(Do You Hear the People Sing?)
『民衆の歌(Do You Hear the People Sing?)』は、「レ・ミゼラブル」を象徴するような革命を感じさせる力強い歌。
フランスの国家「ラ・マルセイエーズ」の影響を受けた歌詞となっています。
革命を決意したマリウスら学生たちに賛同する民衆が歌うシーンと、政府軍と衝突する後半のシーン両方で歌われています。
歌の輪が徐々に広がり最後は重厚な合唱曲として盛り上がる曲で、記念コンサートのフィナーレやスポーツのイベントなどで今も人気の曲です。
夢やぶれて(I Dreamed a Dream)
『夢やぶれて(I Dreamed a Dream)』はスーザンボイルなど多くの歌手にカバーされ、映画のBGMにも使用された「レ・ミゼラブル」で特に有名な歌です。
娘の養育費を稼ぐために髪や歯まで売り、身を落としてやつれ果てたファンテーヌ。
幸せに暮らしていけると未来を信じていた日々を思い出しながら、今の自分を嘆き悲しんで歌う、心が締め付けられる歌です。
映画でファンテーヌを演じたアンハサウェイの『夢やぶれて(I Dreamed a Dream)』は、誰もが涙する名シーンで、アンハサウェイはアカデミー賞を受賞しました。
一日の終わりに(At The End Of The Day)
『一日の終わりに(At The End Of The Day)』は、ジャンバルジャン(偽名はマドレーヌ)の工場で働く、女性たちの歌です。
生活が厳しく必死に働いても楽になりませんが、働く場所があるだけまだマシと愚痴りながらけたたましく仕事をする女性たち。
ファンテーヌは娘がいることを隠して働いていましたが、美人なので周りから嫉妬されてしまいます。
ついにはシングルマザーであることがバレて、問題を起こしたと言いがかりをつけられ、工場をクビになってしまうのでした。
ワン・デイ・モア(One Day More)
『ワン・デイ・モア(One Day More)』は「レ・ミゼラブル」第一幕のフィナーレを飾るドラマチックな歌です。
政府軍への決起前夜、さまざまな思いを抱いた人々の気持ちが『夢やぶれて(I Dreamed a Dream)』をベースに、めまぐるしく登場するメドレー形式で表現されます。
ジャベールの追跡を逃れようとするジャンバルジャン、マリウスとの恋に悩むコゼット。
コゼットを愛しながら革命に身を投じようとするマリウス、マリウスを密かに愛するエポニーヌの覚悟など、登場人物たちそれぞれの想いが歌となり響きあう感動的な歌です。
星よ(Stars)
『星よ(Stars)』はパリでジャンバルジャンを捕まえられそうになったジャベールが、逃がしてしまった悔しい気持ちと、必ず捕まえるという決意を夜空に向けて歌う歌です。
今は娘のコゼットを世話するただの優しい老人のジャンバルジャンですが、ジャベールの目にはかつて投獄されていた罪しか映っていません。
ジャンバルジャンを捕らえて罪を償わせることこそが自分の使命だと信じ、星に向かって高らかに歌い上げます。
心は愛に溢れて(A Heart Full of Love)
『心は愛に溢れて(A Heart Full of Love)』は、一目で恋に落ちたマリウスとコゼットが、エポニーヌの助けで再会するシーンの歌。
愛を確かめ合い喜びに溢れたマリウスとコゼットとは対照的に、好きなマリウスを喜ばせるためにコゼットの家へと案内するエポニーヌが健気でした。
映画「レ・ミゼラブル」では、この歌はラストにマリウスとコゼットが結婚するシーンでも使用されています。
宿屋の主人の歌(Master of the House)
『宿屋の主人の歌(Master of the House)』は「レ・ミゼラブル」の登場人物の中でも特に個性的な悪役、テナルディエ夫妻の歌です。
テナルディエ夫妻は宿を経営していましたが、客の持ち物を盗むなど酷い商売をしていました。
ファンテーヌから幼いコゼットを預かっていたときも、コゼットを奴隷のようにこき使う一方で、ファンテーヌには嘘の手紙を書いては高い養育費を請求していたのです。
ジャンバルジャンがお金を払ってコゼットを引き取った後も、もっと多くのお金をもらえないかとパリでも彼らのことを追いかけます。
レ・ミゼラブルの歌【第二幕】
「レ・ミゼラブル」第二幕は、いよいよ革命に突入する市民の様子を壮絶に描きます。
学生たちはバリケードを築いて政府軍からの攻撃に備える一方、ジャベール警部は民間人のふりをして革命軍に潜入。
エポニーヌはマリウスからコゼット宛の手紙を受け取りますが、手紙はジャンバルジャンの手に渡り、コゼットが愛する男性の存在を知ります。
そして自らの命は省みず、必死でマリウスを助けようとするのでした。
戦いが激しさを増して多くの人々が命を落としていく第二幕では、辛く悲しい歌が印象的に使われています。
オン・マイ・オウン(On My Own)
エポニーヌがマリウスへの叶わぬ愛をせつなく歌う『オン・マイ・オウン(On My Own)』は「レ・ミゼラブル」の歌の中でも特に人気のナンバー。
雨の中で片思いのマリウスを想いながら、1人ぼっちの寂しさを悲し気に歌い上げます。
見るからに女らしい服装のコゼットと違って、エポニーヌはいつも帽子やコートで変装してボーイッシュ。
『オン・マイ・オウン(On My Own)』はエポニーヌの内面に秘めた女性らしさが伝わる曲で、このシーンは歴代のエポニーヌを演じた女優たちの見せ場となっています。
ジャベールの自殺(Javert’s Suicide)
『ジャベールの自殺(Javert’s Suicide)』は、ジャンバルジャンを捕まえることが正義と信じてきた信念が崩れ、ジャベールが自殺してしまうシーンの歌。
政府軍からの攻撃を受けて次々と命を落として行く学生たちの中から、ジャンバルジャンは瀕死のマリウスを背負って下水道に逃げ込みます。
ジャベールは2人に遭遇しますが、マリウスの命を救いたいという願いを聞き入れ彼を逃がしてしまいました。
今まで強く信じてきたものが崩れてしまったことに絶望し、ジャベールは自殺。
このミュージカルのテーマの1つでもある、罪と赦しが問われる重厚なシーンです。
カフェソング(Empty Chairs At Empty Tables)
ジャンバルジャンのおかげで生き延びることができたマリウスですが、マリウス以外の学生たちや多くの市民は戦いで命を落としてしまいました。
『カフェソング(Empty Chairs At Empty Tables)』は、マリウスが仲間たちと過ごしたABCカフェで誰もいない席を見て歌う歌です。
自分だけが生き延びたことに対する罪悪感と、共に戦った仲間たちを失った悲しみで、生き延びたのに複雑なマリウスの心境が寂しく歌われます。
エピローグ(Finale)
『エピローグ(Finale)』はジャンバルジャンの最期を描いた、10分間に渡る感動的なフィナーレです。
マリウスにコゼットを託した後、ひっそりと身を潜めていたジャンバルジャンですが、真実を知った2人は慌てて彼のもとへ駆けつけます。
死の床についたジャンバルジャンは天国のファンテーヌやエポニーヌに導かれ、愛するコゼットとマリウスに見守られながら苦難に満ちた生涯を終えるのでした。
この『エピローグ(Finale)』には、それまでの劇中歌が巧みに組み込まれており、全てのキャラクターの気持ちがこもった重厚感のあるエンディングを飾ります。
レ・ミゼラブルの歌は名曲揃い!映画やミュージカルの名シーンとともに観てみよう
「レ・ミゼラブル」は1985年の初演以来、世界中で愛され続けている歴史ミュージカル。
ミュージカルを完全映画化した映画「レ・ミゼラブル」も人気で、舞台版もさらに話題となり、日本でも何度も公演が繰り返されています。
劇中歌は今もイベントなどで使われる『民衆の歌』の他、カバーの多い『夢やぶれて』など名曲揃い。
「レ・ミゼラブル」の歌をカラオケで歌ってミュージカルの世界観に浸ったり、映画や舞台の名シーンと合わせてじっくり楽しんだりすれば、より深く作品を満喫できますよ。
この記事のまとめ!
- 「レ・ミゼラブル」は19世紀初頭を舞台としたミュージカルで、初演は1980年代
- 日本でも何度も繰り返し上演され、数多くの名優が演じてきた
- 革命前夜までの第一幕と革命とその後の世界を描いた第二幕がある
- 「レ・ミゼラブル」の名曲は歌のシーンを理解すると、さらに深い感動を得られる