毎日のように動画サイトにアップされるボカロ曲を聴いていると、自分も作ってみたいと思っちゃいますよね。
歌が歌えなくても、楽器が弾けなくても、やり方さえ覚えればボカロは簡単に楽曲が制作できるのです。
ボカロの作り方【機材編】
誰でもボカロPになれることがわかりましたが、何から始めればいいかわからないと思います。
まずは、ボカロ曲を作るために必要な機材を揃えましょう。
必要なものはDAW、エディタ、ライブラリ、パソコンの4つです。
いきなり専門的な用語が出てきましたが、何も難しいことはありません。
それぞれの機能とともに順番に説明していきます。
DAW(作曲用ソフト)
DAWはDigital Audio Workstationの略で、パソコン上で音楽を楽曲制作をするのに欠かせないソフトです。
まずは無料のDAWを手に入れて、操作に慣れてみましょう。
WindowsユーザーであればCakewalk by Bandlabを、MacユーザーであればGarageBandをおすすめします。
無料でも初心者にとっては充分な機能が揃っているので、DAWとはどういったものかの感覚が掴めるはずです。
VOCALOIDのエディタ(ボカロのソフト)
ボカロの楽曲制作で最も必要な機材がエディタ。
メロディーや歌詞を入力し、編集するためのソフトです。
代表的なエディタはV5エディタ、V4エディタ、Piapro Studioの3種類があります。
最初は39日間無料体験できる「初音ミクV4X TRIAL」をダウンロードすると、Piapro Studioがついてくるのでおすすめです。
もちろん、後々本格的にやる予定があれば、初めからV5エディタを使用するのも良いですよ。
ライブラリ
エディタと同じくらい大事なのが、こちらのライブラリです。
エディタで入力した歌詞を、メロディーに合わせて歌わせるための音声を収録したソフトです。
自分好みの歌声を選べばいいのですが、エディタによってはライブラリが使えないものもあるので、互換性に注意してください。
先ほど紹介した商品、「初音ミクV4X TRIAL」にはミクの音声が収録されたライブラリが同梱されており、互換性を気にする必要がありません。
ボカロ初心者にとってとても優しいパッケージなので、おすすめです。
作業用PC
もうパソコンは持ってるという人もいるかと思いますが、今一度お手持ちのPCのスペックを確認してみましょう。
パソコンのスペックが低いと音飛びやフリーズが起こり、作業に支障が出ます。
CPUはCorei7以上、メモリは16GB以上、ディスクは256GB以上のSSDであれば、問題なく楽曲制作が可能です。
結構ハイスペックなアイテムを必要とするので、新しく購入する必要がある人はお財布のことを考えると頭が痛いかもしれません。
とはいえ、全ての土台となる重要な機材ですので、ぜひ前向きに検討してみてください。
ボカロの作り方【実践編】
ボカロ曲の制作に必要な機材が分かったところで、ここからは実際にどういった手順で作成していくのか、その流れを紹介します。
手順は大きく分けて7つ。
たくさんの工程があって無理だと感じてしまうかもしれませんが、これらをクリアできないと曲を制作できません。
慣れが肝心な部分もありますので、実際に手を動かしながら読んでみてくださいね。
曲のイメージを決める
いきなり難しいお題かと思いますが、まずはどんな曲を作りたいか考えましょう。
イメージは何でも大丈夫ですが、やはり経験したことをもとにするとイメージが湧きやすいです。
楽しかった思い出とか、腹立たしかった出来事とか、曲にできそうなものであれば何でも構いません。
それに合わせて曲のジャンルや明暗を決めたり、テンポを決めたり、どんな音色を使いたいか、また男女どちらの声が合うかなどの目安を付けておきましょう。
ざっくりと全体の方向性を決めておくことで、ゴールまでぶれずに作業をすることができますよ。
ボーカロイドを決める
イメージが固まったら、使用したいライブラリを選定します。
現在では70〜80種類ものライブラリが用意されているので、きっとイメージ通りの声が見つかるでしょう。
また、ライブラリによって声の調整の難易度が変わるので、最初は操作が簡単かどうかも考慮したほうがよいです。
レビューで評価の高い、初心者におすすめのボーカロイドは定番の初音ミク、お手頃な値段でさまざまな声質を使えるVY1V4、ロック系ならMegpoid、バラードにもってこいの優しい歌声ならIAが良いでしょう。
曲構成を決める
そして曲構成ですが、一般的にはAメロ→Bメロ→サビの流れで作られることが多いです。
最初は落ち着いたテイストで、サビに向かって盛り上がるように…など、つながりを意識して構成を考えるとコード進行が見えてきやすいです。
最初は形式にとらわれず、適当な構成でも構いません。
ただしその場合でも、パートのつながりを意識しておくのがおすすめです。
大雑把にとらえておくだけでも、展開をスムーズに考えることができるでしょう。
メロディを考える
楽曲の構成を決めたら、音を出すための下準備を行います。
ここでの手順としては、コード進行を決めてから、それに合わせてボーカロイドに歌わせたいメロディーを考えていきます。
コード進行は知れば知るほど奥が深く、ここでは紹介しきれないので、今回は基本的なコードのみの説明となります。
少し難しいかもしれませんが、ここを乗り越えたら思い通りの音楽が作れるので頑張りましょう。
コード進行を考える
そもそもコードとは、3音以上で構成される和音のことです。
説明のために白い鍵盤を一つ飛ばしに3つずつ選び、
- ドミソをⅠ
- レファラをⅡ
- ミソシをⅢ
- ファラドをⅣ
- ソシレをⅤ
- ラドミをⅥ
- シレファをⅦ
と定義させてください。
まずはⅠからスタートして、次のグループを好きに選びましょう。
次のグループを選んだら、そのグループの1つ先または3つ先のグループを選びます。
新しいグループを選んだら、また同じ様に次のグループを選んでもいいですし、もう一度同じグループを続けてみてもOK。
注意点は、最初のうちはⅦを選ばないこと。
曲の終わりや展開が起こるところは、Ⅴ→Ⅰへと流れるように進行させると、さまになります。
基本的にはルールさえ守ればどのグループを組み合わせても問題ありませんが、最初はそれが難しいという人もいるはず。
よく使用されている「王道進行」などを使えば、簡単にそれっぽくなりますよ。
音符を並べてメロディにする
コード進行を聴きながら、感覚的にメロディーがつけられる場合はそれで構いません。
この時小節の始まりを意識して、小節のどこからメロディーを始めるかを考えると、オリジナリティ溢れるメロディーが作れます。
感覚的にメロディーが作れない場合は、コード進行に合わせてコードに含まれる構成音を使ってメロディーを作りましょう。
しかし、3音では表現がしにくいこともあるので、少しだけ構成音から外れた音を入れても大丈夫です。
構成音から外れた音を入れすぎると違和感があるはずなので、その場合は外れた音を減らしてください。
歌詞を考える
歌詞では、あなたの主張したいことを決めてしまえば、あとはどんな表現をしても大丈夫です。
ただし、伝えたい気持ちがある場合は無駄な表現は控え、ストレートに伝わるようにしましょう。
反対に伝えたいことがあっても含みを持たせたい場合は、暗号のようにしてしまうのも面白いです。
とはいえ、初心者になんでもありと言ってしまうと余計分からなくなってしまうものですよね。
詳しい作詞の方法は別記事で紹介しています。
初心者が陥りがちなパターンについても書いていますので、ぜひ読んでみてください。
DAWにメロディを打ち込み伴奏を入れる
いよいよボカロ曲を制作するメインの作業。
ここでは、作ったコード進行とメロディーに合わせた、いわゆる伴奏を作ることが目的です。
まずは先程考えた歌のメロディーを、音源は何でも構わないので打ち込んでください。
そのメロディーをベースに、伴奏をつけていきます。
どのような楽器を使用するか、どんなリズムにするかで楽曲の印象が決まるので、じっくり考えてください。
自分の思い通りの楽曲を作るためにも、時間をかけて試行錯誤しながら慣れていきましょう。
使う楽器を考える
基本はドラム、ピアノ、ギター、ベースの音源があれば大丈夫です。
曲調によってそれぞれの音を電気的なものにするか、アコースティックにするか適切なものを選びます。
場合によってはオーケストラの音を入れてもいいですし、和楽器で和風なサウンドを演出しても大丈夫。
シンセサイザーで電子音を選んでピコピコさせたり、効果音を入れたりするとより表現の幅が広がります。
正解はないので、これは使えるかもと思った音源はどんどん試してみて下さい。
打楽器から順に打ち込む
まずは歌のメロディーに合わせて、打楽器でビートを打ち込みます。
いきなり複雑なフレーズを打ち込むのは難しいので、8ビートと呼ばれるビートを打ち込めばさまになります。
次にベースラインを打ち込みます。
ベースはコード進行に合わせて、ルート音を鳴らしておけば大丈夫です。
ルート音とは、コード進行の項目で説明したそれぞれのグループの一番目に書かれている音のこと。
1回ずつ鳴らすのではなく、小刻みにリズムを刻めればなおよいでしょう。
ベースが打ち込めたらピアノ、ギターを打ち込みます。
打ち込み方としては、コード進行に合わせてコードの構成音をそのまま同時に鳴らしてもいいですし、構成音を一音ずつバラバラに鳴らすアルペジオという打ち込み方をしてもいいです。
オクターブを上手くつかうとメリハリが出るので、構成音はそのまま位置を移動してみてください。
ピアノやギターはどちらからでも打ち込んで構いません。
オーケストラやシンセサイザーを入れた場合も、このタイミングで打ち込みます。
メロディをボカロに歌わせてみる
1番初めに打ち込んだ歌のメロディーのみを、MIDIデータとして書き出します。
DAWにはステムの書き出しという項目があるので、そこで歌メロを選んで、MIDI形式で書き出せばOKです。
書き出したデータをエディタに取り込み、歌声が自然に聞こえるようにするためにチューニングという作業を行います。
ライブラリによって自動調整してくれるものもありますが、自分の好きなようにチューニングできた方が満足度は高いです。
テクニックが必要ですが、初心者が気をつけるべきなのはダイナミクスとピッチベンド。
ダイナミクスは声量で、大きさを変えることでメリハリが付きます。
ピッチベンドは細かい音程変化に使え、裏声の表現や言葉と言葉の繋がりを人間らしく再現できます。
微妙なニュアンスで文字だけでは伝わりにくいので、実際に操作して変化を実感してくださいね。
ミックス・マスタリングで最終調整
ボカロ曲制作における最終工程です。
ミックスおよびマスタリングを行って、曲を完成させます。
ミックスやマスタリングとは、簡単に言うとパートごとの音量を調節したりエフェクトをかけることで、楽曲として聴きやすくするための作業のことです。
ミックスの詳しい手順については、本サイトの別記事で紹介していますのでこちらをご参照ください。
ボカロ作曲に使えるアプリ【無料アリ】
ここまでパソコン上での一連の流れを説明してきましたが、最後にボカロ曲の制作ができるスマホアプリを紹介します。
今回紹介するのは大きく分けて2つで、パソコンでの制作と同じようにDAWとボーカロイドが必要となるアプリ、そしてDAWの機能とライブラリ機能、エディタ機能が一体型になったアプリを紹介します。
Mobile Vocaloid Editor【iPhone】
5000円程度で手に入る、とてもお手ごろなボーカロイド。
GarageBandとセットで使用します。
ただし、iPhoneおよびiPad用のアプリのため、Androidユーザーは使用できません。
付属ライブラリは1種類ですが、課金すれば初心者におすすめのものに加え、有名アーティストのライブラリも手に入ります。
パソコンで操作するボーカロイドに比べ、タッチパネルで操作できる分使いやすいとのレビューも。
YAMAHAの公式アプリですし、ボーカロイドがどのようなものか気軽に試したい方におすすめです。
GarageBand【iPhone】
最初に紹介した、Mac版とは異なるバージョンです。
iPhoneやiPadに最初から入っているアプリで、目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。
最初は追加音源がいらないくらい楽器の音源が豊富で、無料にもかかわらず生音に近い音が出たり、効果音も入っていて、きっと気にいる音源が見つかります。
直感的操作ができるので、慣れるまでそんなに時間がかかりません。
先に紹介したMobile Vocaloid Editorと連携でき、こちらのアプリで作ったオケを取り込むことが可能です。
PaintVoice【Android】
こちらはAndroid専用のアプリです。
ボーカロイドとは異なる合成音声となりますが、ボカロ曲制作一連の流れがこれ1つで完結できます。
操作性がよく、Mobile Vocaloid Editorよりわかりやすいとのレビューもありました。
音質はパソコンで制作したものや、GarageBandおよびMobile Vocaloid Editorで制作したものに比べて劣ります。
広告が表示され、それが無ければ完璧という意見もありましたが、なんと言っても無料なので、試してみる価値は大いにありです。
ボカロの作り方は挑戦するうちに掴めてくる!初心者も恐れず挑戦しよう
楽曲制作はソフトの操作を含め、慣れが必要です。
理解できるまで何度も今回紹介した手順を繰り返し行いましょう。
また、制作した楽曲を最初のうちは人に聴かせたくないかもしれません。
しかし、人からのフィードバックをもらわなければ成長できないので、自信がなくてもまずは公開して聴かせることが大事です。
フィードバックでは思わぬDTMテクニックなど、アドバイスや情報がもらえるかもしれません。
良い意見は積極的に取り入れていきましょう。
この記事を素敵なボカロPになるきっかけにしてもらえれば幸いです。
この記事のまとめ!
- ボカロ曲を作るためにはDAW、エディタ、ライブラリ、PCが必要
- 作りたいボカロ曲のイメージが出来上がったら実際に打ち込んでみよう
- ボカロ曲を打ち込む時にはリズムを刻む楽器から打ち込んでいこう
- ボカロ曲は無料のアプリでも制作できる、気軽にチャレンジしてみよう