人と人との親交を深めるにはコミュニケーションが不可欠です。
そして、言葉以外でコミュニケーションを図るなら、身振り手振りで行い、情報交換をしようとします。
現代では、若者同士にしか理解できない、そもそも若者の中でも一部にしか理解できないような言葉も次々と生まれ、多様な言葉が流通しています。
その言葉の中には、一時的に流行っても、ある一定の期間を過ぎれば使われなくなってしまうものも多々あります。
その1つとして今回は比較的多用されているギャル語である「バイブス」という言葉に着目してみましょう。
バイブスという言葉は、音楽業界で頻繁に使われているため、アーティストが作った造語や業界用語だと思っている人もいるかもしれません。
しかし、実は音楽業界だけではなく、テレビ番組でも芸能人が発することもあり、音楽関係に限定している言葉というわけでもないのです。
この記事でわかること
バイブスの語源とは?
「バイブス高い」「バイブスやばい」などの言葉を使用した、あるいは聞いたことがある人も少なくないでしょう。
そんなバイブスという言葉について詳しく解説していきます。
Vibrationの短縮形
Vibes(バイブス)という単語はもともとVibration(バイブレーション)という英語を短縮してできました。
つまり、VibesとはVibrationの略語であり、コミュニケーションの中で使われる砕けた表現(スラング英語)として存在しています。
辞書によると、Vibrationとは「振動」という意味があるのですが、その他に、「感覚的反応」「ぞくぞくする」「おののく」など、人の感情を揺れることも意味しています。
短縮したVibesももちろん同じ意味で使われます。
音楽の世界では「ノリ」と表現
バイブスはもともとはアメリカをはじめとする海外のヒップホップ音楽やラップ音楽、レゲエ音楽などで、「ノリ」「フィーリング」「気合」を意味する表現として使われていました。
そして日本でも、2000年代から音楽業界でレゲエ用語、HIPHOP用語として2000年代から使われはじめたのです。
モデルがきっかけで「ギャル流行語トップ10」入り
音楽やダンスの業界などで既に感情を表す言葉として使われていたバイブスという言葉が、広く一般に認知されるようになったきっかけがあります。
そのきっかけを作ったといわれる人物が、2011年にギャル雑誌「egg」でデビューしたカリスマギャル今井華です。
当時、現役ギャルモデルであった今井華が、フジテレビで放送されていた「テラスハウス」や日本テレビの「踊る!さんま御殿!!」などに出演した際に、番組内で「バイブスやばい」「バイブス高い」などと発言していたことが話題になりました。
そのことがきっかけとなり、急激にバイブスという言葉が広く一般に使われるようになったのです。
バイブスという言葉の勢いは留まることなく、2013年の「ギャル流行語大賞」では堂々の1位に選ばれました。
ちなみに2位は「激おこぷんぷん丸」でした。
今さら聞けない「バイブス」の意味
若い人たちが使う言葉であるバイブスは、感情を表す言葉なので、とても抽象的な言葉の意味を成しています。
具体的には、テンションやノリ、雰囲気、今の感情などを表しているのですが、その解釈は多岐にわたります。
言ってしまえば、若者言葉なので、ニュアンスさえ合っていれば何でもアリといった感じです。
例えば「ハンバーガー美味しそう!バイブスあがる!」「今度サロンに行ったら、髪を外国人風カラーにしようと思ってる。バイブスあがるし」など、基本的には感情の上下を表すときに使えば大丈夫です。
しかし、あくまでも若者言葉なので時と場所を選んで使う事が大切です。
仕事中などはもちろんNG。休日にクラブなどに出かけたときに使うとカッコイイでしょう。
バイブスの基本的な使い方
音楽ではバイブスを「Good vibes(良い気分)」や「Bad vibes(悪い気分)」と使うことがあります。
他にも、ラップではラッパー自身のスタイルや言葉の使い方に、聴く者を圧倒させるような勢いがある場合に「バイブスが凄い」というふうに使われます。
また、ギャル語では、バイブス=テンションといった意味で使われることが多いです。バイブスを使ったいくつかの例を以下にあげてみます。
音楽で使う例としては、「あの曲を聴くとバイブスが上がるんだよ」といったように使用します。「テンションが上がる」という意味です。
日常的生活の中での使い方
また、このように使用するときもあります。
「あの店を予約しようとしたらもう満席だっていわれて取れなかったんだ」「バイブス下がる~」といったように使います。
ちなみに、こちらは「テンション下がる」という意味です。
また、「バイブスが良い」と使われることもあり、「雰囲気が良い」ということを表しています。他には「バイブス鬼高め!!バイブス全開で行くぜ!」など…。
若い子たちは日常的に使っています。
歌詞の中での使い方
さらに楽曲の中に「バイブス」という歌詞を取り入れる日本のアーティストも増えています。
ヒップホップバンドである「OZROSAURUS(オジロザウルス)」は2001年にリリースした楽曲『WHOOO』に「VIBESは満タン」というフレーズがあり、有名になりました。
こちらのフレーズに関しては「テンションは満タン」という意味のようです。
聴いていてバイブスが上がる曲
聴いていると、バイブスが上がる曲、すなわちテンションが上がる曲をアーティストのプロフィールとともに紹介します。
以下に挙げる曲は、比較的年齢関係なく認知されている曲のため、カラオケでも歌いやすいでしょう。
倖田來未「キューティーハニー」
倖田來未は、京都府出身の1982年11月13日生まれ。
2000年に『TAKE BACK』でデビューを果たしました。
「エロかっこいい」女性アーティストとしてのイメージを世間に植え付け、安室奈美恵、浜崎あゆみに並ぶ日本を代表する歌姫となりました。
現在は一児の母となりましたが、歌手活動は続けています。
彼女がブレイクするきっかけとなった『キューティーハニー』は、元々前川陽子のオリジナル曲で、アニメ「キューティーハニー」のオープニングテーマでした。
倖田來未がカバーしたのは2004年でキューティーハニーの実写映画の主題歌に起用されました。
PVは倖田來未らしい「エロかっこいい」感じに仕上がっています。
ちなみにサビの最後の【ハニーフラッシュ!】のあとに原曲には【変わるわよ】というセリフが入っています。
それが、倖田來未の歌う「キューティーハニー」ではカットされていることで、原曲のファンからは賛否両論がありました。
「キューティーハニー」は、歌詞だけ見ると可愛くていじらしい女の子のイメージが強い曲です。
年齢関係なくほとんどの人が知っている有名な曲のため、会社のカラオケで歌えば、男性上司のバイブス(テンション)も上げることができるでしょう。
オレンジレンジ「上海ハニー」
ORANGE RANGE(オレンジレンジ)は、沖縄県を拠点とし活動する男性5人組ロックバンドです。
2003年6月4日にはシングル『キリキリマイ』でgr8!recordsよりメジャーデビューを果たし、同年7月16日に発売した2ndシングル『上海ハニー』で大ブレイクしました。
そして2004年2月25日にリリースした5thシングル『ミチシルベ〜a road home〜』では自身初のオリコン週間シングルチャート首位を記録しました。
音楽ランキングでは当時常に上位を獲得していたほどの人気ぶりでした。
特に2004年10月20日に発売した8thシングル『花』は映画「いま、会いにゆきます」の挿入歌ともなり、ロングヒットを飾りました。
ORANGE RANGEはもともと夏向けの曲を作るのが得意で、上海ハニーは上海で女性をナンパするという内容の楽曲です。
サウンドはキャッチーで、一度聴いたら頭から離れない中毒性があります。
夏のフェスでは定番の曲となり暑い太陽の下でたくさんのファンがバイブスを上げて盛り上がります。
沖縄風のサウンドがポイントで、ORANGE RANGEらしさも感じられます。カラオケで上海ハニーをみんなで歌えば「バイブス上がる」こと間違いなしですね。
「バイブス高めで毎日を過ごそう!」
バイブスという言葉は非常にアンニュイですが、ほかにも似たような言葉として、「エモい」という言葉があります。
この「エモい」もまた、言葉にできない高まった感情を表し、バイブスとおなじような若者言葉といえます。
昔は主に若者の間で使われていた言葉でも、時間が経過するにつれて一般的な言葉になる場合もあります。
一時的な流行りだと思われていた言葉が、次の世代に受け継がれ、老若男女問わず広く使われるようになることはたくさんあるのです。
バイブスは2013年頃から使われているので、「もう死語なのでは?」と思うかもしれませんが、Twitterで「バイブス」と検索してみると未だ若い子たちに使われていることがわかりますよ。
この記事のまとめ!
- バイブスは感情を表す言葉
- バイブスはギャルモデルの今井華が流行らせた言葉
- バイブスは音楽業界のみならず世界的に使われている