中森明菜は、多くのアイドルが活躍した1980年代の代表的歌姫。
たくさんのヒット曲がありますが、どれも彼女ならではのスタイルがあり、今聴いても全く古さを感じさせない名曲ばかりです。
この記事でわかること
中森明菜のデビュー曲「スローモーション」
中森明菜のデビュー曲は1982年リリースの「スローモーション」。
作詞は来生えつこ、作曲は来生たかおで、爽やかなメロディーが耳に残る美しいラブソングです。
恋に落ちる瞬間をみずみずしく歌い上げたミディアムテンポのバラードで、アイドルらしい初々しさだけではなく、歌のうまさや表現力も注目されました。
2022年にはデビュー40周年を迎え、オリジナル・マスター音源を使ったピクチャー・レコードが販売されています。
中森明菜のかっこいいヒット曲
中森明菜のヒット曲を提供したのは、井上陽水、細野晴臣など豪華なアーティストたちばかり。
普通のアイドルには表現が難しいような歌でも、曲に合ったファッションやパフォーマンスで、かっこいいナンバーに仕上げてしまいます。
それは彼女が歌のうまさに加えて、独特な曲の世界観を創造できる、高い芸術性も持ち合わせているからでしょう。
次は、そんな中森明菜のかっこいいヒット曲を紹介します。
飾りじゃないのよ涙は
「飾りじゃないのよ涙は」は、中森明菜がアイドルからアーティストになる転機となったと言われている、クールな歌です。
楽曲を提供したのは井上陽水で、作詞も作曲も陽水が担当しています。
低音の歌いだしからテンポにのって徐々に盛り上がり、迫力あるサビへと続く、中森明菜のオーラを感じさせる歌です。
カラオケではサビの『飾りじゃないのよ涙は ホッホーゥ』が、特に盛り上がりますよね。
このナンバーは、彼女の3番目の売上枚数を記録するヒット曲になりました。
少女A
「少女A」は2枚目のシングルで、ロック調のかっこいい歌。
大人に対する反発心や少女の本音を赤裸々に語っており、10代の少女が歌う歌詞としては衝撃的でした。
しかし、この歌は中森明菜の少し翳りのある声にマッチして、大ヒット。
明菜ちゃんはかわいいだけのアイドルとは違う、特別な魅力がある歌手だと、世間から注目を集めるようになったのです。
作曲者の芹澤廣明と作詞者の売野雅勇は、この曲がきっかけとなってタッグを組むようになり、その後はチェッカーズでヒット曲を連発する名コンビとなりました。
1/2の神話
「1/2の神話」はギターサウンドがかっこいいロック調の曲で、大沢誉志幸が作曲を担当しました。
前半の振り付けや視線などに表れる憂いのある表情から、サビの『いいかげんにして』へのメリハリがきいていて、中森明菜らしいドラマチックな表現力が印象的です。
実は、この曲は「少女A」に続く不良路線として考案された曲で、当初は「不良1/2」というタイトルがつけられていました。
しかしNHKから「そのタイトルでは番組で歌唱させられない」とクレームがついたため、急遽変更となったというエピソードがあります。
TATTOO
オフショルダーで露出度の高いタイトなミニのドレスで、セクシーでありながら凛としたパフォーマンスが話題となったのが「TATOO」です。
デジタルサウンドでビッグバンド風な音楽を再現すると同時に、未来社会を思わせるような不思議な歌詞。
「TATOO」は、まるでSF映画のような曲と言われています。
スタイルの良さやダンスのうまさだけでなく、この複雑な曲の世界観を完璧に表現した中森明菜の表現力は圧巻で、今もファンからの支持が高い人気曲です。
ミ・アモーレ
ポルトガル語のタイトルがつけられた「ミ・アモーレ」は、ラテンミュージシャンの松岡直也が作曲と編曲を担当した、エキゾチックなムードのナンバー。
ラテンのリズムとラテン音楽特有の楽器を使った伴奏が、聴く人の気分を徐々に上げ、歌詞に登場するリオの街を旅しているような気分になります。
中森明菜はこの曲で、初めてのレコード大賞を受賞しました。
また、シングルとしては3番目の「飾りじゃないのよ涙は」を抜いて、2番目の売り上げ枚数を記録しています。
禁区
「禁句」は、イエロー・マジック・オーケストラの細野晴臣が作曲を手掛け、テクノ歌謡と言われた歌です。
中森明菜は当時18歳の若さでしたが、憂いを込めた表情で別れの予感に苦しむ女性の気持ちを、大人っぽく歌い上げました。
この曲のヒットにより、彼女はNHK紅白歌合戦に初出演を果たしています。
「禁句」のカップリング曲は、ブレイク直前の玉置浩二が作曲した「雨のレクイエム」で、雰囲気が全く違う曲ですが、こちらも気になりますよね。
中森明菜の人気曲のおすすめ
中森明菜の人気曲は、他にもまだまだあります。
リアルタイムで聴いた昭和世代はもちろん、平成世代の人でも知っている曲や、曲名は知らなくても聴いたことがある歌が多いのではないでしょうか。
次は、中森明菜の人気曲の中からおすすめソングを紹介します。
DESIRE -情熱-
ボブのウィッグに着物をアレンジした斬新な衣装と大胆な振り付けで、鮮烈な印象を残したのが「DESIRE -情熱-」。
この衣装は中森明菜自身が考案したものだとか。
「DESIRE -情熱-」は「ミ・アモーレ」に続きレコード大賞を受賞し、今もカラオケで熱く歌ってしまう人が多い人気曲です。
サビの『夢中になれないなんてね 淋しい』の間に、なぜか『ハードッコイ』と掛け声を入れるのが流行しました。
北ウイング
「北ウィング」は、ドラマのオープニングのようなミステリアスなイントロから、特徴的なロングトーンへと続く人気ソング。
愛する人を追って夜間飛行で1人旅立つ女性の不安と、再会への期待に揺れる気持ちが伝わってくるような名曲です。
何かを決心してこれから出発しようとする人や、どこか遠くへと移動しようとしている人の心情にぴったりの歌と言えるでしょう。
タイトルの北ウィングとは、新東京国際空港(現在の成田国際空港)第1ターミナルの北部分のことです。
セカンド・ラブ
「セカンド・ラブ」は中森明菜の最大のヒット曲。
デビュー曲「スローモーション」と同じく、来生えつこ・来生たかおの作詞・作曲で、せつない片思いを歌った、エモーショナルなバラードです。
「好き」と言い出せないもどかしさを歌った、繊細な歌詞とメロディーに感動した中森明菜は、この歌をかけがえのない曲として大切に歌うよう心がけたそうです。
時には震えながら歌ったり、体調が悪い日は涙を流したりすることもあり、そのひたむきな態度と高いプロ意識がファンの間で話題になりました。
サザン・ウインド
「サザン・ウインド」は前作の「北ウィング」と対照的な曲で、リゾート地で男性たちからのアプローチを楽しんでいる大胆な女性の歌です。
「北ウィング」はひたむきな女性と夜のイメージなら、「サザン・ウインド」は遊び心のある女性と昼のイメージ。
中森明菜はこの歌をあくまでドライな雰囲気で歌い、楽しみながら歌っているような微笑みも印象的でした。
作詞は来生えつこ、作曲は玉置浩二で、玉置浩二本人もセルフカバーしています。
中森明菜の泣ける歌
中森明菜の曲は、アップビートな曲も人気ですが、泣ける曲もとても評判が高いです。
女優のように歌の世界に深く入り込み、聴く人もその世界観に引き込まれて、悲しみや苦しみを実体験のように感じてしまうこともあります。
また、同じ辛さを体験した人にとっては、心に寄り添ってくれて同じ痛みを分かち合うような気持ちになることもあるでしょう。
次は、そんな中森明菜の泣ける歌を紹介します。
難破船
中森明菜の泣ける歌と言えば「難破船」を思い浮かべる人が多いかもしれません。
実は、この曲は加藤登紀子の歌った「難破船」のカバーで、作詞・作曲も加藤登紀子です。
加藤登紀子は、テレビで観た中森明菜の雰囲気がこの曲にぴったりだから、ぜひ歌って欲しいと自分の楽曲を提供しました。
失恋の深い悲しみを描いた「難破船」は、中森明菜の繊細なイメージと豊かな表現力により大ヒット。
聴く人の涙を誘う悲しい歌として、多くの人の胸を打ちました。
予感
「予感」は、別れを覚悟しているのに、いつまでも本音を言ってくれない相手への悩みを歌った悲しいバラード。
大好きな相手だから失いたくないと必死な状態が続いて、傷つくことに疲れたと嘆く女性の心の叫びを表現しています。
辛い恋愛で悩んだ経験がある人にとっては、思わず「わかる」と言いたくなる、リアルな失恋ソング。
中森明菜がこの曲を歌うときは、涙ぐむような瞳で歌うことが多くて、聴いている人も切なくなり、思わず一緒に涙ぐんでしまう曲です。
OH NO,OH YES!
竹内まりやが作詞・作曲を担当した「OH NO,OH YES!」は、洗練されたアダルト・コンテンポラリー・バラード。
許されない相手との恋愛に戸惑いながら、都会で孤独に暮らしている独身女性の、複雑な心境が表現されてる歌です。
中森明菜の歌い方と『薬指のリングより人目忍ぶ恋選んだ』という歌詞から、恋する相手に惹かれてしまう気持ちと、秘密の関係に悩む気持ちの葛藤が伝わってきます。
竹内まりや自身もセルフカバーしているので、ぜひ両方のバージョンを聴き比べてみたいですね。
忘れて・・・
「忘れて・・・」は「二人静」のカップリング曲で、中森明菜自身が作詞しました。
語りかけるような静かなバラードで、失恋した彼のことが忘れられずに苦しんでいる女性の心情が伝わり、胸が痛くなるような歌です。
実はこの曲には、91年のライブでのみ歌われた、まぼろしの追加パートがあります。
それは、いつも応援してくれているファンへの感謝の気持ちを、中森明菜が自身の言葉で伝えている心のこもった歌詞で、そのバージョンも泣けてしまう名曲です。
中森明菜の隠れた名曲
中森明菜の名曲の中には、大ヒットした訳でなくても、名曲と評判が高い歌が数多く存在しています。
中にはカバー曲だったり、同じ曲の歌詞が異なる歌詞の歌だったりするものもあり、意外な発見に驚くかもしれません。
最後は、そんな中森明菜の隠れた名曲を紹介しましょう。
駅
竹内まりやの代表曲の1つとして有名な「駅」は、元々は中森明菜のアルバムに収録され、後に竹内まりやがセルフカバーした歌です。
曲を依頼された竹内まりやは、中森明菜の写真を見ながら、せつない恋の想い出に浸る女性のインスピレーションを得て、マイナーコードで「駅」を完成させました。
中森明菜のバージョンは、一言ずつ言葉をささやくようなスローなアレンジ。
失恋した女性の苦しみが伝わってくるような、悲しみに溢れた雰囲気になっています。
TANGO NOIR
深紅の華やかなドレスと大きくのけぞるポーズで、ラテン系の熱い情熱を表現した「TANGO NOIR」。
低音のAメロからサビの『タンゴノアアア』までの振り幅が広く、歌うのがとても難しそうな曲です。
しかし、中森明菜は持ち前の歌唱力により、たった28分でこの歌のレコーディングを終了させてしまいました。
テレビの歌番組での華麗なパフォーマンスの裏には、歌い終わった後、衣装が重くて仰向けに反った姿勢から身体を起こせなかったこともあったそうです。
Fin
「Fin」はフランス語で『終わり』の意味で、フランス映画の最後に出てくる言葉。
中森明菜の「Fin」映画のサントラのような洗練された曲で、ロングコートと帽子の衣装に身を包み、この歌をまるで映画のワンシーンのようにクールに表現しました。
歌の内容はタイトル通り、恋愛関係が終わる男女間の寂しい情景を描いています。
しかし中森明菜は、あえて感情を抑えて淡々と歌っており、それが逆に深い悲しみを感じさせてくれる曲になっています。
赤い鳥逃げた
「赤い鳥逃げた」は「ミ・アモーレ」の異名同曲異歌詞曲、つまりタイトルと歌詞が異なる同じ歌。
実は、最初に完成していたのは「赤い鳥逃げた」の方だったのですが、シングル曲としてインパクトに欠けるからと、「ミ・アモーレ」が新たに書かれたのです。
この曲は12インチシングルで発売されましたが、テレビではほとんど歌われたことがない、正に隠れた名曲。
サビの部分の歌詞は『赤い鳥が逃げた いつかふたりが住む 夢をさがして』となっています。
中森明菜の曲はかっこいい歌から泣けるバラードまで幅広い!最大のヒット曲は「セカンド・ラブ」
中森明菜はアイドルが活躍した1980年代にデビューし、その時代を代表する歌姫。
多くの有名アーティストに提供された楽曲を、高い歌唱力や芸術性によって、彼女ならではの世界を作り上げ、たくさんの名曲、ヒット曲を残しています。
最大のヒット曲は「セカンド・ラブ」で、続いて「ミ・アモーレ」「飾りじゃないのよ涙は」が、最大売り上げを記録しました。
中森明菜の人気曲は、かっこいい曲から泣けるバラードまで幅広く、今も多くの人から愛され続けています。
この記事のまとめ!
- 中森明菜のアイドル全盛期だった1980年代に誕生した歌姫
- 楽曲を提供したのは大物アーティストばかりで、彼女の創造性と歌唱力で見事に表現し、多くの名曲を歌った
- 一番売れたのは、来生えつこ、たかお作詞作曲による「セカンドラブ」
- 中森明菜の人気曲は、かっこいい曲から泣けるバラードまで、バラエティーに富む