クリスマスソングをあちこちで耳にする季節、クラシックのクリスマス曲を聴いてみたくなることはありませんか。
伝統的な欧米のクラシック音楽を聴きながら、厳かな気分で、または華やかなムードで聖なる夜を過ごしてみましょう。
この記事でわかること
【定番】クリスマスソングの名曲クラシック6選
クラシックのクリスマスソングにはいろいろな楽曲がありますが、定番となっているのはオーケストラのクラシック音楽です。
ストーリー性のあるバレエ音楽や、クリスマスイベントのために作られた曲など、今でもよく聴くクラシック曲がたくさんあります。
はじめに、クラシックでクリスマスの定番になっている名曲を紹介しましょう。
くるみ割り人形 / チャイコフスキー
クリスマスソングの代表的なクラシック曲といえば、チャイコフスキー作曲のバレエ組曲「くるみ割り人形」です。
CMソングなどで聴き覚えのある、有名曲も多いでしょう。
クリスマス・イブに、主人公の少女クララがくるみ割り人形をもらったことから始まる物語で、クリスマスシーズンになると世界中でよく上演されています。
クララが夢の中でお菓子の国に行くシーンで、妖精たちが踊る様子を表現した曲など、幻想的でキラキラしたムードの曲が、ふんだんに盛り込まれています。
クリスマス協奏曲 / コレッリ
イタリアの作曲家、コレッリ作曲の「クリスマス協奏曲」は、支援者ピエトロ・オットボーニ枢機卿の依頼で作られた、合奏協奏曲の作品です。
この作品には「クリスマスの夜のために作曲」と題辞がつけられていたため「クリスマス協奏曲」の愛称で呼ばれるようになりました。
比較的短い6つの楽章から構成された協奏曲で、最後の「Pastorale ad libitum」は牧歌的な音楽という意味。
これは、聖書に記されている羊飼いの話がモチーフになっているといわれています。
クリスマス・オラトリオ / バッハ
バッハが作曲した「クリスマス・オラトリオ」は、全6部、計64曲から構成された、壮大なカンタータ集です。
現在は、コンサートホール等で休憩をはさみながら、1日で全てを演奏するのが一般的ですが、もともとはクリスマスシーズンに1日1部ずつ演奏されていました。
中でも特に人気の高い曲が、第2部の降誕節第2祝日用 (12月26日)第10曲目「シンフォニア」です。
唯一、楽器のみの演奏による曲ですが、単独で演奏されることもある美しいクラシック曲です。
そりすべり / アンダーソン
クリスマスシーズンによく耳にする「そりすべり」は、アメリカの作曲家アンダーソンが1948年に作曲した、比較的新しいクラシック音楽です。
この曲は、クリスマスのために作曲されたわけではないのですが、スレイベル(ジングル・ベル)が鳴り響き、クリスマスの楽しい雰囲気が溢れています。
また、サンタとトナカイを連想させるムチの音や、トランペットを使った馬のいななきのような音が使われていて、ワクワク感たっぷりのクリスマスソングです。
スケートをする人々 / ワルトトイフェル
「スケーターズ・ワルツ」の愛称で親しまれている「スケートをする人々」は、クリスマスソングではありませんが、ヨーロッパの冬のイメージが漂う有名曲です。
フランスの作曲家、エミール・ワルトトイフェルが作曲した軽快なワルツで、氷の上を優雅に滑っている冬の光景が思い浮かぶでしょう。
日本で人気の高い指揮者、カラヤンが好んで演奏したことから、特に日本で人気が高い曲で、ウィンターシーズンの定番クラシック曲になっています。
トロイカ(キージェ中尉) / プロコフィエフ
ロシアのプロコフィエフが作曲した「キージェ中尉」は、同タイトルの映画のために作られた楽曲を、演奏会用にアレンジした交響組曲です。
全部で5曲から構成されていて、4曲目の「トロイカ」は楽しい鈴やタンバリンの音が印象的な、ロシア民謡風のクリスマスソングになっています。
トロイカとは、3頭の馬が引くロシアのそりのこと。
陽気な金管楽器やスピード感のある弦楽器の音から、雪道を走るそりの様子やクリスマスのワクワクが伝わってくるクラシック音楽です。
クリスマスソングのピアノで聴きたいクラシック5選
静かに過ごしたい日や落ち着いたムードの夜には、クラシックピアノがよく合います。
クリスマスの雰囲気を味わいたいけれど、賑やかなクリスマスソングを聴く気分でないときは、ピアノの伴奏でクラシックのクリスマスソングを聴いてみましょう。
続いては、ピアノで聴きたいクラシックのクリスマスソングを紹介します。
四季(12月クリスマス) / チャイコフスキー
チャイコフスキー作曲の作品集「四季」は、ロシアの12ヶ月の様子を表現した曲でそれぞれの季節の雰囲気を感じられる、クラシックピアノの楽曲集です。
「12月クリスマス」は3拍子の軽やかなワルツで、人々がクリスマスパーティーに集まってダンスをしているような、楽しげな雰囲気が表現されています。
「四季」には「11月トロイカ」「6月舟唄」などの有名曲も含まれているので、聴き比べながら季節の移り変わりを感じてみるのもおもしろいでしょう。
主よ、人の望みの喜びよ / バッハ
「主よ、人の望みの喜びよ」のタイトルで親しまれている「イエスは変わらざるわが喜び」は、バッハが作曲した教会カンタータ「心と口と行いと生活で」の終曲です。
教会の礼拝用に作られた曲なので、厳かな雰囲気の中にも心が癒やされるような温かみや希望が感じられ、クリスマスや結婚式などでよく使われています。
クラシックギターや吹奏楽など、さまざまなアレンジがありますが、特に有名なのはイギリスのピアニスト、マイラ・ヘスによるピアノアレンジ。
聖なる夜にふさわしい、美しいクラシックピアノに耳を傾けてみましょう。
クリスマス・ツリー / リスト
リストの「クリスマス・ツリー」は、ローマで晩年を迎えたリストが、初孫ダニエラのために作曲した12曲から構成された、ピアノ組曲です。
ほとんどの曲が古い民謡や教会の聖歌など、クリスマスキャロルに基づいた楽曲で、クリスマスを無邪気に楽しむ子どもの心を表すような、シンプルな曲で構成されています。
また、11番目の「ハンガリー」はリストの故郷を、12番目「ポーランド」は妻のカロリーヌの故郷を象徴した、ノスタルジーに溢れた楽曲になっています。
アヴェ・マリア / グノー
クリスマスシーズンによく耳にする「アヴェ・マリア」は、シューベルトやカッチーニの曲も有名ですが、グノーの「アヴェ・マリア」は2人の偉大な作曲家による作品です。
グノーの「アヴェ・マリア」は、バッハの「平均律クラヴィーア曲集」の1節に、グノーがラテン語の聖句「アヴェ・マリア」を歌詞にした主旋律を加えて、完成させました。
クラシックピアノの人気曲ですが、弦楽四重奏やヴァイオリンなどいろいろな編曲があり、声楽でも人気があります。
カノン / パッヘルベル
カノンコードといわれる和声進行が、現在もさまざまなジャンルの音楽で使用されている、パッヘルベルの「カノン」。
クリスマスを始め、結婚式などでもよく使われる人気曲です。
パッヘルベルはバロック時代の作曲家ですが「カノン」は20世紀に再評価されるようになり、室内管弦楽のアルバムが多く作られました。
また、アメリカのピアニスト、ジョージ・ウィンストンのクラシックピアノのアルバムも大ヒットしました。
日本では、山下達郎の「クリスマス・イブ」の間奏で「カノン」が使用されています。
クリスマスソングで伝統的な声楽クラシック5選
クリスマスシーズンのクラシック音楽のイベントでは、合唱曲などの声楽を聴くことも多いでしょう。
声楽のクラシック音楽は、たとえ歌詞の意味がわからなかったとしても、神聖な雰囲気で鳥肌が立つような感動を覚え、迫力に圧倒されます。
最後は、クリスマスソングの伝統的な声楽クラシック曲を紹介します。
メサイア / ヘンデル
「ハレルヤ」の合唱で有名な、ヘンデル作曲の「メサイア」は救世主「メシア」の英語読みです。
イエスの生涯を題材とした独唱曲・重唱曲・合唱曲で構成された、クリスマスにふさわしいオラトリオで、全て演奏すると2時間半という大作です。
中でも人気が高いのが「ほめたたえよ」を意味する第2部最終曲の「ハレルヤ」で、キリストへの賛美をストレートに表しています。
クラシックのクリスマスソングの中でも特に知名度が高く、クリスマス本来の意味を実感できるようなクラシック音楽です。
アヴェ・ヴェルム・コルプス / モーツァルト
アヴェ・ヴェルム・コルプスとは聖体賛美歌のことで、クリスマスのミサなどカトリックの宗教的な儀式で歌われる曲です。
ウィリアム・バードやフォーレ作曲のものと並び有名なのが、モーツァルト作曲で混声四部合唱「アヴェ・ヴェルム・コルプス」です。
モーツァルトの病気の妻を看病してくれた人に、お礼として作曲された曲で、モーツァルト晩年の傑作といわれています。
落ち着いた雰囲気のクリスマスを過ごしたいときにおすすめの、厳かなムードが漂う曲です。
ラ・ボエーム / プッチーニ
プッチーニが作曲したオペラ「ラ・ボエーム」は、クリスマス・イブのパリを舞台にした、貧しい芸術家たちが繰り広げる、イタリアオペラ。
ブロードウェイミュージカル「レント」は「ラ・ボエーム」を現代に置き換えたものです。
たくさんの有名曲がある人気オペラですが、伝説の歌姫マリア・カラスが歌った「私の名はミミ」は今でもファンが多いソプラノ・リリコのアリアです。
クリスマスを舞台にしたオペラを、全編を通してじっくりと鑑賞してみるのも、贅沢なクリスマスの過ごし方かもしれません。
オンブラ・マイ・フ / ヘンデル
ソプラノ歌手キャスリーン・バトルの歌がCMソングになり、日本でブームが起きた「オンブラ・マイ・フ」は、ヘンデル作曲のオペラ「セルセ」の冒頭で歌われるアリアです。
ヘンデルの没後はほとんどのオペラ作品が忘却されていきましたが、この曲だけは「ヘンデルのラルゴ」の愛称とともに、単独で歌われ続けています。
ペルシャ王のセルセが、プラタナスの美しい木陰への愛を歌うシーンの曲で、クリスマスに聴くと、心が清められるような美しいクラシック曲です。
交響曲第9番 / ベートーヴェン
12月になると、あちこちで聴かれるベートーヴェンの「第九」こと「交響曲第9番」は、年の締めくくりを感じさせ、冬の風物詩になっている曲です。
第1楽章から第4楽章までの構成で、第3楽章までは管弦楽の交響曲、第4楽章では有名な「歓喜の歌」が独唱と合唱で加わって、華やかなフィナーレを迎えます。
合唱をやっている人は、12月にこの曲を歌うために頑張っている方も多いでしょう。
クリスマス、年の瀬、新年と、心躍るホリデーシーズンに聴きたい、壮大なクラシック曲です。
クリスマスソングのクラシック曲を聴いてホリデーシーズンを過ごそう!おしゃれな聖夜にはオーケストラやピアノ、声楽など伝統的な楽曲を
クリスマスソングのクラシック曲は、パーティー中心のクリスマスとは一味違う、欧米の宗教的なクリスマスムードを味わえます。
定番となっている有名曲やドラマチックなオペラ、重厚感が溢れるオーケストラのクラシック音楽は、ワクワクするクリスマスにぴったり。
静かに過ごしたい夜には、クラシックピアノがおすすめです。
伝統的で荘厳な声楽クラシックは、1年の疲れを癒やし新年を迎える活力を与えてくれます。
今年のホリデーシーズンは、クラシックのクリスマスソングを聴いて、洗練されたクリスマスを過ごしてみませんか。