「フリースタイルダンジョン」や「高校生ラップ選手権」が人気になったことで、MCバトルブームが全国に巻き起こりました。
参戦するMCはバトルだけでなく、音源作成を主に行っている人が大多数です。バトルで気になったMCの音源を聴いて、そのラッパーたちにハマっていく人も急増中です。
このようなサイクルのなかで、HIPHOP業界全体が高い注目を集めています。
HIPHOPを知らない方は
- ダジャレと何が違うの?
- レゲエとの違いは?
と疑問を持つことでしょう。
そこで今回の記事では、HIPHOPやMCバトルについてお伝えしたうえで、おすすめの洋楽HIPHOPから邦楽日本語ラップまでご紹介します。
注目のラッパーやHIPHOPおすすめランキング上位の楽曲もあわせてご紹介するので、ぜひチェックしてくださいね。
この記事でわかること
HIPHOPとは?
「HIPHOP=韻を踏む音楽」や、曲自体のジャンルのことだと理解されている方が多いかと思います。
しかし、それは正確には正しくはありません。HIPHOP(以下、ヒップホップ)について詳しく解説していきます。
実は音楽ジャンルではなかった?
ヒップホップを音楽のジャンルだと理解されている方が多いですが、実はヒップホップとは文化の名称です。
歴史を紐解くと、ヒップホップは1970年代にアメリカで生まれました。
アメリカはイギリスから独立した国家であり、国民のほとんどが移民や奴隷、アフリカ系、カリブ系などさまざまな人種が混在していました。
そのなかでもアフリカ系、カリブ系、ヒスパニック系の住民が多く集まるニューヨークのブロンクス地区で、今でいう野外フェスのようなものが行われており、これを「ブロック・パーティー」と呼んでいました。
ブロック・パーティーは音楽とダンスが中心になっており、このパーティー自体をヒップホップと呼ぶようになっていきます。
HIPHOPの4大要素
ヒップホップには基本的な4大要素が存在しています。
その要素とは、DJ、MC、グラフィティ・アート、ブレイク・ダンスです。
- DJ
「DISK JOCKEY(ディスクジョッキー)」の略。ターンテーブルを使用して、音が切れてしまわないよう間奏部分をつなぎ合わせながら会場に音楽を流し続ける人物です。
DJがかける曲によって観客のテンションが変わってくるため、イベントの要となるポジションといえます。 - MC
MICROPHONE CONTROLLER(マイクロフォン コントローラー)の略。
マイクを使ってラップを披露することで会場を盛り上げます。 - グラフィティ・アート
建造物や路上の壁に描かれるスプレーアート。
描かれる対象となるものは人や動物、風景などではなく、デフォルメしたものや文字をテーマに描かれるといった特徴があります。カラフルで派手なイラストからモノトーンでクールなイラストまで、アーティスティックな才能が発揮されます。 - ブレイク・ダンス
ストリートダンスのひとつで、もともとは曲の間奏部分で踊りはじめたことから生まれた踊り。
その後、ダンスバトルに発展。体の柔軟性や筋力、リズム感が求められるテクニカルなダンスで、バトルとなると即興性も必要となります。
MCバトルにも注目!
最近巻き起こっているヒップホップブームはMCバトルが発端です。
ここではMCバトルの見所やおすすめポイントについて解説していきます。
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フリースタイルラップバトル
フリースタイルラップバトルとは、DJが流すビートに対して即興でラップを行い、お互いのラップスキルを競う戦いです。勝敗を決定するラップスキルには、さまざまな要素があり、総合的にスキルの優れているMCが有利となります。
しかし即興であるがゆえ、その日の観客のテンションや流れも勝敗に大きく影響します。自分の世界観をしっかり演出したうえで、会場の空気を自分のものにしたMCが勝利しやすいといえます。
事前に用意したものではなく、その場の雰囲気や時事ネタなどを即興でラップにうまく盛り込むことが大切です。
知っておきたい3つの基本用語
MCバトルにはさまざまな用語が存在しています。
そこで基本的な用語である「フロー」「ライム」「パンチライン」について解説します。
- フロー
ビートののり方や、リズムのつけ方のことを指します。
お経のように一本調子で棒読みのフローをするよりも、緩急や音程の高低をつけたりして、ばっちりとビートにのれているMCの方が評価されやすい傾向にあります。
フローの仕方は十人十色。個性を存分に発揮することができます。 - ライム
韻を踏むことです。
韻を踏むとは、母音を合わせて違う意味合いの言葉を吐くことです。
たとえば、マイク、ライブ、タイプ、ライムはすべて母音が同じです。これを組み合わせて文章を作っていくことで、うまく押韻することができます。
韻を踏むことに意識がいってしまい、バトルで会話になっていないMCもいますが、優れたMCは会話のなかでライムをします。
ヒップホップを聴きはじめたばかりの方だと、気付けないほど自然なライムを繰り出すMCも存在しています。 - パンチライン
ラップ中の印象的な言葉を指します。
観客の記憶に残るような衝撃を与える一節がパンチラインとなり、バトルの勝敗に影響します。
バトルで終始劣勢であっても、最後の小節で観客が湧き上がるようなパンチラインを吐けば、1発で勝敗がひっくり返ることもあります。
おすすめ洋楽HIPHOPランキング
ヒップホップ発祥の地である本場、アメリカの洋楽ヒップホップおすすめ人気曲ランキングをご紹介します。
気になるアーティストを見つけたら、ベストアルバムやヒップホップ名盤などの洋楽CDをチェックしてみてください!
【5位】Stronger|KANYE WEST(カニエ・ウェスト)
N-N-N-now th-th-that don’t kill me
Can only make me stronger
I need you to hurry up now
Cause I can’t wait much longer
MVでは、東京の町並みや日本語のカタカナ文字の映像が使用されています。耳心地も良く、MVも日本人に親しみのある作りになっているため、はじめて洋楽ヒップホップを聴く方にはおすすめです。
洋楽HIPHOP代表曲ランキングでも上位に入る名曲です。
【4位】Alright|KENDRICK LAMAR(ケンドリック・ラマー)
Nigga, we gon’ be alright
Nigga, we gon’ be alright
We gon’ be alright
Do you hear me, do you feel me?
we gon’ be alright
この曲は、自分を信じて戦い明るい未来を掴もうというメッセージ性のある、励ますようなリリックが特徴です。タイトルの『Alright』は”大丈夫”という意味があります。一度聴けば、MVに出てくる弾丸のような勢いに、心に衝撃を受けることでしょう。
歌詞の意味がわからなくても、サビでの「オーライ」にポジティブな気持ちになれること間違いなしの1曲です!
【3位】Change Clothes|JAY-Z(ジェイ・ズィー)
You know I stay fresh to death
I bought it from the projects and
I’m a take it to the top of the globe
So let’s go (So lets exchange numbers&go)
世界の頂点に君臨しているラッパーといわれているJAY-Zですが、この曲でも世界中の人々を虜にしています。既婚者であり、奥さんはビヨンセであることも有名です。比較的ゆったりとしたビートであるため、心地の良い1曲です。
【2位】The People|Common(コモン)
The day has come Now we are one
Just take your time And then you’ll find
This is street ra-dio, for unsung heroes
Ridin in they regal, tryin to stay legal
My daughter found Nemo, I found the new primo
Yeah you know how we do, we do it for the people
俳優としても活躍しているグラミー賞受賞者Commonの曲です。
Commonの代表曲ともいえる『The people』は、お洒落なバックミュージックと優しさのあるゆったりしたビートでリラックスできる1曲。
洋楽ヒップホップ入門として初心者の方でも、すんなりと聴ける楽曲です。
Commonはビルボード東京で公演を行ったこともあります。また来日することがあればチケットをゲットすることをおすすめします。
ビートアプローチもばっちりで、音楽にノリ自然と体が揺れてしまう感覚を生で体感したいものですね。
【1位】Lose Yourself|EMINEM(エミネム)
ou better lose yourself in the music,
the moment you own it you better never let it go
You only get one shot, do not miss your chance to blow
This opportunity comes once in a lifetime,yo
第1位はエミネムの『Lose Yourself』。
ヒップホップ界において最も知名度のあるMCといっても過言ではないでしょう。この曲は自分を奮い立たせるようなリリックになっており、日本でも受験や就職試験の前など、大勝負の時に聴くという方も多いです。
エミネムの自伝映画「8 Mile」も合わせて観ると、さらにエミネムの魅力がわかります。
MCバトルでもエミネムのトラックやビートが使われることは多く、多数のラッパー達やHIPHOP音楽に影響を与えた一人です。MCバトルに参加したい方は彼の洋楽ラップをお手本にしましょう。
日本語ラップが熱い!おすすめ邦楽HIPHOPランキング
英語だけでなく日本語を織り交ぜて韻を踏んでいく日本語ラップも人気です。
さっそく、邦楽曲のヒップホップソングをランキング形式で見ていきましょう。
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【5位】国民的行事|KREVA
やるぞ やるぞ やるぞ
俺はやるぞ 春も夏も
ほらみな Let’s go 秋も冬も
下げんなテンション 何をするよ?
まずは手近なトコから取り掛かれ
フリースタイルラップの先駆者とされているKREVAの楽曲です。誰しもが耳にしたことのあるモーツァルトの作品を、サンプリングして作られています。
トリノオリンピックで、男子ハーフパイプの成田童夢選手が滑走前に流した曲としても話題になりました。
この『国民的行事』も収録曲にあたるKREVA初のベストアルバム「クレバのベスト盤」に入っているトラックは、どれもKREVAの天才ぶりを感じられるものばかり。
HIPHOPおすすめアルバムのひとつなので、ぜひチェックしてみてくださいね。
【4位】合法的トビ方ノススメ|Creepy Nuts
高層ビルの谷間から海の向こう
蔓延するSex&Drug&Rock&Roll
調教済みのブタ共は声あげろ
超越するSex&Drug&Rock&Roll
さまざまな大会で優勝経験を持つMCのR指定と、HilcrhymeのTOCのライブDJを務めているDJ松永の2人からなるユニットです。
ヒップホップというと大麻や薬物のイメージもありますが、それらを使用せず音楽本来の力で合法的にトブことをススメている楽曲です。
曲を通して繰り返されるライムが心地良く、最初から最後まで聴きごたえたっぷり。中毒性のあるメロディにハマってしまうこと間違いなしです。YouTube動画付きで聴くことをオススメします。
ちなみにメジャーデビューシングル曲のタイトルは「高校デビュー、大学デビュー、全部失敗したけどメジャーデビュー。」です。シングルながら収録曲に同名曲はありません。
3曲のうち1曲は『だがそれでいい』です。聴かざるを得ないタイトルですよね。
【3位】START IT AGAIN|AK-69
一度燃え尽きようとも 再起不能でも
こいつの火は消えない 再び宿る鼓動
甦る映像 本当は怖かったAll night
男性シンガーソングラーター、AK-69(エーケー・シックスティーナイン)の『START IT AGAIN』。
美しいピアノの音色に重なる歌声が魅力的です。
心が折れそうになっても諦めることなく、自分のなかにある夢を信じて突き進もうというメッセージ性の強い楽曲になっています。
勇気が出るようなリリックが、聴く者の心に響く最高の1曲です。
【2位】サイン|般若
イクぜ ドコへ? まだイった事もねートコへ
そのまま止まんのかよ?そこで
こっちはいつでもイイぜOK?
フリースタイルダンジョンのラスボスをつとめている般若の楽曲です。
比較的早くアップテンポが特徴の楽曲です。
1小節にたくさんの言葉が詰まっており、早口ラップの代表曲ともいえます。まっすぐで正直なフローが胸に突き刺さるでしょう。
【1位】MR.DYNAMITE|ZEEBRA
一点突破 行くぜ HIP HOPPER
一点突破 行くぜ HIP HOPPER
一点突破 行くぜ HIP HOPPER
MR.DYNAMITE ZEEBRA THE BOMBER
日本のヒップホップ=ZEEBRAといっても過言ではないほど、ヒップホップ初期から活躍し日本で広めたMCです。
昔からテレビ番組にも出演していたことで知名度も高く、最近ではフリースタイルダンジョンのオーガナイザーとしても活躍しています。
この曲はミュージックステーションでも披露されており、聴いたことある方も多いのではないでしょうか。ラッパーらしい声でアップテンポなラップを披露しています。
歌詞にも注目!カラオケで歌えたらカッコいい名曲HIPHOP3選
巧みなライムをカラオケで披露できたらカッコイイですよね。誰もが知っている大ヒット曲やカッコイイ曲のヒップホップ3選をご紹介します。
Grateful Days|Dragon Ash
俺は東京生まれHIP HOP育ち 悪そうな奴は大体友達
悪そうな奴と大体同じ 裏の道歩き見てきたこの街
渋谷 六本木 そう思春期も早々に これにぞっこんに
カバンなら置き放っしてきた高校に マジ親に迷惑かけた本当に
Dragon Ashは、日本のヒップホップ界のなかでもっとも知名度が高いグループですよね。
ボーカルである降谷建志さんがイケメンなのもあり女性ファンが多く、日本のヒップホップを一気にメジャーに押し上げた立役者でもあります。
そんなDragon Ashの楽曲のなかで、オリコン最高順位を記録したのが発売日1999年5月1日の『Grateful Days』です。
『Grateful Days』といえば、ヒップホップで最も有名な「俺は東京生まれHIPHOP育ち 悪そうなヤツは大体友達」というパンチラインです。ZEEBRAとAcoとのコラボ曲であり、ラップミュージックとしてはじめてオリコン1位を獲得した楽曲。わかりやすいメロディーラインなので、普段ヒップホップを聴かない方でも歌いやすく、ヒップホップ入門におすすめの1曲です。
公開処刑|キングギドラ
星の数ほど居るワックMC
これ聴いてビビッて泣くMC
まあせいぜいスキル磨きなめいめい
覚悟決めんのはオメェダケージェイ
『Grateful Days』でのコラボ以来、友好的な関係を築いていたDragon AshのKjとZEEBRAですが、突如その関係にヒビが入ります。『公開処刑』は、ZEEBRAのフローをKJがパクったとして激怒したZEEBRAが、自身の所属しているヒップホップグループであるキングギドラとして発表したディス曲です。
Kj以外にもKICK THE CAN CREWやRIP SLYMEなど、セルアウトしたMCを「ヒップホップじゃないアーティストたち」とディスっています。
歌うにはいろいろな意味で難しいですが、手を叩く演出がキャッチーでヒップホップ初心者にも聴きやすいおすすめ楽曲です。
ココロオドル|nobodyknows+
ENJOY 音楽は鳴り続ける
IT’S JOIN 届けたい 胸の鼓動
ココロオドル アンコール わかす
Dance Dance Dance (READY GO!)
2000年にインディーズファーストシングル「nobody knows」をリリースしたことをきっかけにデビューした「nobody knows」(当時は+なし)。2003年にメジャーデビュー、そして同年に「nobodyknows+」になり、2004年に3枚目シングル曲として発売されたのが『ココロオドル』です。大人気アニメ「SDガンダムフォース」のテーマ曲として話題になりました。
今でもnobody knows+の人気曲ランキングTOP5があればランクインすること確実の名曲です。
この曲で知名度を上げたnobodyknows+は、このユニット名でのメジャーデビュー曲『以来絶頂』をリリースした翌年に『ココロオドル』で早くも紅白歌合戦に初出場しています。
流れるように繰り出されるフローと、ノリノリなサウンドに、元気をもらえること間違いなし!
数あるヒップホップソングの中でも歌いやすいので、カラオケでも確実に盛り上がるおすすめ曲です。
「HIPHOPを聴いてテンションを上げていこう!」
日本にヒップホップの文化が入ってきたのは1980年代前半といわれており、現在のヒップホップブームは第3次ラップブームとされています。
日本語ラップの歴史はまだまだ浅く、これから新たなヒップホップの形が生み出されるでしょう。
プロデュースしているプロデューサーや人気楽曲に注目して、おすすめアーティストを探してみるのも面白いかもしれません。
ヒップホップにはアップテンポで思わず体を揺らしてしまうような曲がたくさんあります。ヒップホップを聴いてテンションを上げていきましょう。
この記事のまとめ!
- HIP HOPは音楽のジャンルではなく文化
- MCバトルが大人気
- 流れるような洋楽HIP HOPのフローが魅力
- 日本語ラップも有名な曲がたくさんある