「オルタナティブロック」という音楽ジャンルをご存じでしょうか?
オルタナティブとは、「代わりとなる、型にはまらない」といった意味を指す言葉。
1970年終わりから1980年代にかけてのアメリカにルーツを持ち、商業主義的な産業ロックや人気の音楽様式とは一線を画す前衛的な音楽スタイルです。
オルタナティブロックとは
オルタナティブロック(Alternative Rock)は、日本では「オルタナ」という略称で親しまれる音楽ジャンルです。
オルタナティブとは、「代わりになる」「型にはまらない」といった意味のほか、「新しい」を指す形容詞でもあります。
これにロックを組み合わせた造語として、「型にはまらないロック」「新しいロック」というニュアンスを持つ言葉として使われています。
オルタナティブロックは、カート・コバーンがボーカルを務めるNirvana(ニルヴァーナ)などを中心に、1980〜90年代に流行したスタイルです。
当時主流の音楽や王道な楽曲に対し、あえて流れに逆らうような音楽スタイルを取り、メジャーな音楽界に反旗を翻す形で誕生しました。
このようなルーツを持つため、パンクロックやハードコアのスタイルを内包する特徴を持ちます。
しっとりとした落ち着いた音楽よりは、激しく情熱的でアンダーグラウンドな楽曲が生まれる傾向があるのです。
なお、オルタナティブロックと似たジャンルとして「ポストロック」や「グランジ」、「ローファイ」があげられます。
このあたりの定義の違いははっきりしたものがないので、どちらにも当てはまる楽曲が少なくありません。
現在では、社会学の1分野としてオルタナティブロックとその時代が研究されるシーンもあります。
オルタナティブロックの特徴は2つ
オルタナティブロックの持つ特徴的な点は、音づくりと音楽としての方向性の2点にあります。
音づくり
オルタナティブロックでは、特にギターの演奏において独特な音づくりがされています。
ギターの音色を大きく歪ませたような、いわゆるノイジーな音が多用されるのが、オルタナティブロックの特徴です。
オルタナティブロックで使われるギターの音は、主にアンプとエフェクターの働きによって生まれています。
アンプはギターの音量を増幅させ、エフェクターはギターの音色に歪みを与えます。
特にエフェクターがオルタナティブロックの音づくりで重要です。
もしあなたが聞き手のみならず弾き手としても音楽を楽しんでいて、オルタナティブロックを再現したいときには、エフェクターにこだわりをもってセレクトすると良いでしょう。
方向性
オルタナティブロックといえば、パンクロックやハードコアのイメージがある方が少なくないはず。
落ち着いた音楽と言うよりは、前衛的で活力ある音楽スタイルを想起するのがオルタナティブロックだと思います。
もちろん能天気に明るいわけではなくて、若者の不平不満を表現するような陰湿な側面も見られます。
いい方を変えれば、攻撃的かつネガティブな要素を持つのが、オルタナティブロックなのです。
エモーショナルで感情を揺さぶるような楽曲も多くあります。いわば魂の叫びのようなものをメロディに乗せて歌う、アート性が特徴的なので、多くの聴衆の心に響きやすいジャンルなのです。
また、一口にオルタナティブロックとはいっても、その音楽性は多岐にわたります。
オルタナティブロックには明確な定義がないこともあり、それぞれのバンドがそれぞれのセンスを活かした音で表現することも、オルタナティブロックの魅力のひとつです。
オルタナティブロックの人気バンド名鑑&代表曲
続いては、オルタナティブロックのジャンルで人気を博すアーティストたちと、彼らの代表曲をまとめて紹介していきます。
ここで紹介するほかにも、フレデリックやスピッツ、エレファントカシマシといった、オルタナティブロックに分類される人気バンドは数多く存在します。
興味がある方は、詳しく調べてみると新しい発見があるかもしれません。
【10位】椎名林檎「ギブス」
ロックミュージックの王道を行くような、衝撃的な音楽性が魅力の「ギブス」は、椎名林檎の代表曲です。
オルタナティブロックというジャンルを日本で確立させたのは椎名林檎であるといっても過言ではないでしょう。
邦楽なのにどこか洋楽らしさも感じられ、それまでの女性シンガーのイメージを覆すような力強いサウンドが魅力のひとつ。
YouTubeにも投稿されている、退廃的な世界観が特徴的なミュージックビデオにも注目です。
【9位】BLUE ENCOUNT「LAST HERO」
BLUE ENCOUNTによる「LAST HERO」は、ドラマ「THE LAST COP/ラストコップ」の主題歌として起用されたことから大きな人気を集めました。
BLUE ENCOUNTが表舞台に立ったのも、この楽曲がきっかけといえます。
「ブルエン」の愛称で親しまれている彼らのメジャーデビュー前から注目していたファンからすれば、突然の人気に快く思わない方もいるかもしれません。
ですがこの曲は、本当の才能が開花した分岐点なのです。
【8位】ASIAN KUNG-FU GENERATION「ソラニン」
ASIAN KUNG-FU GENERATION、通称「アジカン」は、日本にインディーズロックを持ち込んだ存在とされています。
彼らによる「ソラニン」は、アルバム「 マジックディスク」に収録されたビートルズを想起させるような楽曲です。
全国ツアーでの定番曲としても歌われる「ソラニン」。
スピッツやアジカンの楽曲は、日本のロック界に大きな影響を与えたアーティストとして語り継がれています。
【7位】MONGOL800「あなたに」
MONGOL800の人気曲といえば「小さな恋の歌」を連想する方が多いと思いますが、忘れてはならないもうひとつのヒット作が「あなたに」です。
彼らの音楽活動の中でも、この2曲は絶大な人気を集めています。
邦楽のオルタナティブロックといえばこのバンドで、これらの代表曲は現在でもカラオケの定番ソングとして歌い継がれています。
【6位】BUMP OF CHICKEN「GO」
デビュー以来、ずっと邦楽ロックの横綱的存在として親しまれているのがBUMP OF CHICKENです。
2016年にリリースされた「GO」は、心地良い疾走感が魅力のヒット曲。
キラキラとしたギターの音色と爽やかに歌い上げる歌詞が若者の心をわしづかみにし、オルタナティブロックにハマるきっかけをつくるのが彼らの音楽です。
【5位】赤い公園「絶対的な関係」
通常楽曲の長さが3〜4分前後の邦楽ですが、赤い公園による「絶対的な関係」は100秒ほどしかないことで話題を集めました。
ドラマ「ロストデイズ」の主題歌としても使用され、強烈なインパクトを残したキラーチューンです。
ジェットコースターのように疾走するメロディと、耳に残るサビが特徴の「絶対的な関係」は、意味深な歌詞への解釈に対しさまざまなコメントが飛び交いました。
【4位】 キュウソネコカミ「越えていけ」
キュウソネコカミによる「越えていけ」は、NHKアニメ「メジャーセカンド」の主題歌として起用された楽曲です。
教育的側面の強いNHKアニメにて、スタンダードなJPOPではなくオルタナティブロック音楽が使用されるのは極めて異例でしょう。
ミュージックビデオでは、バンドメンバーたちが野球部のユニフォーム姿で駆け回る姿が印象的です。
【3位】THE ORAL CIGARETTES「狂乱 Hey Kids!!」
THE ORAL CIGARETTESのシングル4枚目の楽曲「狂乱 Hey Kids!!」は、2015年リリースのアニメソングです。
「ノラガミ ARAGOTO」オープニング曲に抜擢されました。
楽曲はもちろんミュージックビデオのかっこよさも評判で、アニメの世界観とマッチした野性あふれるメロディが魅力です。
【2位】UVERworld「D-tecnoLife」
UVERworldの「D-tecnoLife」は、2006年リリースのデビューソング。
アニメ「BLEACH」のタイアップ曲として発表され、オリコンウィークリーチャートでは3週連続で10位以内に食い込む実力を見せました。
「アニメ『BLEACH』で主題歌デビュー!」というキャッチコピーでデビューを飾ったUVERworldは、いまでは言わずと知れた人気バンドになりました。
【1位】10-FEET「RIVER」
そして堂々の1位は「RIVER」です。
10-FEETが2002年にシングルとしてリリースしたこの曲は、10-FEETらしさが全面に押し出されたオルタナティブロックとして、ファンの中でも人気を集める楽曲です。
情緒的なメロディに乗せて「母は泣いた」と歌うこの曲は、激しい旋律とは裏腹に心の奥底に響いてくるような歌詞が魅力。
三人の地元・京都の鴨川のことを思って書かれた曲です。
どのジャンルにも属さない個性があるオルタナティブロック
以上、オルタナティブロックの特徴と定義、国内の人気バンドとその代表曲を紹介してきました。
「オルタナ」という言葉を聞いたことがある程度だった人も、今回の記事で理解を深めることができたのではないでしょうか?
また、「この曲知ってる!」「あの曲もオルタナなんだ」と、好きなバンドがオルタナティブロックに分類されることを知った方も多いと思います。
マイミュージックのフォルダを探して、当てはまる楽曲やバンドを探すのもおもしろいでしょう。
どんなジャンルにも属さず、独特の個性が光るオルタナティブロックは、いつの世代も注目される人気の音楽スタイルなのです。
この記事のまとめ!
- オルタナティブロックは「型にはまらないロック」「新しいロック」といった意味合いの音楽ジャンルのひとつ
- ノイジーな音色と、攻撃的で激しい音づくりがオルタナティブロックの大きな特徴
- どんなジャンルにも属さず個性が光るオルタナティブロックには、邦楽を代表する人気バンドの曲もたくさんある