カラオケの採点では音程の正確さや声量のほか、ロングトーンの安定性やビブラートの質が評価されます。
そのため高得点を狙うには、安定したロングトーンやキレイなビブラートをかけるテクニックが必要となってきます。
このテクニックを手に入れれば、歌の表現力に幅ができカラオケで周りの人との差を付けることも可能です。
しかし、ロングトーンもビブラートも、いきなり使いこなすのは難しいもの。
この記事でわかること
ロングトーンとは?
ローングトーン(long tone)とは、同じ高さの音や声をできるだけ長く出し続けることをいいます。
サックス奏者やトランペット奏者など、管楽器奏者・金管奏者の方はスポーツでいうウォーミングアップ的にロングトーンやタンギングの練習をするはずです。
吹奏楽部やブラスバンド部に入っている学生さんは、ひょっとしたら出版されているロングトーンにまつわる教則本でおなじみかもしれません。
歌でいうと、平井堅や秦基博、スピッツなどがローングトーンを上手に使いこなし、気持ちのこもった音楽を作っています。
基礎合奏で上達を図る管楽器では、「循環呼吸」という技術で長時間音を出し続けることができますが、人の声では原理的に不可能です。
そのため、ローングトーンは努力の積み重ねが必要な、高度テクニックとして知られています。
声優向けのボイストレーニング教室で指導されるケースも多く、カラオケ上達のためには欠かせないスキルといえます。
ロングトーンは、高音域〜中音域が中心で比較的キーの高い部分に使用されています。
そもそも音を出しづらいという難しさがあり、練習によって習得するのも容易なものではありません。
はじめのうちは息が続かなかったり、喉が苦しくなったりして、なかなか上達できない苦戦する技のひとつです。
ビブラートとロングトーンの違い
ロングトーンの近い存在として「ビブラート」という技があります。
堂本剛や稲葉浩志、宇多田ヒカルなどが必ず歌で使用する技でもあります。
ビブラートは、声に揺れを与えることを指しており、バラード曲ではよく見られる代表的なテクニックです。
ロングトーンと混合されがちなビブラートは、自分ではロングトーンを発声しているつもりなのに、音が不安定なためにビブラートとして認識されてしまうこともあります。
カラオケの採点が低下してしまう原因のひとつなので、ビブラートとロングトーン、この2つをしっかりと使い分けて歌う意識を持つことが重要です。
ロングトーンの基礎ができていないままにビブラートをかけようとすると、グラグラとした不安定な長音になってしまいますので、まずはロングトーンをしっかり身につけることが大切です。
ロングトーンの練習方法
それでは、ロングトーンの具体的な練習方法を解説します。
一見地味な練習ばかりですが、どれも基礎を固めるのに重要なトレーニングです。
毎日少しずつ練習することを心がけましょう。
腹式呼吸を心がける
まずは、基礎練習となる「腹式呼吸」です。
ロングトーンをきれいに出すためには、何よりも腹式呼吸を身につける必要があります。
「腹式呼吸」とは、 息を吸う時に胸を膨らませるのではなく、お腹を膨らませる呼吸法です。
胸だけを膨らませる呼吸を「胸式呼吸」といいますが、胸式呼吸と比べると腹式呼吸は2〜3倍の空気を肺に取り込むことができるとされています。
試しにお腹を使わず、胸式呼吸で「あ〜〜」と声を出してみましょう。
その後、腹式呼吸で同じように「あ〜〜」と声を出してみます。
すると、腹式呼吸で声を出した方がずっと楽に長く発声できることを体験できるはずです。
多くの空気を必要とするロングトーンでは、腹式呼吸が不可欠ですから練習を重ねて慣れていく必要があります。
30秒音をキープする
腹式呼吸がしっかりと身についたら、いよいよ練習開始です。
最初はできるだけ長く同じ息の量で、同じ音を出し続けられるよう練習します。
手元にはストップウォッチや時計・スマホのタイマーアプリなど、タイムを計測できるものを用意しておきます。
まず、出しやすい音程で問題ありませんので、「あ〜〜」とできるだけ長く声を出し続けます。
ここで気をつけてほしいのが、「同じ息の量」を心がけること。
悪い例は、最初はたっぷり息を使って声を出し、だんだん辛くなってきたところで少ない息になっていくことです。
これでは意味がないので、最初から最後まで同じ息の量で発声できるように意識してみましょう。
30秒出し続けられるようになったら音程を変えてみたり、「う〜〜」など違う母音で練習しましょう。
低い音でも高い音でも、どの母音でも30秒声をキープできるようになったら合格です。
ロングトーン練習にオススメの曲
次は実際に曲を歌いながら、ロングトーンの練習をしてみます。
【男性編】あの紙ヒコーキ くもり空わって|19
練習曲としておすすめなのは、19(ジューク)の「あの紙ヒコーキ くもり空わって」です。
全体的にキーが低めなので歌いやすいうえ、サビの前後にロングトーンが多くあります。
カラオケの定番曲でもありますので、この曲をマスターすればカラオケでも注目を集められるでしょう。
【女性編】三日月|綾香
ロングトーンの練習曲として、女性向けには絢香の「三日月」がおすすめです。
歌い出しからサビまで、ゆったりとしたペースの曲である分、ロングトーンがきれいに出せるかどうかがポイントになる曲です。
こちらもカラオケで高得点を狙いやすい楽曲ですので、ロングトーンの練習と合わせてマスターしましょう。
ビブラートで抑揚をつける
実際の曲でもロングトーンを安定して出せるようになったら、ビブラートの習得を目指しましょう。
ロングトーンとビブラートの音作りを使い分けられるようになったら、自然と歌にも色が付きます。
基礎がしっかり身についていれば、意図的にロングトーンにすることも、ビブラートにすることも自由自在です。
これで不安定なロングトーンがビブラートに聴こえる、“なんちゃって”ビブラートも卒業できます。
力強く歌い上げたい部分ではロングトーンを使い、感情を込めたい部分、抑揚をつけたい部分ではビブラートを使うように意識してみてください。
これにより、今までよりも歌声のレベルがグッと上がります。
ビブラートをかけるときのコツ
うまくビブラートをかけるためには、3つのポイントがあります。
まずはビブラートの発声方法を練習し、徐々に思い通りの揺れや強さでかけられるように訓練していきましょう。
ビブラートの種類を知る
ビブラートには2つの種類があります。
- 「音量」を揺らすビブラート
- 「音程」を揺らすビブラート
この2つです。
「音量」を揺らすビブラートは、イメージとしてはトンネルの中で響き続ける話し声のようなもの。
トンネルで声を出すと、反響して「ワンワンワン…」と大きくなったり小さくなったりして言葉が聞こえますよね。
その反響音を細かく表現する感覚です。
一方、音程を揺らすビブラートは、音程を下げたり上げたりを細かく繰り返して声を震わせます。
「ドレドレドレ」を早いスピードで繰り返すイメージです。
この2つのビブラートには相互作用があり、音量を揺らせば自然と音程も揺れ、音程を揺らせば自然と音量も揺れるという特徴があります。
違いは、どちらのビブラートが強く出ているかのみです。
声が揺れる感覚を掴む
最初は自分のビブラートがどのように聞こえるのか、まったくわからないことでしょう。
どのように声が出せればOKなのか、ビブラートはセルフチェックすることができます。
ビブラートを体験する一番手軽な方法は、「声を出しながら脇腹を押すこと」です。
試しに「あ〜〜」と声を出しながら、右手で右脇腹を押してみてください。
そこからビブラートによく似た声が出ていることがわかります。
これが正しいビブラートの発声方法です。
この脇腹を押したときの声をイメージしながら、ビブラートの発声練習に取り組んでいきましょう。
ビブラートをかけるときに使う場所
ビブラートをかけるときに使う場所は、喉だけでなく横隔膜・アゴの3つがあります。
ビブラートの種類は「音量」を揺らすビブラート・「音程」を揺らすビブラートと、2つを紹介しましたが、横隔膜を使ったビブラートが「音量を揺らすビブラート」、喉・アゴを使ったビブラートが「音程を揺らすビブラート」に、それぞれ対応しています。
その中でもっとも習得が簡単なのは、「喉」を使ったビブラート(音程を揺らすビブラート)です。
アゴを使ったビブラートは、歌うために必要な筋肉の動きをジャマしてしまう可能性があり、習得にはある程度の時間が必要になります。
そのため、まずは喉を使ってビブラートの上達ができるように練習してみましょう。
ビブラートを上達させるためのトレーニング
ビブラートのコツを掴むことができたら、次はじっくりとトレーニングに取り組んでいきましょう。
最初は思い通りにトレーニングができなくても、続けることで少しずつ表現できるようになっていきます。
諦めずに継続して練習することが大切です。
母音を強調するように声を出す
最初のビブラート練習法は、母音を強調しながらロングトーンを出してみる方法です。
この練習では「わ〜〜〜」ではなく、「わ〜〜〜あぁあぁあぁ」というイメージで声を出してみましょう。
声を出さず、鼻歌だけのハミングでもOKです。
小さい母音と大きい母音を交互に発声するイメージで練習を続けます。
慣れてきたら、だんだんと母音の間隔を狭くしていきましょう。
練習方法
- 【第一段階】 あーぁーあーぁーあーぁー
- 【第二段階】 あぁあぁあぁ
- 【第三段階】 アァアァアァ
【男性編】花火|三代目 J Soul Brothers
ビブラートの練習曲におすすめなのは、三代目J Soul Brothers「花火」 です。
ややキーが高めですが、ロングトーンと使い分けながらビブラートをトレーニングするのに最適な曲です。
【女性編】春よ、来い|松任谷由実
女性向けには、松任谷由実「春よ、来い」がビブラートの練習曲として適しています。
女性アーティストのなかではキーが低めであり、テンポもゆったりとしているため歌いやすいはずです。
サビ前後の長音でビブラートを練習してみましょう。
音程を安定して上下させる練習
次は音程の上下を安定させるトレーニングです。
まずは、出しやすい音程で「あーー」と2秒ほど発声してみましょう。
このとき、音程がブレないよう注意してください。
続いて、ひとつ下の音程で、また2秒ほど「あーー」と声を出してみます。
ここでも音程が上下しないように気をつけましょう。
これを何度も繰り返し、2つの音程を2秒ずつ安定して発声できるよう、意識してみてください。
詰まることなくスムーズに音程を切り替え、毎回同じ2つの音程を往復できるようトレーニングしましょう。
このトレーニングでは、サポートとしてピアノを弾きながら練習する「音階練習」を取り入れるのもおすすめです。
これは指で演奏するピアノの音色に合わせ、2つの音程を行き来する練習法です。
指の動きと耳から聞こえる音が支えになって、より安定した音を発声できるようになります。
きれいに発声できるようになったら、次は1秒で切り替え、0.5秒で切り替えて…と、秒数を短くし、音程を切り替えるリズムを早くしていきます。
最初は音が安定せず、声が途切れてしまうことも少なくありません。
しかしそれは、普段慣れない声の使い方をしていることが理由です。
繰り返し練習することにより喉を慣れさせていけば、自然と楽にできるようになります。
アゴを使って声の揺れをコントロールする
もしうまく発声ができず、トレーニングに挫折してしまいそうになったら、アゴを使ったビブラートの練習にもチャレンジしてみましょう。
アゴを使用する練習は、歌う筋肉をジャマしてしまうため、本来は推奨されない方法ですが、初心者でも簡単にビブラートがかけることができる方法でもあるのです。
やり方は簡単で、声を出している状態でアゴを上下させるだけ。
イメージとしては「あうあうあう」と発声するときのアゴの使い方と同じです。
口を大きく開けてアゴを下げたり、口を小さく閉じてアゴを上げたりを繰り返すことで、誰でもビブラートをかけることができます。
しかし、やってみるとわかる通り、口を大きく動かすため実際のカラオケで使うには適していません。
感覚を掴むきっかけとして利用しましょう。
基本的には、喉を使ったビブラートのトレーニングを地道に続けることが重要です。
ロングトーンでカラオケで高得点をとろう!
ロングトーン・ビブラートのボイトレは、単純な方法ばかりですが、歌唱力の上達に欠かせない重要な練習です。
最初はうまく使えないのが当たり前です。
地道に練習を繰り返し、無意識にロングトーンで歌ったり、思い通りの場所でビブラートをかけたりできるようになるまで、継続して特訓していきましょう。
きれいなロングトーンや安定したビブラートは、カラオケの採点システムで高得点に結びつきます。
練習の成果は点数ではっきりと現れますので、高いモチベーションを維持して練習に励みましょう。
自分で行う練習内容に満足がいかなくなったら、音楽教室の生徒になってプロの先生から本格的なレッスンを受けてみましょう。
まずは無料レッスンで自分に合いそうか確認するとよいですね。
この記事のまとめ!
- ロングトーンが上達は腹式呼吸
- ビブラートは「音量」を揺らす・「音程」を揺らすの2種類がある
- ビブラートを習得するには母音がポイント
- ロングトーンもビブラートも地道な練習が必要不可欠