ちあきなおみは、ハスキーで張りのある美声で多くの人気曲を歌い、美空ひばりと比較される歌のうまさで評判のシンガー。
1992年から活動を停止して実質的に引退状態ですが、2022年発売のアルバムが演歌・歌謡ジャンルのランキングで1位を獲得するほど再評価されています
この記事でわかること
ちあきなおみのデビュー曲は「雨に濡れた慕情」
ちあきなおみのデビュー曲は、1969年リリースの「雨に濡れた慕情」です。
昭和歌謡とジャジーなムードが漂うせつない曲ですが、彼女がこの歌でデビューするまでに、一年半に渡る猛レッスンを受けました。
その理由は、当時流行していたポップスを歌う新人歌手になるためです。
彼女は5歳で日劇のステージを踏んで以来、演歌歌手の前座歌手などとして長いキャリアを積んでいたので、ベテランのような歌のクセがありました。
「演歌禁止令」の特訓の後、やっと演歌のこぶしが取れたからとリリースしたこの曲は、ちあきなおみらしいムードに満ちた名曲になりました。
ちあきなおみの歌といえば?代表曲10選
昔から、ちあきなおみのファンで、繰り返し聴いたりカラオケで歌ったりする人も多いのです。
しかし、最近彼女の歌を知って、もっと聴いてみたいと思っている人もいますよね。
次は、そんな人たちにおすすめしたい「ちあきなおみの歌といえばこれ!」と言えるような、彼女の代表曲を紹介します。
喝采
1972年発売の「喝采」は、レコード大賞を受賞した、ちあきなおみ最大のヒット曲です。
亡くなった恋人のことを思いながらステージで歌う歌手をモチーフとした曲で、まるで映画のワンシーンのような映像が目に浮かぶ名曲です。
この曲をはじめとして、彼女が物語を語るような独特の世界観を持つ歌は「ドラマチック歌謡」と呼ばれました。
歌詞の「黒いふちどり」は、当初制作サイドで「縁起が悪い」と心配されていたのですが、あえてこのフレーズを使ったことで、より悲しみを強く感じさせる曲になっています。
四つのお願い
ちあきなおみにとって「喝采」に続く2番目のヒット曲が、1970年発売の「四つのお願い」です。
恋する女の子の気持ちを可愛らしく歌った歌詞と明るい曲調で、アイドルソング的でちょっと色っぽい魅力が溢れる歌です。
この曲は、デビュー以来初のオリコン10位入りという高い売上を記録しました。
この頃は歌手としての活動の他に、バラエティー番組などでも活躍しており、この歌は「お色気アイドル路線」と呼ばれていました。
アイドルっぽい曲なのに、ちあきなおみならではの歌のうまさが引き立つ歌で、台湾や香港など海外の歌手にもカバーされています。
黄昏のビギン
「黄昏のビギン」は、ちあきなおみが歌手活動を停止する直前に発表された歌で、水原弘が歌ったオリジナル曲をカバーした作品です。
作曲中村八大、作詞永六輔というゴールデンコンビによる名曲が、ちあきなおみの類まれな歌唱力によって、いっそう幻想的でふんわりと優しい歌に仕上がっています。
全く力むことなく、ささやくようにさり気なく歌っているように聞こえるのですが、いつの間にか聴いている人の心を引き込んで、歌の世界観に浸らせてしまう名曲です。
紅とんぼ
「紅とんぼ(あかとんぼ)」は、新宿駅裏にある「紅とんぼ」という架空の酒場を舞台に、店主の女性が店を閉じて田舎に帰る最後の日、という設定で作られた昭和歌謡です。
作曲は船村徹で、オリコンチャートで24週チャートインしたロングセラー曲。
観客一人ひとりに話しかけるような歌い方で、いつの間にか、その場で一緒に酒を酌み交わしながら思い出を振り返っているような気持ちになってしまう歌です。
女優としても才能を発揮していた、ちあきなおみの芸術性の高さを改めて感じさせる曲です。
さだめ川
1975年発売の「さだめ川」は船村徹作曲で、ちあきなおみが初めて出した演歌路線の歌です。
「喝采」のようなドラマチック歌謡に続いて、ポップスを歌っていたちあきなおみですが、船村徹の歌なら歌ってみたいと自らの希望で演歌に挑戦しました。
初めてとは言え、もともと演歌歌手の前座歌手だっただけに、堂々とした歌いっぷりが印象的です。
おしどり夫婦だった、ちあきなおみと夫を思わせるような深い愛情を描いた歌詞で、細川たかしや石川さゆりなどにもカバーされています。
矢切の渡し
細川たかしのカバーでも有名な「矢切の渡し」は、もともとは1976年にリリースされた、ちあきなおみのシングル「酒場川」のB面曲です。
江戸川の渡し船がある矢切を舞台に、駆け落ちする男女の心情を描いた歌で、ちあきなおみは男性のセリフと女性のセリフの違いが分かるよう、声を変えて歌い分けています。
この曲は発売後数年経過してから、梅沢富美男の舞踊で使われて注目を集め、1982年にA面シングルとして再リリースされました。
その後、いろいろな歌手がこの曲のカバーを出しましたが、その中で細川たかしの歌が最もヒットしました。
冬隣
「冬隣」は1988年リリースのアルバム「伝わりますか」の収録曲で、シングルカットされていないにもかかわらず今もカラオケでよく歌われている、ちあきなおみの人気曲です。
2019年リリースのベストアルバム「微吟(びぎん)」にも収録されていることから、人気のほどがわかるでしょう。
この歌は、亡くなった男性のことを偲んでいる女性の、深い悲しみをテーマにした歌です。
夫を亡くして以来歌手活動を止めてしまったほど一途な、ちあきなおみ本人のことを歌っているようにも聴こえます。
夜間飛行
1973年リリースの「夜間飛行」は、恋人に別れを告げて、夜の飛行機で旅立つ女性をテーマにした、ドラマのオープニングのような曲です。
「喝采」の作詞作曲をつとめた吉田旺、中村泰士が提供した楽曲で「喝采」を始めとしたちあきなおみの「ドラマチック歌謡」シリーズの締めくくりの曲と言われています。
歌いだしの重い雰囲気から、急にテンポを上げて曲調が変わることで、未練を吹っ切って前に進もうとしている女性の複雑な心境が、見事に表現されています。
劇場
「劇場」は、1973年リリースの曲で「喝采」に続いてちあきなおみが天才的な表現力で人々を魅了した「ドラマチック歌謡」と呼ばれる歌の1つです。
スターになって劇場の舞台立つことを夢見ながら、どさ回りの生活を続けている下積み中の芸能人をテーマにした曲で、侘しさの中にも成功を夢見る強い意思が感じられる歌。
ちあきなおみは21歳でレコードデビューしているので、実際には下積み生活はあまりないのかもしれませんが、まるで実話かと思えるほどリアルに表現しています。
役者
ちあきなおみは1978年に結婚して以来、カバー曲アルバムなどを中心に活動していましたが、1988年リリースの「役者」で久しぶりに本格的な歌手活動を再開しました。
恋愛を繰り返している自分の人生を振り返っている女性が、恋愛を舞台に例えて自分のことを役者のようだと苦笑いしているのをテーマにした曲。
ちあきなおみの柔らかな歌声と、包み込むような温かさを感じられる歌声が耳に残り、せつなくなる昭和歌謡です。
ちあきなおみの隠れた名曲5選
ちあきなおみの歌には、隠れた名曲と言われる人気曲がたくさんあります。
歌謡曲、演歌以外にも、ジャンルを越えた素晴らしい曲を数多く歌っているので、有名な曲だけでなく、もっといろいろな曲を聴いてみたいですよね。
続いては、ちあきなおみの隠れた名曲を紹介します。
風の大地の子守り唄
1980年公開の映画「象物語」の主題歌「風の大地の子守り唄」は、エキゾチックなテイストが印象的な歌です。
ジュディ・オングの「魅せられて〜エーゲ海のテーマ」、久保田早紀の「異邦人〜シルクロードのテーマ」に続く3部作として「アフリカのテーマ」というサブタイトルがつけられました。
この曲は、シングルカットされなかったことから、ちあきなおみの隠れた名曲と言われています。
名曲と評判が高い曲なのにアルバムが入手困難だったため、2023年に復刻版「象物語」のサントラCDが発売されて、再び話題となりました。
かもめの街
「かもめの街」は、1988年リリースのアルバム「伝わりますか」や、2019年リリースのちあきなおみのベストアルバム「微吟(びぎん)」などに収録されている、隠れた名曲です。
水商売の女性が、朝まで働いた後の帰り道で見かけた都会のカラスを、波止場のカモメに例えて、ぼんやりと眺めている情景を描いた歌。
孤独や疲れでやさぐれている女性の心情が胸に迫り、第一声を聴いた瞬間に歌の世界観に引き込まれるでしょう。
星影の小径
1992年にちあきなおみが歌手活動休止した後、カバー曲のシングルとして発売された「星影の小道」は、CMソングにも起用されて話題となった曲です。
3分に満たない短い曲なのに、一度聴くと口ずさみたくなってしまう、この歌のオリジナル曲は、小畑実が1950年にリリースした歌。
「アイラブユー」というフレーズなど、時代を感じさせないおしゃれなラブソングが、ちあきなおみの力の抜けた歌い方とマッチして、心がほっこりする名曲になっています。
悦楽のブルース
「悦楽のブルース」は、ちあきなおみのアルバム「港が見える丘」に収録されている曲です。
失恋をテーマにしているのに『泣いちゃ、泣いちゃ、泣いちゃ、泣いちゃいないわ』など、同じフレーズを繰り返して、リズミカルな曲調になっているどこかユーモラスな歌。
暗さと明るさのバランスの絶妙さから、ちあきなおみの歌のうまさが感じられる隠れた名曲です。
昭和えれじい
昭和の風情が漂う「昭和えれじい」は、ちあきなおみが船村徹の演歌を集めたアルバム「紅とんぼ ちあきなおみ 船村演歌を唄う」に収録されている歌です。
この曲はノスタルジックな雰囲気の中に、どこか退廃的な風情を思わせます。
この曲の作詞をした吉田旺は、ちあきなおみのデビュー曲「雨に濡れた慕情」で作詞家デビューした後「喝采」「紅とんぼ」など、彼女に多くの楽曲を提供しました。
吉田旺は、現在は人前にでることのない、ちあきなおみと親交のある数少ない人物の一人だと言われています。
ちあきなおみ最後の歌は「紅い花」
ちあきなおみが最後にリリースしたオリジナルソングは、活動を停止する前の年にあたる1991年にリリースした「紅い花」です。
熟年の男性が酒を飲みながら、ふと過去を振り返って、失った恋や夢を「紅い花」に重ねながら時の流れの早さを感じているちょっと淋しい歌。
感情を抑えたように静かに歌うこの歌は、内に秘めているからこそ伝わる気持ちの高まりが聴く人の心を揺さぶります。
1992年、プロデューサーでもあり最愛の夫であった郷鍈治を病気で失ったちあきなおみは、この歌を最後に歌手活動を停止しました。
ちあきなおみの歌はジャンルを越えた名曲揃い!ドラマチックな世界観を楽しもう
ちあきなおみは、歌のうまさと表現力により多くのファンを魅了し、いろいろな人気曲を歌った歌手。
1992年以来、歌手活動を停止していますが、その後も復活を望む声が多く、近年には再評価されて新たなファンも増えています。
「喝采」をはじめとするドラマチック歌謡、船村徹の演歌、カバー曲など、ジャンルを越えたレパートリーを歌いこなし、隠れた名曲も数多く存在しています。
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この記事のまとめ!
- ちあきなおみは歌のうまさと表現力で美空ひばりと並べて評価される大歌手
- 活動停止から年月が経っても人気は衰えず、令和になっても再評価されている
- 最大のヒット曲はドラマチック歌謡と言われた「喝采」
- 女優やバラエティータレントとしても活躍していた、多彩な才能の持ち主
- ちあきなおみの歌にはジャンルを越えた名曲がたくさんある