歌が上手くなるために「腹式呼吸をする」「ミックスボイスの練習をする」など、さまざまなトレーニングをしている人も多いでしょう。
しかし、「喉を開く」ことが重要だという知識は、あまり知られていません。
これができると歌の上達スピードが早くなって、高音も出しやすくなりますよ。
この記事でわかること
喉を開くとは
「喉を開く」という状態は、単に口を大きく開けるのではなく、口の奥をできるだけ大きく開くことです。
喉の中に十分な空間ができるので、空気がのどを通る時にかかる負担が小さくなります。
簡単そうに思うかもしれませんが、実は多くの人ができていないのです。
喉仏や舌が喉の空間を邪魔していることが多く、そのままでは歌も上手くなれないので、自分がのどを開けているかきちんと確認しましょう。
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あくびの状態
「喉を開く」という状態がいまいちイメージできない人は、あくびをしている状態を思い出すとわかりやすいです。
喉の奥に空間を作るためには、舌の根本(舌根)を下げる必要があります。
あくびをしている時は舌根が自然に下がるので、喉の奥が一気に広がる感覚があるでしょう。
その状態が喉を開いた状態なので、イメージが掴みづらい時は実際にあくびをしてみてくださいね。
喉仏が下がる
喉が開いた状態では、舌根と共に喉仏も下がっています。
喉仏は、喉元にある少し盛り上がった部分で、「喉頭隆起(こうとうりゅうき)」ともいいます。
喉仏が上がった状態で歌うと、喉が閉じてしまい、楽な発声ができません。
基本的に喉仏は音が高くなるにつれて上がっていくので、高音になればなるほど意識して下げる必要があるのです。
軟口蓋が上がる
喉が開いている時、軟口蓋(なんこうがい)は上がっています。
軟口蓋とは上あごの奥のほうにあり、舌で触った時につるつるして柔らかくなっている場所のことです。
軟口蓋が上がっていないと、口の奥の空間が狭くなり、声が詰まって苦しい発声になってしまいます。
軟口蓋をしっかり開けると、声がしっかり共鳴し、厚みのある声になりますよ。
喉を開く効果
喉がしっかり開いた状態でないと、声が詰まって苦しい発声になってしまいます。
また、狭いスペースにたくさんの息を通そうと無理することで、喉や声帯に負担がかかってしまいます。
喉を開かないとせっかく練習しても上手くならないばかりか、喉を痛めてしまうことに繋がるのです。
では、喉を開くとことで、具体的にはどんな効果があるのでしょうか。
大きな声が出る
喉を開くことで、大きな声が出るようになります。
声を大きくするためには、声を体の中でしっかりと響かせることが重要です。
体の中でまず初めに声が響く場所は喉なので、喉に十分な空間を作って響かせることが重要になります。
喉が開いた状態で歌えば、喉で声がしっかりと響き、存在感のある大きな声を出せる様になるのです。
ケガをしにくくなる
喉を開いた状態で歌うと、喉を痛めたりケガをしにくくなるでしょう。
歌う時には多くの息を吐く必要があるので、その息が通る空間が十分確保されていないと、無理して息を通すことになります。
すると、喉や声帯には無理な力がかかり、喉の痛みやケガに繋がるのです。
きちんと喉を開いていれば、喉や声帯に負担がかからず、ケガの心配も少なくなります。
楽に歌える
喉が開いていると、より楽に歌えるようになります。
大きな声を出す時はよりたくさんの息を吐く必要があるので、息が通る空間が広いほうが無理な力が入りません。
しっかりと喉を開いていれば小さい力でも多くの息が通り、楽に声が出せるのです。
歌う時に力が入りすぎていたり、力を入れても思ったような大きい声が出ない場合は、喉を開くことを意識しましょう。
喉を開くときの舌の位置
喉を開くためには、舌根や喉仏を下げことるが重要ですが、舌の位置をコントロールするのは難しいですよね。
「ただ舌を下げれば良い」というわけではないので、間違った舌の位置で練習をしても歌がうまくならないばかりか、喉や声帯に負担がかかってケガに繋がりかねません。
そうならないためにも、まずは正しい舌の位置を知っておきましょう。
舌を下げるだけはNG
喉を開くためには舌根を下げる必要がありますが、ただ舌を下げるだけはNGです。
舌を下げすぎると、舌に力が入って縮こまり、筋肉が盛り上がってしまいます。
その結果、喉や口の中の空間が狭くなってしまうのです。
力を抜いてから舌を下げないと喉が閉じた状態になるため、歌も上達せず、喉に負担もかかるので力の入れすぎには注意しましょう。
舌を平らにする
喉を開くためには、舌を平らにするのがおすすめです。
盛り上がっている舌を下げるために奥に引っ込めたり、横に縮めたりすると、音がこもる原因になります。
舌が盛り上がっている部分を下げるのではなく、平らにする意識で喉を開いてみましょう。
すると、舌と喉の空間が横に広がり、響きのある声で楽に歌えるようになりますよ。
喉を開く方法
喉を開くことは、歌を歌ううえでとても重要ですが、誰でもすぐにできるようにはなりません。
正しいやり方を知らないまま練習すると、思ったように上達しなかったり、ケガをしてしまう可能性もあります。
そうならないためにも、喉の開き方を理解してから練習しましょう。
ここでは、喉を開く方法や意識するポイントを紹介していきます。
顎を使う
喉を開くためには、しっかりと上顎を使う意識が必要です。
上手く発声できない人は、上顎よりも下顎を使いすぎている場合があります。
下顎を中心に使ってしまうと、滑舌も悪くなってしまいますよ。
上顎を使うことを意識して、顔が上を向きすぎないように注意しましょう。
顔は正面を向いてなるべく動かさないようにするのがポイントです。
背中を意識する
背中を意識すると喉が開きやすくなりますよ。
体の後方を意識することで、無駄な力が抜けて喉も楽になります。
反対に、体の前方を意識してしまうと喉が締まり、響きの少ない弱々しい声になってしまうので注意しましょう。
息を吸う時に背中を丸め、声を出す時に背中を広げるイメージで歌うと上手くいきやすいですよ。
鼻から息を吸う
鼻から息を吸うと、喉が開く感覚を掴みやすいです。
実際に喉仏を触りながら鼻から息を吸ってみるとわかると思いますが、鼻から息を吸うと自然に喉仏が下がっていきます。
息を吸って喉仏が下がったことが確認できたら、そのまま声を出してみましょう。
まずは低く太い声で練習すると、下がった喉仏の位置をキープしやすいですよ。
喉を開く方法がわかりましたが、具体的にはどんな練習をしたら良いのでしょうか。
ボイストレーナーに習ったり、高額なボイストレーニング器具を買わなくても練習方法はたくさんあります。
自宅で大きな声を出さず、簡単にできる練習方法でも十分効果はあるので、これから紹介する方法を試してみてくださいね。
笑う
笑うことは、喉を開く良い練習になりますよ。
人は笑う時、力が抜けて口や喉が大きく開くようになっています。
そのため、大きく笑うだけでも喉を開くコツを掴めるのです。
友人と会話している時やバラエティ番組をみている時は思いっきり笑って、喉が開いていることを意識してみましょう。
割りばし
割りばしを使った発声練習も、手軽にできておすすめです。
まず、割りばしを割って左右の奥歯で一本ずつ軽く噛み、固定します。
その状態をキープしつつ、出しやすい音程で「アー」と発声しましょう。
割りばしを噛むことで舌が奥に引っ込まなくなるため、喉が開いた状態で発声できますよ。
喉が締まっていないことを確認しながら練習してくださいね。
パインアメ
ドーナツ状に穴の開いたお菓子の「パインアメ」を使う練習も非常に効果的です。
パインアメの穴が正面に来るように口にくわえ、そのまま声を出してみましょう。
パインアメをくわえることで奥歯を噛みしめづらくなり、舌根が下がります。
発声練習だけでなく、歌を歌う時にも使えるので、応用が利くのも魅力です。
タングトリル
「タングトリル」という練習法は喉を開くだけでなく、筋肉をリラックスさせたり、裏声のトレーニングにも最適です。
タングトリルとは、簡単にいうと巻き舌のことです。
まず、口を開いて舌を上の歯の裏あたり(ら行を発音する時ぐらいの位置)に置きましょう。
そして息を吐き、舌先を振動させると、タングトリルができます。
舌先に力を入れず、息の量を一定に保つことがコツです。
10秒以上続けることができ、音程を正確につけられるようになったら完璧ですよ。
Be-Vo
ボイストレーニング器具「Be-Vo」を使うと、割りばしを使ったトレーニングよりもさらに練習のバリエーションが増えるでしょう。
ボイトレグッズの中でも分厚い素材で、くわえやすいのが特徴です。
割りばしを使ったトレーニングをすすめているボイトレ教室がこの器具を監修しており、練習用のCDがセットになって販売しているものもありますよ。
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喉を開くと一気に歌いやすくなる!舌や喉の筋肉を鍛えて正しい発声感覚を覚えよう
「喉を開く」というのは発声の基本ですが、意外と知られていません。
しっかりと喉を開いて歌うことで、声の響きが増し、声量もアップします。
喉の負担が減るため、楽に歌えてケガに繋がりにくいのも魅力です。
喉を開く練習は自宅でも簡単にできるので、正しい発声方法を身に付けるためにも、日頃から繰り返し練習してみてくださいね。
この記事のまとめ!
- 「喉を開く」とは、口の奥を大きく開き、空間を作ること
- 喉仏や舌根を下げ、軟口蓋を上げるのがポイント
- 喉を開くと声量が増し、楽に歌えてケガしづらくなる
- 上手くいかない場合は上顎や背中を意識したり、鼻から息を吸って感覚を掴もう
- トレーニングは自宅でも簡単にできるので、日頃から練習しよう
「舌を平らにする」っていうのが曖昧でよくわからないんですが。どういう位置でどういう形にすればいいんでしょうか?
ありがとうございました。早速 割り箸を、咥えることから はじめてみます。