聴き入ってしまう人の歌声には倍音が多く含まれています。
しかし、倍音と言ってもわからない人が多いのではないでしょうか。
倍音は歌声だけでなく、身近な生活でもよく使われています。
倍音の増やし方をマスターするだけで、魅力的な歌声になることができますよ。
この記事でわかること
倍音とはなに?
倍音とは「出している音以外にも鳴っている音」のことです。
まず、声には「基音」と「倍音」の2種類があります。
基音とは音の高さを決める音のことで、ピアノで「ド」の音を弾くと「ド」の音が立ち上がります。
倍音とは音色を決める音のことで「ド」の音を鳴らした後に、実は「ド」以外の音がたくさん鳴っていて、のド以外の音が倍音になるのです。
基音は誰でも同じ音ですが倍音は人によって違い、同じ音程の声を出していてもひとりひとり違う音色になります。
また、倍音には「整数次倍音」と「非整数次倍音」の2種類あり、次でそれぞれの特徴を紹介していきます。
整数次倍音
整数次倍音とは、基音の振動に整数倍の周波数を持つ音のことです。
整数次倍音が使えると、明るくはっきりとした声になり、カリスマ性のある声を作ることができます。
アナウンサーやお寺のお経などでは整数次倍音がよく使われており、気を引き締める雰囲気の場面で有効です。
非整数次倍音
非整数次倍音とは、基音の振動に不規則な周波数を持つ音のことです。
少しざらざらしたような声は非整数次倍音になります。
風の音や波の音などの自然音も非整数次倍音なので、親しみやすさを感じやすい声になるでしょう。
そのため、お笑い芸人などは非整数次倍音で話すことが多いです。
倍音が多いと心地いい声になる理由は?
倍音にはシータ波やアルファ波を強く出させる効果があることがわかっています。
倍音が多いと心地よく感じる理由もシータ波とアルファ波が深く関係しているのです。
シータ波とは浅い睡眠でまどろみの状態のときに出る脳波のことで、作業効率や精神を安定させる効果があります。
アルファ波とはゆったりと落ち着いているときに出る脳波のことで、ヨガの最中や瞑想中こ現れることが多いです。
シータ波とアルファ波にはリラックス効果などがあるので、倍音が多く含まれる声を聞くと心地よく感じます。
また、倍音を聴いている人だけでなく出している人にも効果があるので、倍音が出せるようになると声が良くなるのです。
倍音がある声の出し方は?
声が良くなるだけでなく、リラックス効果もある倍音を出すためにはどうすればよいのでしょうか。
倍音の整数次倍音と非整数次倍音では、それぞれ出し方が違います。
どちらもマスターできれば場面ごとに最適な声が出せるようになるので便利ですよ。
ここでは、それぞれの倍音の出し方を紹介します。
整数次倍音の出し方
明るくカリスマ性のある整数次倍音の出し方を紹介します。
整数次倍音は声帯の振動によって生まれる倍音なので、声帯をしっかりと鳴らす必要があります。
声帯を鳴らすためには声帯を閉じて息を流さないことが重要です。
声帯を閉じることで、吐く息の量が少なくても息の圧力が高まり、良く通る声を作ることができます。
エッジボイスで声帯を閉じる練習をするのがおすすめです。
非整数次倍音の出し方
親しみやすい声になる非整数次倍音の出し方を紹介します。
非整数次倍音は息の流れによって生まれる倍音です。
そのため、息を吐きながら発声することで倍音が生まれます。
「はぁー」と息を吐くような感じで声も一緒に出すことでハスキーボイスのような声に近づけることが可能になりますよ。
声の倍音の増やし方は?
倍音の出し方が掴めてきた人は、倍音を増やす練習をしましょう。
倍音は多いほうが聴いていて心地よい声になりますよ。
整数次倍音と非整数次倍音の増やし方はそれぞれ練習方法が違います。
ここでは、倍音を増やすトレーニング方法を紹介します。
整数次倍音を増やすトレーニング
ドッグブレス
ドッグブレスとは犬のように短く力強い呼吸をする呼吸方法です。
練習方法も簡単で、口を開けながら「ハッハッ」と呼吸するだけです。
ドッグブレスをすることで腹式呼吸や整数次倍音を出すために必要な声帯閉鎖の練習にもなります。
息の強さにムラが出ないように息を吐いた分だけ息を吸い、吸った分だけ吐くことを意識しながら練習しましょう。
パワーブリーズ
パワーブリーズとは息を吸う力を強めるための練習グッズです。
息を吸う力が強まることで、息を吐く力も強まり、音量アップや音域を広げることにも繋がります。
息を吸う力が強めることができたら、自由に息の強さをコントロールすることができるようになりますよ。
息の強さをコントロールすることは整数次倍音を増やすために重要になるので、パワーブリーズで練習するのがおすすめです。
パワーブリーズには3種類あるので自分にあった商品を使うといいでしょう。
パワーブリーズについては、こちらの記事で詳しく紹介しているので是非チェックしてみてください。
非整数次倍音を増やすトレーニング
ネイトレーニング
ネイトレーニングとは、ネイと発声しながら歌う練習のことです。
ネイトレーニングには舌根をほぐす効果があり、力まずに発声できるようになります。
連続でネイを発声すると顎の脱力にもつながるので力みやすい人にはおすすめです。
非整数次倍音を増やすためには声帯をリラックスさせる必要があるのでネイトレーニングが効果的でしょう。
5トーンスケールに合わせて練習するのがおすすめです。
グッグトレーニング
グッグトレーニングとはグッグッと発声しながら歌う練習のことです。
グッグと発声することで、喉を開き声帯をリラックスさせることができます。
連続でグッグと発声することで喉仏が下がるのでハイラリンクスの状態を防ぐことができますよ。
グッグトレーニングも5トーンスケールで練習するのがおすすめです。
声に含まれる倍音を調べるアプリは何がおすすめ?
トレーニングをしても自分が倍音のある声を出せているかがわからない人も多いのではないでしょうか。
そんなときには、アプリで自分の声を調べるのがおすすめです。
アプリで声を可視化することによって、自分の声の状態を詳しく知ることができるので改善につなげることができるでしょう。
ここでは、自分の声の倍音を調べる無料アプリについて紹介します。
CanSeeVoice
CanSeeVoiceはios限定のアプリになります。
声を録音することで、声の高さや倍音をグラフで見ることができますよ。
声の状態を見れることで発声状態の善し悪しがわかるので、早くコツが掴めたり変な癖がつくことを防ぐことができます。
倍音が出ているほどグラフの振幅が大きくなるので、大きくなるように練習しましょう。
音声スペクトルモニター
音声スペクトルモニターはAndroid限定のアプリになります。
録音しなくてもリアルタイムで自分の声の状態を測定できるのが特徴です。
横画面表示も可能なのでタブレット端末でも利用することができます。
倍音が出ているほど振幅が大きくなりますよ。
倍音が多い声を持つ歌手は?
倍音を増やすためには、倍音が多い声の歌手の声を聴くことも大切です。
プロの歌手の歌い方を研究して真似をしてみることでコツが掴めることもあります。
最後に倍音が多い声の歌手を紹介します。
好きな歌手の歌声を聴き込んで意識しながら歌ってみましょう。
美空ひばり
日本を代表する歌手の一人である美空ひばりは、整数次倍音と非整数次倍音の両方を使いこなすことができます。
両方を使いこなせる歌手は非常に珍しく、美空ひばりの凄さもわかるのではないでしょうか。
両方の倍音を使い分けることでより多彩な表現が可能になります。
美空ひばりは鼻腔に声を共鳴させることでより多くの倍音を生み出しています。
鼻にかけるような意識をしながら歌うことで美空ひばりのような声を出すことができるでしょう。
稲葉浩志(B’z)
B’zの稲葉浩志は整数次倍音を多く持つ歌手です。
金属音のような鋭い高音が特徴で、声帯を強く閉鎖させることでこのような声を出しています。
また、稲葉浩志は敢えて喉仏を上げて歌うハイラリンクスと呼ばれる歌唱法でも有名で、とにかく息漏れを少なくすることがポイントです。
宇多田ヒカル
宇多田ヒカルは非整数次倍音を多く持つ歌手です。
宇多田ヒカルのハスキーボイスは息を多く流すことで生み出すことができます。
また、ところどころにエッジボイスを混ぜることで、より繊細な表現になっているのです。
喉を開き、息を多く流すことで非整数次倍音が増えるでしょう。
桑田佳祐
サザンオールスターズの桑田佳祐も非整数次倍音を多く持つ歌手です。
ハスキーでノイズが混じった声で、共鳴腔に声を響かせることでノイズを作っています。
喉を開いているため、太い声で響きのいい声を出しています。
ハスキーボイスを出すにはたくさんの練習量が必要になりますが、一度コツを掴むと個性的な声になれますよ。
倍音がある声の出し方は種類によって違う!共鳴腔のバランスと息使いがポイント
倍音のある声を出すには、共鳴腔に声を響かせることや息の流れをしっかりと作ることが重要になります。
倍音には整数次倍音と非整数次倍音があるので、自分の出したい声をまず練習するのがおすすめです。
倍音がある声を出せると歌声が格段と良くなり、人々を魅了できるような声を出せるようになりますよ。
この記事のまとめ!
- 倍音とは基音以外に鳴っている音のこと
- 倍音には整数次倍音と非整数次倍音があり、それぞれに特徴がある
- 倍音を出すには声帯を振動させたり、息の流れを作ることが重要
- 倍音を多く持つ歌手の真似をするのもいい練習になる