「絶対音感は知ってるけど、相対音感は知らない」という人は、多いのではないでしょうか?
幼少期から教育されないと身につかない絶対音感に比べて、大人になっても訓練次第で習得可能なのが相対音感なのです。
この記事でわかること
相対音感とは
相対音感とは最初にある基準音を聴けば、その後から聴いた音の階名(ドレミ)が分かる能力のことです。
絶対音感を持っている人も同じように音の階名は分かるのですが、相対音感とは根本的に音のとらえ方が違います。
まずは相対音感についてと、絶対音感との違いを紹介します。
音の高低が分かる
音感とは音の高さを見分ける能力であり、ピアノの鍵盤を1つ叩いて、その音がドレミの何の音か、階名を判断できる能力を絶対音感と言います。
一方、相対音感は、急に鍵盤を叩いてもその音の階名を判断することはできません。
相対音感とは基準になる音に比べて、その音がどれくらい高いか低いかを判断する能力のことを指します。
例えば、最初に「ド」を聴いた上で次の音を聴けば、その音の階名を判断できるのが相対音感なのです。
移動ド唱法で育つ
相対音感を身に付ける方法の1つとして、「移動ド唱法」というものがあります。
この唱法ではどんな音階の音楽でも、主音を「ド」に置き換えて歌うのです。
この唱法を練習すると音の高さを正確に把握できるようになり、相対音感が育ちます。
例えば、カエルの歌はハ長調の場合「ドレミファミレド」と始まりますが、ト長調では「ソラシドシラソ」に変わりますよね。
この時、ト長調になっても、始まりをドとして歌うのが移動ド唱法です。
大人になってからでも鍛えられる
幼少期から音楽教育を受けていないと習得できない絶対音感と違い、相対音感は大人になってからでも鍛えられます。
相対音感は誰もがもともと、ある程度備えているものなので、鍛えることで音感が育ち、確実な能力にできるのです。
特に楽器を演奏する人や歌を歌う人は相対音感を習得すると、音楽活動がより一層充実したものになりますよ。
習得するためには、長い期間がかかるので毎日の訓練が大切です。
海外では相対音感が主流
ある研究の報告書によると、日本・アメリカ・ドイツ・ポーランド・中国の音楽科専攻の学生を対象に絶対音感テストをしたところ、日本の学生は絶対音感所持者が多いのに対して、海外の学生の多くは相対音感を持っている割合が多いという結果が報告されています。
日本の音楽業界では絶対音感を持っている方が優れていると言われており、音楽大学でも絶対音感を持っている人が多いのです。
しかし、この研究結果を見れば絶対音感がなくても相対音感があれば、音楽の世界で活躍できることが分かりますよね。
相対音感が使えると便利な理由
相対音感があると演奏する時に便利にはたらきます。
そうは言っても音感は目に見えないため、相対音感があるとどんな時に役立つのか、イメージするのは難しいですよね。
相対音感があるとどんなメリットがあるか分かれば、自分の音楽活動にどのように役立つのか、判断ができるようになるでしょう。
次では相対音感が使えると便利な理由について具体的に紹介します。
楽譜が覚えやすい
相対音感があると、音の高さが明確に分かるようになるため、楽譜を覚えやすくなります。
具体的には歌を覚えるような感覚で、ピアノやギターなどの楽譜を覚えられるのです。
また、楽譜とは音の高さを視覚的に表現したものなので、相対音感が身に付くと、楽譜を見るだけで音のイメージができるようになり、結果として楽譜が覚えやすくなるのです。
耳コピがしやすくなる
楽譜が手に入らない曲は自分の耳で聴いて再現する「耳コピ」をする必要がありますが、相対音感があると耳コピがしやすくなります。
相対音感が鍛えられると、コード感が身に付くので、次に来るコードやメロディを予想できようになり耳コピがしやすくなるのです。
耳コピをさらに極めたい人は、楽譜を読む基礎練習のソルフェージュを習ってみるのもおすすめです。
ハモリが上手くなる
相対音感が身につくと、ハモリが上手くなります。
ハモリとは主旋律に一定の音程差を付けて歌うことです。
相対音感によって音の高さが分かるようになると、主旋律に対してどれくらいの高さで歌ったら心地良くハモれるか明確に分かるようになります。
ハモリやすいと言われる3度差だけでなく、4度や5度など難しいハモリもできるようになりますよ。
アドリブ力が上がる
アドリブとは楽譜に書いていないメロディやフレーズを、その場で作り出して演奏することです。
相対音感があると、その曲のコードを理解し、使える音(コードに対してぶつかりのない音)を頭の中でイメージできるようになるため、アドリブがしやすくなります。
1つのコードに対して色々なメロディを付けたり、逆に1つのメロディに対して色々なコードが付けられるようになると、アドリブに関連して作曲の幅も広がりますよ。
相対音感の鍛え方
音楽活動をしている人にとって魅力的なことが多い相対音感は、身につければ自分の音楽活動に活かすことができます。
しかし、相対音感の鍛え方がわからないという人は多いでしょう。
相対音感を鍛えるには、基本的なトレーニングが大切なので、以下で紹介する方法を参考に練習してみてくださいね。
音の距離を覚える
音の高い・低いを正確にとらえる「音感」を鍛えるには、音の距離を覚えることが大切です。
音には一定の距離があり、例えばドとレ、レとミの間は、同じだけ音が高くなります。
この音と音の距離感を正確に覚えられることこそが相対音感なのです。
音だけでイメージしにくい場合は楽譜にしてみると、音の高さを視覚的に理解できるのでおすすめですよ。
周りの音をよく聴く
普段の生活の中だけでも、救急車のサイレンやコンビニ入店のチャイムなど、音は色々なところに溢れています。
相対音感を鍛えるためには、周りの音によく耳を傾け、音としてとらえるようにしましょう。
何気なく聞き流していた音も、注意しながら聴くだけで、感じ方が変わって聴こえます。
普段から周りの音を意識して聴くようにすると、音感を鍛えることができますよ。
メロディーをドレミで歌う
知っている曲やお店で流れている曲など、どんな音楽もドレミのメロディーで歌うと相対音感が鍛えられます。
この練習を繰り返していると、旋律と音階を頭の中でリンクさせることができ、曲を聴いただけで、その曲が弾けるようになります。
初めのうちは難しいので、最初のフレーズは楽譜を見て確認し、後に続くメロディーからドレミで歌うようにするのもおすすめですよ。
アプリを使う
アプリを使う音感トレーニングは、いつでも気軽にできるおすすめの方法です。
相対音感を鍛えるアプリは色々ありますが、多くのものがアプリから出てきた音の音階を当てるゲームとなっています。
音感を鍛えるのには長期間の訓練が必要なので、いつでも・どこでもゲーム感覚でトレーニングできるアプリで、楽しくトレーニングをしてみましょう。
相対音感・絶対音感を鍛えるアプリ
相対音感を鍛えるためには、長い時間をかけてトレーニングする必要があります。
それほど音感を鍛えるというのは、長く険しい道のりなのです。
そこでそんな長い期間トレーニングを続ける自信がないという人におすすめなのが、相対音感を鍛えるアプリ。
スマホでいつでもトレーニングができ、隙間時間にゲーム感覚で楽しむことができるため挫折しにくいです。
以下では相対音感・絶対音感を鍛えるアプリを紹介します。
【初心者向け】音感トレーニングアプリ
ずっしーの音感トレーニング
「ずっしーの音感トレーニング」は、アプリから鳴る音の階名を当てていくゲームです。
調性に基づく音感を鍛えられるのが特徴で、ゲームで常に流れているBGMの「調」と出題される音の階名がリンクしています。
そのため、BGMを伴奏と考えることができ、出題される音をメロディのようにとらえて音当てができます。
ゲームではBGMのジャンルや鳴らす音の楽器が選べたり、間違えた音を復習する機能も付いています。
音感トレーニング Harmonizeで音程を良くしよう
和音などのハーモニーをしっかりとらえたい人におすすめなのが、「音感トレーニングHarmonizeで音程を良くしよう」です。
このアプリは和音を聴いて、その音と同じ和音を作っていきます。
正しいハーモニーが身に付くと相対音感が鍛えられ、和音で音の距離感が正確に把握できると、歌のハモリが楽にできるようになりますよ。
音楽理論が分からなくても楽しく学べるところもポイントです。
おとあて
シンプルで見やすい音感トレーニングアプリがソニーが提供する「おとあて」です。
アプリから鳴る音の階名を当てるゲームで、単音モードや2音連続モードなど色々なモードがあります。
対戦モードもあり、アプリの参加者同士ならゲーム感覚で楽しめるところも嬉しいポイントです。
練習モードもあり、時間を気にせず音と向き合うことができますよ。
【中級者以上向け】音感トレーニングアプリ
聞き流す!聴音2
通勤・通学など、移動中でも気軽にトレーニングできるのが「聞き流す!聴音2」です。
このアプリも鳴った音の階名を当てるものですが、タップする回数を少なくする工夫がされているので、移動中でも使うことができます。
多くのアプリが、鳴った音の階名をタップする必要がありますが、このアプリでは音を鳴らして答え合わせするという流れを自動で繰り返すことができ、タップしなくてもトレーニングができます。
ただし、音域の範囲を選べないためやや中級者向けの商品です。
コードゲーム
コード感を身に付けたい人には「コードゲーム」がおすすめです。
このアプリは、聴こえてきた音がどのコードなのかを4択から解答します。
音は何度も聴くことができますが、解答時間が長くなるとスコアが下がる仕組みになっているのです。
コードは単音に比べて聴きとるのが難しいため、中級者向けのアプリと言えますが、コード感が身に付くと、曲作りや演奏、耳コピなど、あらゆる場面で役立ちます。
単音が聴き取れるようになったら、ぜひ試してみてください。
My Ear Training
音感トレーニングで色々なことをしたい人におすすめなのが「My Ear Training」です。
このアプリでは、単音、2音、和音、連続したメロディやコード進行にリズムまで色々な聴音トレーニングができます。
出題ごとに「調」が変わったり、アプリが英語表記だったりと、初心者には少し難易度が高い面もあるでしょう。
しかし、色々なトレーニングができるアプリなので、音感トレーニングに慣れてきたら使ってみてください。
相対音感は努力すれば身につく音感!気軽にアプリでトレーニングをしてみよう
相対音感とはある基準音に比べて、その音がどれくらいの高さなのか正確に判断できる能力のことです。
幼少期でないと習得できない絶対音感に比べて、大人になってからでも努力次第に身に付けることができます。
また、相対音感があると、耳コピやハモリが上手くなるなどの音楽活動に役立つ力が身につくのです。
ただし、音感を鍛えるには長期間の訓練が必要になります。
自力が難しい人は島村楽器の、ソルフェージュ教室に参加してみるのもおすすめですよ。
この記事のまとめ!
- 相対音感は基準音に対して音の高さを見分ける能力
- 幼少期でないと身に付かない絶対音感に比べて、相対音感は大人になってからでも習得できる
- 相対音感があると、耳コピしやすくなったりハモリが上手くなったりと音楽活動に役立つ
- メロディを音名(ドレミ)で歌ったり、普段から周囲の音に耳を傾けると音感を鍛えられる
- 音感を鍛えるアプリでトレーニングするのもおすすめ