フェイクという歌のテクニックを知っていますか?
音楽用語として聞いたことはあっても、どんな表現なのかは詳しく知らないという人も多いのではないでしょうか。
この歌い方をマスターすれば、カラオケで「かっこいい!」「すごい!」と思ってもらえますよ。
この記事でわかること
歌の「フェイク」の意味
「フェイク」は歌が上手い人が使っているテクニックというイメージがある人もいるでしょう。
ライブなどでアーティストが楽曲にアレンジを加えて歌っていると、とてもかっこいいですよね。
また、「アドリブ」と同じような意味だと思われがちですが、実は少し違うものなのです。
まずは「フェイク」の意味についてチェックしてみましょう。
フェイクとは
フェイクとは楽曲本来のメロディーやリズム、音程などに変化を加えて歌うテクニックのことです。
原曲になぞらえて歌うので、偽物や模造という意味をもつ「フェイク」という言葉が使われています。
原曲のメロディーやリズムなどを自分なりにアレンジできるので、このテクニックを使うと音楽をもっと自由に感情的に表現できるようになるのです。
アドリブとの違い
フェイクとアドリブは、原型になるメロディーがあるかどうかという部分が大きな違いになります。
アドリブとは即興で作ったものを自由に歌うことです。
たとえば、その場で浮かんだメロディーを演奏したり、楽曲の間奏や終わりの部分に歌を加えたりするのがアドリブとなります。
一方、フェイクはもともとある楽曲のメロディーをわざと崩したり、アレンジを加えたりして表現するものです。
フェイクの種類
フェイクには種類があり、
- リズムフェイク
- メロディーフェイク
- 装飾音フェイク
フェイクができるようになりたい人は、まずはそれぞれの種類を練習していくのがおすすめです。
慣れてきたら3つを組み合わせながらパターンを増やしていくと、歌の表現力も磨かれていきますよ。
それぞれの特徴を知って、楽曲をかっこよく崩してみましょう。
リズムフェイク
リズムフェイクとは、楽曲の音程はそのままでリズムだけを変えたフェイクです。
音符の長さを変えたり、拍の強弱に変化をつけるシンコペーションというテクニックを使ったりして表現します。
あえて安定したリズムを崩すことで、聴いている人にインパクトを与えることができるテクニックです。
初心者たちにとっては、フェイクの中でも比較的簡単に感じられるかもしれません。
メロディーフェイク
メロディーフェイクは、リズムはそのままで音程を少し変えて歌うテクニックです。
ただし、元のメロディーが分からないほど変えてしまうと違う曲になっていまうので、原曲が分かるくらいを目安に数音ピッチを移動させるのが一般的ですよ。
あえてメロディーを崩すテクニックは、特にジャズミュージックでよく使われています。
メロディーフェイクを学ぶには、ジャズシンガーの歌い方などを参考にすると分かりやすいでしょう。
装飾音フェイク
装飾音フェイクは、メロディーを部分的に崩しながら32分音符のような細かい装飾音符を加えるテクニックです。
シンプルなメロディーに入れると効果的で、ブラック・ミュージックと呼ばれるR&Bやゴスペルなどによく使われ、演歌のこぶしも装飾音フェイクにあたりますよ。
また装飾音フェイクには、はじめに取った音より高い音に飛び、一瞬で元の音に戻るトリルフェイク、ビブラートにならないようアクセントをつけながら音に変化をつける言い直しフェイクがあります。
歌のフェイクのやり方
フェイクは初心者が「やってみよう」と思ってすぐにできるような技術ではありませんが、練習するとかっこよくできるようになります。
上手くなるためには、テクニックについて勉強するだけでなく、実際に歌いながら身につけることがとても大切ですよ。
実際に歌って経験を積みながら、フェイクのやり方を学んでみましょう。
プロを真似する
初心者の場合、まずはプロの真似をして練習してみましょう。
目標にしているシンガーの真似を繰り返し練習するうちに、どんどんそのシンガーのフェイクや感覚が身についてきます。
はじめからオリジナルのフェイクにチャレンジするのは難しいですが、プロの真似から始めれば分かりやすく、テクニックを自然と体で覚えることができるでしょう。
音程をとらえる
フェイクをマスターするには、まず音程をしっかりとらえることが重要です。
YouTubeなどで再生速度を0.5倍速程度に落として聴いてみたり、アプリを使って音程を確認したりしながら練習するのがおすすめですよ。
難しそうに思えますが、音程をとらえることはフェイクを上達させるための第一歩なので、何度も繰り返しながら練習を頑張ってみてくださいね。
母音を確認する
フェイクはしっかり母音を確認して、しっかり追えているとかっこよく決まります。
かっこいいフェイクは母音変化が細かく、同じ「o」の音でも「あ」寄りの「お」だったり「え」と「う」と真ん中のような「お」だったり、微妙に変化しているのです。
母音についても、アーティストのテクニックを繰り返し練習したり、再生速度を落としたりしながら確認してみましょう。
コードの感覚をつかむ
コードの感覚がつかめると、フェイクは一段と上手くなります。
コードの感覚はピアノやギターなどの楽器を演奏したり、たくさん音楽を聴いたり歌ったりすることで身につくものです。
この感覚がある人は、コードに合わせて即興でメロディーを作ったり、歌ったりすることができます。
音程を変化させるフェイクも作曲に近いので、コードの感覚をつかむことはとても大切なポイントです。
ピッチ移動を練習する
フェイクを上手く入れられるようになるには、ピッチ移動を練習するのも重要です。
ピッチ移動の練習には音をパッと切り替えることを意識して、鍵盤で鳴らした音を出すトレーニングがおすすめですよ。
まずはゆっくりしたテンポで行い、慣れてきたら少しずつスピードを上げていきましょう。
音程に自信がない人は、自分の声がどの音を出しているのか教えてくれる「ボーカルチューナー」を使ってみてくださいね。
フェイクを入れて歌うコツ
アーティストはもちろんですが、カラオケでもフェイクを入れて歌っている人はとてもかっこいいですよね。
人によって自然に入れられる人もいれば、なかなかコツがつかめない人もいます。
しかし、コツがつかめれば誰でもできるテクニックなので、ぜひチャレンジしてみましょう。
ここでは、フェイクを入れて歌うコツを紹介します。
色々なフェイクを聴く
自分の中でイメージできない音は出せないので、まずは色々なフェイクを聴いてみるのがおすすめです。
いろんなアーティストの楽曲を繰り返し聴き、「どんな時にどんな音を入れているのか」を知ることでどんどんイメージが固まってくるでしょう。
そして、自分の中でテンプレートになるフェイクを見つけることができれば、使いたいタイミングで入れられるようになりますよ。
フェイクのパターンを増やす
次は、フェイクのパターンをどんどん増やしていきましょう。
フェイクが上手いかどうかは、どれだけパターンを知っているかということでもあります。
知っているパターンが増えるということは、自分で使えるバリエーションが広がるということです。
音のイメージができるようになると「この曲にはこんなフェイクがかっこいいだろうな」と曲に合わせたアレンジができるようになりますよ。
オリジナルフェイクで歌う
様々な楽曲を聴いてパターンを増やしたら、オリジナルフェイクで歌ってみましょう。
ある程度自分の中にいくつかバリエーションを持っているはずなので、組み合わせながらオリジナルのものを作ることができるでしょう。
オリジナルで歌えるようになると、さらに自分自身の個性や世界観を表現できますよ。
最初は「ちょっといまいちかも」と思うこともあるかもしれませんが、繰り返すうちにしっくりくるフェイクが見つかるでしょう。
フェイクが上手い歌手
初心者がフェイクを早く上達させるには、上手な歌手の真似をしながら学ぶのが一番です。
「音程はつかめるようになったけど満足できない」「母音を意識してるけど自分の中でピンとこない」という人も、上手なシンガーを参考にするとグッとレベルアップできるでしょう。
最後に、フェイクが上手なアーティストを紹介します。
クリスティーナ・マリア・アギレラ
プロの日本人シンガーでも、なかなか真似できないテクニックを持つのがクリスティーナ・マリア・アギレラです。
「Ain’t No Other Man」のイントロで歌われている、パワフルで華やかなフェイクは聴く人の心を揺さぶりますよ。
アルバムやシングルに収録された楽曲を聴くのもいいですが、ミュージカル映画「バーレスク」で披露しているゴージャスな歌唱もぜひチェックしてみてくださいね。
清水翔太
清水翔太は学生時代からゴスペルを学び、ソウルミュージックに大きな影響を受けたアーティストです。
ファルセットを歌いこなし、ラップのテクニックも抜群ですがフェイクの使い方も絶妙で、多くのファンを魅了しています。
NHKドラマ「デザイナーベイビー」の主題歌にもなった「花束のかわりにメロディーを」は、自然に取り入れられたフェイクと心地良い歌声にうっとりしてしまいますよ。
三浦大知
ダンスとボーカル、どちらも高いスキルを持つ三浦大知もフェイクが上手いアーティストです。
「The Answer」は、コーラスとフェイクの重なりが美しい楽曲で、三浦大知の色気があふれる作品となっています。
ソウルフルな日本人離れした歌唱力で、圧倒的なライブパフォーマンスにも定評があり、多くの人から目標にされているアーティストです。
歌にフェイクを入れると一気にカラオケが上手くなる!まずはプロを真似して歌ってみよう
フェイクはできるようになると一気にカラオケが上手くなるテクニックです。
いろんな種類ややり方、コツはありますが、まずはフェイクが上手いプロの歌い方を真似して練習を積み重ねていきましょう。
「今より上手く歌えるようになりたい」「カラオケで披露してみたい」という人は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
この記事のまとめ!
- フェイクとは楽曲のメロディーやリズム、音程をあえて崩して歌うテクニック
- フェイクは耳で聴くだけでなく、プロを真似して歌いながら学ぶことが大切
- コード感覚やピッチ移動など、音楽の基礎的な経験を積むことも必要
- フェイクが入った色んな楽曲のフレーズなどを繰り返し聴くことで、自分のパターンを増やすことができる