ハードロックなどロックには多くの種類がありますが、「サザン・ロック」という音楽ジャンルをご存知でしょうか?
ロック音楽に詳しくない人は、あまり聞き馴染みのない言葉かもしれません。
しかし、1970年代にピークを迎えた「サザン・ロック」という音楽ジャンルは、後のロックに大きな影響を与えるのです。
今回はサザン・ロックの特徴からおすすめ曲までご紹介していきます!
この記事でわかること
- 1 日本では知名度の低い「サザン・ロック」の特徴を徹底紹介
- 2 南部出身者以外も影響される
- 3 サザン・ロックバンドとおすすめ曲・名曲をご紹介
- 3.1 RAMBLIN’ MAN|The Allman Brothers Band(ザ・オールマン・ブラザーズ・バンド)
- 3.2 Have You Ever Seen The Rain(雨を見たかい)|Creedence Clearwater Revival(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)
- 3.3 GREAT BALLS OF FIRE(火の玉ロック)|Jerry Lee Lewis(ジェリー・リー・ルイス)
- 3.4 Shake, Rattle And Roll|Elvis Presley(エルヴィス・プレスリー)
- 3.5 Tell Me (You’re Coming Back)|The Rolling Stones(ローリング・ストーンズ)
- 4 サザン・ロックの男臭さは男を魅了する
日本では知名度の低い「サザン・ロック」の特徴を徹底紹介
日本人には知名度の低い「サザン・ロック」という音楽ジャンル。
一体どんなミュージックジャンルなのでしょうか?
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サザン・ロックはギターが主役のロック
1960年代~70年代、アメリカではロックから細分化された多数の音楽ジャンルが混在していました。
アメリカ南部で生まれたサザン・ロックは、その細分化された多数の音楽ジャンルのひとつです。
1970年代に全盛期を迎えました。
その他の音楽ジャンルとの大きな違いは、「ギターが主役」ということ。
シンセサイザーがピコピコ鳴るような装飾のない、シンプルさが特徴です。
また、サザン・ロックはあらゆる音楽ジャンルから影響を受けています。
特に米国南部という地域柄、ブルースやジャズといったアフリカ系アメリカ人からの影響も色濃く受けているため、同じ時期に生まれたその他のロックと比べても泥臭い音楽です。
シンプルでありながら音楽としての厚みを感じさせる唯一無二の音楽性は、一度ハマったらなかなか抜け出せません。
サザン・ロックの歴史
アメリカ南部といえば人種差別問題や奴隷制度、1861年から1865年まで続いた南北戦争での敗北など、数々の悲劇があった地域です。
サザン・ロックは、南北戦争時の南軍だった地域の男たちが、南軍旗をシンボルとし、故郷をテーマとした歌を歌う泥臭いアメリカンロックのことを指します。
故郷をテーマにした想いが演奏にも反映されるのです。
バンドはUKロックのような少数精鋭ではなく、ツインギターやトリプルギター、ツインドラムなどの比較的大人数のバンドが多いのが特徴です。
バンド内外に親族がいるケースも珍しくありません。
サザン・ロックのファッション
長髪に髭という男くさい見た目が特徴のサザン・ロックのファッション。
サザン・ロックの流行によって、アメリカの都市部でもカウボーイハットやジーンズというアメリカ南部ロック風ファッションが流行しました。
南部出身者以外も影響される
さまざまな音楽ジャンルを取り入れ完成度を高めたサザン・ロックは、アメリカ南部出身者以外にも影響を与えました。
まず、イギリスに渡り生まれたのが、UKサザン・ロック。
当時、生まれたてのUKロックバンドがこぞってサザン・ロックのサウンドを真似しました。
特にサザン・ロックの影響を受けているといわれるのが、世界的人気ロックバンド「The Rolling Stones(ザ・ローリング・ストーンズ)」です。
彼らの1stアルバムには、アメリカ南部出身の歌手たちが書いた「これぞサザン・ロック」というべきブルース・チューンで溢れています。
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サザン・ロックバンドとおすすめ曲・名曲をご紹介
サザン・ロックの歴史や特徴について書いてきましたが、「百聞は一聴にしかず!」。
まずはサザン・ロックのおすすめ曲を聴いてみましょう!
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RAMBLIN’ MAN|The Allman Brothers Band(ザ・オールマン・ブラザーズ・バンド)
Lord I was born a ramblin’ man
Tryin’ to make a livin’
And doin’ the best I can
And when it’s time for leavin’
I hope you’ll understand
That I was born a ramblin’ man
「サザン・ロック=このバンド」といっても過言ではない、サザン・ロックの顔「The Allman Brothers Band(ザ・オールマン・ブラザーズ・バンド)略してオールマンズ」。
オールマン兄弟(レスポールを操る天才ギタリストのデュアン、ギターヴォーカルのグレッグ)を中心として1969年に結成されました。
ツイン・リードギターとツイン・ドラムによる骨太なサウンドが特徴で、サザン・ロックの基礎を築いた伝説的バンドグループです。
米ブルースロックやサザンロックのバンドに在籍したこともある世界的ギタリスト「エリック・クラプトン」も、多大な影響を受けました。
ですが、オリジナルメンバーでの活動は長く続きません。1
971年に、中心メンバーだったデュアン・オールマンが不慮の事故で亡くなりました。
彼らの代表曲である『RAMBLIN’ MAN』は、そんな悲劇を乗り越えて1973年に発表されたヒット曲です。
この曲の大ヒットによって、バンドの地位は確立されました。
今でもサザン・ロック特集では必ずと言っていいほど紹介される名曲中の名曲です。
Have You Ever Seen The Rain(雨を見たかい)|Creedence Clearwater Revival(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)
I wanna know
Have you ever seen the rain
I wanna know
Have you ever seen the rain
Coming down on sunny day
「Creedence Clearwater Revival(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)」は、カリフォルニア州サンフランシスコ出身でありながら、南部音楽の影響を受けた「サザン・ロックの元祖」といわれたロックバンドです。
彼らの音楽は「スワンプ・ロック」とも呼ばれることがあります。
これからサザン・ロックを聴きたい人は、ぜひ聴いてみましょう。
彼らの代表曲は『Have You Ever Seen The Rain(雨を見たかい)』。
リリース当時は、ベトナム戦争の真っ最中でした。
そのため、歌詞が大量殺戮兵器ナパーム弾のことを連想させるとして、アメリカでは放送禁止になったのです。
注目度の高い楽曲でした。
しかし、名曲だからこそ、40年以上経った今でも愛され、数々の歌手によってカバーされてきました。
日本でも「Hi-STANDARD」や「桑田佳祐さん」がカバーし、アルバムやシングルでCDリリースしています。
GREAT BALLS OF FIRE(火の玉ロック)|Jerry Lee Lewis(ジェリー・リー・ルイス)
You shake my nerves and you rattle my brain
Too much love drives a man insane
You broke my will but what a thrill
Goodness gracious great balls of fire
アメリカ南部のルイジアナ州出身のシンガーソングライター「Jerry Lee Lewis(ジェリー・リー・ルイス)」。
「キラー(The Kijjer)」の愛称で呼ばれることもあります。
『GREAT BALLS OF FIRE(火の玉ロック)』は、聖書のとあるシーンをアメリカ南部の地域の人の言葉にしたもの。
キリスト教信者にとっては侮辱に聞こえる強烈な言葉でもあります。
この地域性の強さがサザン・ロックの特徴でもあるので、ブルース・ロック初心者には一度聴いてもらいたい楽曲です。
強烈なタイトルや曲調から、破壊的な歌詞かと思いきや、以外にも純粋な愛の歌になっています。
ひとりの女性を愛しはじめた男性の喜びと愛の尊さを歌い、誰もが胸熱くなる一曲です。
Shake, Rattle And Roll|Elvis Presley(エルヴィス・プレスリー)
I said shake, rattle and roll
I said shake, rattle and roll
I said shake, rattle and roll
Well you won’t do right to save
your doggone soul
アメリカ出身のロックンロール界のレジェンド、「キング・オブ・ロックンロール」とも呼ばれる「Elvis Presley(エルヴィス・プレスリー)」。
彼の音楽は、黒人音楽のブルースと、白人音楽のヒルビリーを融合したロカビリーという音楽ジャンルに分けられます。
この黒人音楽と白人音楽の融合というのは、まさにあらゆる人種の音楽を取り入れてきたアメリカ南部のサザン・ロックの影響があるのです。
彼の初期のレコードにはサザン・ロックを感じる楽曲があります。
1956年にリリースした『Shake, Rattle And Roll』もそのひとつ。
サザン・ロックのソウルを感じられる名曲です。
サザン・ロックの血が流れる多くの作品を、彼はスタジオ兼レーベルであるサン・レコードから発表していました。
彼の名曲は時を経て輸入盤(国内盤仕様)などとしてCD化され、幅広い世代から愛され続けています。
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Tell Me (You’re Coming Back)|The Rolling Stones(ローリング・ストーンズ)
You gotta tell me you’re coming back to me
You gotta tell me you’re coming back to me
You gotta tell me you’re coming back to me
You gotta tell me you’re coming back to me
イギリス出身の世界最強のロックバンド「The Rolling Stones(ローリング・ストーンズ)」。
米南部出身ではありませんが、UKサザン・ロックの代表として荒々しく野生的なロックを生み出してきました。
『Tell Me (You’re Coming Back)』は、彼らの1stアルバム「The Rolling Stones」に収録されている楽曲で、このアルバム唯一のオリジナル曲です。
5人が振り向くジャケットが印象的なファースト盤は、サザン・ロックを十分に感じることのできる一枚でしょう。
サザン・ロックの男臭さは男を魅了する
アメリカ南部は人種差別が激しい地域でしたが、ラジオ放送などの領域では自由度が高い地域でもありました。
そのため、黒人がカントリーやポップを聴き、白人がリズム&ブルースを聴くこともおかしなことではなかったのです。
サザン・ロックは細分化された多数の音楽ジャンルが混在して生まれました。
音楽の自由度が高かったからこそ、サザン・ロックが生まれたのです。
ギターが主役のサウンドはボーカルが伝える歌詞を引き立たせ、シンプルでありながら聴く者を夢中にします。
あらゆる音楽ジャンルを吸収し、あらゆる音楽ジャンルに影響を与え続けるサザン・ロック。
他にも「レーナード・スキナード」などのサザン・ロックバンドや「リトル・フィート」などサザン・ロックの影響を受けたバンドが数多く存在します。
マイナーバンドもチェックしつつ、中古CDで購入するのもいいでしょう。
また、1969年にリリースされたスワンプ・ロックの名盤「3614 Jackson Highway」の180グラム重量盤が2019年に海外で発売されているので、それも手に入れて聴いてみてほしいです。
お気に入りの楽曲が見つかったら、ぜひライブ盤も聴いてみてください!
米国ルーツの男臭い彼らの音楽に魅了されてみてはいかがでしょうか?
この記事のまとめ!
- サザン・ロックはアメリカ南部で生まれた音楽ジャンル
- ギター中心の男くさいシンプルなアメリカンサウンドが特徴
- 長髪に髭など、ファッションも男くさい
- あらゆる音楽ジャンルに影響を受けつつ進化している