カラオケで友人や同僚がコブクロの「桜」やB’zの「ギリギリchop」といった曲を気持ちよさそうに歌うのを見て、“本当は歌いたい…けど歌えない!”と尻込みしてしまった経験はないでしょうか。
とくに声が低い男性は音域が狭いため、高い声が出なかったりリズムがずれたりして「音痴」と呼ばれてしまうことがあります。
生まれつきのものと思われがちな「音痴」ですが、実はそのほとんどが矯正可能です。
正しい方法でトレーニングを行うことで、狭い音域が広がり見違えるほど歌が上手くなります。
この記事でわかること
そもそも音痴ってどういうこと?
カラオケや職場・学校での「のど自慢大会」で歌を披露するとき、周りから「音痴だな」なんて言われたりしますが、そもそも音痴とはどういう状態を指すのでしょうか。
- 本来の音程よりも、歌っているときの音程が上がったり下がったりしている
- リズムやスピードが合っておらず、遅れたり早まったりしてしまう
こうした本来の歌との「ズレ」が生じている状態を音痴と呼ぶのが一般的です。
音楽辞典を引いてみると、先天的な異常である音痴と区別して「調子外れ」という単語が見つかります。
音楽の「調子」に合わせることができない、つまり「調子外れ」の状態です。
先天的であれ後天的であれ、調子外れであることに変わりはありません。
そのため世間ではどちらも音痴と呼んでいるのです。
音痴には2種類のタイプがある
この「調子外れ」と「音痴」には、2つのタイプがあります。
耳で聞いた音をうまく認識できていない「耳音痴」と、出したい音程の声を狙った通りに出せない「喉音痴」の2つです。
ケースによって音痴の改善方法は異なりますので、まずはそれぞれのタイプの特徴を見てみましょう。
耳音痴
まず「耳音痴」は、聞いた音の高さを正しく頭で認識できない音痴のことを指します。
カラオケで流れるメロディの音程をうまく把握できないために、喉からも正しい音程の声を出せなくなっている状態です。
耳音痴の場合、本人は正しい音程で歌っているつもりの歌であっても周囲の人が聞くと「あれ?」と感じます。
たとえるなら本来「ド」の音のはずが「ソ」の音で歌ってしまっているイメージ。
キーがひとつ上だったり下だったりする音程で無意識に歌っているため、自分ではなかなか気づくことができません。
ただし、耳音痴の人はごく少数に限られますので、ほとんどの方は気にしなくて良いでしょう。
「こういうタイプの音痴もあるんだ」くらいの認識で問題ありません。
喉音痴
「喉音痴」とは、耳と頭では正しい音程を把握できているものの、その音程で声を出せない状態のことを指します。
つまり、音域が狭いために声が出ない人はこのタイプの音痴と言えるでしょう。
このケースの場合、自分自身で「あ、音がずれているな」と気づくことがほとんどです。
音痴であることを自覚しているので、「人前では歌いたくない…」などとつい歌うことを避けてしまいがちなのも喉音痴の特徴。
喉音痴の場合は、喉の使い方やトレーニングが足りていないために音がずれてしまうので、きちんと訓練すれば直すことができます。
そのつらさを乗り越えつつ、正しい直し方を知ることが大切です。
音域が狭い人が音痴を直す3つの方法
音痴を矯正することができれば、ビブラートやミックスボイスなど難易度の高い歌唱テクニックにも手を出しやすくなります。
自分の歌に自信を持ち、音痴を気にせず歌えるようになるからです。
今回は音域が狭い耳音痴タイプの人向けに、改善方法を紹介していきます。
自分の音域を知る
音域が狭いタイプの音痴の人は、まずは自分が出せる音域を知ることが大事です。
実際に曲にあわせて歌える「歌で出せる音域」と声として出すことはできても「歌では出せない音域」があります。
それぞれをしっかり認識して、まずは自分の「歌で出せる音域」から練習してみましょう。
自分の音域に合った曲で練習する
「歌で出せる音域」を知ることができたら、その音域で歌える楽曲を選びましょう。
ほとんどの曲で最も高音になる場所は、曲の中で一番盛り上がりを見せるサビです。
サビの最も高くなる部分を自分の音域に合わせて選ぶのがポイントです。
その曲を歌うことができるようになったら、もう少し音域が広めの曲に挑戦してみましょう。
音域を広げるボイトレをする
音域が狭い人はボイストレーニングをすることで、広げることができます。
むやみやたらに高い声を出し続けても、音域は広がりません。
むしろ喉を痛めて余計に高い声を出すことができなくなります。
以下の記事で音域の広げ方を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
音域が狭い人が高音を出すためのテクニック
音痴な人は音域が狭いため「高い音が出せない」という悩みを抱えている人がほとんどです。
もともとの地声が低い人は、日常的に高い音を出す機会が少ないため、歌うにあたっても高い音を出しづらくなっています。
しかし、練習次第では音域を広げて高音を出せるようになります。
カギとなるのは「歌うイメージ」をしっかり描くこと。
「自分も歌が上手くなりたい」
そんな意識が芽生えた方は、次にご紹介する3つのポイントを抑えて、ぜひカラオケ練習に取り組んでみてください。
風船を膨らませるような息づかい
高い音を出すにあたっていちばん大切なのは「呼吸」です。
ここでは、息を吐くときに「風船を膨らませる」というイメージを持って取り組むトレーニングをおすすめします。
風船を膨らませるためには、普段の呼吸よりも強く大きく息を吐く作業が必要です。
実際にグッズ(100円ショップで買えるようなゴム風船)を用意して試してみるとわかりやすいかもしれません。
強く大きな呼吸をイメージして吐く息を調節してみてください。
肩を上下させる胸式呼吸ではなく、お腹を凹凸させる腹式呼吸で行うのもポイントです。
息を吐くとお腹がへこみ、吸うとお腹が膨らみます。これを腹式呼吸と呼び、腹圧の強弱で声を出すことを腹式発声といいます。
この「風船を膨らませる」イメージで呼吸ができると腹式発声も自然と身につき、いわゆる「腹から声を出す」ことができるようになるのです。
最初は息を吐くことやお腹の動きに注目してしまい、つい力んでしまうかもしれません。
少しずつ練習を重ねて背筋を伸ばした姿勢を維持しながら、「風船を膨らませる」イメージの呼吸に慣れていってください。
鼻から声を出すようにする
喉からではなく鼻から声を出すイメージを持つと、高音で歌いやすくなります。
鼻から声を出すわかりやすい例が「鼻歌」です。
普段と同じように鼻歌を歌ってみてください。
あなたの今の状態が、鼻から声を出すというイメージになります。
では口を閉じて鼻歌を歌っている状態から、今度は口を開けて歌ってみましょう。
口を開けて、「鼻歌を歌っている」イメージを持ったまま発声練習をする方法です。
喉ではなく鼻の位置から声が出ているイメージを描くことができれば、いつもより高音が出しやすくなります。
また、声量もアップしていることを実感できるはずです。
口を横に広げて微笑むように声を出す
高音が苦手な人の特徴として、「歌うときの口が小さい」ということがあげられます。
小さな口でボソボソと歌おうとすると、声量が小さくなるばかりでなく、高音も出にくくなるものです。
試しに口を横に広げ、口角を上げて笑顔をつくるようなイメージで声を出してみてください。
ダイナミックに口を動かして、高音では特に口を大きく広げるようにすると、一粒一粒の音がはっきりと聞こえるようにもなります。
微笑むように歌うことで表現力もアップし、「この人は歌が上手いな」という印象にもつながるでしょう。
滑舌の改善にも効果がある「口を広げる」という方法は、基本的なことでありながら非常に効果的な練習法といえます。
音域の狭い男性が高音域の声を出すコツ
ホラー映画で、幽霊がガラガラ声をあげながら迫ってくる「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」という低い声がエッジボイス。
ピンと来ない方は「呪怨」のような映画で、ホラーシーンを確かめてみると良いかもしれません。
また、動画サイトYouTubeでもガラガラ声を聴くことができます。
音声のみで怖くありませんので、これを聴きながらエッジボイスのイメージを掴んでみてください。
ガラガラ声を習得できたら、その声をより長く続けられるようにトレーニングしていきましょう。
これは声帯の筋肉を締めるのに最適な練習法で、継続することによって高音が出しやすくなり、音域が広がります。
歌唱力を上げてあの子を心をゲットしよう!
「音痴」の正体と音域が狭い人でも歌唱力をアップできる高音の出し方をご紹介しました。
正しい方法で練習し、正しいテクニックを駆使すれば、専門のボイストレーナーに教わらなくてもしっかりと歌唱力を高めることができます。
リズム感を身につけて音域を広げ、きれいな高音を出して歌を上達させる重要なコツは「イメージすること」です。
今回お話した「風船」のイメージや「鼻歌」のイメージを意識しながら、自分の得意な練習曲で実際にボイストレーニングを試してみてください。
前よりもっとカラオケに行くのが楽しくなりますよ!
この記事のまとめ!
- 音痴には「耳音痴」「喉音痴」の2つがあり、ほとんどの男性は喉音痴タイプである
- 音域が狭い人はまずは自分の出せる音域を把握する必要がある
- 声の出し方や口の広げ方といったポイントを抑えるだけで高音が出しやすくなる