人には生まれ持った声質があります。
声の高低や、ハスキーボイスかクリアボイスかなどは、生まれつきの要素なので変えることは難しいといわれています。
しかし実は、息や音程、喉の使い方を意識することにより、声質を変化させることは可能です。
さまざまな歌声を使い分けることができれば、カラオケで歌える曲のバリエーションもグッと増えることでしょう。
この記事でわかること
「声質診断」とは?
声質診断とは、文字通り人の声のタイプを診断することです。
現在ではさまざまな携帯電話向けアプリがリリースされており、チェック項目を選んで声を吹き込むことで、自分の声質をセルフチェックできるようになっています。
まずは高音か低音か、クリアボイスかハスキーボイスかの2つの基準をもとに声質を判定し、4つのタイプに分けて紹介していきます。
自分の声がどれにあてはまるか確認してみてください。
高音のクリアボイス
高音×クリアボイスのタイプに分類されるのは、「スキだから」などの代表曲がある郷ひろみや「CHAMP」を歌うB’zの稲葉浩志、「変わらないもの」の奥華子といったボーカリストです。
よく通る高い声の持ち主は、万人に好かれるタイプの声質といえます。
カリスマ的素養を備えているので、学校や会社・サークルのなかでは人気を集める声の持ち主です。
爽やかな歌声は同性にも異性にもウケがよく、カラオケでも注目を集めるような人物でしょう。
高音のハスキーボイス
高音×ハスキーボイスの持ち主は、「I LOVE YOU」を歌う尾崎豊、「瞳をとじて」の平井堅、女性なら「First Love」などで知られる宇多田ヒカルのような歌手が代表的です。
このタイプの声質は、人情味があり親しみを感じやすいという性質を持ち合わせています。
青春パンクを歌うボーカリストのような、情熱を感じさせるイメージです。
一方で、落ち着いたしんみりとした場面では、包容力があり安心するような癒し系の声にもなります。
低音のクリアボイス
低音×クリアボイスの声質を持つ歌手としてあげられるのは、「糸」を歌う中島みゆき、「千の風になって」の秋川雅史、「さそり座の女」でも有名な美川憲一です。
重みがあり誠実な印象を持たれやすい声質で、説得力あふれる声のため人から信頼されやすいという特徴もあります。
格調高く真面目さを感じる声であり、頼りがいのあるパワーのある歌声です。
低音のハスキーボイス
最後は低音×ハスキーボイスのタイプです。
この声質の持ち主として有名なのは、「桜坂」の福山雅治、「Story」のAIなど。
声優業界でいえば、ワンピース・ルフィ役の田中真弓の声が代表的なところです。
このタイプの特徴は、セクシーで魅力的な声質であることです。
男女問わずカッコいい!といわれる声であり、たくましく包み込んでくれるような深みが感じられます。
4つのタイプのうちではこの声質が1番人口が少なく貴重な存在です。
低音かつハスキーな声を持っている方はラッキーといえるでしょう。
歌声の種類
声質診断で人が生まれながらにして持つ声の種類を紹介しました。
続いて取り上げるのは、「歌声」の種類です。
「チェストボイス」「ファルセット」などの言葉だけなら、どこかで聞いたことのある人もいるのではないしょうか。
次に代表的な4つの種類について解説してきます。
いずれも誰もが出すことのできる歌声です。
チェストボイス
チェストボイスは、いわゆる「地声」と呼ばれる発声方法です。
声を出すときに胸が振動するため、このような名前がついています。
試しに「あ〜〜」とただ声を出してみましょう。
その状態で胸に手を当ててみると、細かく振動していることがわかります。
この発声がチェストボイスであり、もっとも多用される歌声です。
はっきりとした言葉の輪郭をつくることが可能で、音楽のジャンルを問わず使われるのも特徴といえます。
ヘッドボイス
俗にいう裏声のことを指します。
なかでも息の音が混ざらない裏声のことを音楽用語で「ヘッドボイス」と呼び、少ない息の量で発声するのが特徴です。
この名前は、発声する際に頭部が共鳴することに由来しています。
正しくヘッドボイスを出せている判断基準は、頭の内側で声が響いているような感覚を得られているかどうかです。
このテクニックは高くきれいな音が出せるため、さまざまな楽曲で取り入れられています。
ミックスボイス
ミックスボイスは、チェストボイスとヘッドボイスを文字通り「ミックス」させた発声方法です。
別名ミドルボイスとも呼ばれます。
これは、ヘッドボイスのきれいな高音と、チェストボイスの豊かに響く低音をブレンドさせ、自在に声色を変える歌い方です。
ミックスボイスを使う有名なアーティストの中には、「The Beginnig」を歌うONE OK ROCKや「愛情」の小柳ゆきといったボーカリストがいます。
ミックスボイスの習得にはかなりのトレーニングが必要とされますが、メジャーデビューしている歌手のほとんどが身につけている発声方法です。
習得できれば、間違いなくカラオケで高得点が期待できるでしょう。
ファルセット
ファルセットは、裏声のなかでも息の音がたくさん混ざった声を指します。
ヘッドボイスとは異なり、息を大量に消費することが特徴です。
たくさん息を使う分、淡く幅をもたせた声になります。
ファルセットを使う有名なアーティストの中には、「さくら (独唱)」を歌う森山直太郎、「This Love」のアンジェラ・アキなどがいます。
声質を変えるには?
本来おおもとの声質は変えられないものですが、歌うジャンルによって歌声を変化させ、違った声色を出すことは可能です。
声というのは、肺から送られた空気が声帯を通じて音となり、体のなかで共鳴して大きくなって、口や喉・舌によって言葉として発せられます。
このメカニズムを活かして、声質を変える方法です。
自分の歌声に変化を与えてみたいという方は、これからご紹介する6つのポイントを意識して歌ってみてください。
息の強弱
息の強さでも声質を変えることが可能です。
当然ですが、強い息で歌えば力強い声に、弱い息で歌えば弱々しい声になります。
腹式呼吸が身についていれば、お腹に込める力の強弱で息の強さをコントロールすることが可能です。
ただし、あまりに息を強く吐いてしまうと、声帯に大きな負担がかかり喉が枯れてしまいます。
「カラオケで大声で歌っていたら喉がガラガラになった」という現象は、この強すぎる息によって声帯を傷めてしまったことにより起きるのです。
声の高低
続いては、声の音程の高さです。
高い声で歌うか低い声で歌うかによって、歌声の印象はまるっきり違ってきます。
カラオケではキーの調節ができますので、いつも歌っているキーよりも少し上げてみたり下げてみたりすると、普段と違ったイメージの声色で歌うことが可能です。
声帯の閉じ方
高く・通りやすい声を出す手段としてあるのが、外喉頭筋を使って声帯を閉じ息の通り道を狭くするという方法です。
逆に声帯を開ききってしまうと、息が漏れた声になってしまいます。
バランスのよい声帯の閉じ具合を探しながら歌うように心がけるとよいでしょう。
喉の開き方
オペラで歌われるような厚みのある声は、喉を開くことで再現することが可能です。
一方で喉を閉めてしまうと、平べったくつぶれた声になってしまいます。
喉の奥には「咽頭腔」と呼ばれる空間がありますが、このスペースを広くとって音が響くようにしてあげると、重厚感ある声で歌うことができます。
口の開き方
学校の音楽の授業では「口を大きく開いて歌いましょう」と教えられたことはないでしょうか。
これは母音の輪郭をはっきりさせるためのポイントとなる動作です。
顔や口をダイナミックに動かして歌うことで、感情が伝わりやすくなるうえ、言葉の1粒1粒が明瞭になるため聴きやすい歌声になります。
鼻にかける出し方
風邪をひくと鼻声になることがありますが、意図的に鼻にかけた声で歌うことにより、音が鼻腔で響いていつもと違う歌声にすることができます。
カントリー系の楽曲では、鼻にかけて歌うことを「ホンキートンク唱法」と呼び、れっきとしたの歌唱テクニックの1つです。
歌声に変化をつけたいときに使ってみるとよいでしょう。
喉ではなく、お腹から声を出す
大きな声を出すときに「腹から声を出せ!」といわれることがあります。
これはすなわち、胸式呼吸で不安定な声を出すのではなく、腹式呼吸でたっぷりと息を吐き出しながら声を出そうというアドバイスです。
声量を増やせるだけでなく、肺活量が増えるため息継ぎが少なめですんだり、安定してロングトーンを出せるようになったりとさまざまなメリットがあります。
ここでは、歌唱力アップトレーニングの定番ともいえる腹式呼吸のメリットと、最終的なボイストレーニングまとめをご紹介します。
腹式呼吸のメリット
腹式呼吸では、喉ではなくお腹を使って声を出します。
喉にムダな力が入らないため、長時間歌っても疲れることが少なく、高い音を簡単に出せるようになります。
喉が詰まったり引っかかったりすることも少なくなり、発声に余裕を持つことができるため歌い手には必須の呼吸法です。
お腹に力を入れることで重心が下がり、歌う体勢を安定させるメリットも期待できます。
また腹式呼吸によって精神が安定したり、ストレスを軽減できる効果もありますから、健康的な体づくりをするうえでもおすすめです。
腹式呼吸の練習方法
仰向けになってラクな体勢をとることで、効率的な腹式呼吸の練習ができます。
まずは横に寝そべった状態で手をお腹の上に軽く添えてください。
その後、お腹を膨らませるイメージで息を吸い、お腹をへこませるイメージで息を吐きます。
お腹のなかに風船があると想像してみるとよいかもしれません。
息を吸うとお腹の風船が膨らみ、吐くとしぼむ。
目を閉じて、お腹の感覚に集中しながら呼吸すると体感的に理解することができます。
声質を変えてバリエーションを増やそう
4タイプに分かれる声質診断、4つの歌声の種類、そして声質の変え方と腹式呼吸について見てきました。
自分がどんな声質や歌声なのかを理解することで、練習方法や目指す方向性も変わって来るかもしれません。
スマートフォンのアプリやボイスレコーダーなど、自分なりの録音方法で声を確かめながら練習すると効率的です。
歌声の種類を変えて息や声帯の使い方を意識することで、声質を変えながら歌うことができます。
いずれにしろ、基礎となる腹式呼吸を身につけることがもっとも重要です。
無意識に腹式呼吸ができるようになったら、実際に歌いながら声質を変え、歌声のバリエーションを増やしていきましょう。
この記事のまとめ!
- 高音か低音か、クリアボイスかハスキーボイスかの基準で、4つの声質がある
- 地声と裏声だけでなく、4つの歌声がある
- 声質を変えるためには、息や音程、声帯、喉、口の使い方を意識しよう
- まずは腹式呼吸を身につけ、安定した発声ができるようになろう