2010年代になって一大ブームを巻き起こしたボカロ曲。
実は、ボカロ曲には男女のデュエット曲が多いという特徴があります。
アップテンポなナンバーから切ないラブソング、ファンタジー系の曲まで、ボカロのデュエット曲の奥深さをお楽しみください。
【ボカロ】って何の略?
「ボカロ」という言葉を耳にしたことはありませんか?
これはある音楽の演奏方法を指す言葉なのですが、近年では「ボカロ」は一つの音楽ジャンルを意味する言葉となりつつあります。
ここでは、「ボカロ」という言葉の意味と、その歴史を簡単に解説していきます。
ボカロ=ボーカロイド
「ボカロ」とは「VOCALOID(ボーカロイド)」の略です。
VOCALOIDとは、メロディや歌詞を入力すると人間の声で歌として再生できるソフトのことを指します。
VOCALOIDは2003年にヤマハが開発しました。
ヤマハといえば、ピアノをはじめとした楽器のメーカーとして広く知られていますが、これをきっかけとして従来とは違った側面をもったメーカーとして認知されることになりました。
はじめは物珍しい存在で、まだまだマイナーでしたが、無名のトラックメイカーたちが自身の楽曲をVOCALOIDで作成し、ニコニコ動画などでオリジナル曲を投稿。
それを再生したユーザーからコメントが殺到、思わぬ反響を呼ぶことになります。
その後、VOCALOIDのキャラクター「初音ミク」が大ヒットし、楽曲を作ったトラックメイカーたちもアーティストとして広く認知されるようになり、グッと知名度を上げることになったのです。
ボカロは、もはや一つのジャンルとして定着し、初音ミクのほかに鏡音レン・鏡音リン・GUMIなど、多くのキャラクターが有名になってきています。
すでに動画サイトでは、それぞれのタグが用意されており、聴きたいキャラクターごとに再生することも可能です。
人間には出せない機械的な声と、人間では歌えないようなメロディも機械だから難なくこなせてしまえる点、さらにボカロを使って作曲するトラックメイカーたちの繊細な感性が相まって、ヤマハの開発から15年近くたった今、VOCALOID曲は多くのファンを獲得しています。
初音ミクの存在
ボカロの中でもとくに絶大なる人気と知名度を誇るのが「初音ミク」でしょう。
その楽曲は「ミク曲」と呼ばれ、代表的な存在となっています。
2007年に登場した彼女は、登場直後から絶大な人気を発揮しました。
テレビ番組のテーマソングやゲームソフトの宣伝をはじめ、多くのメディアに取り上げられ、ボカロの存在を世に知らしめた謂わばパイオニアです。
とくに有名なのが、2011年に同人音楽サークル・黒うさP(※「P」はボカロを扱う“ボカロプロデューサー”のこと)が製作したVOCALOIDオリジナル曲「千本桜」。
アップテンポな曲調とキャッチーなメロディ、VOCALOIDという近未来的なジャンルである一方、明治や大正を彷彿とさせる和のテイストの歌詞が相まって、多くの歌い手にもカバーされる初音ミクの代表曲となりました。
人気ボカロデュエットおすすめ曲10選
ボカロデュエットのおすすめ曲を、50音順で紹介していきます。
GUMI・鏡音レン「嗚呼、素晴らしきニャン生」
毎日毎日、電車にゆられて時間に追われて上司に怒鳴られ…。
そんな毎日を送っているなか道端の野良猫を見て、ふと「ああ、ネコになりたい……」なんて思った経験はありませんか。
このVOKALOID曲は、そんな願望をかなえてくれる曲です。
この曲はボカロの定番デュエット曲なので、ネコになった気分で気になるあの子を誘って一緒に歌ってみるのはいかがでしょうか。
サウンド的にはジャズやスカ、ブギなどの要素が入ったニャンともいえない、いや、何とも言えない独特なサウンドです。
初音ミク・KAITO「サンドリヨン(Cendrillon)」
「嗚呼、素晴らしきニャン生」と比べると、かなり大人の雰囲気が漂う恋愛曲です。
誰もが知っている童話「シンデレラ」の世界をモチーフとしているため、情景がイメージしやすい一方、歌詞の裏には男と女の一筋縄ではいかない複雑な物語が見え隠れしています。
付き合いたてのカップルが「大人の恋愛を目指してカラオケで歌ってみる」と、ふたりの距離がさらに近づくかもしれません。
鏡音リン・鏡音レン「しんでしまうとはなさけない!」
こちらはアップテンポな曲調で、掛け合いを楽しむタイプのデュエット曲です。
気を付けなければいけないのが、VOCALOID特有の早口のフレーズ。
鏡音リンと鏡音レンは難なくこなしていますが、人間がやるには相当な練習を必要とする楽曲といえます。
しかし、ここをバシッと決めれば、デュエットしている相手の胸をときめかすことができるかもしれません。
鏡音リン・鏡音レン「chocolate box」
「chocolate box」は、彼氏・彼女同士でカラオケに行ったときに歌いたい鏡音リンレン曲です。
好きだからこそ嫌い、嫌いなんだけれど好き。
好きと嫌いを繰り返す複雑な恋愛感情を、某テーマパークのパレードのような曲調に乗せて歌っています。
恋人同士でデュエットするにはもってこいの一曲です。
ついでに、日ごろの不満もこの歌詞に載せてきれいに吐き出してしまいましょう。
鏡音リン・鏡音レン「trick and treat」
「trick or treat」は、今や日本でもすっかり有名になったハロウィンの決め台詞。
「お菓子をくれなきゃイタズラするぞ」という意味があります。
しかし、この曲のタイトルは「trick and treat」。
お菓子も悪戯もどちらもほしいという、少し怪しげなにおいを感じる曲です。
実際、歌詞の中にもエロチズムを彷彿とさせる箇所があります。
あなたはこの“エロイ曲”を、気になるあの人とデュエットしてみる度胸はありますか。
鏡音レン・初音ミク「泣キ虫カレシ」
VOCALOIDの最大の弱点、それは感情を表現できないこと。
そのため作り手は、「歌声」以外のところで感情を表現していかなければなりません。
歌詞やメロディ、楽曲を収めるトラックといった細部で工夫を凝らすという方法です。
歌声に感情をのせられないからこそ、純粋に作り手の良し悪しが歌に表れてしまうので、つまらない曲は本当に聞くに耐えない楽曲になることも…。
一方でこの「泣キ虫カレシ」は、歌詞やメロディ、バックトラックで見事に恋の切なさを表現しています。
無機質なボカロの歌声が、肉声よりもむしろ寒々しさを感じさせる素晴らしい楽曲です。
歌声以外の部分で感情表現ができているからこそ、ボカロの歌声が胸に響く代表的な作品といえます。
鏡音リン・鏡音レン「秘蜜~黒の誓い~」
禁断の恋を描いた美しくも儚いラブソングです。
このようなファンタジーソングは、2000年代ビジュアル系ロックバンドの十八番だったのですが、2010年代はVOCALOIDの得意ジャンルとなっています。
面白いのが女性パートの鏡音リンが少年の気持ちを、男性パートの鏡音レンが少女の気持ちを歌うという作りになっていること。
デュエットしてみると、とても不思議な感覚が心地いいですよ。
鏡音リン・鏡音レン「魔法の鏡」
ボカロ界の名デュエット、鏡音リン・レンが歌う鏡の歌です。
歌詞は幻想的でいて、どこか現実世界とのつながりを感じさせる独特の切なさが漂っています。
それに対してメロディはポップそのもの。
とても歌いやすい一曲といえます。
ハモリの部分が長いですが、その分、ソロパートが際立つ曲です。
鏡音リン・鏡音レン「ムシクイサイケデリズム」
これまた既存のJ-POPではなかなかできない猟奇的な曲です。
エロティックな曲でもあるのですが、「君を殺して…」「折れた針で目を貫いて…」と、バイオレンスが表現が随所に見られます。
この曲は歌唱力もかなり試される歌ですので、自信のある方はぜひチャレンジしてみてください。
BUMP OF CHICKEN feat.HATSUNE MIKU「ray」
BUMP OF CHICKENと初音ミクがタッグを組んだ話題曲。
もとは、BUMP OF CHICKENのアルバム「RAY」の収録曲であり、人気曲の“初音ミクコラボバージョン”となっています。
夜空を見上げて別れた恋人に思いを馳せる歌詞ですが、悲壮感はなく前を向いていこうという意思を感じさせる歌詞が特徴的です。
初音ミクの機械的な声とデュエットすることにより、歌の主人公が想いを馳せる相手さえも機械的なイメージとなり、原曲よりも「二度とその人と会えない」気持ちが際立って感じられます。
サビの人間の声とVOCALOIDによるユニゾンは必聴です。
まさにボカロの神曲といえるでしょう。
ボカロデュエットは男女だけではない
デュエットというと“男女”を思い浮かべがちですが、そもそもの意味は「ふたりの歌い手による重唱」です。
そう考えると、KinKi KidsやCHEMISTRY、PUFFYなどは、デュエットソングに該当することになります。
ボカロの世界にも、同じく同性同士の“ボカロデュエット曲”が珍しくありません。
GUMIと巡音ルカオリジナル曲の「ハッピーシンセサイザー」や「ミクウナ」として知られる初音ミクと音街ウナの「ちがう!!!」のように、女性同士のデュオが多くなってます。
楽曲だけでなく、「ミクルカ」といったキャラ同士のコンビを楽しむファンも多いようです。
カラオケでボカロのデュエット曲に挑戦してみよう
ボカロの男女デュエット曲特集、いかがだったでしょうか。
「鏡音リン・レン」の影響か、現在では一般的なJ-POPよりも男女デュエットの曲数は多くなっている印象を受けます。
ボカロ曲は「初々しい恋の歌」「切ないラブソング」「ファンタジー系」から「エロティック」なものまで実に幅広く、その日の気分に合わせて楽しめるのも特徴です。
2008年ニコニコ動画で10万再生を記録した「番凩(つがゐこがらし)」といった話題曲から聴いてもいいでしょう。
現在ではボカロPも多数存在していますから、「アヒル軍曹P featt◯◯」「シグナルP feat◯◯」という名前や、各々の曲ランキングからお気に入りの曲を見つけることもできます。
興味がある方は、このあたりを入口としてボカロの世界を開拓してみてください。
また、恋人同士や友達同士でカラオケに足を運んだら、ぜひボカロのデュエット曲にチャレンジしてみましょう。
きっといつもとは違った楽しさが味わえるはずですよ。
この記事のまとめ!
- VOCALOID曲は普通のJ-POPよりもデュエット向き
- ボカロにはテクニックが求められるフレーズがあるので、歌いこなせたらカッコいい!
- ボカロは独特な世界があるので選曲には気をつける