アカペラの日本一を決める「全国ハモネプリーグ(ハモネプ)」や、YouTuberのヒカキンの影響で有名になったボイスパーカッション(ボイパ)。
- 楽器を購入しなくてもいい
- 気軽に始められる
- 口だけでパーカッションのさまざまな音を再現できる
この記事でわかること
ボイパとは
「ボイパ」とは「ボイスパーカッション」の略で、口で打楽器の音色を奏でる演奏方法のことです。
アカペラグループ「RAG FAIR」や、ボイスパーカッションを得意とするインフルエンサーの登場によって知名度が上がり、「ボイパ」という略称で世間に広まりました。
ここでは、
- ボイパが生まれた歴史
- ヒューマンビートボックスとの違い
について紹介します。
ボイパの歴史
ボイパが誕生したのは1960年代のアメリカです。
楽器を使わずに音楽を作り出すアカペラ音楽において、人の声でパーカッションを模した音を出そうとしたのが始まりでした。
日本では「ボイスパーカッション(ボイパ)」と呼ばれていますが、海外では「Vocal Percussion(ボーカルパーカッション)」と呼ばれています。
ヒューマンビートボックスとの違い
ボイスパーカッションに似た言葉として、「ヒューマンビートボックス」があります。
ボイパはあくまでもアカペラのグループ内での1つのパートであるのに対し、ヒューマンビートボックスは1人でも完結できることが大きな違いです。
ヒューマンビートボックスは打楽器の音だけでなく、
- ベース
- 管楽器
- 特殊音
ボイパの種類
ボイパは大きく分けて、
- 声を使って演奏する⇨「有声パーカッション」
- 無声音で演奏する⇨「無声パーカッション」
の2種類が存在し、どちらを使うかによって音色や音量に違いが出るのです。
自分の出したい音やボイパをする環境にも大きく影響することなので、ボイパを練習する前に2種類のボイパの特徴を知っておきましょう。
有声パーカッション
有声パーカッションは声を用いて演奏するボイパで、「関東流」や「ボイスドラム」とも言われています。
唇や舌を弾く音に声を乗せることで表現の幅が広がり、より本物のドラムセットに近い音色が出せるのです。
- 力まなくても大きな音量が出せる
- 同じ音の連打もやりやすい
ことが特徴ですが、音色によって口の形が全く違うため、複数の音色を続けて出すのは難しくなります。
無声パーカッション
自身の声を使わず、無声音で演奏する演奏方法で、「関西流」や「マウスドラム」とも言われます。
- 唇の振動を使って音を出すため、アタック感が増し、迫力のある音になる
- ひとつひとつの音がはっきりとした歯切れの良い音になる
- 口の形もあまり変わらないので違う音色との連携も簡単
などが特徴です。
パーカッションとしては綺麗な音になりますが、無機質で表現の幅が狭く、有声パーカッションより同じ音の連打しづらいというデメリットもあります。
ボイパ初心者が覚えるべき3つの音とやり方
ボイパ初心者がまず覚えるべきなのは、
- 「バスドラム」
- 「スネア」
- 「ハイハット」
この3種類の音がボイパの基本で、この3つがきちんと出せるようになるだけでも、かっこいいボイパができるようになります。
バスドラムとスネアは有声・無声によって出し方が違うので、自分の習得したい方法に合った出し方を試してみてくださいね。
バスドラム
バスドラムはドラムセットの足元に置いてあり、最も低い音でビートを支える楽器です。
リズムキープをするのに最も重要な音なので、スムーズに出せるように練習しましょう。
まずは、バスドラムのやり方を紹介していきます。
有声パーカッション
「ド」「ドゥ」という声を舌を弾きながら出す方法です。
唇を閉じながら発音することで、舌を弾く感覚がつかみやすくなります。
鼻や胸で音を響かせることを意識すると、より本物に近い音色になります。
無声パーカッション
息を大きく使い、勢いよく「ブ」と発音します。
マイクを使って話す時、バ行で「ボッ」という音が入ってしまうことがありますが、あの感覚で音を出します。
舌を使って勢いをつけることを意識し、唇を弾く感覚をつかみましょう。
スネア
「スネア」は高い音のする太鼓で、ドラムの中で最も目立つ楽器です。
ボイパ全体の印象を左右する音なので、かっこよく出せるとボイパ全体が上手に聴こえます。
次に、スネアのやり方を紹介していきます。
有声パーカッション
有声パーカッションでは、口をすぼめて歯を閉じ、舌を上あごにつけながら「トゥ」と発音します。
発音と共に頬を膨らませると、スネアの裏に張ってあるスナッピーの響きが際立ちます。
歯の開き具合でアタック感を調節できるので、色々試しながら自分の好みの音を探ってみてください。
無声パーカッション
「プ」と「フ」を同時に発音し、口の中の空気を大きく吐きます。
唇を内側に巻きつけて舌を弾く「プ」の発音と、吐いた息が歯の間を通る「フ」の発音をつなげる意識で練習しましょう。
有声スネアと同様、口や歯の開き具合で音色が変わるので、色々と試しながら自分の好きな音色を探してみてください。
ハイハット
「ハイハット」は2枚のシンバルが重なった楽器のことで、ボイパでは最も多く使う音です。
- まずは舌打ちする感覚で「チェッ」という音を出し、「チェッ」の「エ」の音を発音しないように意識しながら出してみましょう。
- 上手く「エ」の音を消すと「チッ」という、クローズド・ハイハット(2枚のシンバルが閉じた状態)の音が出るようになります。
息をより多く、長く吐き出すことによって、2枚のシンバルが開いた状態の「ツーッ」というオープン・ハイハットの音も出せるようになると、表現の幅が広がりますよ。
8ビートの練習方法
- バスドラム
- スネア
- ハイハット
基本となるのは「8ビート」といって、4分の4拍子で8分音符を基本として作ったビートです。
8ビートは多くの曲に使われているので、習得すれば曲に合わせてボイパができるようになりますよ。
以下では、
- バスドラムを「B」
- スネアを「P」
- クローズド・ハイハットを「T」
と表記して練習法を解説していきます。
ステップ1
最も基本的な8ビートは、[B T P T B T P T]というビートです。
- 1小節の4拍を「1・2・3・4」ではなく「1エン2エン3エン4エン」と数えながら8分音符の裏(「エン」の部分)を感じましょう。
- 1拍目と3拍目にバスドラム(B)、2拍目と4拍目にスネア(P)がきます。
- その間にクローズド・ハイハット(T)を入れ、8ビートを完成させましょう。
ステップ2
ステップ1ができるようになったら、次は[B T P T B B P T]という8ビートを練習します。
ステップ1で練習したビートで、3拍目の裏(「3エン」の「エン」の部分)がクローズド・ハイハットではなくバスドラムになったパターンです。
バスドラムのパターンを変えることで、単調なビートに変化を付けられます。
これができたら、2拍目の裏をバスドラムに変えて[B T P B T B P T]というパターンも練習してみましょう。
ステップ3
最後に、オープンハイハット「THS」を入れて小節の最後に迫力を出してみましょう。
[B T P T B B P T / B T P B T B P THS]というパターンです。ステップ2で練習した2つのパターンを繋げて、最後のクローズド・ハイハットをオープンハイハットに変えます。
オープンハイハットの音を混ぜるだけで、グッと本物のビートのような迫力になりますよ。
ボイパやヒューマンビートボックスの有名人6選
ボイパやヒューマンビートボックスは、「ハモネプ」をきっかけに日本中に広まりました。
中にはボイパで有名になった人も多く、音楽業界だけでなく、YouTubeなどでも活躍している人もいます。
これから紹介する人たちは、ボイパやヒューマンビートボックスの達人ばかりなので、音のイメージがなかなかつかめない人は、参考にしながら練習してみましょう。
Daichi
Daichiはパーカッションだけでなく、さまざまな音を再現できるヒューマンビートボクサーで、表現できる音は50種類以上と言われています。
元々シャイだったというDaichiは、最初は1人でひたすら耳コピしながら練習していました。
アポロシアターで開催された大会で年間3位という好成績を残した実績もあり、日本だけでなく世界に通用するアーティストです。
TATSUYA
日本ヒューマンビートボックス協会代表理事を務めており、ビートボクサー「TATSUYA」としても活動しています。
2011年の日本ビートボックス選手権で優勝を果たし、日本のビートボックス発展に大きく貢献しました。
速いテンポのビートに多くの音を詰め込み、目まぐるしく展開するビートボックスが特徴です。
HIKAKIN
トップYouTuberHIKAKINとして知っている人も多いと思いますが、元々はヒューマンビートボックスで有名になった人物です。
動画の冒頭の「ブンブン ハローYouTube」という、喉ベースを使った挨拶を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
ビートボックスの実力は世界基準で、エアロスミスやアリアナグランデなどの世界的アーティストと共演した経験もあります。
AFRA
AFRAは、2003年に日本で初めてのヒューマンビートボックスアルバムをリリースした、アーティストです。
口だけで作ったアルバム「Heart Beat」や、AFRAが出演したCMの影響でヒューマンビートボックスを始めた人も多く、日本ヒューマンビートボックス界のパイオニアとも言えます。
歌やラップを邪魔せず、引き立たせるビートが魅力です。
ZU-nA
ZU-nAは早稲田大学卒業の高学歴ビートボクサーで、独学でヒューマンビートボックスを学び、パフォーマンスグループにスカウトされました。
和楽器や殺陣などの日本文化とヒューマンビートボックスを組み合わせたパフォーマンスが、海外から高い評価を受けているのです。
ヒューマンビートボックスの他にも、俳優やモデル、プロデュース業などマルチに活躍しています。
Sh0h
Sh0hはビートボックスチーム「FOLK:LORE(フォークロア)」に所属しており、2014年にヒューマンビートボックスの日本一になりました。
世界大会のゲストやSUMMER SONICなどの大舞台を10代のうちに経験し、世界大会でも好成績を残しています。
圧倒的なスキルで日本のビートボックス界の未来を担う存在です。
ボイパ初心者は基礎の3つの音の練習から!8ビートができたら他のリズムも奏でてみよう
「ボイパ」と聞くと難しそうに感じますが、バスドラムとスネア、ハイハットの3つの音が出せれば8ビートはできます。
色々な8ビートのパターンができるようになったら、8ビート以外のリズムも練習してみましょう。
曲に合わせてビートを刻んだり、パーカッション以外の色々な音が出せるようになれば、ビートボックスがどんどん楽しくなってきますよ。
この記事のまとめ!
- ボイパパーカッションとヒューマンビートボックスの違いは、一人で完結できるかどうか
- ボイパには有声・無声の2種類があり、音量や音色に違いがある
- 初心者はバスドラム・スネア・ハイハットの3種類を習得しよう
- まずは8ビートを練習し、徐々にいろんなパターンを増やすのが良い