いくつもの声を合わせて歌い上げる「アカペラ」は、心にグッとくるものがありますよね。
「もっと色々な曲を聴いてみたい」という人も多いでしょう。 また、実はゴスペルとの違いが良く分からないという人も珍しくありません。
アカペラとは
伴奏を使わず声だけで楽曲を表現する歌のことを「アカペラ」と言います。
最近では「ハモネプ」がテレビ番組で放送されたことで、興味を持ったという人が増えました。
楽器がなくても奏でられるため、いつでも・どこでも・誰でも始められることが魅力です。
また、ピアノなど楽器の演奏では1人で黙々と練習することも多いですが、アカペラの場合は、みんなで集まってワイワイ楽しく練習することができます。
ここからは、アカペラの歴史やゴスペルとの違いをみていきましょう。
意味
「アカペラ」とはもともとイタリア語の 「ア・カペラ(a cappella)」のことで、「教会音楽」という意味があります。
そこから転じて、合唱や重唱という意味で使われるようになり、今では無伴奏で歌うことを指すようになりました。
クラシックでの合唱とは異なり、マイクを使うことを前提とするため、ボイスパーカッションなどが加わっているのも特徴の1つです。
歴史
日本では、古くから山下達郎やザ・キング・トーンズなどが楽曲に用いていました。
2000年に5人組ボーカルグループ「ゴスペラーズ」の「永遠に」が大ヒットすると「アカペラ」という存在が広く知れ渡りました。
その後、バラエティ番組で「ハモネプリーグ」が開催されるようになると、「青春アカペラ甲子園」への出演を目指し、学生を中心にいくつものアカペラグループが結成されるようになったのです。
アカペラとゴスペルの違い
「アカペラ」と言われて「ゴスペル」をイメージする人も多いでしょう。
しかし、アカペラとゴスペルは違います。
根本的な違いは、ゴスペルの場合、神様への愛や感謝が歌われることです。
楽器を持つことを禁じられていた黒人から誕生したゴスペルは、アカペラのように無伴奏で歌われることが多いですが、最近では、伴奏がついているものもたくさん存在していますよ。
主な構成
アカペラはメロディを歌うリードボーカルの他に、伴奏を声で担当するコーラスパートが3~4人。
その他、低音を担当するベースパートや「ボイパ(ボイスパーカッション)」と呼ばれるリズムを担当するボイスパーカッションを加えて5~6人で構成するのが理想とされています。
グループメンバーの特徴や、披露したい楽曲の雰囲気に合わせて、パートを構成していきましょう。
日本のアカペラグループ
「アカペラの曲をもっと聴きたい」という人は多いでしょう。
しかし「どんなグループがおすすめなのか分からない」という人も珍しくありません。
日本では2000年ごろからゴスペラーズの大ヒットや、ハモネプブームがきっかけとなり、それ以降様々なグループが誕生し、活躍してきました。
ここからは、日本のアカペラグループをチェックしていきましょう。
ゴスペラーズ
「アカペラ」という存在を日本中に広めたのが、5人組のボーカルグループ「ゴスペラーズ」です。
1994年にデビューし、2000年に「永遠に」をリリースすると、43週に渡っての異例の大ヒットになりました。
伴奏を使わず、声だけで歌い上げるスタイルは当時珍しく、ハーモニーの美しさに多くの人が魅了されたのです。
ライブではバンドに合わせて歌唱することも多く、迫力のあるステージが楽しめますよ。
Little Glee Monster
2014年にメジャーデビューしたのが5人組の女性ボーカルグループ「Little Glee Monster」、通称「リトグリ」です。
CMソングなどに多くの楽曲がタイアップされているので、テレビなどで耳にしたことがある人も多いでしょう。
最近では2019年に放送されていたコカ・コーラのCMソングで代表曲でもある「愛しさにリボンをかけて」の歌唱が印象に残っている人もいるのではないでしょうか。
伴奏を使ったパフォーマンスをすることが多く、ボイスパーカッションなどのパートはありません。
息のあったハーモニーで、心に残るメロディや歌詞を歌い上げた楽曲が多くの人に感動を与えているグループです。
ハイスクール・バンバン
2020年、若者を中心に話題になっているのは5人組アカペラグループ「ハイスクール・バンバン」です。
平均年齢18才の男女混合グループで、2019年のハモネプリーグにも出演して準優勝を果たしました。
You Tubeでは有名アーティストの曲を多数カバーしており、中でもAAA「恋音と雨空」のアカペラカバー動画は再生回数が135万回を超えています。(2021年2月現在)
2020年11月にはオフィシャルYouTubeのページで、オリジナル楽曲「Colors」も配信しているので、ぜひ聴いてみてくださね。
Permanent Fish
「神戸から世界へ」を合言葉に活動していたのが5人組アカペラグループの「Permanent Fish」です。
2008年に韓国でデビューし、韓国・日本と様々な場所でライブ活動をしていました。
韓国での活動経験を活かし、日本のアカペラグループとは少し違う、大人な雰囲気のパフォーマンスにも注目です。
残念ながら、2019年に解散してしまいましたが、その歌声はOfficial YouTubeページで聴くことができますよ。
INSPi
「INSPi」は6人組のボーカルグループです。
日立のCM「この木何の木〜」で有名な「日立の樹」の9代目を務めているので、その歌声を聴いたことがある人も多いでしょう。
大阪大学のアカペラグループ出身の彼らはハモネプの出演者で、それをきっかけにデビューしました。
ハモネプではそれ以降も審査員として登場したり、ゲスト出演したりしています。
安定のハーモニーはもちろんのこと、本物さながらのベースやボイスパーカッションにも注目です。
よかろうもん
高校時代に出会ったメンバーで構成されている「よかろうもん」も最近TikTokで話題のアカペラグループです。
2008年にはハモネプに出場した際には、一度に複数の音が出せるボイスパーカッション担当のDaichiが繰り広げる「ヒューマンビートボックス」が注目を集めました。
その後は、企業主催のイベントなどでパフォーマンスを披露していましたが、2017年から本格的に芸能活動をしています。
男性5人で構成されており、曲によってリードボーカルが変わるところも魅力です。
TRY-TONE
日本のアカペラ業界を支えてきた大御所グループといえば「TRY-TONE(トライトーン)」です。
1994年にビクターからCDデビューし、関東を中心に活動してきました。
メンバーの入れ替わりなどを経て現在は3名で活動しています。
ライブ活動だけでなく、会場で実際にトライトーンのメンバーとハーモニーを合わせることができる、「トライトーンアカペラ歌う会」と称したワークショップなども定期的に開催していますよ。
アカペラを全国に普及させる活動にも力を入れているグループです。
海外のアカペラグループ
アカペラといえば、日本より海外で盛んなイメージを持つ人も多いでしょう。
海外にもアカペラグループはたくさん存在しています。
特にゴスペルの発祥地であるアメリカでは、賛美歌をレパートリーに入れているグループもあり、盛んにパフォーマンスされているのです。
日本ではバラードソングが中心に歌われるイメージの多いですが、海外ではビートボックスが大活躍するバンドサウンドも目立ちます。
ここからは海外で活躍してるアカペラグループを紹介します。
Pentatonix(ペンタトニックス)
「Pentatonix(ペンタトニックス)」は、アメリカ出身の5人組アカペラグループです。
オーディション番組「The Sing Off」で優勝したのをきっかけに2011年にメジャーデビューしました。
男女混合の厚みのあるハーモニーが美しいグループです。
日本でも活躍しており、2014年に日本で発売されたクリスマスアルバムでは山下達郎の「クリスマスイヴ」をカバー。
さらに、Perfumeの「チョコレイトディスコ」などをカバーして話題になりました。
最近ではLittle Glee Monsterとともに「Dear My Friends」をリリースしているので、ぜひ聴いてくださいね。
Home Free(ホーム・フリー)
2000年にアメリカのミネソタ州で結成されたアカペラグループが「Home Free(ホーム・フリー)」です。
男性5人で構成されており、カントリー調のアレンジを得意としています。
Hip-HopやR&Bなどに比べると、優しいサウンドで、どこか懐かしい感じのする楽曲が多く、楽器が入っていないとは思えないような音圧で奏でているところもポイントです。
活動初期はカバーの演奏が多かったですが、最近は「I’v Seen」「Full of Cheer」などオリジナル楽曲も披露しています。
Voctave(ヴォクティヴ)
まるで包み込むようなハーモニーと、圧倒的な音圧で多くの人を魅了しているのが、アメリカ出身のボーカルグループ「Voctave(ヴォクティヴ)」です。
2015年に活動を開始し、様々なボーカリストとのコラボでも話題を呼んでいます。
アンサンブルとしての完成度が高いのはもちろんのこと、1人1人の声の美しさにも注目です。
特に高音パートを担当している、ケイティ・ロットの軽やかなのに艶のある歌声は必聴ですよ。
Duwende(デュウェンデ)
「Duwende(デュウェンデ)」は「バンドサウンド」と「アカペラらしさ」を両立させた、アメリカ出身の6人組ボーカルグループです。
派手なベースとビートボックスがサウンドを支えるスタイルは、まるで本物のバンド演奏を聴いているかのような感覚を得ることができます。
日本での認知度はまだ低いですが、2018年には来日コンサートも行っています。
クラシカルな雰囲気の演奏を披露するなど、バンドサウンドの再現以外にも様々なジャンルのパフォーマンスができるグループなので、気になった人はぜひ検索してみてくださいね。
VoicePlay(ボイスプレイ)
2013年に放送されたオーディション番組「The Sing Off」への出演をきっかけに、現在では世界8ヵ国でツアーを行うほどに成長中のアカペラグループが「VoicePlay(ボイスプレイ)」です。
安定のハーモニーはもちろんのこと、ドラマ仕立てのMVを制作するなど、表現方法が豊かで見ているだけで楽しめます。
歌いながら演技をしたり、演技中の効果音まで声で表現したりと、細かな部分まで声だけで表現するパフォーマンスが素晴らしいですよ。
Voice In(ボイス・イン)
ブラジル南部の首都、ポルト・アレグレ出身の「Voice In(ボイス・イン)」は男女混合の5人組アカペラグループ。
ペンタトニックスの雰囲気を感じさせる楽曲と、完成度の高いパフォーマンスで人気のグループです。
ブラジル出身ということもあり、どの楽曲にも弾むような独特のビート感があり、聴いているだけで楽しい気分になりますよ。
最近はオンラインでのライブも行っているので、興味がある人は覗いてみましょう。
BYU Vocal Point(BYU ボーカルポイント)
「BYU Vocal Point」はアメリカ、ユタ州の大学のコーラスグループです。
9人の男性で構成されていますが、メンバーは全員現役の大学生ということもあり、毎年メンバーの入れ替えがあります。
賛美歌などのクラシカルなものから、ディズニーソングのカバーなどジャンルが広いことも特徴です。
ちなみに、ユタ州の大学コーラスグループには「BYU Noteworthy」という女性のグループもあるので、合わせてチェックしてくださいね。
アカペラとは声の魅力を引き出す魔法の合唱!人気アカペラグループの曲を聴いて自分でも挑戦してみよう
アカペラとは、伴奏を使わずに声だけで表現するパフォーマンスのことです。
日本では2000年のゴスペラーズの大ヒットやテレビ番組「ハモネプ」が火付け役となり、アカペラグループがたくさん誕生するようになりました。
楽器を使わないアカペラは、いつでも・どこでも・誰でもチャレンジできるところが魅力で、友達などと一緒に音楽を楽しむことができますよ。
日本にも海外にも人気のアカペラグループはたくさんあるので、気になるグループをチェックしてくださいね。
この記事のまとめ!
- アカペラは伴奏を使わず声だけで楽曲を奏でる歌い方のこと
- 同じように無伴奏で歌うゴスペルとは異なる。ゴスペルは、神様への愛や感謝を表現することが目的となる
- 日本では2000年にゴスペラーズの「永遠に」がヒットし、アカペラが広く知られるようになった
- 日本にも海外にも人気のアカペラグループがたくさんある