2019年頃から注目を集め、今や10代20代から圧倒的な支持を誇る「ヨルシカ」。
透明感のある歌声と独特の物語性を持つ歌詞が魅力のバンドです。
テレビやSNSでも、彼らの曲を耳にしたことのある人は多いのではないでしょうか?
ヨルシカとは?
「ヨルシカ」は、ギターのn-buna (ナブナ)とボーカルsuis (スイ)の男女2人組からなる日本のロックバンドです。
2017年から活動している彼らの結成のきっかけは、ボカロPとして活動していたギターのn-bunaのワンマンライブにボーカルsuisがゲスト出演したこと。
2人組バンドではありますが、サポートメンバーとしてギターの下鶴光康、ベースのキタニタツヤ、ドラムのMasack、ピアノの平畑徹也が活動しています。
2018年リリースの2ndミニアルバム『負け犬にアンコールはいらない』がオリコン週間5位を獲得すると、2019年にはフルアルバムを2作リリース。
中でも『エルマ』はオリコンデイリーアルバムチャート、itunesアルバムチャート、LINE MUSICチャートで1位を獲得するなど、今最注目のバンドです。
ヨルシカのコンセプト
ヨルシカのコンセプトはずばり「先入観で音楽を聴いてほしくない」。
作品より作者が前に出るべきでないという想いから、結成当初から2人の顔やプロフィール情報はほぼ明かされていません。
リスナーに曲をしっかり届けたいという2人の信念が伝わってきますね。
また、ヨルシカの特徴的なアイコンは月と月が向かい合っているモチーフで、時計の針にもなっており「6時から夜」という意味が込められているそうです。
ヨルシカ人気曲ランキングTOP10
大手歌詞検索サイトの上半期アクセスランキングTOP30にランクインするなど、ネット発のアーティストとして大躍進を見せるヨルシカ。
彼らの魅力は、美しくもその一癖が耳に残るメロディラインと、どんなテンポをも歌いこなすボーカルsuisの、透明感と力強さが同居する歌声です。
さらに、独特の世界を表現する文学的な歌詞は、まるで1冊の良質な小説を読み終えたかのような感情を与えてくれます。
特にフルアルバム『だから僕は音楽をやめた』と『エルマ』は1つの物語として繋がっており、1曲ずつはもちろん、アルバムごとにも楽しめる仕組みになっています。
そんな彼らの楽曲の中でも特に人気の曲を、ランキング形式で紹介します。
【10位】花に亡霊
映画『泣きたい私は猫をかぶる』のために書き下ろされた『花に亡霊』。
映画のシーンが用いられている美しいMVにも注目です。
ミドルテンポのしっとりとした曲調で、ある夏の記憶を丹念になぞる物語はとても切なく、歌詞に合わせて思わずこちらの感情も引っ張られるような、没入感たっぷりの一曲です。
【9位】八月、某、月明かり
1stフルアルバム『だから僕は音楽をやめた』に収録されている『八月、某、月明かり』。
「音楽を辞める決意をした青年・エイミーが異国を旅してエルマという女性に宛てて楽曲を書く」というアルバムの物語の中でも、特に外せない楽曲です。
サビでは「最低だ、最低だ、僕の全部最低だ」という印象的な歌詞に合わせて、主人公・エイミーの心情が疾走感のあるギターリフと繊細なピアノの緩急によって表現されています。
「どうせ死ぬんだから君も何もいらない」「馬鹿らしくて仕方がない」と自暴自棄になって悟ったふりをするけれど、やっぱり手放せないものがある。
葛藤に藻掻く主人公の姿が胸を突き刺す一曲です。
【8位】夕凪、某、花惑い
「前作の主人公からの手紙を受けてエルマが書いた楽曲」という設定の、2ndフルアルバム『エルマ』に収録されているのが『夕凪、某、花惑い』です。
タイトルからも分かる通り、先ほど紹介した『八月、某、月明かり』と連動しており「8月某日を思い出して」という歌詞が入っています。
この曲には、昔エイミーと一緒に過ごした夏の回想とともに「足りない」という歌詞が何度も登場します。
エルマの喪失感やもどかしさに反してメロディは軽快かつ爽やかで、その矛盾が切なさをより一層際立たせています。
【7位】雲と幽霊
続いては、軽快なテンポでしっとりとした世界を描く『雲と幽霊』。
こちらは1stミニアルバム『夏草が邪魔をする』に収録されており、幽霊になった「僕」がまだ現世に留まっている、というストーリーの曲です。
また、この曲に登場する「夜しかもう眠れずに」という歌詞がバンド名の由来だという逸話もあります。
特徴的なのは楽曲に用いられている様々な生活音。
ゆっくり散歩をするようなテンポに合わせて、電話のベルやアラームの音、水の音などが随所に盛り込まれています。
儚い歌声で「幽霊になった僕はさ」と語る「僕」は、一体何を見に行くのでしょうか。
ぜひ聴いて確かめてみてくださいね。
【6位】心に穴が空いた
フルアルバム『エルマ』に収録されている『心に穴が空いた』は、帝京平成大学のCMで聴いたことのある人も多いのではないでしょうか。
メロディアスなピアノが特徴的でありながら、曲が進むにつれて現れる激しい緩急や、感情を顕にしたsuisの歌声によって鮮やかに仕上がった印象の一曲です。
また、雨や森、深海、土の冷たさなど、人間が到底抗うことのできない「自然」に関連するモチーフを積み重ねることで、エルマが抱く無力感を強調しているようにも感じられます。
「「君だけが僕の音楽」なんだよ、エイミー」と語りかけるエルマの魂の叫びに、耳を澄ませてみてください。
【5位】負け犬にアンコールはいらない
2ndミニアルバム『負け犬にアンコールはいらない』のリード曲でもあるこの曲は、なんと犬の遠吠えから始まります。
思わず体が揺れてしまうような、どこか懐かしさを感じるロックンロールなリズムとメロディが魅力です。
それとは裏腹に、歌詞の中で「負け犬」と称する「僕」は世間や大人の嘘やごまかしを皮肉たっぷりに暴いてゆきます。
「“負け犬”の人生なんて一度でいい。だから、アンコールはいらない」という一見ネガティブなメッセージに見えますが、裏を返せば「一度きりの人生を悔いなく生きてやるよ」という、決意の曲でもあるのです。
【4位】言って。
『言って。』は8位で紹介した『雲と幽霊』のアンサーソングです。
映画『君の名は。』の新海誠監督が絶賛していることでも有名ですね。
耳に心地よいメロディのポップさとは裏腹に、歌詞には「君」を失った主人公の深い悲しみが投影されています。
特に、曲の最後で「もっと、もっと、もっと……」と繰り返される部分からは痛切な気持ちが伝わってきます。
清々しいテンポで紡がれる韻も、歌詞を実際に見ながら聴いてみると受け取り方が変わるかもしれません。
【3位】夜行
映画『泣きたい私は猫をかぶる』の挿入歌として書き下ろされた『夜行』。
アコースティックギターの静かな旋律からゆったり始まり、サビで一気に壮大な世界が花開きます。
「僕らどうなるんだろうね」と「君」に語りかける主人公は、どこか途方に暮れているかのように儚い雰囲気を纏っています。
子供ではないけれどまだ大人ではない。
そんな時期だけの、不安定だからこその輝きを見事にすくい取っているバラード曲です。
【2位】だから僕は音楽を辞めた
2位は1stフルアルバムのリード曲である、『だから僕は音楽をやめた』です。
音楽を辞めた主人公のエイミーの葛藤が歌われており、彼のめくるめく心の変化をメロディアスなピアノの音が拾い上げます。
思春期特有の潔癖性を感じさせる刺々しい歌詞の中でも、これだけ言葉を大切にしているヨルシカが「音楽なんて儲からないし歌詞とか適当でもいいよ」という歌詞を書いた事実には胸が詰まります。
エイミーが音楽を辞めてまで守りたかった信念とは何なのでしょうか。
それは、ヨルシカ自身が守りたいものなのかもしれません。
【1位】ただ君に晴れ
第1位は各音楽配信サービスでも再生回数トップを誇る『ただ君に晴れ』。
Youtubeでの動画再生回数は驚異の1億回越えです。
透明感あふれる歌声と文学的で美しい歌詞、時折現れる皮肉な眼差しと、ヨルシカの魅力が全て詰め込まれた一曲と言っても過言ではないでしょう。
不意に投げ込まれる「だけ」という歌詞が、それまでの歌詞の受け取り方をガラッと変えてしまう手腕にも脱帽です。
ヨルシカおすすめカラオケ曲
ここまではヨルシカの人気曲をランキング形式で紹介してきました。
しかし、彼らの魅力である美しい歌声とメロディ、そして歌詞の世界観はただ「聴く」だけではもったいないですよ。
実際に歌ってみることで、世界観や楽曲の魅力をより深く味わうことができるでしょう。
次は、彼らの楽曲の中でも是非カラオケで歌ってほしいおすすめ曲を紹介します。
雨とカプチーノ
アルバム『エルマ』に収録されている『雨とカプチーノ』は、ジャズ調でベースの硬派な音色とクールな歌詞がマッチすることによって、独特の気だるさや寂寥感が表現されています。
一方サビではエルマが「どうか、どうか」と失ったものの面影に追いすがる様子が感情的に歌われており、このメリハリも曲の魅力の1つと言えるでしょう。
春ひさぎ
3曲目は3rdアルバム『盗作』から『春ひさぎ』。
ピアノとベースの低音が混じり合って作り出すこの曲は繁華街の雑踏を思い出させるような、どこかいかがわしい雰囲気を纏っています。
タイトルの「ひさぎ」とは「売る」の古風な言い回しです。
そのタイトル通り、一時だけの甘い夢を売る主人公の色気と哀愁を、存分に味わってください。
ノーチラス
次に紹介するのは、アルバム『エルマ』の最後の曲として収録されている『ノーチラス』です。
歌詞の中では、エイミーとエルマのそれまでの物語をなぞるかのように、他の曲で登場した地名やアルバムの名前が再び登場します。
そして何よりボーカルsuisのピュアで澄んだ歌声は、夜明け前に吹く少し冷たい、でも爽やかな風を感じさせます。
全編が3DCGアニメーションで製作されたMVも話題になった今作。
ぜひセットで楽しんでみてください。
ヒッチコック
ミニアルバム『負け犬にアンコールはいらない』に収録されている『ヒッチコック』は、YouTubeでの再生回数が5000万回に迫るヒット曲。
軽快なギターに乗せて、微笑みさえ感じるような穏やかな歌声が踊るこの曲ですが、その歌詞は鋭い刃のように研ぎ澄まされています。
「先生」への人生相談として「悪い人ばかりが得をしてるのは何でなんでしょうか」、「先生の夢は何だったんですか、大人になると忘れちゃうものなんですか」と悲痛な問いかけが繰り返される歌詞には、耳が痛い人や共感する人も多いのではないでしょうか。
藍二乗
続いては、アルバム『僕は音楽をやめた』から『藍二乗』。
ハイテンポで爽やかな、疾走感のあるこの曲ですが、歌詞では収録アルバムの主人公・エイミーの音楽への葛藤が綴られています。
なかでも外せないのは、先述した『心に穴が空いた』と対になる歌詞です。
深みがあって読み解くのが難しいことも多いヨルシカの世界ですが、このように色々な曲との連動を探しながら、自分だけの聴き方を見つけられるのも魅力の1つかもしれませんね。
あの夏に咲け
ミニアルバム『夏草が邪魔をする』に収録されている『あの夏に咲け』は、ボーカルsuisの芯のある歌声とアップテンポが魅力の曲です。
シリアスな世界観が多いヨルシカの中ではテンションが高めですが、かといって「歌詞が薄い」ということでは全くなく、青春が持つ力を真正面から描いています。
特に、遊び心のあるサビの歌詞はカラオケにぴったりなのではないでしょうか。
準透明少年
最後は、『負け犬にアンコールはいらない』から『準透明少年』。
曲調は聴きやすい王道ロックのテイストで、カラオケで歌えば盛り上がること間違いなしの一曲です。
また、歌詞に何度も登場する「透明」という言葉は、
- 誰にも気づいてもらえない存在の希薄さ
- 何にでも染まれる自由さ
- 他人を寄せ付けない潔癖さ
ぜひそちらにも注目してみてくださいね。
ヨルシカには人気曲がたくさん!謎めいた2人が奏でる世界観を堪能しよう
ヨルシカの人気曲とカラオケでおすすめの曲を紹介してきました。
様々な曲調を自在に歌いこなす圧倒的な歌唱力と、アルバムをまたいで展開される物語性のある深い歌詞が魅力のヨルシカ。
若い世代からの熱い支持と楽曲への信念を武器に、今後もますます活躍の場を広げていくことでしょう。
ぜひあなたも、自分なりの聴き方やお気に入りの一曲を見つけてみてください。
この記事のまとめ!
- 「ヨルシカ」はギターn-buna (ナブナ)とボーカルsuis (スイ)の男女2人組からなる日本のロックバンド
- 透明感溢れる歌声と歌詞の物語性が魅力
- 実際に歌ってみることで曲の世界観をより深く味わうことができる