ギターレジェンドとして、多くの人から親しまれているミュージシャン「エリック・クラプトン」。
彼のことを深く知って、ギターや音楽をもっと楽しみたいという人も多いのではないでしょうか?
この記事のもくじ
エリック・クラプトン(Eric Clapton)のプロフィール
本名 | エリック・パトリック・クラプトン(Eric Patrick Clapton) |
生年月日 | 1945年3月30日 |
年齢 | 76歳(2021年7月現在) |
出身地 | イングランド サリー州 リプリー |
身長 | 177cm |
別名 | スローハンド |
エリック・クラプトンはイングランド出身のギタリストです。
ジェフ・ベックやジミー・ペイジが名を連ねる「3大ロックギタリスト」の一人で、ブルースをベースとした歌心のある演奏を得意としています。
滑らかで無駄のない動きが特徴で、速いフレーズを弾いても速弾きに見えないことから「スローハンド」の異名を持っていますよ。
ギター演奏はもちろん、ソングライティングのセンスも抜群なので、1人のアーティストとして人気がある人物です。
エリック・クラプトンの生い立ち
華やかなイメージのあるエリック・クラプトンですが、実は波乱万丈な人生を送ってきたミュージシャンです。
バンドへの加入や結成、脱退はもちろん、プライベートでのトラブルや親しい人の死などの辛い経験も。
プロフィールの次は、エリック・クラプトンの生い立ちや彼が経験した出来事などを紹介します。
ブルースにのめり込む
少年時代のエリック・クラプトンのめり込んでいたのが、黒人音楽から発展したジャンル・ブルースです。
のめり込み具合も相当だったそうで、ロンドン中のレコードショップをまわり、購入したブルースマンのレコードを友人と一緒に徹夜で聴く日々を送っていたと自伝に綴っています。
特に影響を受けたのは、
- ロバート・ジョンソン
- マディー・ウォーターズ
- ビッグ・ビル・ブルーンジー
の3人。
彼らの演奏を研究しながらギターの腕を磨き、ギタリストとしての知名度を上げていきます。
ヤードバーズ(The Yardbirds)に参加
エリック・クラプトンが有名になるきっかけとなった出来事が、ヤードバーズ(The Yardbirds)への参加です。
参加したのは1963年で、彼が18歳のとき。
加入後のバンドは、新譜のリリースやコンサートなどで順調に知名度を上げ、リードギターを務めるエリック・クラプトンも注目される存在となります。
しかし、売上重視のプロデューサーの方針についていけず、1965年に脱退することとなりました。
ブルース・ブレイカーズ(John Mayall & The Bluesbreakers)に加入
ヤードバーズを脱退したエリック・クラプトンが、次に加入したバンドがブルース・ブレイカーズ(John Mayall & The Bluesbreakers)です。
加入期間は短いですが、名盤「Blues Breakers with Eric Clapton」の制作、レスポールの人気再燃などの功績を残しています。
特に、マーシャルとレスポールを組み合わせた歪サウンドは、その後のロックシーンに大きな影響を与えました。
クリーム(Cream)を結成
クリーム(Cream)は、エリック・クラプトンが1966年に結成したバンドです。
ブルースロックとサイケデリックロックを融合したサウンドが特徴の3人組バンドで、有名ミュージシャンが所属するスーパーグループとしても知られています。
メンバーの個性をぶつけながら音楽を制作するスタイルであったため、楽曲も素晴らしいものでしたが、結局メンバー間の衝突が原因で1968年に解散してしまいました。
ジミ・ヘンドリックスの死
エリック・クラプトンがストラトを使うきっかけになった人物が、ジミ・ヘンドリックスです。
2人は一緒にセッションをするほどの親しい関係で、ライブでギターを壊すジミ・ヘンドリックスにプレゼントするためにストラトを何本も買っていたそう。
しかし、プレゼントの直前でジミ・ヘンドリックスが亡くなってしまいます。
ジミの訃報に深くショックを受けたクラプトンですが、悲しみを乗り越えた後は、残ったストラトを使ってギターを組み上げ、数々の名演を残すことになります。
辛い依存症体験
70年代前半、エリック・クラプトンはドラッグやアルコールの依存症に苦しんでいました。
原因は、ギタリスト仲間のデュアン・オールマンとジミ・ヘンドリックスの死、所属していたデレク&ザ・ドミノズの解散などが重なってしまったこと。
辛い依存症体験だったそうですが、リハビリや音楽仲間の助け、釣りに行ったときに感じた「どん底に落ちている」という感覚により克服します。
克服後の1974年には、復帰作となる名盤「461オーシャン・ブールヴァード」を発表し、完全復活を遂げました。
愛する息子の死
依存症を克服し幸せな日々を送っていたエリック・クラプトンですが、愛する息子が事故死するという悲劇に見舞われてしまいます。
1991年3月、息子と一緒にサーカスを見に行った次の日の出来事でした。
大きなショックを受けた彼ですが、70年代のようにドラッグやアルコールの力を借りず、ギターと向き合うことで悲しみに耐えています。
事件後に作曲した「Tears in Heaven」「Circus Left Town」「My Father's Eyes」は、息子への想いが詰まった名曲として有名です。
ドキュメンタリー映画が日本公開
2018年の11月には、エリック・クラプトンのミュージシャンとしての活動、プライベートなどを描いたドキュメンタリー映画が日本で公開されました。
タイトルは、12小節構成のブルースを意識した「エリック・クラプトン~12小節の人生~(英題:Eric Clpaton: Life in 12 Bars)」です。
波乱万丈な彼の人生や名曲の誕生秘話を、本人のナレーション付きで楽しめるので、ファンはぜひチェックしてみてくださいね。
エリック・クラプトンの現在
エリック・クラプトンは、今でもライブを開催している現役のミュージシャンです。
年齢は70歳を超えているため全盛期のような活動はできませんが、音楽に対する気持ちはそのままにギターと向き合っていますよ。
次は、現役ミュージシャン・エリック・クラプトンの現在についてを紹介するので、彼の動向をチェックしたい人はぜひ参考にしてみてくださいね。
ブルースの殿堂入り
エリック・クラプトンは、2015年にブルースの殿堂入りを果たしました。
ブルースの殿堂とは、ブルース財団が主催する「ブルースで大きな功績を残した人を称えるためのリスト」のこと。
B.B.キングやロバート・ジョンソンなどのレジェンドも表彰されている賞で、エリック・クラプトンは2015年の「Performer」賞に選ばれています。
この殿堂入りにより、ロックミュージシャンや作曲家としてだけでなく、ブルースマンの一流としても認められたといえるでしょう。
失いつつある聴覚に対抗
エリック・クラプトンは近年、聴力の悪化や耳鳴りに悩まされているそうです。
この症状は、イギリスのラジオ「BBC Radio 2」の番組に出演していたときに語られたもので、演奏にも多少の影響が出ていると発言しています。
手の動きも悪化しているそうですが、ネガティブにならず「珍しいものを見るつもりでライブを観にきてほしい」とポジティブなコメントを残していますよ。
音楽を聴き続けて生きていく
聴力の悪化により引退が噂されているエリック・クラプトンですが、本人は「音楽を聴き続けていきたい」「ステージに立ち続けたい」とインタビューに答えています。
引退を考えてはいるものの、できる限りは音楽と共に生き続けたいと考えているそうです。
全盛期のようにコンスタントなレコーディングやツアーを行う可能性は低いですが、生演奏や新譜を聴ける可能性はあるので、ファンは彼の動向をチェックしておきましょう。
エリック・クラプトンの使用ギター
エリック・クラプトンが使用したギターには、ロック界の伝説として語り継がれているものが多いです。
もちろん、ギターコレクションの全てが有名というわけではありませんが、名盤のレコーディングやライブで使われたギターは名器として知られています。
次は、エリック・クラプトンの使用ギターの中で特に有名なモデルを紹介するので、彼のサウンドを真似したい人は参考にしてみてくださいね。
ライブUtaTenの関連記事!
-
【多彩】ストラトキャスターのおすすめエレキギター9選!選び方やフェンダー以外のタイプも紹介
続きを見る
1960年製レスポール スタンダード
エリック・クラプトンがブルース・ブレイカーズに在籍していたときに使っていたのが、1960年製のレスポールスタンダードです。
見た目はシンプルなサンバーストのレスポールですが、リイシューモデルが数多く生産されている1959年製と比べるとネックが薄くなっているのが特徴。
彼はこの個性的なギターを使い、マーシャルとレスポールを組み合わせた歪サウンド、高域を削り中低域を際立たせた「ウーマントーン」など、革新的なサウンドを生み出しました。
盗難にあったギターであるため、もうクラプトンが弾く姿を見ることはできませんが、復刻モデルも限定生産されているので、気になる人はチェックしてみてくださいね。
ギブソン SG「ザ・フール・ギター(The fool guitar)」
「ザ・フール・ギター(The fool guitar)」は、64年製のギブソンSGにサイケデリックなペイントを施したギターです。
ペイントをしたアーティスト集団の名前「ザ・フール」が名前の由来となっています。
クリームの初期にエリック・クラプトンが使用していたモデルで、クリームの2nd~4thアルバムの多くの曲がこのギターでレコーディングされていますよ。
レスポールよりも軽いサウンドと独特なペイントが魅力の、クリームの音楽性にマッチしたギターです。
フェンダー・ストラトキャスター「ブラウニー(Brownie)」
エリック・クラプトンが1970年代前半にメインギターとして使っていたのが「ブラウニー(Brownie)」です。
1956年製のフェンダー・ストラトキャスターで、カラーはスタンダードな2カラー・サンバースト。
ギブソン系からストラトへの持ち換えはフレーズにも影響したそうで、「サスティーンの短さやテンションの強さの影響で音数が多くなった」とインタビューで語っています。
使用期間は短めですが、エリック・クラプトンの演奏スタイルに大きな影響を与えたギターです。
フェンダー・ストラトキャスター「ブラッキー(Blackie)」
フェンダー・ストラトキャスター「ブラッキー(Blackie)」は、エリック・クラプトンの使用ギターの中でも特に有名なモデルです。
ジミ・ヘンドリックスにプレゼントするために購入したストラトのパーツを組み合わせて作られたもので、部位ごとに製造年が違っているのが特徴。
黒いボディは56年、メイプル指板のネック部分は57年、ピックアップも別のギターのものとオリジナリティ溢れる1本です。
10年以上メインギターとして使われた後は、リハビリ施設の支援目的でオークションに出品され、約1億520万円という値段でせり落とされ話題となりました。
最新シグネチャーモデル
2020年の年末には、エリック・クラプトンの新たなシグネイチャーモデルが発表されました。
フェンダー・カスタムショップの一流ビルダーが組み上げたモデルで、カラーはドゥンケルブラオ・メタリックとアーモンド・グリーンの2色が展開されています。
ネックは1本のメイプル材だけを使った1ピースメイプルで、本人監修のVシェイプに仕上げられているのが特徴。
フレットやピックアップはヴィンテージ、指板表面のカーブはモダンな仕様と、演奏性とサウンドの両方を重視した設計になっています。
製造本数が少なく高価なモデルですが、エリック・クラプトンファンはチェックしてみてはいかがでしょうか。
ギタープレイ
ジミ・ヘンドリックスやジェフ・ベックと比べると、堅実なプレイというイメージが強いエリック・クラプトン。
しかし、彼のプレイも2人に負けないくらい個性的なもので、多くのロックギタリストに影響を与えています。
特にブルースをベースにしつつも、色々な音楽の要素をプラスしたスタイルは唯一無二です。
使用ギターの次は、エリック・クラプトンのギタープレイの特徴を紹介します。
ライブUtaTenの関連記事!
-
洋楽ロックバンドおすすめ35選!世界的に有名なバンドから最新のかっこいいバンドまで紹介
続きを見る
肘を使ったビブラート
エリック・クラプトンのギタープレイの特徴といえば、肘を使ったビブラート。
普通は指と手首を中心に使いますが、エリック・クラプトンは指と手首を固定し、肘を使って弦を上下に揺らすのです。
クセのある弾き方なので、左手のフォームが安定しない、揺れ幅の大きなビブラートは不得意などのデメリットがあります。
しかし、歌のような自然で細かなビブラートを作り出せるので、歌心を重視したギターが好きな人はぜひ試してみてくださいね。
使われないアーム
50年近くストラトキャスターを愛用しているエリック・クラプトンですが、実はアームを全く使っていません。
ブリッジはアーミングが可能なトレモロユニットを使用しているものの、ボディとブリッジの間に板を挟み込み動かないようにしています。
一度はアームが使えないハードテイルタイプのブリッジも試したそうですが、欲しい音と違うという理由でトレモロと板を組み合わせたスタイルを続けていますよ。
バネの鳴りや弦を支える大きな金属ブロックなどのストラトならではの構造が、エリック・クラプトンが求めるサウンドを生み出しているのでしょう。
エリック・クラプトンのおすすめYouTube動画3選
エリック・クラプトンの生い立ちやギターについて知ったら、実際に彼の曲を聴いてみたくなるものですよね。
ブルースロック調の曲はもちろん、シンプルなロックナンバー、ロマンティックなバラードなど色々な曲がありますよ。
最後にエリック・クラプトンのおすすめ曲をYouTube動画と共に紹介します。
いとしのレイラ(Layla)
「いとしのレイラ(Layla)」は、エリック・クラプトンの代表曲として知られているブルースロックナンバーです。
デレク&ザ・ドミノズが1970年にリリースしたアルバム「いとしのレイラ」の表題曲であり、シンプルで耳に残るギターとブルージーな歌が特徴。
エリック・クラプトンのソロライブやアルバムでも定番の曲で、動画のアコースティックバージョン以外に、原曲通りのアレンジも良く演奏されています。
多くのロックギタリストがカバーしているほか、日本のCMにも使われている知名度が高い楽曲です。
フォーエヴァー・マン(Forever Man)
軽快なリズムとキャッチーなメロディが際立ったエリック・クラプトンの人気曲が「フォーエヴァー・マン(Forever Man)」です。
アルバム「Behind the Sun」に収録されている楽曲で、ベストアルバムにも良く収録されていますよ。
レコーディングに参加したメンバーも、TOTOで活躍したスティーブ・ルカサーやジェフ・ポーカロ、凄腕ベーシストのネイザン・イーストと豪華な顔ぶれ。
ロック界の天才たちの演奏とエリック・クラプトンのセンスが楽しめる、ロックファン必聴の楽曲です。
ワンダフル・トゥナイト(Wonderful Tonight)
エリック・クラプトンの「ワンダフル・トゥナイト(Wonderful Tonight)」は、当時好意を寄せていたパティ・ボイドのために作られたラブソングです。
パティ・ボイドは、ビートルズのジョージ・ハリスンの元妻でクラプトンとも複雑な関係だったよう。
そんな彼女に贈られたこの曲は、とてもロマンティックな雰囲気に仕上がっています。
曲の各所に登場するキレイなアルペジオ、ストレートに愛の言葉を表現した歌詞が魅力的な、ロックやブルースを知らない人でも気軽に楽しめる楽曲です。
エリック・クラプトンはまだまだ現役のギターの神様!人生を描いた赤裸々な歌詞にも注目
エリック・クラプトンは、まだまだ現役で活動を続ける「ギターの神様」です。
シンプルながらも聴かせるギターソロ、こだわり抜いたサウンドは、ギター上級者はもちろん、初心者の参考にもなりますよ。
また、ロック史に名を残すような名曲も多いため、楽器のことを考えずに音に集中して聴いてみるのもおすすめ。
人生を描いた赤裸々な歌詞も素敵なので、エリック・クラプトンファンはぜひ歌詞もチェックしてみてくださいね。
この記事のまとめ!
- エリック・クラプトンは、スローハンドの異名で知られる「レジェンドギタリスト」
- 波乱万丈な人生を歩んできたミュージシャンとして有名で、ドキュメンタリー映画も公開されている
- エリック・クラプトンは、70代に入った現在でも音楽へのひたむき想いを持ち続けている
- 個性的な使用ギターと、こだわり抜いたギタープレイがエリック・クラプトンの魅力
- YouTubeにはエリック・クラプトンの名演を記録した映像がたくさんある