格闘技の入場曲やテレビ番組のBGMに、激しい音楽が使われているのを耳にしたことがある人も多いと思います。
そんな激しい曲の多くは「へヴィメタル」や「ハードロック」というジャンルの音楽です。
へヴィメタル、ハードロックどちらも、かつて日本で大ブームとなり、ブームが去った今でも、根強いファンがたくさんいます。
一方で、どんな音楽ジャンルなの分からない「ヘビメタってなに?」という人も、少なくないでしょう。
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ヘヴィメタルとは?
数ある音楽ジャンルの中でも「へヴィメタル」は特にサブジャンルが多く、明確化が難しいとされています。
「名前は聞いたことがあるけど、具体的にどんな音楽か知らない」という人も多いのではないでしょうか。
まずは、へヴィメタルの歴史を振り返り、ハードロックとの違いやへヴィメタルから派生したサブジャンルについて紹介します。
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ヘヴィメタルの歴史
さまざまな説がありますが、へヴィメタルの起源は1970年代のイギリスとされています。
当時、イギリスの音楽シーンで大人気だった「ハードロック」のサウンドを、より激しく複雑にしたものが「へヴィメタル」です。
古くは「DEEP PURPLE(ディープ・パープル)」や「LED ZEPPELIN(レッド・ツェッペリン)」などのバンドがハードロックの基礎をつくりあげました。
そこに「BLACK SABBATH(ブラック・サバス)」も加勢する形で「HR/HM(ハードロック・ヘヴィメタル)」というジャンルを確立しました。
1970年代後半になると「KISS(キッス)」や「AEROSMITH(エアロスミス)」など、アメリカでもへヴィメタルバンドが生まれ、イギリスから外国へと広まります。
ハードロックとの違い
へヴィメタルはハードロックをルーツとしているので、2つの境界線はとても曖昧です。
そのため、「HR/HM」とひとくくりでジャンル付けされることもあります。
しかし、へヴィメタルとハードロックは曲のタイプに違いがあります。
ハードロックは悲鳴のようなハイトーンなボーカルと、歪んだギターサウンドが特徴であるのに対し、へヴィメタルは普段よりも低くチューニングされたギターやベース音、下水道ボイスとも呼ばれるダミ声が特徴です。
また、リズムに合わせて頭を前後に振る激しいヘッドバンキングや、メロイックサインと呼ばれる人差し指と小指を立てるポーズもへヴィメタルならではの持ち味と言えます。
サブジャンルは50種類以上
へヴィメタルはとても多くのサブジャンルがあり、その数は50種類以上とも言われています。
これはへヴィメタルが時代の流れと共に、他ジャンルと混ざり合いながら進化を続けてきた証拠なのです。
メタルとヒップホップ、メタルと宗教、メタルと民族など、へヴィメタルが融合したのは音楽ジャンルにとどまりません。
ただ「へヴィメタルが好き」といっても、どのサブジャンルが好きかによって好みのバンドが全く違うこともあるのです。
正統派メタル
1970年代後半のイギリスで起こった音楽ムーブメントには「N.W.O.B.H.M(ニュー・ウェイブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル)」という名前が付いています。
当時は空前のパンクブームで、HR/HMが影をひそめていました。
そこに「IRON MAIDEN(アイアン・メイデン)」や「SAXON(サクソン)」などの若手へヴィメタルバンドが登場、へビメタブームが再来します。
他にも「JUDAS PRIEST(ジューダス・プリースト)」や「MANOWAR(マノウォー)」などのバンドが現代のヘヴィメタルを確立させました。
スラッシュメタル
「スラッシュメタル」は正統派メタルよりもさらに速いテンポで、ザクザクと刻む重いギターリフが特徴です。
アメリカではとてもメジャーな音楽ジャンルに成長し、グラミー賞を何度も受賞したバンド「METALLICA(メタリカ)」が多くの人たちに知られています。
メタリカ以外にも「MEGADETH(メガデス)」「ANTHRAX(アンスラックス)」「SLAYER(スレイヤー)」など、有名なバンドはいくつもあります。
特にこの4バンドは「スラッシュ四天王」と呼ばれるほど、世界的にも知名度の高いバンドです。
デスメタル
「地獄」や「悪魔」といった、まがまがしい歌詞を多用するのが「デスメタル」です。
「デスボイス」といわれる低くて歪んだうなり声のような歌い方が特徴で、悪魔のような暗い衣装や、メイクをまとったバンドもいます。
漫画「デトロイト・メタル・シティ」や、広瀬すず主演の映画「一度死んでみた」でも題材にされるなど、一般的にも名の知られたジャンルです。
LAメタル
「LAメタル」はその名の通り、1980年代にアメリカのロサンゼルスを中心に活動したメタルバンドのことです。
音楽性というよりは活動拠点を基準に付けられたジャンルで、名付け親は日本のメディアだと言われています。
長髪やレザージャケットのスタイリッシュなヴィジュアルと、激しい演奏とのギャップが日本の若者から絶大な人気を得ました。
「Motley Crue(モトリークルー)」や「VAN HALEN(ヴァン・ヘイレン)」「Guns N’ Roses(ガンズ・アンド・ローゼス)」など、日本でもおなじみのバンドが多いです。
日本の人気メタルバンド
イギリスのハードロックから派生したへヴィメタルですが、1970年後半からはアメリカなどの海外にも流行し、日本でもたくさんのメタルバンドが誕生しました。
1980年代になると「LOUDNESS(ラウドネス)」や「聖飢魔Ⅱ」など有名バンドも生まれ、日本でも一大ムーブメントが起こったのです。
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ANTHEM
1981年に結成した、日本メタルの元祖といえば「ANTHEM(アンセム)」です。
世界進出もいち早く行い、海外でのライブを音源にしたアルバムも発表しました。
メンバーチェンジを繰り返しながら1992年にいったん解散、2001年に再結成し、現在まで活動を続けています。
過去のメンバー坂本英三は、アニソンをメタルでカバーする「アニメタル」のボーカリストとしても活躍中です。
SEX MACHINEGUNS
1989年に結成された「SEX MACHINEGUNS(セックス・マシンガンズ)」は、日本人にメタルを浸透させたバンドの1つです。
耳に残るユニークな歌詞や、個性的なメンバーなど、一般人にも親しみやすいメタルとして有名になりました。
ライブパフォーマンスが評判で、メジャーデビューからたったの1年半、CDの売り上げはまだまだ少なかったにもかかわらず、日本武道館でライブを成功させました。
メンバーチェンジを繰り返しながら現在でも活動を続けており、日本のメタル界を引っ張り続けています。
DIR EN GREY
ヴィジュアル系バンドとして有名になった「DIR EN GREY(ディル・アン・グレイ)」ですが、V系ファンだけでなくメタルファンからも高く評価されています。
ボーカル京の、絶叫のようなデスボイスや美しいクリーンボイスがとても印象的なバンドです。
エクストリームな音楽をベースに、民族音楽やポストロックなど、さまざまなジャンルに影響を受けたサウンドが多くのファンを魅了しています。
XJAPAN
ヴィジュアル系の元祖として有名な「X JAPAN」。
サウンドはハイテンポなパワーメタルを特徴としており、海外でも成功した日本バンドのパイオニア的存在です。
バラエティ番組などにも多く出演し、楽曲にはキャッチーなメロディーを取り入れるなど、お茶の間にメタルを広めました。
「くれないだー!」の叫びでおなじみの人気曲「紅」は、誰もが知るポピュラーソングですよね。
1997年に解散しますが、2007年に再結成。
2017年には、イギリスのアリーナでライブを行うなど、世界的な人気は今も衰えていません。
GALNERYUS
スピードメタルやクラシックメタルなどの要素を持つ「GALNERYUS(ガルネリウス)」は、2001年に関西で結成されました。
パワーメタルの人気が高いヨーロッパで、トップクラスのアーティストとして紹介されるなど、世界的に高い評価を得ています。
2009年にソロでミリオンセールスを記録した実績を持つ、小野“SHO”正利をボーカルに迎え、またも人気を集めました。
SIGH
「SIGH(サイ)」は、日本ではかなり早い時期から活動していたブラックメタルバンドとして知られ、今はブラックメタルの本場、ヨーロッパを中心に活動しています。
デビュー当初からジャンルにとらわれない実験的なサウンドを特徴としており、ブラックメタル界の著名人とも交流を持っていました。
ノルウェーのブラックメタルバンド「Mayhem(メイヘム)」ギターボーカリスト、ユーロニモスが立ち上げたプロダクションからアルバムを発表するなど、その実力は世界からも認められています。
ブラックメタルの最前線で活躍した日本人バンドとして有名です。
BORIS
1つのジャンルにとらわれず、ストーナーロックやアンビエント、ノイズロックなど、さまざまなジャンルを取り入れたサウンドが「BORIS(ボリス)」の特徴です。
1992年の結成以来、ワールドワイドな活躍を続けており、1996年からは海外ツアーを始めました。
2003年からは毎年のように海外でツアーを行っており、世界のへヴィミュージックシーンで注目されています。
音楽性はアルバムごとにちがい、へヴィなアルバムから実験的なアルバムまでさまざまです。
ライブではギターとベースが一体になったダブルネックギターを使用するなど、独特のパフォーマンスも目を引きます。
アビゲイル
1992年に結成された「アビゲイル」は、日本でのブラックメタルの認知度がまだ低かったころから活動しています。
国内外のバンドとスプリットアルバムをリリースするなど、現在も活躍するバンドです。
アメリカのポルノ雑誌や北野武監督の任侠映画にインスピレーションを受けた歌詞、初期の海外スラッシュメタルバンドのような攻撃的なサウンドがたまりません。
女性メタルバンド
「へヴィメタル」というと、体格のいい男性が男臭く演奏する姿をイメージする人が多いかもしれません。
しかし、日本には女性だけで構成されたガールズメタルバンドやミュージシャンもたくさんいます。
今では「カワイイメタル」や「嬢メタル」と呼ばれ、世界でも絶大な人気を獲得しているのです。
「カワイイ」と激しいメタルを織り交ぜた、女性メタルバンドを紹介します。
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BABYMETAL
「さくら学院」というアイドルグループのユニット「重音部」から始まったガールズユニットです。
後に「BABYMETAL(ベビーメタル)」と改名し、へヴィメタルと日本のアイドル文化を融合した音楽で、世界中に衝撃を与えました。
バックで演奏する、通称「神バンド」のメンバーには、メタル界でもトップクラスの実力者が集められています。
時には、海外のプレイヤーがサポートで参加することもあるなど、サウンドクオリティの高さは必見です。
BAND-MAID
メイドとハードロック、メタルを融合させた「BAND-MAID(バンドメイド)」。
もともと秋葉原のメイドカフェで働いていたギターボーカルの小鳩ミクが、可愛いメイドの衣装で激しい音楽をやろうとメンバーを集めたのが、結成のきっかけです。
ライブのことを「お給仕」、観客を「ご主人様」「お嬢様」と呼ぶなど、独自の世界観が海外のファンからも人気を集めています。
現在ではワールドツアーを行うほどの人気で、今後も大注目のガールズバンドです。
SHOW-YA
1985年にデビューした「SHOW-YA(ショーヤ)」は、日本のガールズバンドの先駆け的な存在です。
ボーカル寺田恵子の歌声やパフォーマンスはもちろん、演奏のテクニックもレベルが高いことで知られています。
1998年に一度解散しますが、2005年に再結成し新たなスタートを切りました。
2018年に引退した安室奈美恵とのコラボ曲をリリースしたり、X JAPANの「紅」をカバーしたりしています。
Mary’s Blood
2009年に結成した「Mary's Blood(メアリーズブラッド)」は、アメリカでもライブを行ったことがある正統派メタルバンドです。
ギタリストのマーティ・フリードマンや、ドラゴンフォースなど、海外のメタルアーティストのサポートアクトを務めた経験もあり、世界的に高く評価されています。
速弾きや激しいツーバスを駆使した硬派なへヴィメタルサウンドが特徴で、ボーカルEYEの伸びやかな歌声にも注目です。
YUZUKINGDOM
「YUZUKINGDOM(ユズキングダム)」は、ダンスボーカルユニット「Q'ulle」のYUZUKIが、メロディックデスメタルバンド「BLOOD STAIN CHILD」のRYUとともに立ち上げたバンドです。
ボーカルのYUZUKIが作詞を担当、デスボイスとクリーンボイスを見事に使い分けています。
演奏はBLOOD STAIN CHILDのメンバーが担当しているので、本格的なメロディックデスメタルを聴きたいファンにもおすすめのバンドです。
LOVEBITES
2017年にデビューし、翌2018年には世界最大級のへヴィメタルフェスティバル「Wacken Open Air」に出演し話題となったガールズメタルバンドが「LOVEBITES(ラヴバイツ)」です。
このフェスに日本人女性のみで構成されたバンドが出るのは、初めてのことでした。
攻撃的でメロディアスなギターや、伸びやかなボーカルが一度聴くだけで耳に残ります。
疾走感のある曲は盛り上がりやすく、今後もさまざまなフェスやライブで注目のバンドです。
海外のおすすめメタルバンド
へヴィメタルの発祥の地は海外です。
日本でもへヴィメタルは人気ですが、本場でもある海外ではたくさんの個性的なバンドが活躍しています。
「スラッシュメタル四天王」と呼ばれるバンドたちや、メタルとラップを融合させたバンドなど、日本でも人気の高い洋楽メタルバンドを紹介します。
Metallica
1981年にアメリカで結成され、世界中で高い人気を誇る「Metallica(メタリカ)」。
メタル界だけでなく、アメリカ全土のバンドを代表する存在として有名です。
彼らがアルバムをリリースすると、世界数十か国の音楽ランキングで1位を獲得するなど「世界最強のバンド」とまで言われています。
初期は「スラッシュメタル」を基調とした音楽性でしたが、徐々にミドルテンポの曲も多くなっていきました。
音楽性を変えてからは、他のメタルバンドほど激しくなくなったため、普段メタルを聴かない人でも聴きやすく人気になっています。
SLAYER
1981年に結成したアメリカのスラッシュメタルバンドで、同時期にデビューしたMetallicaやAnthrax、Megadeathと並んで「スラッシュメタル四天王」と言われました。
音楽性を徐々に変えていったMetallicaとは対照的に、「SLAYER(スレイヤー)」はデビューから攻撃的な音楽性を貫き通しています。
2007年と2008年にはグラミー賞も受賞しましたが、2019年に多くのファンに惜しまれながら活動を終了しました。
Judas Priest
1969年にイギリスで結成された「Judas Priest(ジューダス・プリースト)」は、「メタル・ゴッド」の異名を持つロブ・ハルフォードを中心とした、イギリスの大御所バンドです。
現在のメタルの様式を確立したバンドとしても知られ、世界中のバンドに影響を与えました。
結成から50年近く経った2018年にも、最新版アルバム「Firepower」をリリースするなど、今でもも精力的に活動を続けています。
KoЯn
アメリカ、カリフォルニア州で1989年に結成した「L.A.P.D」が前身となり、1993年から「KoЯn(コーン)」と名乗るようになりました。
へヴィメタルとヒップホップを融合した「ニューメタル」「ラップメタル」というジャンルを取り入れたバンドです。
猟奇的で暗い世界観が特徴で、ボーカルのジョナサンの泣き叫ぶような歌い方は、自身が幼少期に経験した暗い過去が影響しているそうです。
ライブパフォーマンスも過激で、魅力にとりつかれると、とことんハマってしまうバンドです。
DragonForce
親しみやすいメロディーと、非常に速いテンポが魅力の「DragonForce(ドラゴンフォース)」もおすすめのバンドです。
メロディック・スピードメタル(メロスピ)と呼ばれるメタルで、J-POPに通じるコード進行などが日本人に親近感を抱かせます。
ギターの速弾きが特徴的で、とにかく速さを追及する、ある種の馬鹿らしさもこのバンドの魅力です。
日本のX JAPANなどにもメロスピの楽曲は多く、DragonForceの影響を受けたバンドはたくさんいます。
Pretty Maids
「Pretty Maids(プリティ・メイズ)」は、1981年にデンマークで結成されたへヴィメタルバンドで、同国のパワーメタルの先駆けとなりました。
一般的な知名度は低いものの、へヴィメタル界では有名な実力のある大御所バンドです。
初期はメロディックなギターや壮大さが特徴のジャーマンメタルに影響されたサウンドでしたが、徐々にハードロックに寄ったサウンドへとシフトしました。
しかし、数年後にはまたへヴィメタルへと戻り、現在も活動を続けています。
ヘヴィメタの種類は幅広い!気になったメタルバンドの楽曲を実際に聴いてみよう
「へヴィメタル」のジャンルは種類が多く幅広いです。
メタルバンドとまとめても、さまざまな個性を持ったバンドで溢れていることがわかります。
へヴィメタルと聞くと、重くて暗いイメージを持つ人も多いかもしれませんが、親しみやすいキャッチーなメロディーをウリにしたバンドもたくさんいますよ。
今回紹介したバンドやサブジャンルの他にも、へヴィメタルには色んなジャンルがあり、たくさんのバンドが曲をリリースしています。
ぜひ、気になったバンドを聴いてみて、自分好みのバンドを発見してくださいね。
この記事のまとめ!
- へヴィメタルは1970年頃イギリスで生まれ、現在では50種類以上のサブジャンルに派生している
- 1980年以降、日本でもへヴィメタルが流行し、X JAPANやSEX MACHINEGUNSによってお茶の間に広まった
- 「カワイイメタル」と呼ばれる日本のガールズメタルバンドは海外でも人気
- スラッシュメタル四天王など、海外で大人気のバンドもおすすめ