音楽制作において重要な過程のミックスダウン。
やり方ひとつで同じ曲でも全く聴こえ方が違い、うまくできていないとせっかく作った曲が台無しになってしまうこともあります。
今回はミックスダウンの基本についての紹介です。
この記事のもくじ
ミックスダウンとは?
ミックスダウンを一言で言うと「音楽制作のまとめ」です。
具体的には各トラックの音量・音質・音像の調整をしたり、場合によってはエフェクトを加えたりしながら全体のバランスを整えます。
そして聴き心地の良いサウンドや世界観を作り、オーディオファイルを1つにまとめていく大切な作業です。
「ミックス」や「ミキシング」「トラックダウン」という言葉を聞いた事があるかもしれません。
しかしこれらの違いは呼び方だけで、実は作業自体はミックスダウンと同じです。
ライブUtaTenの関連記事!
-
DAWのおすすめランキング8選!初心者にも使える無料・有料のDTMソフトを紹介
続きを見る
マスタリングとの違いは?
マスタリングとミックスダウン、どちらがどちらか分からなくなってしまう人が多いですが、全くの別物です。
マスタリングはミックスダウンの後にする作業で、リリースしたい媒体に合った全体の音量や音質を調整することを指します。
例えば、CDと配信では最適に再生するための音量が違うので、CDに落としたい場合と配信したい場合、それぞれに適したマスタリングが必要です。
また、アルバム制作時のマスタリング作業は、全楽曲の音量を均一にすることや、曲間の調整を含む場合もあります。
いずれにせよ、ミックスダウンでのまとめを完成させる工程がマスタリングです。
ミックスダウンでできることは?
ミックスダウンでは各トラックの調整ができると説明しましたが、具体的には音量・音質・音像の調整、そしてエフェクトをかけて音の加工ができます。
せっかくいいメロディーラインが書けていても、どれかが欠けているとそれだけで聴くに耐えなくなってしまうことも。
まずはミックスダウンで何ができるのかを、しっかり抑えていきましょう。
ライブUtaTenの関連記事!
-
【重要】音源をきれいに録音するコツとファイルの送り方は?デモ音源の作り方をチェックしよう!
続きを見る
音量の調整
ミックスダウンの工程はいずれも欠かせないのですが、1番重要なのが音量の調整です。
各トラックがバランスよく聴こえるように、それぞれの音量をフェーダーで修正します。
またAメロだけ、サビだけなど曲の一部だけ音量を調整したい場合もしばしば。
そんな時は、トラック毎に付属されているオートメーション機能で音量を変えることで、全体の調整をしています。
音質の調整
音質調整には、主にイコライザーやコンプレッサーを使います。
イコライザーは周波数の調整をすることで、キンキンしている、またはボワボワしている音をすっきりさせたり、曲調に合わせて硬い音、柔らかい音を作ったりすることができます。
コンプレッサーは、トラック内の音量のばらつきを均一にできるので、こちらもすっきりとした音を作るのに欠かせません。
音像の調整
音像は、各トラックをどこから聴かせたいかによって使うプラグインが違ってきます。
左または右から聴かせたい場合はパン、高さや奥行きを出したい時はイコライザー、コンプレッサーなどを使うと、臨場感溢れる立体的な音像を作ることも可能です。
音像の調整を極めると、ステレオミックスでもまるでサラウンドのような音像に近づけることもできます。
エフェクトや音の加工
音量・音質・音像を調整してもまだ物足りない場合や、浮いているトラックがある場合は、各トラックにプラグインを使ってなじませたり、メリハリを出したりします。
例えばリバーブで奥行きを出す、ボーカルトラックの声を変える、楽器演奏のピッチを一部だけ変えるなどの処理も、ミックスダウンでは大事な工程です。
作りたい世界観に合わせて波形を切り取って並べ直したり、反転させたりなど普通の演奏ではできないことも、ミックス作業では実現できます。
ミックスダウンの手順とやり方
ここからは肝心のミックスダウンの手順とやり方です。
細かい操作は曲のジャンルや聴かせたいパートによって変わりこれといった正解はないのですが、どんなミックスダウンでも共通している作業を順番に紹介します。
①トラック毎の音量均一化(ノーマライズ)、オーディオ変換
まずは、それぞれのトラックの音量を確認しましょう。
音量にばらつきがないかを確認し、ばらつきがあればノーマライズをします。
この時打ち込みトラックがあれば、オーディオファイルへモノラル変換するのも忘れないでください。
②トラック毎にプラグインを適用
トラック毎のノーマライズが終わったら、それぞれにプラグインを適用していきます。
ボーカルはピッチ調整を行った後に、プラグインを適用しましょう。
基本的には、イコライザーで調整をしてから、その他エフェクトをかけてコンプレッサーを掛ける順番で行われます。
しかし特に決まりはないので、自分が求める最適な音が出るよう自分のやり方を見つけることが大切です。
③定位調整
ミックスダウンのキモといっても過言ではないのがこの作業と、次の手順の音量調整です。
定位調整では各パートをどこから聴かせたいかを決め、それに応じた場所から聴こえるよう定位を調整します。
これという決まりはありませんが、ボーカル、キック、スネア、ベースはセンターに定位を振る人が多いです。
④音量バランス調整
音量は、キックの音だけを鳴らした状態でマスターボリュームをー8db〜ー10dbに合わせ、そこを基準にしてバランスをとっていきます
調整の順番はドラム、ボーカル、うわ物楽器、SEの順で重ねていくことが多いです。
最終的に、マスターボリュームが-6dBから-3dBの間になるよう修正していきます。
浮いているトラックは、オートメーション機能で部分的に音量調整をしましょう。
⑤書き出し、マスタリング作業
以上の作業が終わったら、DAWの書き出し機能でファイルへ落とし、マスタリング作業へ移ります。
ファイル形式はWAV、aiffへ落とすのが一般的です。
マスタリング作業ではトラック毎の修正はできないので、マスタリング前に問題がないか繰り返しチェックをしましょう。
作業しているPCだけではなく、ポータブルプレイヤーやカーステレオなど、さまざまな環境で試聴して問題がないかを確認することが大事です。
ライブUtaTenの関連記事!
-
最強のオーディオインターフェイスおすすめ13選!安い初心者向けから高音質のものまで一挙紹介
続きを見る
ミックスダウンにおすすめのプラグイン5選
ミックスダウンに必要不可欠なプラグインですが、たくさんの種類があるのでどれを選べばいいか迷うでしょう。
そこで初めてミックスをする人におすすめしたいのが、必要最低限のプラグインがまとまったバンドルパックです。
バンドルされているそれぞれのプラグインを単品で買うより、パックで買ったほうがかなり安く手に入れられるというメリットも。
1つ持っておけば、上達するまでの練習がまんべんなくできますし、上達した後もずっと使えます。
WAVES Gold
WAVES GOLDは、プロのエンジニアも使うDTMerにとって超定番のバンドルパックです。
40種類以上のプラグインが入っているので、自分の出したい音や世界観を実現しやすいでしょう。
ミックスダウンだけではなくマスタリングにも役立つプラグインもあるので、使いこなせば初心者でもプロ顔負けのクオリティーが期待できます。
WAVES HORIZON
WAVES GOLDに入っているプラグインに加え、ノブひとつで簡単にエフェクトをかけられるプラグイン、アナログレコードのようなヴィンテージサウンドを実現できるプラグイン、配信を前提としたサウンドに仕上げられるマスタリング用プラグインなど、合計76のプラグインが入っているのがWAVES HORIZONです。
お値段は張りますが、1度このバンドルパックを使えばそのクオリティーの高さに手放せなくなってしまうでしょう。
iZotope Ozone 10
ミックスダウンのプラグインの説明中ですが、ここでマスタリング専用ツールを紹介します。
iZotope Ozoneシリーズの最新版であるiZotope Ozone10は「未来のマスタリングツール」を謳う、高いクオリティの楽曲が作成できるツールです。
ミックスダウンした楽曲を解析して抑揚を出したり、音量を調整して引き立てたりとさらに聴きごたえのある楽曲に仕上げられます。
機械学習をとり入れているので、これらを自動的にできるのもこのプラグインの特徴。
初めての音楽制作は、このプラグインでマスタリングをすれば間違いありません。
Mix & Master Bundle Advanced
Mix & Master Bundle Advancedは、iZotopeが提供する最高傑作で、以下のプラグインがバンドルされています。
- ボーカルミックスに特化したNectar 3 Plus
- マスタリングの決定版Ozone 10 Advanced
- AIを使って最適なミックスを自動でしてくれるNeutron 4
- どんなミックスにも対応出来るリバーブプラグインのNeoverb
- どんな場所でも同じ聴こえ方になるよう、調整のできるTonal Balance Control 2
これひとつでミックスからマスタリングまでできるので、初心者にはうってつけのバンドルパックです。
しかもAIを導入しているので、ボタンひとつで自動的に作業してくれる機能付き。
慣れないうちはAIに頼りながら、音作りの勉強もできます。
T-RackS 5 Max
DTMerにとってお馴染みのIk Muitimediaが提供する、1つでマスタリングまで完結できるプラグインがT-RackS 5 Maxです。
33種類のプラグインがバンドルされていますが、中でもBlack 76 Limiting Amplifierはギターやドラムとの相性がよく、特にロックジャンルで活躍する人に重宝されています。
それぞれのプラグインは実機を忠実に再現しているので、その見た目や操作感など、実機を知る人にとっても人気の高いバンドルパックです。
ミックスダウンは楽曲の仕上げに必要不可欠!やり方を覚えてクオリティーの高い音楽を作ってみよう
この記事ではミックスダウンについて紹介しました。
慣れるまでは難しく、一筋縄では行かないと思いますがたくさん失敗をして、耳を鍛えることも大事です。
自動的にミックスをしてくれるツールもあるので、そのツールでどんな値をとっているのかを確認するのもスキルアップに繋がります。
まずはオリジナル楽曲で色々試して、ミックスの違いを体感してみてくださいね。
この記事のまとめ!
- ミックスダウンは聴き心地のよい音楽を作るために必要不可欠な作業
- ミックスダウンはトラック毎に調整し全体を整える作業
- ミックスダウンに決まったやり方はないが、大事なのは理想とする聴こえ方を実現すること
- バンドルパックは初心者にうってつけの、プラグインがまとまったお得なパック