音楽をやっていると「自宅でも練習したいけど騒音が心配」という人も多いでしょう。
防音室が欲しいと思っても値段が高く、諦めている人もいるかもしれませんね。
そんなときは、ホームセンターなどで材料を揃えれば、自分で安く作ることができますよ。
この記事のもくじ
防音室を自作する前に知っておこう
防音室を自作するには、防音材の特性を知っておく必要があります。
防音材には、遮音材や吸音材などの種類があり、材質によって得られる効果も違うのです。
目的に合った使い方をすることで、より高い防音効果が発揮されますよ。
防音室を作る前に、まずは遮音材と吸音材の違いや、それぞれの効果について確認しておきましょう。
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遮音材とは
遮音材とは、空気中や個体の中を音が伝わらないように遮断する材質のものです。
材質が重ければ重いほど、遮音効果は高くなります。
また、遮音材は音を跳ね返すことができますが、音を小さくする効果はありません。
室内を完全に遮音してしまうと、やたらと音が跳ね返って元の音が聞き取りにくくなったり、音が反響して変わってしまったりすることがあります。
吸音材とは
吸音材は、音を吸収して響かないようにしたり、反響を調節したりする材質です。
天井や床などの建築材料に使われることも多く、騒音対策にも利用されています。
音量を小さくしてくれる吸音材ですが、使いすぎると音の反響が不自然になり、聞こえ方に影響してしまう可能性があります。
グラスウールやフェルト、ロックウールなど、素材によっても特徴が変わるので、どのくらいの吸音効果が欲しいかなどを考えて選びましょう。
防音室を自作するための下準備
防音室を自作するためには、下準備が必要です。
購入しなければならない材料などもありますが、家にある工具などを使うと費用はさらに抑えることができるでしょう。
また、必要なものはホームセンターで手に入るアイテムばかりなので、材料も簡単に揃えることができますよ。
ここでは、防音室を自作するために必要な準備や材料などを紹介します。
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設計図の作成
まずは、防音室の設計図を作成します。
設置したい場所や部屋のサイズなどを測って、スペースに合うように設計してください。
設計図があると、実際に必要な材料や組み立てているイメージなどがしやすくなるので、簡単でも良いので作っておきましょう。
「できるだけシンプルにしたい」「衝撃などに備えて、少し頑丈な作りにしよう」など、考えながら作成してみてくださいね。
基本材料を揃える
- 吸音材
- 壁用合板(MDFボード)
- 柱用木材
- ビス
- 養生テープ
- ジョイントマット
- マスキングテープ
- 扉用丁番
- 扉用取手
- コーナー金具
- すきま埋めシリコン施工用
- コーキングガン
- コーキングヘラ
- マグネットキャッチ
- ゴムロール
- 室内照明
基本材料の中でも、特に重要なものが吸音材です。
安全性や耐久性などをしっかり考えて選ぶと、長く使える防音室ができるでしょう。
防音室は隙間を作らないことが大切なので、セメダインなどの施工用シリコンでしっかりカバーするようにしてくださいね。
また、DIYなどをあまりしたことがない人は、ビスやマスキングテープなどを多めに準備しておくと安心ですよ。
工具を揃える
- インパクトドライバー
- ノコギリ
- 引廻しノコギリ
最低限の工具が家にある場合は、もっと費用を抑えることができるでしょう。
インパクトドライバーは、柱を立てる時や合板を設置する時、丁番を付ける時などに使います。
ドライバーを使って手動で付けることもできますが、とても大変なので電動のドライバーを準備しておくことをおすすめします。
細い刃が特徴的な引廻しノコギリは、板などを曲線に切ることができるので、配線孔を作る時に便利ですよ。
防音室の自作方法
設計図が完成して材料や工具を揃えたら、さっそく防音室を作ってみましょう。
「上手にできるか不安」と感じる人もいるかもしれませんが、手順通りに作っていけば大丈夫ですよ。
友達や家族に手伝ってもらうと、より早く簡単に仕上がるでしょう。
ここでは、DIYをしたことがない人も簡単にできる作り方を紹介します。
床にジョイントマットを敷く
組み立てる場所の床に、ジョイントマットを敷きます。
防音室の床になるので、防音効果の高いものを選びましょう。
特に家が賃貸などで2階以上の場合、床部分をしっかり防音しておくことはとても大切なポイントになります。
床の防音ができてないと、音が響いて騒音トラブルになってしまう可能性があるので、忘れずにジョイントマットを敷いてくださいね。
壁3面を組み立てる
次に、壁3面を組立てていきます。
壁用合板(MDFボード)のサイズがちょうど良ければ、ノコギリで切らずにそのまま使いましょう。
まずは、接着させる部分にボンドを塗って板同士をくっつけます。
ガムテープでさらに仮留めしておくと、もっと安定して作業しやすくなりますよ。
仮留めができたら、内側から金具を取り付けて合板を固定します。
合板はとても重く、あとで動かすのは大変なので、必ず防音室を設置する場所で組立てくださいね。
天板とドアを装着する
壁が組み立てられたら、天板とドアを装着しましょう。
まず、天井部分のサイズに合うように、合板をノコギリで切ります。
この時、ドア部分の上下の補強部分になるように、板を縦10cmくらいを目安に2枚切っておいてください。
補強部分はドアがしっかり閉まるように、合板の厚みがある分内側の部分でボンドを使って仮留めして、木ネジで固定します。
また、インセットの扉をドアのサイズに合わせすぎると閉まらない可能性があるので、壁と補強材の間にゴムシートを挟んでおくと良いでしょう。
天板も同じようにゴムシートで余裕を持たせて、木ネジで固定します。
しっかり装着できたら、丁番でドアを固定し、内側と外側に取っ手を付けましょう。
外壁を密閉加工する
板の組立が終わったら、外壁を密閉加工して防音効果を高めます。
隙間があると音漏れしてしまうので、合板の合わせ目にコーキングガンを使って、施工用シリコンでしっかりコーティングしていきましょう。
ドアの合わせ目には、厚めのゴムロールを貼ります。
配線孔を作る場合は、この時に穴を開けておきましょう。
内壁にウレタンを貼る
最後に、内壁に吸音材のウレタンを貼りましょう。
ウレタンを接着させる時には、セメダインSuperXGがおすすめなので、ぜひ試してみてください。
また、接着までには時間がかかります。
接着剤が乾くまで手で押さえるのは大変なので、突っ張り棒などを利用してみると良いでしょう。
配線孔を作っている場合は、ウレタンにも穴を開けておいてくださいね。
防音性能を確認してみよう
防音室が完成したら、防音性能を確認してみましょう。
性能を確認するためには、防音室を開けた状態の音の大きさと、閉めた状態で外に聞こえてくる音の大きさを測定します。
音の大きさを測る時は、iOSアプリ「騒音計」 を使うと音の大きさ(dB)を簡単に測定できますよ。
まずは、防音室の中でスピーカーなどを使って、大音量で音楽を流した状態で計測してみましょう。
90dBくらいでカラオケ店内やブルドーザーと同じレベルの騒音になり、とてもうるさく感じるはずです。
次に、そのまま扉を閉めて音の大きさを計測しましょう。
この時、計測された音の大きさが60~70dBくらいまで小さくなっていれば、防音性能があるということになります。
この音の大きさは、掃除機や普通の会話をしているくらいの騒音です。
自作だと完全に防音することは難しいですが、深夜や早朝を避ければ騒音問題を気にせず音楽を楽しめるようになりますよ。
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簡単に防音室を手に入れる方法
防音室は、コストを抑えて自作することができます。
しかし「作る時間がない」「DIYに自信がない」などの理由で、できるだけ簡単な方法が知りたいと思っている人もいるのではないでしょうか。
最近は大掛かりな工事が必要なものだけでなく、簡単に設置できるものも増えていますよ。
ここでは、簡単に防音室を手に入れる方法を紹介します。
ヤマハの「アビテックス」
多くのメーカーから防音室が発売されていますが、その中でも一番ポピュラーなものが楽器メーカー大手・ヤマハの「アビテックス」です。
ギターやオーディオだけでなく、グレードによってはピアノ、ドラムなどの演奏もできる本格的な防音性能を備えています。
特別な工事も必要ないので、賃貸でも設置可能です。
しかし、専門業者による組み立てになるので、自分で気軽に撤去・移動はできません。
また、お値段は50万円台からなので、かなり高額の買い物になります。
ダンボール防音室「だんぼっち」
ダンボール防音室「だんぼっち」は、その名の通りダンボール製の防音室です。
防音材よりも軽く、組み立ても簡単なので、女性にもおすすめですよ。
使わない時には分解して収納することもできるので、部屋が狭くても大丈夫です。
また、素材がダンボールなので、他の防音室よりもリーズナブルに手に入れることができます。
ただし、実際に使ってみると音の反響が気になる可能性があるので、必要に応じて吸音材などを貼って調節することをおすすめします。
防音室「Light Room」
「Light Room」は、普通の「Light Room」と「Light Room Plus」があります。
「Light Room Plus」の方が音の吸音性・防音性が高く、音漏れしやすい窓もないので、より高い防音効果を求めるなら「Light Room Plus」がおすすめです。
LLサイズを選べば、音楽を楽しむだけでなく、書斎や仕事部屋としても使えますよ。
しかし、しっかり密閉された空間なので、特に夏は暑さ対策をする必要があります。
また、こちらの商品には床がないので、自分でジョイントマットなどを敷いて防音対策をしましょう。
簡易防音室「VERY-Q」
簡易防音室「VERY-Q」は、パーツをマジックテープで固定しながら組み立てていく防音室です。
「意外と広い」というレビューが多く、中では立って歌うことができますよ。
アコギを弾くこともできますが、人によっては防音室のサイズ的に弾きにくく感じるかもしれません。
また、反響音が抑えられるので録り音が良くなりますが、もう少し防音効果を高めたいと思った場合は自分でカスタマイズしていく必要があるでしょう。
防音室レンタル「音レント」
人気のヤマハの防音室をレンタルできるサービスが「音レント」です。
一番安いものだと、1ヶ月12,000円未満の金額からレンタルできます。
購入すると高価ですが、レンタルを利用すればリーズナブルにハイクオリティな防音室が手に入りますよ。
また、気に入った時はレンタル期間中にいつでも購入でき、代金も今までのレンタル料が充当された金額で買うことができます。
設置場所のスペース確保と、専門業者による組み立てが必要ですが「購入前に試してみたい」「防音室に興味がある」という人には、とてもおすすめのサービスです。
防音室の材料はホームセンターで揃う!自作すれば費用をかなり抑えられる
毎回スタジオを借りて練習するには、どうしてもお金がかかってしまいますよね。
「防音室が欲しいけど、高くて手が出せない…」と思っている人もいるかもしれませんが、ホームセンターで材料を揃えて自作すれば、費用をグッと抑えられますよ。
作り方も意外と簡単なので、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
もっと簡単に手に入れたいという人には、お手頃価格のものやレンタルサービスなどを利用してみるのもおすすめですよ。
憧れの防音室で、もっと音楽を自由に楽しみましょう!
この記事のまとめ!
- 防音室は、ホームセンターに売っている材料で自作できる
- 手順通りに組み立てれば、DIY初心者でも意外と簡単に作れる
- 防音室が完成したら、必ず音を測定して防音性能を確かめよう
- 簡単に防音室を手に入れたいなら、購入やレンタルサービスをチェックしよう
- 家に防音室があると、音楽の可能性がもっと広がる