よみ:まよなかのじゅうにん
真夜中の住人 歌詞
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「お、おい?」
「……助たすけて」
「おはよう、昨日きのうは世話せわになったね」
「これ、あんたが作つくったの?」
「冷蔵れいぞう庫こにあるもので作つくったから大たいしたものはできなかったけど、
一宿一飯いっしゅくいっぱんのお礼れい」
「すげ。どこの嫁よめだよ」
「それなりに長ながく生いきてるけど、嫁よめって言いわれるのは初はじめてだな」
「うまっ! 俺おれは瀬尾せお浩太こうた。あんたは?」
「玲央れお……九頭くとう玲央れおだよ」
「玲央れお。行いく場所ばしょがないならしばらくこの部屋へや使つかってもらってもいいけど」
「こんな得体えたいのしれない男おとこを家いえに置おくの?」
「や、部屋へやも綺麗きれいにしてくれてるし……美味うまい。いてくれたら俺おれが助たすかる」
「お人好ひとよしだね。じゃあ、お世話せわになろうかな」
「あんたは食たべないのか?」
「食事しょくじの時間じかんが不規則ふきそくなんだ。僕ぼくのことは気きにしないで食たべて」
「さすがだね。いつもと違ちがう頼たよりない感かんじがよく出でてる」
「強つよく見みせてる俺おれのほうが演えんじてるのかもしれないですけどね」
「それをサラッと言いえる丞すすむは、大人おとなだし強つよいよ」
「せっかくこのメンバーなんだ。とことん冬ふゆ組ぐみらしく繊細せんさいに行いきましょう」
「うん」
「行いってきます」
「行いってらっしゃい」
「追おい出だすかよ。昨日きのう……助たすけてって言いってただろ」
「ごめんね……」
「お隣となりさんですか? 今日きょうから引ひっ越こしてきました、泉いずみです」
「瀬尾せおです。ご丁寧ていねいにどうも」
「会社かいしゃですよね。引ひき止とめちゃってすみません」
「いえ、なんか困こまったことあったらいつでも言いってください」
「聞きいたぞ。行ゆき倒だおれの男おとこを拾ひろったって? 怪あやしすぎるだろ。アラサー向むけの
ドラマか漫画まんがじゃねんだから」
「ほっとけ。玲央れおは良よい奴やつだよ。飯めしも美味うまいしな」
「はあ。んなこと言いってっといつか痛いたい目め見みるぞ」
「どうかねどうかね? ワタシのサラリーマン役やくは?」
「正直しょうじき驚おどろいた。こういう役やくもさらっとできるようになったんだな」
「優すぐれた芸術家げいじゅつかは何なにをしても一流いちりゅうなのだよ」
「頼たのもしいな」
「さあ好すきなようにやりたまえ。我々われわれが支ささえるよ」
ごめんねと言いうのも ずるいかもしれないね 僕ぼくは君きみの命いのちを喰くらってる
だけど どうしてだろう 君きみの血ちが欲ほしいのに 君きみの血ちが欲ほしくないんだ
「昨夜さくやはすまない」
「……何なにが?」
「どうも最近さいきん悪夢あくむにうなされるんだ。寝ねてる時とき、たぶんうるさかったろ」
「浩太こうたは静しずかに寝ねてたよ」
「ならよかった」
「人ひとの心こころ配はいより自分じぶんの……」
「ん?」
「ううん。体からだは大丈夫だいじょうぶ? 会社かいしゃは行おこなける?」
「ああ。今日きょうも玲央れおの飯めし食くったから元気げんきだよ。行いってくる」
「おはようございます」
「おはようございます」
「そうだ瀬尾せのおさん。平日へいじつもお休やすみなんですか? 昼間ひるまにも隣となりから物音ものおとが
聞きこえるので……」
「ああいえ、ちょっと友達ともだちが泊とまってるんです」
「そうなんですか……。お友達ともだちが」
「どうだ? 紬つむぎから見みてみんなは」
「シンプルに尊敬そんけいしてる。どんな細こまかい演技えんぎも受うけて返かえしてくれるし、
みんなの演技えんぎもホントに多彩たさいで面白おもしろい」
「ったく、一番いちばんやってるやつがそれ言いうかよ」
「オレ達たちは……冬ふゆ組ぐみに出会であうために芝居しばいをしてきたんだね」
「……だな!」
「おい瀬尾せお。顔色かおいろ悪あくりーぞ」
「ちょっと今日きょうは寝不足ねぶそくかもな」
「今日きょうだけじゃねーよ。ここ一いち週間しゅうかんずっとだぞ。一いち週間しゅうかんって居候いそうろうが
来きてからだろ? やっぱそいつおかしいよ」
「玲央れおのせいじゃないって」
「いいや怪あやしい。一いち回かい会あわせろ」
「いい寝床ねどこを見みつけたじゃないか。ボクにも分わけてくれよ」
「彼かれはそういうのじゃない。干渉かんしょうするな」
「冷つめたいんだな。ボクとキミの仲なかでしょ?」
「用ようがそれだけなら帰かえれ、フランツ」
お前まえが何なににうつつを抜ぬかしてるか知しらないが ボク達たちは所詮しょせん
わかってる 太陽たいようの光ひかりは強つよすぎる
……それでも 光ひかりには憧あこがれてしまうだろう?
闇やみを忌いみ嫌きらうのは人間にんげんの弱よわさだよ
共ともに生いきられはしないかと 願ねがってしまうのさ
「あれ? 玲央れお。あれは誰だれだ?」
「あいつが居候いそうろうか? やっぱ絶対ぜったい怪あやしい」
「そんな奴やつじゃないって。おーい、玲央れお!」
「浩太こうた……」
「あいつか。確たしかにいい身体からだだね」
「フランツ、場ば所ところを変かえよう」
「逃にげた! さてはあいつら犯罪はんざい組織そしきの一員いちいんとかだろ」
「いい加減かげんにしろ、野々宮ののみや。……でも、なんで無視むししたんだよ?」
家いえにいさせてるのも ずるいのかもしれないな
いるのが当あたり前まえになってる
偶然ぐうぜん出会であった 見知みしらぬ男おとこなのに ずっと一緒いっしょにいたいんだ
「キミ、あまり血ちを飲のんでないね?」
「家いえに泊とめてもらってる上うえに、本気ほんきでは吸すえないよ」
「その為ための人間にんげんでしょ。いいから早はやく吸すいなよ、キミが死しぬよ」
「僕ぼくもはじめはそのつもりだったさ」
「なんで黙だまって逃にげちまうんだよ……玲央れお」
「この街まちまで追おっ手てが迫せまってる。ボクはそれを伝つたえに来きたんだよ」
「感謝かんしゃする」
「あの家いえを出でない気きか? 流石さすがにもう」
「大丈夫だいじょうぶ。大丈夫だいじょうぶだよ」
ごめんねとずるくても 伝つたえなきゃいけないね 僕ぼくは君きみに会あえてよかった
だから 最さい後ごにするよ 君きみの血ちが欲ほしい 君きみの血ちが誰だれより欲ほしいんだ
「世話せわになったね。長居ながいするつもりじゃなかったんだけど、
つい居心地いごこちがよくて」
「そんなに焦あせって出でなくてもいいのに。俺おれも助たすかってたし」
「そういうわけにもいかないよ」
「住すむところ決きまってるのか?」
「まあね。浩太こうた……ありがとね」
「ああ、泉いずみさん。おはようございます」
「お前まえ……!」
「引ひっ越こされるんですね。それじゃあ、これ僕ぼくからの餞別せんべつです」
「浩太こうた、下さがって!」
「泉いずみさん?」
「残念ざんねんだな。少すこしの間あいだだったけどお隣となりさんだったわけだし」
「おいアンタ何なにしてんだ!」
「ハハハハハハ、汚けがらわしい夜よるの一族いちぞくよ。わが血盟けつめいの掟おきてにのっとり汝なんじを
排除はいじょする!」
「どけ。君きみも殺ころすぞ?」
「やめろ! 浩太こうたは関係かんけいない」
「は! 随分ずいぶん親したしげなんだな。人間にんげんは食事しょくじにすぎないくせに」
「食事しょくじ……? 何なにを言いってる?」
「そいつは吸血鬼きゅうけつきだ。人間にんげんの敵てきなんだよ」
「吸血鬼きゅうけつき? 玲央れおがそんな……!」
「浩太こうた……」
「さあ、そいつを渡わたしてもらおう」
「ハハハ、血ちの眷属けんぞくに成なり下さがったか。いいだろう。二人ふたりとも送おくってやる」
フランツ「あーらら。ご相伴しょうばんにあずかろうと思おもったのに貧乏びんぼうくじひいたな。
仕方しかたないから手て貸かしてあげるよ」
「吸血鬼きゅうけつきどもめ……」
「すごいね密みつくん。稽古けいこの時ときよりもさらに動うごきが洗練せんれんされてる」
「考かんがえなくても体からだが勝手かってに動うごく。なんでかはわからないけど」
「密ひそかくんの過去かこに関係かんけいしてるのかもしれないね」
「東あずまみたいに、オレもいつか向むき合あいたい。自分じぶんの記憶きおくと……」
「まだやる?」
「人間にんげんは貴様きさまらには屈くっしない。白しろき刃やいばが必かならず貴様きさまらを裁さばく」
「玲央れお! 玲央れお!!」
「そいつはボクに任まかせてくれるかな」
「だけど……」
「安心あんしんしろ。ボク達たちは同類どうるいなんだ」
「……わかった。玲央れおを頼たのむ」
「素直すなおだね。良いい子こだ」
ごめんなんてもう 言いわなくていいんだ 俺おれの血ちなんかくれてやる
だから お願ねがいだから 生いきてくれずっと お前まえを失うしないたくないんだ
「浩太こうたは……?」
「無事ぶじだよ。さすがに彼かれに血ちを分わけてくれとは言いえないだろう?」
「ありがとう、フランツ」
「ばれたからには、もうここにはいられない。すぐに次つぎの追おっ手てがくる」
「僕ぼくたちが何なにをした? 人ひとより少すこし長ながく生いきられるだけだ」
「異端いたんは排除はいじょする。それが人ひとというものさ」
「玲央れお?」
「お別わかれだ、浩太こうた。君きみに会あえてよかった」
「事情じじょうはもうわかった。出でていく必要ひつようなんてない」
「君きみのような人間にんげんがいるなら、退屈たいくつな生せいにも意味いみがあると思おもえたよ」
「ずっと、そうして一人ひとりで生いきていくのか?」
「それが僕ぼくらの宿命しゅくめいなんだ」
「……だったら、俺おれも連つれていけ」
「何なにを……」
「道連みちづれになってやるって言いってんだ。吸血鬼きゅうけつきにでもなんでもなってやる!」
「今いままで踏ふみ込こまなかった……踏ふみ込こめなかった距離きょり……。
勇気ゆうきを出だして踏ふみ出だしたら、今いままで以上いじょうにみんなと繋つながれた気きがする」
「……ありがとう、浩太こうた。その言葉ことばだけで、僕ぼくは……」
「……助たすけて」
「おはよう、昨日きのうは世話せわになったね」
「これ、あんたが作つくったの?」
「冷蔵れいぞう庫こにあるもので作つくったから大たいしたものはできなかったけど、
一宿一飯いっしゅくいっぱんのお礼れい」
「すげ。どこの嫁よめだよ」
「それなりに長ながく生いきてるけど、嫁よめって言いわれるのは初はじめてだな」
「うまっ! 俺おれは瀬尾せお浩太こうた。あんたは?」
「玲央れお……九頭くとう玲央れおだよ」
「玲央れお。行いく場所ばしょがないならしばらくこの部屋へや使つかってもらってもいいけど」
「こんな得体えたいのしれない男おとこを家いえに置おくの?」
「や、部屋へやも綺麗きれいにしてくれてるし……美味うまい。いてくれたら俺おれが助たすかる」
「お人好ひとよしだね。じゃあ、お世話せわになろうかな」
「あんたは食たべないのか?」
「食事しょくじの時間じかんが不規則ふきそくなんだ。僕ぼくのことは気きにしないで食たべて」
「さすがだね。いつもと違ちがう頼たよりない感かんじがよく出でてる」
「強つよく見みせてる俺おれのほうが演えんじてるのかもしれないですけどね」
「それをサラッと言いえる丞すすむは、大人おとなだし強つよいよ」
「せっかくこのメンバーなんだ。とことん冬ふゆ組ぐみらしく繊細せんさいに行いきましょう」
「うん」
「行いってきます」
「行いってらっしゃい」
「追おい出だすかよ。昨日きのう……助たすけてって言いってただろ」
「ごめんね……」
「お隣となりさんですか? 今日きょうから引ひっ越こしてきました、泉いずみです」
「瀬尾せおです。ご丁寧ていねいにどうも」
「会社かいしゃですよね。引ひき止とめちゃってすみません」
「いえ、なんか困こまったことあったらいつでも言いってください」
「聞きいたぞ。行ゆき倒だおれの男おとこを拾ひろったって? 怪あやしすぎるだろ。アラサー向むけの
ドラマか漫画まんがじゃねんだから」
「ほっとけ。玲央れおは良よい奴やつだよ。飯めしも美味うまいしな」
「はあ。んなこと言いってっといつか痛いたい目め見みるぞ」
「どうかねどうかね? ワタシのサラリーマン役やくは?」
「正直しょうじき驚おどろいた。こういう役やくもさらっとできるようになったんだな」
「優すぐれた芸術家げいじゅつかは何なにをしても一流いちりゅうなのだよ」
「頼たのもしいな」
「さあ好すきなようにやりたまえ。我々われわれが支ささえるよ」
ごめんねと言いうのも ずるいかもしれないね 僕ぼくは君きみの命いのちを喰くらってる
だけど どうしてだろう 君きみの血ちが欲ほしいのに 君きみの血ちが欲ほしくないんだ
「昨夜さくやはすまない」
「……何なにが?」
「どうも最近さいきん悪夢あくむにうなされるんだ。寝ねてる時とき、たぶんうるさかったろ」
「浩太こうたは静しずかに寝ねてたよ」
「ならよかった」
「人ひとの心こころ配はいより自分じぶんの……」
「ん?」
「ううん。体からだは大丈夫だいじょうぶ? 会社かいしゃは行おこなける?」
「ああ。今日きょうも玲央れおの飯めし食くったから元気げんきだよ。行いってくる」
「おはようございます」
「おはようございます」
「そうだ瀬尾せのおさん。平日へいじつもお休やすみなんですか? 昼間ひるまにも隣となりから物音ものおとが
聞きこえるので……」
「ああいえ、ちょっと友達ともだちが泊とまってるんです」
「そうなんですか……。お友達ともだちが」
「どうだ? 紬つむぎから見みてみんなは」
「シンプルに尊敬そんけいしてる。どんな細こまかい演技えんぎも受うけて返かえしてくれるし、
みんなの演技えんぎもホントに多彩たさいで面白おもしろい」
「ったく、一番いちばんやってるやつがそれ言いうかよ」
「オレ達たちは……冬ふゆ組ぐみに出会であうために芝居しばいをしてきたんだね」
「……だな!」
「おい瀬尾せお。顔色かおいろ悪あくりーぞ」
「ちょっと今日きょうは寝不足ねぶそくかもな」
「今日きょうだけじゃねーよ。ここ一いち週間しゅうかんずっとだぞ。一いち週間しゅうかんって居候いそうろうが
来きてからだろ? やっぱそいつおかしいよ」
「玲央れおのせいじゃないって」
「いいや怪あやしい。一いち回かい会あわせろ」
「いい寝床ねどこを見みつけたじゃないか。ボクにも分わけてくれよ」
「彼かれはそういうのじゃない。干渉かんしょうするな」
「冷つめたいんだな。ボクとキミの仲なかでしょ?」
「用ようがそれだけなら帰かえれ、フランツ」
お前まえが何なににうつつを抜ぬかしてるか知しらないが ボク達たちは所詮しょせん
わかってる 太陽たいようの光ひかりは強つよすぎる
……それでも 光ひかりには憧あこがれてしまうだろう?
闇やみを忌いみ嫌きらうのは人間にんげんの弱よわさだよ
共ともに生いきられはしないかと 願ねがってしまうのさ
「あれ? 玲央れお。あれは誰だれだ?」
「あいつが居候いそうろうか? やっぱ絶対ぜったい怪あやしい」
「そんな奴やつじゃないって。おーい、玲央れお!」
「浩太こうた……」
「あいつか。確たしかにいい身体からだだね」
「フランツ、場ば所ところを変かえよう」
「逃にげた! さてはあいつら犯罪はんざい組織そしきの一員いちいんとかだろ」
「いい加減かげんにしろ、野々宮ののみや。……でも、なんで無視むししたんだよ?」
家いえにいさせてるのも ずるいのかもしれないな
いるのが当あたり前まえになってる
偶然ぐうぜん出会であった 見知みしらぬ男おとこなのに ずっと一緒いっしょにいたいんだ
「キミ、あまり血ちを飲のんでないね?」
「家いえに泊とめてもらってる上うえに、本気ほんきでは吸すえないよ」
「その為ための人間にんげんでしょ。いいから早はやく吸すいなよ、キミが死しぬよ」
「僕ぼくもはじめはそのつもりだったさ」
「なんで黙だまって逃にげちまうんだよ……玲央れお」
「この街まちまで追おっ手てが迫せまってる。ボクはそれを伝つたえに来きたんだよ」
「感謝かんしゃする」
「あの家いえを出でない気きか? 流石さすがにもう」
「大丈夫だいじょうぶ。大丈夫だいじょうぶだよ」
ごめんねとずるくても 伝つたえなきゃいけないね 僕ぼくは君きみに会あえてよかった
だから 最さい後ごにするよ 君きみの血ちが欲ほしい 君きみの血ちが誰だれより欲ほしいんだ
「世話せわになったね。長居ながいするつもりじゃなかったんだけど、
つい居心地いごこちがよくて」
「そんなに焦あせって出でなくてもいいのに。俺おれも助たすかってたし」
「そういうわけにもいかないよ」
「住すむところ決きまってるのか?」
「まあね。浩太こうた……ありがとね」
「ああ、泉いずみさん。おはようございます」
「お前まえ……!」
「引ひっ越こされるんですね。それじゃあ、これ僕ぼくからの餞別せんべつです」
「浩太こうた、下さがって!」
「泉いずみさん?」
「残念ざんねんだな。少すこしの間あいだだったけどお隣となりさんだったわけだし」
「おいアンタ何なにしてんだ!」
「ハハハハハハ、汚けがらわしい夜よるの一族いちぞくよ。わが血盟けつめいの掟おきてにのっとり汝なんじを
排除はいじょする!」
「どけ。君きみも殺ころすぞ?」
「やめろ! 浩太こうたは関係かんけいない」
「は! 随分ずいぶん親したしげなんだな。人間にんげんは食事しょくじにすぎないくせに」
「食事しょくじ……? 何なにを言いってる?」
「そいつは吸血鬼きゅうけつきだ。人間にんげんの敵てきなんだよ」
「吸血鬼きゅうけつき? 玲央れおがそんな……!」
「浩太こうた……」
「さあ、そいつを渡わたしてもらおう」
「ハハハ、血ちの眷属けんぞくに成なり下さがったか。いいだろう。二人ふたりとも送おくってやる」
フランツ「あーらら。ご相伴しょうばんにあずかろうと思おもったのに貧乏びんぼうくじひいたな。
仕方しかたないから手て貸かしてあげるよ」
「吸血鬼きゅうけつきどもめ……」
「すごいね密みつくん。稽古けいこの時ときよりもさらに動うごきが洗練せんれんされてる」
「考かんがえなくても体からだが勝手かってに動うごく。なんでかはわからないけど」
「密ひそかくんの過去かこに関係かんけいしてるのかもしれないね」
「東あずまみたいに、オレもいつか向むき合あいたい。自分じぶんの記憶きおくと……」
「まだやる?」
「人間にんげんは貴様きさまらには屈くっしない。白しろき刃やいばが必かならず貴様きさまらを裁さばく」
「玲央れお! 玲央れお!!」
「そいつはボクに任まかせてくれるかな」
「だけど……」
「安心あんしんしろ。ボク達たちは同類どうるいなんだ」
「……わかった。玲央れおを頼たのむ」
「素直すなおだね。良いい子こだ」
ごめんなんてもう 言いわなくていいんだ 俺おれの血ちなんかくれてやる
だから お願ねがいだから 生いきてくれずっと お前まえを失うしないたくないんだ
「浩太こうたは……?」
「無事ぶじだよ。さすがに彼かれに血ちを分わけてくれとは言いえないだろう?」
「ありがとう、フランツ」
「ばれたからには、もうここにはいられない。すぐに次つぎの追おっ手てがくる」
「僕ぼくたちが何なにをした? 人ひとより少すこし長ながく生いきられるだけだ」
「異端いたんは排除はいじょする。それが人ひとというものさ」
「玲央れお?」
「お別わかれだ、浩太こうた。君きみに会あえてよかった」
「事情じじょうはもうわかった。出でていく必要ひつようなんてない」
「君きみのような人間にんげんがいるなら、退屈たいくつな生せいにも意味いみがあると思おもえたよ」
「ずっと、そうして一人ひとりで生いきていくのか?」
「それが僕ぼくらの宿命しゅくめいなんだ」
「……だったら、俺おれも連つれていけ」
「何なにを……」
「道連みちづれになってやるって言いってんだ。吸血鬼きゅうけつきにでもなんでもなってやる!」
「今いままで踏ふみ込こまなかった……踏ふみ込こめなかった距離きょり……。
勇気ゆうきを出だして踏ふみ出だしたら、今いままで以上いじょうにみんなと繋つながれた気きがする」
「……ありがとう、浩太こうた。その言葉ことばだけで、僕ぼくは……」