よみ:おんみょうのよい
陰陽の宵 歌詞
-
MANKAI STAGE『A3!』~Four Seasons LIVE 2024~
- 2026.1.28 リリース
- 作詞
- 松崎史也
- 作曲
- Yu(vague)
- 編曲
- Yu(vague)
友情
感動
恋愛
元気
結果
- 文字サイズ
- ふりがな
- ダークモード
その都みやこ 人ひとと人ひとならざるものがあった
人ひとならざるもの アヤカシ
それ手繰たぐるもの 陰陽師おんみょうじ
いずれもヒトにまつわりまじわり
陰陽いんよう虚実きょじつ 奇々怪々ききかいかい
平安へいあん奇譚きたんの はじまりはじまり
晴明せいめい、市井しせいにはびこる流行はやり病やまいの話はなしは聞きいておるな
はい
その病やまいで、帝みかどが倒たおれられた
何なんと
そなたの力ちからでなんとしてもお救すくいいたせ。急いそぎ禊みそぎを執とり行おこなうように
かしこまりました
陰いん転てんじて陽ようとなす 元柱がんちゅう固具こしん 慎つとみて五ご陽よう霊神れいしんに願ねがい奉たてまつる
浄心じょうしん呪じゅ、浄じょう身しん呪じゅ…
また面倒めんどうなことを頼たのまれたものだな
佼こう
こんなことをしてもトカゲのしっぽ切きりだぞ
無駄口むだぐちをたたくな、お前まえも手伝てつだえ
やれやれ
人使ひとづかい荒あらい主あるじ
言ゆうこと聞きかぬ式神しきがみ
とっとと炙あぶり出だして終おわらせる
この凶兆こうちょうは間違まちがいない
ああこれは病やまいじゃない 悪鬼あっきの力ちからだ
おん まりしえい そわか おん さんざんざんさく そわか
そら、来きたぞ
急急如律令きゅうきゅうにょりつりょう! 縛ばく!
……消きえた?
だから言いっただろう、面倒めんどうだって
ひとまず陰陽頭おんようのかみに報告ほうこくだ。
怨霊おんりょうだと? 馬鹿ばかを申もうせ宮中きゅうちゅうの結界けっかいにほころびはない。
しかし……
禊みそぎの成果せいかが出でなかったのを怨霊おんりょうの仕業しわざにするつもりか?
― 私わたくしはそのような
下さがれ。儀式ぎしきには他ほかの者ものを当あたらせる
頭あたまの固かたい上うわ役やくにつく苦労くろうが分わかったか
戯言ざれごとはいい、調査ちょうさ結果けっかを
宮中きゅうちゅうは結界けっかいが強つよく我われらには手ては出だせない
怨霊おんりょうなど付つけ入いる隙すきもない
陰陽頭おんようのかみの言いう通とおりということか……?
晴明せいめい殿どの
月白げっぱく? 戻もどってきていたのか!
ええ昨日きのう。それより浮うかない顔かおですね。
……昨今さっこん、市井しせいにはびこる病やまい、どうやら怨霊おんりょうが関かかわっている
なんと
が、なかなか尻尾しっぽががつかめなくてな
……私わたしでよければお手伝てつだいしましょうか
いいのか?
お力ちからになれるかわかりませんが
これほど心強こころづよいものはない
佼こう、月白げっぱくにこれまで見みつけた呪詛じゅその詳細しょうさいを伝つたえろ
気きが進すすまないな
お前まえの気分きぶんは関係かんけいない
やれやれ
晴明せいめい殿どのの式神しきがみ 佼こう 振ふる舞まいと裏腹うらはらに 驚おどろくべき有能ゆうのうさ
都みやこのあちこちにも強力こうりょくな呪詛じゅそあり おそらく
都みやこの守護しゅごを破やぶる為ためか
これだけの陣じん ただの怨霊おんりょうではない
相当そうとうな暇人ひまじんだな
よほどの恨うらみを抱いだいている
都みやこの守護しゅごは破やぶらせない 我われら陰陽師おんみょうじはそのためにいる
次つぎはここだ。間違まちがいない
佼こう、私わたしの身みを隠かくし、罠わなを張はれ
はいはい
来きたか……
この結界けっかいからは逃のがれられんぞ、急急如律令きゅうきゅうにょりつりょう!
佼こう!
分わかってる
ああああああああ
晴明せいめいの結界けっかいを弾はじいた?
逃にげられた……!
晴明せいめいの結界けっかいをも破やぶる怨霊おんりょう 厄介やっかいだ 力ちからも知恵ちえもある
この一いっ件けんを経へて 生き真面目まじめな晴明せいめいは 帝みかどを守まもりに宮中きゅうちゅうに戻もどる
月白げっぱく、許可きょかを得えた
これでようやく宮中きゅうちゅうを自由じゆうに動うごける
では私わたしは引ひき続つづき市井しせいの呪詛じゅそを
月白げっぱくも共ともに宮中きゅうちゅうの調査ちょうさを――
私わたしは宮中きゅうちゅうの出入でいりを許ゆるされておりませんから
私わたしが話はなしは通とおしてある
貴方あなたは知しらない 人ひとが私わたしをどう見みるか
人ひとだからこそ 人ひとを見みる 見みなす 見定みさだめる
「痛いたいほど知しっている」 人ひとが私わたしをどう見みるか
人ひとは異物いぶつを恐おそれる 避さける 貶おとしめる
ただでさえ得体えたいのしれない病やまいが流行はやっている中なか、私わたしのようなものが宮中きゅうちゅうをうろついてはどんな災わざわいを持もち込こむかと心配しんぱいさせる。お力ちからになれず申もうし訳わけありません
月白げっぱく……
お友達ともだちはどうした
……月白げっぱくは本当ほんとうなら私わたしと同おなじ陰陽おんみょう寮りょうに所属しょぞくするはずだった。誰だれよりも力ちからのある陰陽師おんみょうじだ。だが、ただ出自しゅつじのせいでそれが叶かなわなかった
ただ……ね。それでああもねじくれているわけか
ねじくれている?
気きづかないのか? これだからお坊ぼっちゃまは
どういう意味いみだ
そのままの意味いみだ
お友達ともだちはお前まえの思おもうような人間にんげんではないぞ
月白げっぱくに対たいする侮辱ぶじょくは許ゆるさんぞ
やれやれ、人ひとの考かんがえることはわからんな
人ひとが人ひとを恨うらみ 呪しゅが生うまれる
呪しゅを封ふうじる為ため 呪しゅを式神しきがみとし それをぶつける
人ひとが 人ひとである限かぎり 終おわらぬ円環えんかん 陰陽いんよう 因果いんが
呪のろいも怨霊おんりょうも 元もとを辿たどれば 全すべて 人ひと ひと
まさか宮中きゅうちゅうからも見みつかるとは……
結界けっかい内ないにこれほどの呪詛じゅそをほどこすのは我われにも不可能ふかのうだぞ
人ひとの身みでなければできないな。つまり、先日せんじつ取とり逃にがした怨霊おんりょうは何者なにものかの式神しきがみ……。あれを使役しえきできるだけの力ちからを持もつ者ものなどこの国くににもそうは――
どうした
いや……
佼こう、呪詛じゅそ返がえしを行おこなうぞ
よせ。いくらお前まえといえど、あの怨嗟えんさの塊かたまりを身みに受うけたら飲のみ込こまれる
このまま追おいかけっこをしていても埒らちが明あかない。一気いっきに片かたを付つける
やれやれ、意外いがいと過激派かげきはなんだな
日ひに天てんを見みず 夜よに月つきを見みず 守護しゅごをはらえ 勅令ちょくれい破やぶれよ
北きたに玄武げんぶ 南みなみに朱雀すざく 東ひがしに青龍せいりゆう 西にしに白虎びゃっこ
光ひかり消きえよ 闇やみよ覆おおえ 信しん砕くだけよ 世よ滅めっせよ
おん まりしえい そわか おん さんざんざんさく そわか
急急如律令きゅうきゅうにょりつりょう! 反はん!
うおおおお
怨嗟えんさ! ここまでとは……!
反転はんてんして打うち消けしあった……!
佼こう、今いまだ!
……
何なにが望のぞみだ。都みやこの混乱こんらんか、帝みかどの命いのちか
言いう必要ひつようはない……
お前まえを使役しえきしている陰陽師おんみょうじは誰だれだ
我われは式神しきがみ。この身みが滅めっしようと主あるじは売うらぬ
ではここで滅めっそう。構かまわんな晴明せいめい?
……ああ
月つき 陽ひを返かえす光ひかり その白しろきを以もって
我われが使役しえきせし 式神しきがみ ここへと戻もどせ
黒くろ幕まくが手てを出だしたか
この術じゅつは……馬鹿ばかな……佼こう、気きをたどれ
無駄むだな使役しえきをされては困こまる。我われが行いく必要ひつようが?
佼こう! 主あるじの命めいが
我われは式神しきがみ
それがお前まえの本当ほんとうの命めいならば動うごく
人ひとが人ひとを恨うらみ 呪しゅが生うまれる
呪しゅを封ふうじる為ため 呪しゅを式神しきがみとし それをぶつける
人ひとが 人ひとである限かぎり 終おわらぬ円環えんかん 陰陽いんよう 因果いんが
呪のろいも怨霊おんりょうも 元もとを辿たどれば 全すべて 人ひと ひと
やはりお前まえだったのか、月白げっぱく
お逃にげください、主あるじ。ここは私わたしが……!
下さがっていろ。もうお前まえに戦たたかう力ちからなど残のこされていないだろう
しかし――
ただでやられるつもりもない。抗あらがってみるさ
佼こう、いい。私わたしが
……分わかった
主あるじ!
やはり、あなたには勝かてませんね……
なぜこんなことを?
なぜ? 私わたしはずっとこの国くにを恨うらんでいた。私わたしを異物いぶつとし迫害はくがいするこの国くにの人々ひとびとすべてを―― 陰陽道いんようどうを学まなんだのも、復讐ふくしゅうのためです
お前まえは学まなぶことを楽たのしんでいた。復讐ふくしゅうだけのためじゃなかったはずだ
生うまれた時ときから父ちちはわからず、母ははも強盗ごうとうに襲おそわれ殺ころされた。この世よは地獄じごく……ずっと土つちを食はむような思おもいで生いきてきた私わたしの中なかにあるのは、すべてを恨うらみ憎にくむ復讐ふくしゅうの思おもいだけです
私わたしはもはや人ひとではない、鬼おになのです
鬼おには式神しきがみを助たすけたりはしない。あそこでお前まえがこの式神しきがみを助たすけなければ私わたしはお前まえに行ゆきつかなかった
お優やさしいことで
うあああ
主あるじ!
呪詛じゅそ返がえしを受うけた式神しきがみを助たすければ、己おのれの身みにも災わざわいが降ふりかかる
分わかっていながら、お前まえはその式神しきがみを見み捨すてられなかったのだろう
主あるじ……なぜ私わたしなどを!式神しきがみなど見み捨すててくだされば
助たすけたつもりはありません。勝手かってに体からだが動うごいたまでのこと
それは、お前まえの身みに人ひとの心こころが残のこっていた証あかしだ
もう一度いちどやり直なおそう、月白げっぱく。お前まえのその力ちからは本物ほんものだ
正ただしい道みちに生いかし、罪つみを償つぐなうのだ
また共ともに陰陽道おんみょうどうを学まなび直なおそう
うあああ
月白げっぱく!
安倍晴明あべのせいめいの呪詛じゅそ返がえしだぞ
主あるじ―― !
……すまない、翡翠ひすい。最期さいごまで面倒めんどうを見みてやれなかった
いえ、いいえ……私わたしを拾ひろってくださってありがとうございました
晴明せいめい殿どの……私わたしは、きっとあなたがいるから都みやこを選えらんだのです……
人ひとが人ひとに出会であい 縁えんが生うまれる
縁えんは 人ひとならざる者ものも 結むすびまつろわせる
その繋つながりが 生いきさせた あなたの瞳ひとみに 映うつる月つきの
月白げっぱく……なぜ……何なにも話はなしてくれなかった……
感傷かんしょうは後あとだ。このままこいつを放置ほうちすればいずれ意志いしを失うしない怨霊おんりょうとなる
……佼こう、その者ものの討伐とうばつを
御意ぎょい
……
抵抗ていこうしないのか?
私わたしは最期さいごまで主あるじのそばを離はなれぬ
そうか。良いい主あるじに出会であったな
縁えんは 人ひとならざる者ものも
結むすびまつろわせる
繋つながりは 呪のろいで 救すくい
人ひとならざる者ものも
結むすびまつろわせる
繋つながりは 呪のろいで 救すくい
月つき……今宵こよいは三日月みかづきか
名なを持もたぬという月白げっぱくに名なを付つけたのは、私わたしだった
月白げっぱくの目めがまるで月つきがのぼる空そらのような色いろだったから
望のぞめば陰陽頭おんようのかみにもなれるほどの力ちからを持もっていた。なぜ……
地獄じごくを見みた人間にんげんの気持きもちはお坊ぼっちゃまにはわからないだろうな
……そうだな。私わたしは月白げっぱくのことを何なにもわかっていなかった
友ともだと思おもっていたのは、私わたしだけだったのかもしれない
……あの式神しきがみ、翡翠ひすいっていったな。少すくなくとも、同おなじように瞳ひとみの色いろから名前なまえを付つけるくらいには、月白げっぱくって名前なまえは気きに入いってたんじゃないか
―― そうか
ふっ
何なにを笑わらう?
お前まえに慰なぐさめられるとは、明日あすは雪ゆきでも降ふるかもしれないな
主あるじが死しんだときは、その顔かおに落書らくがきでもしてやろう
少すこしは翡翠ひすいを見習みならってほしいものだ
だから、せいぜい長生ながいきするんだな
……そうするとしよう
人ひとならざるもの アヤカシ
それ手繰たぐるもの 陰陽師おんみょうじ
いずれもヒトにまつわりまじわり
陰陽いんよう虚実きょじつ 奇々怪々ききかいかい
平安へいあん奇譚きたんの はじまりはじまり
晴明せいめい、市井しせいにはびこる流行はやり病やまいの話はなしは聞きいておるな
はい
その病やまいで、帝みかどが倒たおれられた
何なんと
そなたの力ちからでなんとしてもお救すくいいたせ。急いそぎ禊みそぎを執とり行おこなうように
かしこまりました
陰いん転てんじて陽ようとなす 元柱がんちゅう固具こしん 慎つとみて五ご陽よう霊神れいしんに願ねがい奉たてまつる
浄心じょうしん呪じゅ、浄じょう身しん呪じゅ…
また面倒めんどうなことを頼たのまれたものだな
佼こう
こんなことをしてもトカゲのしっぽ切きりだぞ
無駄口むだぐちをたたくな、お前まえも手伝てつだえ
やれやれ
人使ひとづかい荒あらい主あるじ
言ゆうこと聞きかぬ式神しきがみ
とっとと炙あぶり出だして終おわらせる
この凶兆こうちょうは間違まちがいない
ああこれは病やまいじゃない 悪鬼あっきの力ちからだ
おん まりしえい そわか おん さんざんざんさく そわか
そら、来きたぞ
急急如律令きゅうきゅうにょりつりょう! 縛ばく!
……消きえた?
だから言いっただろう、面倒めんどうだって
ひとまず陰陽頭おんようのかみに報告ほうこくだ。
怨霊おんりょうだと? 馬鹿ばかを申もうせ宮中きゅうちゅうの結界けっかいにほころびはない。
しかし……
禊みそぎの成果せいかが出でなかったのを怨霊おんりょうの仕業しわざにするつもりか?
― 私わたくしはそのような
下さがれ。儀式ぎしきには他ほかの者ものを当あたらせる
頭あたまの固かたい上うわ役やくにつく苦労くろうが分わかったか
戯言ざれごとはいい、調査ちょうさ結果けっかを
宮中きゅうちゅうは結界けっかいが強つよく我われらには手ては出だせない
怨霊おんりょうなど付つけ入いる隙すきもない
陰陽頭おんようのかみの言いう通とおりということか……?
晴明せいめい殿どの
月白げっぱく? 戻もどってきていたのか!
ええ昨日きのう。それより浮うかない顔かおですね。
……昨今さっこん、市井しせいにはびこる病やまい、どうやら怨霊おんりょうが関かかわっている
なんと
が、なかなか尻尾しっぽががつかめなくてな
……私わたしでよければお手伝てつだいしましょうか
いいのか?
お力ちからになれるかわかりませんが
これほど心強こころづよいものはない
佼こう、月白げっぱくにこれまで見みつけた呪詛じゅその詳細しょうさいを伝つたえろ
気きが進すすまないな
お前まえの気分きぶんは関係かんけいない
やれやれ
晴明せいめい殿どのの式神しきがみ 佼こう 振ふる舞まいと裏腹うらはらに 驚おどろくべき有能ゆうのうさ
都みやこのあちこちにも強力こうりょくな呪詛じゅそあり おそらく
都みやこの守護しゅごを破やぶる為ためか
これだけの陣じん ただの怨霊おんりょうではない
相当そうとうな暇人ひまじんだな
よほどの恨うらみを抱いだいている
都みやこの守護しゅごは破やぶらせない 我われら陰陽師おんみょうじはそのためにいる
次つぎはここだ。間違まちがいない
佼こう、私わたしの身みを隠かくし、罠わなを張はれ
はいはい
来きたか……
この結界けっかいからは逃のがれられんぞ、急急如律令きゅうきゅうにょりつりょう!
佼こう!
分わかってる
ああああああああ
晴明せいめいの結界けっかいを弾はじいた?
逃にげられた……!
晴明せいめいの結界けっかいをも破やぶる怨霊おんりょう 厄介やっかいだ 力ちからも知恵ちえもある
この一いっ件けんを経へて 生き真面目まじめな晴明せいめいは 帝みかどを守まもりに宮中きゅうちゅうに戻もどる
月白げっぱく、許可きょかを得えた
これでようやく宮中きゅうちゅうを自由じゆうに動うごける
では私わたしは引ひき続つづき市井しせいの呪詛じゅそを
月白げっぱくも共ともに宮中きゅうちゅうの調査ちょうさを――
私わたしは宮中きゅうちゅうの出入でいりを許ゆるされておりませんから
私わたしが話はなしは通とおしてある
貴方あなたは知しらない 人ひとが私わたしをどう見みるか
人ひとだからこそ 人ひとを見みる 見みなす 見定みさだめる
「痛いたいほど知しっている」 人ひとが私わたしをどう見みるか
人ひとは異物いぶつを恐おそれる 避さける 貶おとしめる
ただでさえ得体えたいのしれない病やまいが流行はやっている中なか、私わたしのようなものが宮中きゅうちゅうをうろついてはどんな災わざわいを持もち込こむかと心配しんぱいさせる。お力ちからになれず申もうし訳わけありません
月白げっぱく……
お友達ともだちはどうした
……月白げっぱくは本当ほんとうなら私わたしと同おなじ陰陽おんみょう寮りょうに所属しょぞくするはずだった。誰だれよりも力ちからのある陰陽師おんみょうじだ。だが、ただ出自しゅつじのせいでそれが叶かなわなかった
ただ……ね。それでああもねじくれているわけか
ねじくれている?
気きづかないのか? これだからお坊ぼっちゃまは
どういう意味いみだ
そのままの意味いみだ
お友達ともだちはお前まえの思おもうような人間にんげんではないぞ
月白げっぱくに対たいする侮辱ぶじょくは許ゆるさんぞ
やれやれ、人ひとの考かんがえることはわからんな
人ひとが人ひとを恨うらみ 呪しゅが生うまれる
呪しゅを封ふうじる為ため 呪しゅを式神しきがみとし それをぶつける
人ひとが 人ひとである限かぎり 終おわらぬ円環えんかん 陰陽いんよう 因果いんが
呪のろいも怨霊おんりょうも 元もとを辿たどれば 全すべて 人ひと ひと
まさか宮中きゅうちゅうからも見みつかるとは……
結界けっかい内ないにこれほどの呪詛じゅそをほどこすのは我われにも不可能ふかのうだぞ
人ひとの身みでなければできないな。つまり、先日せんじつ取とり逃にがした怨霊おんりょうは何者なにものかの式神しきがみ……。あれを使役しえきできるだけの力ちからを持もつ者ものなどこの国くににもそうは――
どうした
いや……
佼こう、呪詛じゅそ返がえしを行おこなうぞ
よせ。いくらお前まえといえど、あの怨嗟えんさの塊かたまりを身みに受うけたら飲のみ込こまれる
このまま追おいかけっこをしていても埒らちが明あかない。一気いっきに片かたを付つける
やれやれ、意外いがいと過激派かげきはなんだな
日ひに天てんを見みず 夜よに月つきを見みず 守護しゅごをはらえ 勅令ちょくれい破やぶれよ
北きたに玄武げんぶ 南みなみに朱雀すざく 東ひがしに青龍せいりゆう 西にしに白虎びゃっこ
光ひかり消きえよ 闇やみよ覆おおえ 信しん砕くだけよ 世よ滅めっせよ
おん まりしえい そわか おん さんざんざんさく そわか
急急如律令きゅうきゅうにょりつりょう! 反はん!
うおおおお
怨嗟えんさ! ここまでとは……!
反転はんてんして打うち消けしあった……!
佼こう、今いまだ!
……
何なにが望のぞみだ。都みやこの混乱こんらんか、帝みかどの命いのちか
言いう必要ひつようはない……
お前まえを使役しえきしている陰陽師おんみょうじは誰だれだ
我われは式神しきがみ。この身みが滅めっしようと主あるじは売うらぬ
ではここで滅めっそう。構かまわんな晴明せいめい?
……ああ
月つき 陽ひを返かえす光ひかり その白しろきを以もって
我われが使役しえきせし 式神しきがみ ここへと戻もどせ
黒くろ幕まくが手てを出だしたか
この術じゅつは……馬鹿ばかな……佼こう、気きをたどれ
無駄むだな使役しえきをされては困こまる。我われが行いく必要ひつようが?
佼こう! 主あるじの命めいが
我われは式神しきがみ
それがお前まえの本当ほんとうの命めいならば動うごく
人ひとが人ひとを恨うらみ 呪しゅが生うまれる
呪しゅを封ふうじる為ため 呪しゅを式神しきがみとし それをぶつける
人ひとが 人ひとである限かぎり 終おわらぬ円環えんかん 陰陽いんよう 因果いんが
呪のろいも怨霊おんりょうも 元もとを辿たどれば 全すべて 人ひと ひと
やはりお前まえだったのか、月白げっぱく
お逃にげください、主あるじ。ここは私わたしが……!
下さがっていろ。もうお前まえに戦たたかう力ちからなど残のこされていないだろう
しかし――
ただでやられるつもりもない。抗あらがってみるさ
佼こう、いい。私わたしが
……分わかった
主あるじ!
やはり、あなたには勝かてませんね……
なぜこんなことを?
なぜ? 私わたしはずっとこの国くにを恨うらんでいた。私わたしを異物いぶつとし迫害はくがいするこの国くにの人々ひとびとすべてを―― 陰陽道いんようどうを学まなんだのも、復讐ふくしゅうのためです
お前まえは学まなぶことを楽たのしんでいた。復讐ふくしゅうだけのためじゃなかったはずだ
生うまれた時ときから父ちちはわからず、母ははも強盗ごうとうに襲おそわれ殺ころされた。この世よは地獄じごく……ずっと土つちを食はむような思おもいで生いきてきた私わたしの中なかにあるのは、すべてを恨うらみ憎にくむ復讐ふくしゅうの思おもいだけです
私わたしはもはや人ひとではない、鬼おになのです
鬼おには式神しきがみを助たすけたりはしない。あそこでお前まえがこの式神しきがみを助たすけなければ私わたしはお前まえに行ゆきつかなかった
お優やさしいことで
うあああ
主あるじ!
呪詛じゅそ返がえしを受うけた式神しきがみを助たすければ、己おのれの身みにも災わざわいが降ふりかかる
分わかっていながら、お前まえはその式神しきがみを見み捨すてられなかったのだろう
主あるじ……なぜ私わたしなどを!式神しきがみなど見み捨すててくだされば
助たすけたつもりはありません。勝手かってに体からだが動うごいたまでのこと
それは、お前まえの身みに人ひとの心こころが残のこっていた証あかしだ
もう一度いちどやり直なおそう、月白げっぱく。お前まえのその力ちからは本物ほんものだ
正ただしい道みちに生いかし、罪つみを償つぐなうのだ
また共ともに陰陽道おんみょうどうを学まなび直なおそう
うあああ
月白げっぱく!
安倍晴明あべのせいめいの呪詛じゅそ返がえしだぞ
主あるじ―― !
……すまない、翡翠ひすい。最期さいごまで面倒めんどうを見みてやれなかった
いえ、いいえ……私わたしを拾ひろってくださってありがとうございました
晴明せいめい殿どの……私わたしは、きっとあなたがいるから都みやこを選えらんだのです……
人ひとが人ひとに出会であい 縁えんが生うまれる
縁えんは 人ひとならざる者ものも 結むすびまつろわせる
その繋つながりが 生いきさせた あなたの瞳ひとみに 映うつる月つきの
月白げっぱく……なぜ……何なにも話はなしてくれなかった……
感傷かんしょうは後あとだ。このままこいつを放置ほうちすればいずれ意志いしを失うしない怨霊おんりょうとなる
……佼こう、その者ものの討伐とうばつを
御意ぎょい
……
抵抗ていこうしないのか?
私わたしは最期さいごまで主あるじのそばを離はなれぬ
そうか。良いい主あるじに出会であったな
縁えんは 人ひとならざる者ものも
結むすびまつろわせる
繋つながりは 呪のろいで 救すくい
人ひとならざる者ものも
結むすびまつろわせる
繋つながりは 呪のろいで 救すくい
月つき……今宵こよいは三日月みかづきか
名なを持もたぬという月白げっぱくに名なを付つけたのは、私わたしだった
月白げっぱくの目めがまるで月つきがのぼる空そらのような色いろだったから
望のぞめば陰陽頭おんようのかみにもなれるほどの力ちからを持もっていた。なぜ……
地獄じごくを見みた人間にんげんの気持きもちはお坊ぼっちゃまにはわからないだろうな
……そうだな。私わたしは月白げっぱくのことを何なにもわかっていなかった
友ともだと思おもっていたのは、私わたしだけだったのかもしれない
……あの式神しきがみ、翡翠ひすいっていったな。少すくなくとも、同おなじように瞳ひとみの色いろから名前なまえを付つけるくらいには、月白げっぱくって名前なまえは気きに入いってたんじゃないか
―― そうか
ふっ
何なにを笑わらう?
お前まえに慰なぐさめられるとは、明日あすは雪ゆきでも降ふるかもしれないな
主あるじが死しんだときは、その顔かおに落書らくがきでもしてやろう
少すこしは翡翠ひすいを見習みならってほしいものだ
だから、せいぜい長生ながいきするんだな
……そうするとしよう