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【インタビュー】BLUE ENCOUNT、映画「青くて痛くて脆い」への主題歌に込めた青春の儚さと バンドの歌詞作りを語る (2/2)


桜が散る様が夢の如く儚い



──歌詞とサウンドは原作を読まれてから作られたということですね。

田邊駿一:そうですね。原作を読みつつ、映画ファンとしての最大限の視点を盛り込みました。ラブストーリーかと思いきや、サスペンスになって「最後どんな曲がくるんだろう?」ってなると思うので、この映画の中身の作り方が本当に良かったですね。吉沢亮さんと杉咲花さんの言い合うシーンとか、僕が今まで見た邦画の中で1位になるぐらいの言葉のバトルで。良い意味でそのバトルは今っぽいなって思いました。今って言葉で戦っている世の中になっているので、そんな世の中にあっているなと。


──ブルエンさんのバンド名のブルーと、映画タイトルにある青が関係性がある感じがして、運命的で良いですね!

田邊駿一:そうですね~これは本当にありがたいです。

江口雄也:先生が狙って作った可能性も無きにしも非ずですし!

田邊駿一:僕らがイエローとかだったらね、黄色いタイトルになっていたかもしれませんしね!

全員:(笑)


──タイトルの『ユメミグサ』は桜の別名称だと思いますが、このタイトルにされた理由はありますか。

田邊駿一:元々これ「桜」っていうタイトルでラブソングだったんですよ。桜の舞い散る朝に別れた2人のカップルの事を書いていたことだったんですけど、映画の主題歌の話になったときにこの曲を全部書き直そうと思って、青春の終わりをテーマに書きました。そうなったときに、「桜」という感じではないというか。

僕がタイトルを調べているときに、「ユメミグサ」に出会ったんですが、「ユメミグサ」は桜の異名なんですよね。それになった理由が、桜が散る様が夢の如く儚いという意味がありつけられたそうでして、いつかこういうのをタイトルにしたいなって思って、このタイトルにしました。


──サウンドを聴いただけでも、春の別れを連想できました。ストリングスが使われていて、そこに楽器隊の皆さんの重なり合う一つ一つの音の魅力が丁寧に表現されていて、サウンド面も強くこだわりを持たれていると思います。手応えや、特にこだわった部分をお聞かせいただけますか?

全員:ありがとうございます!


江口雄也:曲がめちゃくちゃポップな感じなので、その中でどう自分たちらしさを出そうかと考えました。僕だったら自分っぽいギターはどういう風だろう?ってなったんですけど、曲中とかでやりすぎてしまうと、歌を悪い意味で食ってしまうんです。なので、そっちに行かないようにそこらへんのバランスをきちんと考えて、僕的にはスピッツさんを意識しました。

辻村勇太:あ~わかる!

江口雄也:スピッツのテツヤさんのアルペジオ感とJUDY AND MARYのTAKUYAさんの荒っぽいアルペジオを自分の中に落とし込んで、それを自分なりに表現したらどうなるんだろう?っていうのを表現したのがあのアルペジオですね。


──インスピレーションを受けたんですね!ブルエンさんのファン層は若い方が多いイメージがあるので、中には、スピッツさんや、JUDY AND MARYさんを知らない世代の方もいらっしゃると思います。なので、お二方にインスピレーションを受けていたのは驚かれるかもしれませんし、江口さん流の音だと思うのではないでしょうか。

田邊駿一:確かにそうだよね~。

辻村勇太:俺ら世代だもんね!

江口雄也:そうですね。若い子たちが聴いて、そう思ってくれたら嬉しいです。


──高村さんはいかがですか。


高村佳秀:バラードではあるんですけど、バラードの気持ちで作ってないんですよね。ロックバンドが作るミドルテンポといいますか。映画の主題歌でもありますけど、僕らはロックバンドなので、自分たちの色を出さなきゃいけないと思っていて。バラードバラードしていると、僕らじゃなくてもよかったんじゃないかな?って思うので、そういうのを考えた上で、自分だったらどうするかな?っていうところをよく考えました。

繊細な曲なので、1音1音抜かずに、ライブでやったら感情を剥き出しにして演奏できるそんな気持ちに、なれるように仕上げました。CDの録音としてはドラムの音は抑えてありますけど、叩いている気持ちとしては、青春真っ只中を全速力で走っているような気持ちです。


──辻村さんはどうでしょうか。

辻村勇太:よっちゃん(高村佳秀)が言ったように、基本的には僕もロック風に消化しています。でも、田邊が持つポップ感だったり江口が持つジュディマリ感を総括するのが、ベースの俺の役割だと思うんですね。そして、よっちゃんの大人っぽいドラムを一つにコーティングしてあげるのも俺の役割。そこのバランスをよく考えました。ロックバンドの中でも今作はストリングスなどの上の部分も入っているので、それが絡むようにするのも考えたし。優しい曲だけど、「大人になんてなりたくないよ」という強い言葉もあるので、そういうところは強く弾いたり、盛り上げるようにはしました。


──ブルエンさんがより音にこだわりを持たれているのが、強く感じました。豪快な音だけではなく、繊細な音の魅力を引きだせるのもブルエンさんのサウンドの良さですよね!

全員:ありがとうございます!

辻村勇太:音もそうですし、ビート感やテンション感含めて、考えてやるよりかは1発目でやる方がよかったりしますね。今までの気持ちとかどれだけパックにできるかを考えています。それが結果的に、伝わっているのならありがたいです!

青春時代をもう一回見つめ直させていただいた

──『ユメミグサ』の歌詞に「紡いだ「糸」を「半(2つ)」」にして分け合うことが「絆」なら何を結び合えてたのかな?鈍く痛む時代(とき)は揺れる」という歌詞があると思いますが、ここの比喩的表現がとても素敵だなと思いました。このフレーズはどういったことから思い浮かんだのでしょうか。


田邊駿一:うちの母方の実家が鹿児島にあるんですけど、去年久々に親戚に会いに鹿児島に遊びに行ったんですね。その時に母の弟もいたんですけど、そのおじちゃん(弟)が僕にギターを教えてくれた人でして。おじちゃんと久々にギターのセッションをしたりしたんですけど、その時におじちゃんがこれに似たようなことを話してくれたんです。絆って分け合うことができるからこそ、結び合って絆なんだろうなというような…。

糸を切るということは、相手と縁が切れることではないと!その切れた糸を互いに持って、再会するときに結び合えることが絆だという風に言っていました。それで僕の中で、こういうことが絆なんだなって思って、おじちゃんが言っていたことと自分が感じたことを合わせてあの歌詞になりました。


──最初に歌詞を拝見したときに、このフレーズが目に焼き付きましたので特にポイントとなる部分だと思いました。

田邊駿一:本当にそうですね!その時の思い出を思い出して、これを歌詞にしたいなってずっと思っていたんです。ここのメロディーも、この歌詞が出来てからできたメロディーなんですよ。すごく良い歌詞が書けたと、おじちゃんに感謝しています。



──前半の歌詞では、「大人になんてなれやしないよ 大人になんてなりたくないよ」という主人公の諦めている部分と、まだここにいたいという気持ちが表現されていますが、後半では「これからやっと大人になるよ」という前を向いて生きていく強い意志が感じられます。こういった主人公が成長していく過程も、歌詞で表現したかったことですか。

田邊駿一:そうですね。小説読んでっていうのもありましたし、自分の学生の事も想起して書いたことなんですよね。BLUE ENCOUNTは高校生の頃からあったんですけど、「このバンドで飯を食うんだ!」って僕は周りに言い散らかしていたんです。周りも「何夢なんか見てるんだ」っていう感じだったんです。その中で居場所がなくなって、学校を中退したっていう過去があるんですけど。その時の不遇だったときの自分の気持ちに、寄り添って作った楽曲ではあるので、結構自分の中で盛り上がって書いていました。


──ご自身と重ね合わせたのですね。

田邊駿一:映画っていうきっかけを与えて頂いたからこそ、青春時代をもう一回見つめ直させていただきました。僕ずっと、青春時代を切り離したい人間だったんです。なので、学生時代の友達とかは、ここ最近やっとつるむようになりました。あの頃も大変だったけど悪くはなかったなって思ったときに、この「大人になんてなれやしないよ」っていうあの頃の気持ちと、それを思い出してやっと大人になれた「これからやっと大人になるよ」っていう対比ができていますね。

ブルエンが選ぶピックアップフレーズ!

──『ユメミグサ』の中で一番お気に入りのフレーズを教えてください!

田邊駿一:僕は、先程お話しいただいた「紡いだ「糸」を「半(2つ)」」にして分け合うことが「絆」なら何を結び合えてたのかな?鈍く痛む時代(とき)は揺れる」が一番好きですね。

江口雄也:僕も同じです!

高村佳秀:僕も!!


──田邊さん、江口さん、高村さんの3名はそちらのフレーズですね!では、辻村さんいかがでしょうか?


辻村勇太:僕は、「五線譜や言葉じゃ決して伝えられぬほどの想いを歌わせて」が好きですね。ここは音楽上での歌詞というか、楽譜じゃないんだよ!っていう感じが出ていいですね。そしてよく五線譜っていうのを引っ張り出してきたなって、すごいなと思います!


──コロナウイルスの影響で当たり前に音楽が奏でられる状況下ではないですが、最後にブルエンさんが今ファンの方に伝えたい想いを、お一人ずついただけますか?

田邊駿一:もうね、今はみんなが同じ気持ちだと思うんですよ。ライブ行きたいけどいけないし、ライブというエンタメが悪者にされてしまっています。帰る場所がないということを、今アーティストたちも悶々としております。刺激がないって日々がすごい増えてしまっているし。最初はすごく悲観をしてしまうんですけど、悲観しすぎると自分の価値まで下げちゃいそうで怖いんですよね。

だからこそ、みんなが他人に優しくなってほしい。辛い時こそ人に優しくしたら、いつかそれが返ってくるから。期待だけは膨らませつつ、コロナウイルスをぶっ倒さないといけないので。今だからこそぐっと締めて、手洗いうがいをしてほしいです。次来る春に期待をして、もう少し我慢をして頑張ってほしいなと思います!

辻村勇太:今の時期、みんなイライラしたりとか、視野が狭くなりがちになっていると思います。誰かに助けてほしいのはわかるんですけど、それを自分らで解決しなきゃいけない方法も探さなきゃいけないと思っています。寄り添う歌詞とか楽しい歌詞、悲しい歌詞とかいっぱいあるわけだから、そういう時こそ、その歌詞の力を借りて、各々の正解を見つけてほしいです。

高村佳秀:今、生のライブがなかなかできない状況が続いています。これまではそれが当たり前にできていたので、生き甲斐だったり、一番の楽しみにしていた人もいると思います。ライブができなくて落ち込む気持ちもあるとは思うんですけど、すごいワクワクが未来に残されている、その日を楽しみにしたいというか。

遠足が待ち遠しいじゃないですけど、そういう気持ちが出来たらすごいポジティブになれると思うんですよね。ネガティブじゃなくて、ポジティブな気持ちを自分なりにどんどん変えていって、生のライブで会ったときにそれを爆発させてほしいなと思います。

江口雄也:高村が言ったことに近いんですけど、今ってできないものはできない、でもそれは自分だけではなく、みんなできないじゃないですか?そのできないことに、あーだこーだ言っても仕方ないので、今は考え方次第と思っていて。これまで楽しんでいた幸せや楽しみを貯金する期間と捉えています。

この問題が解決したときに、楽しみが引き出せるように貯金すれば、ちょっと我慢できる期間ができると思う。自分にとって楽な考えをして、この時期を乗り越えてくれたら良いかなって思っています。



TEXT みなちょ
PHOTO 片山拓

《メンバー》 Vo. Gt. 田邊駿一 Gt. 江口雄也 Ba. 辻村勇太 Dr. 高村佳秀 熊本発、都内在住4人組。熱く激しくオーディエンスと一体になり、ダイレクトに感情をぶつける熱血なパフォーマンスが話題のエモーショナルロックバンド。 2014年9月にEP『TIMELESS ROOKIE』でメジャーデビュー。20···

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