歌声が弱々しく、高い音が力強く歌えないことで悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
そんな時は声帯閉鎖の感覚を掴むことで、勢いのある歌声が手に入りますよ。
「声帯閉鎖」と聞くと難しそうな印象を受けますが、コツと感覚を覚えれば習得できるので挑戦してみてくださいね。
この記事でわかること
声帯閉鎖とは
声帯閉鎖とは声帯が閉じた状態のことです。
声帯の閉じ具合には下記に示すように大まかに5つの状態があります。
- 完全に閉じた状態で息ができない
- ほとんど声帯が閉じていて詰まった声になる
- 声を出すためだけに少し声帯が開いている状態
- 声帯が少し開いていて息が漏れている声
- 声帯が開いていて、声が出ず息が漏れている声
声帯閉鎖を習得すると、声を出す仕組みが感覚的に分かるため、声量や声色を調整できるようになります。
まずは声帯の仕組みを詳しく見ていきましょう。
声帯の仕組み
声帯とは喉の奥にある2枚のひだのことで、ひだが開いて空気が通ることで呼吸をし、食べたり話したりする時はひだが閉じています。
そして、閉じたひだが振動することで声を作り出しているのです。
声帯は完全に閉じてしまうと、息が止まって歌えなくなってしまうので、閉じ具合を上手く調節しましょう。
声帯の閉じ具合で優しい声を作ったり、力強く歌えるようになりますよ。
閉鎖力の重要性
大きな声で歌うためには声帯の閉鎖力が重要です。
閉鎖する力が強いと声帯が息をしっかり受け止められるので、効率よく息を声に変えることができます。
よく大きな声を出すためには肺活量が必要と言われますが、実は肺活量よりも重要なのが声帯閉鎖なのです。
声帯を閉じてひだの間から出す息の量やスピードを調節できるようになれば、肺活量がなくても大きな声で歌えます。
このように息を上手に使えるようになるだけでも歌が上手くなるのです。
声帯閉鎖の効果
声帯閉鎖ができると、息のコントロールが上手くなり、声量が上がったり声にツヤが出るようになります。
また、声帯閉鎖はミックスボイスやヘッドボイスで歌うためにも必要な技術なので、高音を出す練習にもなるでしょう。
ここでは声帯閉鎖ができるとどんな効果があるのかを紹介します。
音程が安定する
声帯閉鎖ができると音程が安定します。
そもそも音程が安定しないのは声帯が開いた状態になっているためです。
声帯閉鎖を習得すると、声を出す時に最低限の力で声帯を閉じることができ、音程が安定します。
高音になるほど息の量を少なくし、息のスピードを上げるようにすると、より音程が安定していきますよ。
高音に張りが出る
高音に張りが出るのも声帯閉鎖の特徴です。
声帯がしっかり閉まっていると、息漏れがなくなり、高音を力強く出すことができます。
また、地声から裏声に切り換える時に、声ががらついたり裏返ってしまうことがあるでしょう。
声帯の閉鎖を上手くコントロールできるようになると、この切り替え時に起こるトラブルを減らすことができるのです。
声にツヤが出る
声帯閉鎖ができると、ツヤのあるキメが細かい響きのある声が出せるようになるのです。
ツヤのある声を作るためには、声帯(ひだ)を細かく振動させる必要があります。
声帯閉鎖ができると、息漏れがなくなってひだがしっかりと振動するようになるため、芯が強くてツヤのある声を出せるようになるのです。
倍音が響く
倍音が響く声を作りたい時も声帯閉鎖が効果的です。
倍音とは基礎となる音の周辺に感じられる音で、音のキャラクターや響きを作るのを手助けしているのです。
実は倍音は息が声帯を通過する時に生まれます。
そのため、声帯閉鎖で声帯から出る息の量をコントロールできると、倍音が増えて声の響きが豊かになるため、聴いていて心地の良い声になりますよ。
声帯閉鎖の感覚を掴む練習
声帯を閉じて歌おうと思っても、具体的にどうしたら良いのか分かりませんよね。
声帯閉鎖をするには、まずは声帯が閉じている感覚をしっかりと掴むことが大切です。
ボイストレーニングに行ってプロに教えてもらうの方法もありますが、独学でも声帯閉鎖を習得することは可能ですよ。
次に、声帯閉鎖の感覚を掴むための練習方法を紹介します。
吐息から声にしていく
声帯を閉じる感覚を掴むには、吐息を声にしていく練習をしましょう。
まずは寒い時にかじかんだ手を吐息で温める時のような感覚で「ハー」と息を吐きます。
上手く息を吐けるようになったら、息に少しずつ「あー」という声をのせていきましょう。
この時、喉のあたりがジーンと振動している感じが声帯が閉じる感覚です。
息を止めたり吐いたりする
息を止めたり吐いたりするトレーニングをすると、声帯が閉じたり開いたりする感覚を掴むことができます。
「あー」と声を出して途中でピタッと声を止めます。
その後再び「あー」と発声するという動作を繰り返しましょう。
息を止めた時にピタッと声帯が閉じたり、再び声を出す時にパカっと声帯が開く感覚を感じられますよ。
声を出して笑う
声を出して大声で笑うと、声帯が完全に閉じた状態になります。
声帯を閉じて歌おうと意気込みすぎて、声帯閉鎖の感覚をなかなか掴めない人におすすめの方法です。
軽く笑うだけでは声帯はあまり閉じないので、大きな声で思いっきり笑うことがポイントですよ。
思いっきり笑うことで声帯を閉鎖する筋肉が鍛えられるため、日頃からよく笑うように意識してみると良いでしょう。
ショップ店員のマネをする
ショップ店員さんのマネをすると、声帯閉鎖の感覚を掴むことができます。
お店に入った時に聞こえる「いらっしゃいませー」というショップ店員さんの声は不思議とよく通る声ですよね。
実はこの声は声帯を閉鎖させて、わざと平たい声を作っているのです。
まずは原理などを考えず、ショップ店員さんのマネをして声を出してみると、自然と声帯閉鎖することができるようになりますよ。
エッジボイスを練習する
声帯を閉じる感覚がどうしても掴めない時は、エッジボイスを練習するのがおすすめです。
エッジボイスとはガラガラ声のことで、声帯を閉じないと出せない声を言います。
エッジボイスを出すためには「あー」と発声しながら、ゆっくり息を吐いきつつ徐々に声を低くしていきます。
これ以上低くできないところまでいくと、ガラガラとしたエッジボイスを作ることができますよ。
ウィスパーボイスを練習する
声帯の閉じ具合を調整できるようになりたい時には、ウィスパーボイスを練習するのがおすすめです。
ウィスパーボイスとは息漏れ声のことで、声帯の開き具合を調整して声を出していく必要があります。
ウィスパーボイスを出すためには「あー」という声を出しながら、息の量を徐々に増やして息漏れ気味の声を作りましょう。
息の量が増えるにつれて声帯を少しずつ開いていく感覚を感じてくださいね。
声帯閉鎖を鍛える時の注意点
声帯閉鎖を練習する時は、喉の状態に注意する必要があります。
特に練習を始めたばかりの時は、声帯が閉じる感覚をなかなか掴めずに無理な発声を続けて喉を痛めてしまうことが多いです。
夢中で発声練習していると、喉が痛くなったり声が枯れてしまいますよ。
最後に、声帯閉鎖を鍛える時の注意点をチェックしておきましょう。
ゆっくり息を吐く
声帯閉鎖を練習する時は、息をゆっくり吐きましょう。
声帯が閉まっている状態では一気にたくさんの息を受け止めることはできません。
息の量が多かったり息のスピードが早過ぎすると、声帯に負担がかかり喉を痛める原因になります。
そのため、声帯閉鎖を練習する時はちょうど良い息の量やスピードを心がける必要があるのです。
声帯の閉じ具合を確認する
正しい発声で歌うためには、声帯のちょうど良い閉じ具合を確認する必要があります。
声帯が上手く閉じれていない状態では、弱い声しか出すことができません。
その状態で力強い声を出そうと頑張っても、声門周辺に余計な力が入り喉を痛めてしまう可能性があります。
声帯の閉じ具合を確認しながら、自分の出したい声を練習しましょう。
喉を締めないようにする
声帯閉鎖のトレーニングでは、喉を締めないように注意しましょう。
声帯閉鎖は喉を締める感覚に似ているため、はじめのうちは気づかずに喉を締めてしまうことが多いです。
喉を締めてしまうと、響きのある声を作ることはできないだけでなく、喉や体に余計な力が入って喉を痛めてしまうかもしれません。
練習していて喉が乾燥してきたり、イガイガする感覚がある場合は喉を締めている可能性が高いので、気を付けましょう。
無痛神経痛に気を付ける
声帯周りの筋肉に通っている、無痛神経に気を付けてください。
この神経は痛みを感じないため、喉が疲れていることに気付きにくいという特徴があります。
そのため、喉や発声時の違和感をすぐに感じられるよう心がける必要があるのです。
歌っていてなんだか上手く声が出せないなと思ったら喉が疲れている可能性が高いので、こまめに休憩をとりましょう。
声帯閉鎖ができれば高音が楽に出せる!喉締めに気をつけて声帯をコントロールしよう
声帯閉鎖は良い声を出すための発声基礎と言えるでしょう。
声帯を閉じることで、息の量やスピードをコントロールできるようになり、ツヤのある声や力強い高音が楽に出せるようになります。
声帯閉鎖で歌うためには、声帯が閉じている感覚をしっかり掴むようにしましょう。
喉が締まる感覚に似ているため、慣れるまでは喉を痛めないように注意が必要ですよ。
この記事のまとめ!
- 声帯が閉じた状態のことを声帯閉鎖と言う
- 声帯閉鎖で歌うと音程が安定し、力強い高音を楽に出せるようになる
- まずは練習で声帯が閉じている感覚をしっかり掴むことが大切
- 声帯閉鎖を鍛える時の注意点は喉を締める感覚と間違わないようにすることなどがある