音楽を聴いていると、「feat.〇〇」という言葉をよく見かけますよね。
「〇〇」の部分にはアーティスト名が入るので、なんとなく「コラボ」のような意味と思っている人も多いでしょう。
しかし、コラボや「WITH」という言葉とははっきりとした違いがあるのです。
この記事でわかること
feat.の意味とは
音楽シーンでよく見る「feat.」の後には、ボーカルやラッパーはもちろん、ギタリストなど楽器演奏者の名前が続きます。
単純に一緒に曲を作ったり、レコーディングに参加したという意味だけなら「WITH」や「コラボ」などの表現でも良いですよね?
わざわざ違う言葉を使うということは、意味も違うということです。
まずは、「feat.」の意味や使い方を紹介していきます。
読み方はフィーチャリング
「feat.」は、「フィーチャリング」と読みます。
英語の「featuring」を省略した形ですが、省略したからといって「フィート」とは読みません。
表記を省略する場合、最後に英単語を省略する時に使う「.(ピリオド)」が付きます。
さらに、feat.をもっと短くした「ft.」や「F/」もありますが、同じ意味です。
feat.の英単語が持つ意味
「feat.」の元である「featuring」の辞書的な意味は、「特定の人物や事柄を際立たせること」です。
「つくること、形作られたもの」という意味のラテン語が語源となっています。
「顔立ち」「特徴」「特集する・主演する」という意味がある「feature(フィーチャー)」という単語の現在分詞で、「未来」を意味する「future(フューチャー)」ではありません。
日本で使われるfeat.の意味は2種類
「feat.」が日本で使われる時の意味は、大きく分けて「特徴・特集」と「客演する・ゲスト出演する」の2種類があります。
どちらも、「feat.」の後にくるアーティストを目立たせるための言葉です。
英語の「顔立ち」や「容貌」といった意味でつかわれることは、ほとんどありません。
音楽業界で使用されるfeat.の意味
「feat.」が音楽業界で使用されている場合は、「客演」や「ゲスト」という意味です。
ボーカリストやラッパーはもちろん、ギタリストやダンサーに対して使われることも珍しくありません。
例えば、ミュージシャンAがラッパーBにゲスト出演してもらった場合
- アーティスト名が「A feat. B」
- 楽曲名が「(曲のタイトル) feat. B」
同ジャンルの有名なアーティストに出演してもらうことで、楽曲をより多くの人に届けられるメリットがあります。
他ジャンルの実力者との共演する場合は、今までと全く違う層に楽曲を届ける戦略にもなるでしょう。
feat.には上下関係がある
「feat.」を使用する場合、共演したアーティストの関係は対等ではなく、前にくるアーティストと後にくるアーティストの間で上下関係があります。
「A feat. B」を日本語にすると、「AがBを主役に据えている」という意味になりますよ。
つまり、単純にAとBのコラボではなく、AがBにゲスト出演を依頼したということになるのです。
この場合の上下関係は「A(メインアーティスト)<B(ゲストアーティスト)」となり、AよりもBの方が上ということになりますね。
例えば、青山テルマの楽曲「そばにいるね」は「青山テルマ feat.soulja」となっているので、青山テルマがsouljaにお願いして出演してもらっています。
そのため、この楽曲においての主役は、青山テルマではなくsouljaといえるでしょう。
feat.と似た表記
アーティストが楽曲やライブで共演することはたくさんあり、「feat.」以外にもさまざまな表現がありあります。
他に「WITH」や「A × B」などの表現パターンがありますが、それらの意味の違いを知っている人は少ないのではないでしょうか。
アーティスト同士が共演した時の表現の違いについてと、「feat.」と似た表記の意味の違いを見ていきましょう。
withは共同
アーティスト同士が「WITH」という表記で共演した場合、共同制作という意味になります。
よって、「A with B」や「A w/ B」「A w/z B」の場合、AとBに上下関係はありません。
「WITH」だと「feat.」の時より制作に深くかかわっていることがほとんどです。
既存の楽曲にゲスト出演してもらったというより、楽曲自体を一緒に制作したというニュアンスになります。
「×」「vs」「&」はコラボ
他にも「×」や「vs」「&」などさまざまな表記がありますが、これらは全てコラボレーションという意味です。
コラボレーションは、「共演」「共同作業」などの意味があり、アーティスト同士が一時的にユニットを組むということになります。
アーティスト同士だけでなく、楽曲を提供してもらったり、プロデュースしてもらったりした時にもこれらの表記になるのが特徴です。
feat.されている楽曲
「feat.」は単に共演するだけでなく、大物アーティストにゲスト出演してもらうというニュアンスがあります。
つまり、この表記が使われている楽曲は各分野の実力者が参加しているということです。
当然、ゲストを呼ぶ楽曲は力を入れて製作するので、完成度の高い楽曲も多いでしょう。
最後に、feat.されている楽曲の中からおすすめの曲を紹介します。
Hug feat. kojikoji / 空音
大注目の若手ラッパー空音(そらね)が2020年にリリースしたのが「Hug feat. kojikoji」です。
同じく注目の若手シンガーkojikojiをゲストとして迎えています。
歌詞やMVの内容は男女の恋愛模様を描いており、仲間たちがふたりの恋模様を優しく見守るMVが印象的です。
空音のキレの良いラップにkojikojiの優しい歌声がマッチして、とてもメロウでおしゃれな雰囲気の曲ですよ。
怪物さん feat.あいみょん / 平井堅
平井堅の「怪物さん feat.あいみょん」は、平井堅があいみょんをイメージして書き下ろした楽曲です。
恋愛の中で生まれる報われない切なさや、心の葛藤を歌っており、救いのない片思いをしている女性のための曲と言えるでしょう。
平井堅の透き通る高音の男性ボーカル、あいみょんの落ち着いた女性ボーカルの相性が抜群です。
「だるまさんが転んだ」をモチーフにしたという独特なMVにも注目してくださいね。
Chicken Noodle Soup (feat. Becky G) / j-hope
BTSのメンバーj-hopeが2019年9月に発表した「Chicken Noodle Soup (feat. Becky G)」は、アメリカのシンガー&ラッパーであるBecky Gがフィーチャリングしています。
楽曲は韓国国内だけでなく、アメリカやイギリスのビルボードチャートにもランクインし、世界中でヒットしました。
j-hopeとBecky G、そして世界各国から集まった50名のダンサーが集結して踊るMVにも注目ですよ。
Closer (Tokyo Remix) / The Chainsmokers feat.新田真剣佑
「Closer (Tokyo Remix)」は、LA出身の俳優・新田真剣佑がThe Chainsmokersの名曲「Closer」のオフィシャルカバーをして話題になった曲です。
The Chainsmokersが日本人アーティストがフィーチャリングするのは初めてで、アルバム「World War Joy」の日本版CDに先駆けてショートビデオが発表されました。
これをきっかけに原曲やTHE CHAINSMOKERSを好きになった日本人も多いのではないでしょうか。
新田真剣佑が日本語と英語を織り交ぜて歌った歌詞にも注目です。
feat.の読み方はフィーチャリング!自分より大物にお願いして曲に参加してもらっている場合が多い
音楽業界でよく見かける「feat.」は「フィーチャリング」と読み、単純にコラボレーションや共同制作といった意味ではありません。
自分より大物にお願いしてゲスト出演してもらったり、他ジャンルの実力者を呼んで楽曲に特色を持たせるといった意味合いがあります。
そのぶん完成度の高い楽曲も多いので、大物アーティストがフィーチャリングした楽曲をチェックしてみてくださいね。
この記事のまとめ!
- 「feat.」は、「フィーチャリング」と読み、「客演」「特集」という意味で使われる
- 自分より大物や他ジャンルのアーティストに出演してもらうことで、宣伝になる
- 「A feat. B」の場合、AがBにゲスト出演をお願いしているので、上下関係は「A < B」となる
- 「feat.」と似た言葉には、共同制作を意味する「WITH」、コラボレーションを意味する「×」「vs」「&」などがある
- 大物アーティストがフィーチャリングしているので、完成度の高い楽曲が多い