あなたは裏声(ファルセット)を綺麗に出すことができますか?
裏声を出すのは、なかなか難しいものです。
裏声になると喉声になって声がかすれてしまったり、弱々しい声になってしまったり、または裏声と地声の切り替えが上手にできなかったり。
カラオケで無理して裏声を出そうとして声がひっくり返ってしまった…そんな経験ありませんか?
歌がうまくなりたいという人の多くが、裏声に悩まされています。
今回の記事では「綺麗な裏声を出せるようになりたい!」という人のために、裏声を綺麗に出すコツと練習方法についてご紹介します。
早速、みていきましょう!
この記事でわかること
裏声を鍛えることの重要性を知ろう
地声で歌うときと裏声で歌うときとでは、使う筋肉が違います。
つまり、サビを地声でかっこよく張り上げて歌っていても、裏声では弱々しい声になってしまうことがあるのです。
そうすると、それまでの表現が台無しになってしまいます。
ここでは、裏声出す以外にもある裏声を鍛えることの重要性をご説明します。
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安定した高音が出せる
裏声が綺麗に出せるということは、安定して高音が出せるということにもなります。
しかし、裏声を鍛えることによる効果はそれだけではありません。
裏声が地声と同じくらいの声量で出せるようになるには、声帯の使い方が肝になります。
そして、声帯を上手に使えるようになると、地声の音域も大幅に広がるのです。
歌の表現の幅が広がる
裏声を力強く綺麗に出せるようになると、歌の表現の幅が広がります。
どのジャンルでも歌を上手に歌うのに、裏声はかなり重宝します。
激しいロックでは芯のある裏声を使ってカッコよく歌ったり、バラード曲では柔らかい裏声でしっとり歌うことができるのです。
今までうまく歌えていなかったさまざまなジャンルに挑戦することができるでしょう。
ミックスボイスの習得につながる
地声と裏声を続けて、一本の声のように出すことのできる「ミックスボイス」。
このミックスボイスは、「地声と裏声の混ざったもの」ともいわれ、歌のうまい人でも苦戦するテクニックです。
つまり、これを習得したいのであれば、裏声を鍛えるという工程は避けて通れません。
ミックスボイスを出すには筋肉のバランスが重要です。
地声の筋肉と裏声の筋肉のバランスが取れていないと、ミックスボイスを出すことはできません。
地声と対等な「強い裏声」を出せるようになるためには、ミックスボイスに必要な輪状甲状筋(喉仏の下部にある筋肉)を鍛える必要があります。
ちなみに、ミックスボイスと似たような言葉で「ミドルボイス」というテクニックがありますが、これは裏声と地声の中間の音域のこと。
つまり、裏声の出し方で地声の音域を歌うことなので、ミックスボイスとはアプローチの方法が異なります。
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裏声が出ない原因と改善法
「裏声が出ない」と一口にいっても、その原因はさまざまです。
では、裏声をうまく出すことができない原因はどこにあるのでしょうか?
裏声がうまく出せない原因と共に、その改善方法についてもお伝えしていきます。
息がしっかり出せていない
まず、声が出る仕組みについて覚えておきましょう。
肺から出た空気を声帯が振動することで「声」となって体の外へ出ていきます。
根本的には裏声も地声も、声が出る仕組みは一緒です。
しかし、裏声を出そうと意識をし過ぎてしまうことで、十分な息が出せていない可能性があります。
息をしっかり出すためには、普段地声で歌うときと同じように肺から出る空気を腹式呼吸を使って押し出します。
息を押し出すコツは、自分の口の30cm前から声が出るイメージで息を出すこと。
この意識をするだけで、地声でもパワフルに歌うことができるでしょう。
喉に力が入っている
声を出すという観点で見れば、裏声も地声も出し方は同じですが、頑張って裏声を出そうとすると、どうしても声帯に力が入り過ぎてしまいます。
このように持続して裏声を出すと、声が潰れてしまうという人も多いのではないでしょうか?
そんなときは「あくび」をしましょう。
あくびをしているときの声帯は、非常にリラックスしている状態です。
このあくびをしている時をイメージして発声することでリラックスでき、声がつぶれず綺麗に裏声を出すことができます。
病気の可能性も……
「ここまでの原因を意識しても、まったく裏声が出せない…」
そんな方は、声帯か声帯周りの筋肉群、またはその付近の器官がなにかしらの病気にかかっている可能性もあります。
- 吸気・・・喘息、肺炎、気管支炎など
- 声帯振動・・・声帯ポリープ、風邪、喉頭外傷など
- 共鳴、構音・・・口腔内の腫瘍、鼻ポリープなど
このほかにも、胃液が逆流し声帯が焼けただれてしまう胃食道逆流症などの病気の可能性もあります。
もし地声がかすれていたり、裏声がまったく出なかったりといった状況が続くのであれば、専門医に相談することも検討してみましょう。
裏声の出し方のコツと練習方法
病気でない限り、裏声は日々のトレーニングで改善することが可能です。
ここでは裏声の出し方のコツと練習方法についてお伝えしていきます。
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とにかくリラックスする
まずは、リラックスしましょう。
地声以上に体に余計な力が入っていると、裏声はうまく発声することができません。
手の指先から、肘、肩、胸と順番に体をほぐし、顔の表情筋や声帯も脱力していきましょう。
しっかり体の脱力ができたら、裏声の発声練習をしていきます。
しかし、体のすべての筋肉を脱力してしまうと弱々しい裏声しか出せません。
ここでのポイントは、「全身はリラックスするが、声帯には力を入れること」です。
「声帯に力を入れる」と聞くと、無理やり締め付けてしまう人もいるのですが、そうではありません。
声帯をちゃんと「使う」のがポイントです。
ここで必要な練習が「エッジボイス」。
エッジボイスとは、声帯が閉じた状態で発声することで、簡単にいうとホラー映画「呪怨」の「あ”あ”あ”あ”あ”」という声のことです。
歌手では、平井堅さんがよく使っています。
鼻歌の感覚と同じ
リラックスができたら、次に行いたいのが鼻歌。
通称「ハミング」です。
基本的には地声で歌うときと同じ声帯の使い方をしないと、地声との切り替えがうまくできずに弱々しい裏声になってしまいます。
そこで練習として取り入れたいのがハミング発声です。
ハミングは、口を閉じた状態で鼻腔に声を響かせて歌います。
このとき、喉を締め付けないように声帯をしっかり開くことを意識しましょう。
ハミングの状態で裏声がしっかり響くようになれば、実際に歌ったときにも共鳴した裏声が出せるようになるはずです。
また、この発声トレーニングは裏声の声量アップも期待できます。
頭の先から声がでるイメージで歌う
より良い声を出すには「響き」が非常に重要になってきます。
声の響きを作るポイントは、「体のどこに共鳴させるのか」ということです。
低音域であれば胸に、中間音域であれば鼻腔に、高音域であれば眉間から頭にかけて共鳴させます。
では、裏声はどうでしょうか?
裏声は地声の高音域のさらに上、「頭の先」を意識します。
より意識をするためには、手を頭の後ろに構え、頭のてっぺんから声が出るイメージで声が出る方向に構えた手を放り投げてみましょう。
このボイトレをやるだけで、裏声を響かせる位置を感覚としてつかむことができます。
どの練習方法を試してもなかなか上達しない人は、ボイストレーニング教室で裏声の発声法についての指導を受けてみても良いかもしれません。
プロのボイストレーナーから、自分の発声方法について客観的に見てもらうことは重要です。
綺麗な裏声を出すおすすめ練習曲~男性編~
男性の裏声は、地声との差がわかりやすく、弱々しい裏声を出してしまうとかなり目立ってしまいます。
しかし、わかりやすいからこそ芯のある裏声を出せるようになると、女子からモテモテになること間違いなしです!
もののけ姫|米良美一
悲しみと怒りに ひそむ
まことの心を知るは 森の精
もののけ達だけ
もののけ達だけ
男性が裏声を練習するのに一番おすすめの楽曲が『もののけ姫』。
この楽曲は、曲の最初から最後まで常に裏声で歌えるため、練習曲にもってこいです。
米良美一さんの歌い方は、「ヘッドボイス」という息漏れのない芯のある裏声が特徴です。
口の中の空間を縦に開き、あくびをしたときの声帯の状態を意識してしっかり喉を開きましょう。
裏声をしっかり出せるようになりたいという人は『もののけ姫』を練習曲にしてみてはいかがですか?
Lovers Again|EXILE
ひとりでは 愛してる証さえ曖昧でせつないだけ
ふたりでは やさしく見守ること続けられない
EXILEの名曲『Lovers Again』のサビは、フレーズのなかに裏声を使う箇所が多いのが特徴的です。
裏声をポップスの楽曲で練習したい人にはおすすめ。
『Lovers Again』なら地声と裏声の切り替えを鍛えることもできます。
EXILEの楽曲は、高音域のもの、地声を張り上げたすぐ後に裏声に切り替わる楽曲が多いので、『Lovers Again』を歌えるようになれば大概の裏声を使った楽曲を歌いこなすことができるでしょう。
綺麗な裏声を出すおすすめ練習曲~女性編~
女性の音域は裏声との差が出にくく、地声で出せてしまう音域も多いかと思います。
しかし、裏声をしっかり出せるようになると、あなたの表現の幅も大きく広がり歌いこなせる楽曲も増えてくるでしょう。
First Love|宇多田ヒカル
You are always gonna be my love
いつか誰かとまた恋に落ちても
I’ll remember to love
You taught me how
宇多田ヒカルさんの『First Love』は、地声と裏声を細かく行き来する難易度の高い楽曲です。
男性の裏声と比べ、女性の裏声は地声との差が少ないので、違和感は少ないと思います。
ですので、『First Love』では裏声で歌う箇所を地声で張り上げないようにすることに加え、地声と裏声の切り替えを意識してみましょう。
涙そうそう|夏川りみ
晴れ渡る日も 雨の日も 浮かぶあの笑顔
思い出 遠くあせても
おもかげ探して よみがえる日は涙そうそう
夏川りみさんの名曲『涙そうそう』は、裏声の練習に使いやすい楽曲です。
前項で紹介した『First Love』よりも裏声と地声の切り替え箇所が少なく、スローテンポのため歌いやすいでしょう。
また、綺麗なロングトーンを発声する練習曲としてもおすすめの楽曲です。
裏声のコツをつかんで伸びやかでキレイな高音を出そう!
いかがでしたか?
うまく裏声を出すことができなくて悩んでいる人も、一度コツをつかめばあっという間に上達することができます。
裏声を習得するには、リラックスをすること、地声で歌うときと同じような声帯の使い方をすることです。
綺麗な裏声が出せるようになったら、あなたが歌える楽曲も今の何倍にも増えるはずです。
この記事のまとめ!
- 裏声を発声する際は腹式呼吸を意識する
- 裏声が出ないときはとにかくリラックスをする
- 地声と同じ声帯の使い方をする
- 裏声を綺麗に響かせるには頭のてっぺんから声が出るようなイメージで歌う