ジャズやクラシックなどで使われるテクニックと言えばスキャットですよね。
最近では、ジャズやクラシック以外にJPOPなど様々なジャンルでスキャットが使われるようになりました。
しかし、アレンジでスキャットを入れたいけれど上手く使えないという人や、そもそもスキャットって何のことかわからない人も多いのではないでしょうか。
この記事でわかること
スキャットの意味
そもそもスキャットとは何なのでしょうか。
スキャットは英語表記だと「scat」になります。
意味は2つあり、辞書によると「急いでいく」「歌詞の代わりに無意味な音節を歌うこと」です。
まずは後者の無意味な音節を歌うことについて解説をしていきます。
歌のスキャットとは
スキャットとは歌詞の代わりに無意味な音節を歌うことですが、それだけではあまりピンとこない人も多いでしょう。
スキャットの例として「ラララ」「ルルル」「シャバダバ」「シュビドゥバ」などが挙げられます。
よく曲の展開のつなぎ目などで使われていますよね。
スキャットの歴史は諸説ありますが、トランプ奏者のアームストロングがレコーディングの最中に、譜面を落としてしまったときに咄嗟に歌ったことが始まりだと言われています。
そこから、スキャットの種類も増えていき様々なジャンルに浸透していきました。
スキャットの種類
スキャットには種類がたくさんあり、ひとつひとつ与える印象も違ってきます。
そのため、その曲にあったスキャットを使い分ける必要があるのです。
しかし、むやみに使いすぎてしまうと曲の雰囲気を壊してしまうこともあるので、スキャットはあくまでもアレンジの一つという意識を持っておきましょう。
スキャットを自由自在に使えると楽しく歌えるようになりますよ。
アー(ah)
アーは曲のクライマックスなどの一番の見せ所で使いましょう。
そうすることに曲にダイナミックさを演出することができるので、より感動させられる歌になります。
しかし、使いすぎると重たい印象を与えてしまうので、使いすぎには注意が必要です。
また、声のキャラクターが全面に出るためコーラスには向かず、主旋律で使うと効果的ですよ。
ウー(uh、woo、oo)
ウーはハーモニーしやすいスキャットです。
そのため、ポップスなどのバックコーラスでよく使われており、アーとウーを使うコーラスのことをウーアーと言います。
もちろん、コーラスだけでなく主旋律のメロディーでも使うことができるため、使いやすいスキャットと言えるでしょう。
オー(oh)
オーはアーと同じく曲の見せ場で使いましょう。
サビ前からサビで使うと効果的です。
ウーやアーと区別しやすくするためにウーオーアーの順番で使われることが多く、ウーとアーのクッションのような役割にもなります。
ウォー・ウォウ(woh・wow)
ウォーやウォウは、盛り上がる局面で使われることが多いので、明るめの曲でよく耳にするのではないでしょうか。
瞬間的に盛り上がる場合にも使うことができ、その場合は一瞬だけ声を大きくするような場面でも使うことができます。
フゥー(fu・whoo)
フゥーは、ウーと同じような使い方をします。
息を多めに発声することで、曲に上品さや色気を与えることができるので効果的でしょう。
また、4小節のフレーズのうち、はじめの1小節だけフゥーにすることも多いです。
トゥー(tu・too)
トゥーははっきりと発音されるので、音が引き締まり輪郭のあるフレーズがほしいときに有効です。
そのため、柔らかい雰囲気の曲だけでなく、ロック調の曲でも使用することができます。
突き抜けるような高音で発声すると、魅了できるスキャットになりますよ。
より引き締めたい場合はドゥーと発音することもあります。
スキャット練習のやり方
スキャットはあまり聴く機会も少ないので、練習方法がわからない人もいるのではないでしょうか。
スキャットは感覚をつかむことが重要なのでとにかく練習をしましょう。
最初はどのスキャットをどの音程で出せば良いのかわからないかもしれませんが、たくさん曲を聴いたり練習をしていくうちに、自然と即興でも使えるようになりますよ。
声帯周辺をリラックス
声帯周辺をリラックスさせることは、歌うこと全般において大切です。
特にジャズなどの柔らかい曲では、喉がしまった状態ででスキャットを出してしまうと耳障りになってしまう場合もあります。
声帯周辺をリラックスさせるためには、歌う前にリップロールやタングトリルなどでしっかり喉を使う準備をしておきましょう。
リップロールの詳しいやり方を知りたい人は、こちらの記事もチェックしてみてください。
名曲とにかく真似する
真似をすることは、スキャットだけでなく歌唱力を上げるためにもとても効果的な練習になります。
上手く真似をするためには曲をたくさん聴き、スキャットのフレーズだけでなく、声の出し方や抑揚のつけ方などの細かいところにも注目して真似してみましょう。
真似をすることで、身体にスキャットの感覚を覚えさせることができるので、そこから自由に操れるようになりますよ。
スキャットが聴ける名曲
スキャットが上手くなるには、プロのお手本をたくさん聴いて勉強しましょう。
原曲通りに真似をすることによって身体で感覚をつかめるようになりますよ。
スキャットを入れるタイミングやどのフレーズを使用しているのかなどの細かいところまで集中して聴いてみましょう。
慣れてくると即興でも曲の雰囲気に合うスキャットを見極められるようになりますよ。
最後にスキャットが聴ける名曲を紹介します。
It Don’t Mean A Thing (If It Ain’t Got That Swing) / Ella Fitzgerald
It Don’t Mean A Thingはジャズの名曲でも有名で、ディズニーでも演奏された曲です。
曲の様々な場面でスキャットが使われており、シャバダバシュビドゥバと高速で歌われています。
ここをきれいに歌うためには、声帯周辺をリラックスさせておくことが重要です。
リップロールなどで喉をほぐしておかないと、上手く口が回らずにもつれてしまいます。
最初はゆっくり発音することから始めて、徐々にテンポを上げていきましょう。
Scatman(ski-ba-bop-ba-dop-bop) / Scatman John
Scatman(ski-ba-bop-ba-dop-bop) はテレビなどでもよく耳にするので、スキャットと言えばこの曲を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
曲の半分ほどがスキャットで作られている珍しい曲です。
とても早口なので完コピするには時間がかかりますが、サビ部分のスキャットは比較的簡単に出せるので、そこから練習してみると良いでしょう。
基本的にスキャットは早口で歌われるので、できるようになると様々な曲に対応することができますよ。
Concerto Pour Une Voix / Saint-Preux
高音のスキャットを練習をしたい人には、Concerto Pour Une Voixがおすすめです。
曲のほとんどがダバでできているので、抑揚のつけ方などの表現力が問われます。
発音は比較的にしやすいですが、キーが高いので自分のキーに調整して練習するのも良いでしょう。
きれいな高音を発声するのに必要な、声帯周辺をリラックスさせる練習にもなりますよ。
Dub I Dub / Me & My
Dub I Dub はスキャットが使われるのはサビの部分だけですが、ドゥビドゥバやイェイやウォウなどのいろんなスキャットのフレーズが使われています。
また、はねるようなリズムなので「っ」が入っていることにも注意しましょう。
テンポやキーも歌いやすく、明るくポップな曲調なので楽しく練習ができそうですよね。
体でリズムを取りながら練習をしてみましょう。
何なんw / 藤井風
何なんwは、邦楽なので練習もしやすいのではないでしょうか。
スキャットが使われているのはサビ前からで、フレーズも短いので真似しやすいです。
スキャットからサビに入るので力強く歌うことで、より曲にダイナミックさを与えることができます。
最近の流行り曲なので、カラオケでもウケが良いのできれいなスキャットを見せつけましょう。
スキャットはアドリブの大定番!とにかく歌手を真似してコツをつかもう
スキャットはアドリブの大定番なので、セッションなどで歌う機会がある人は習得しておきたいテクニックです。
はじめは上手く発音ができないかもしれませんが、歌手をたくさん真似たり、脱力を意識しながら歌うことで徐々にきれいに歌えるようになるでしょう。
スキャットができるようになると、楽に歌えるようになったり、スキャット以外のフェイクなどのアレンジも上手くなりますよ。
スキャットを習得して音楽をより楽しみましょう。
この記事のまとめ!
- スキャットとは無意味な音節を歌うこと
- 様々なフレーズがありそれぞれ曲に与える印象も違う
- 練習法は声帯周辺をリラックスさせて歌手の真似をとにかく練習する