Future Bass(フューチャーベース)という音楽ジャンルをご存知でしょうか。
日本ではKawaii Future Bass(カワイイフューチャーベース)という派生ジャンルも流行し、人気が高まりました。
この記事でわかること
Future Bass(フューチャーベース)とは
フューチャーベースは音楽的な定義がなく、カテゴライズするのが難しいジャンルです。
ハウス・テクノ・エレクトロニカ・グライム・ゲームミュージックなどをベースに、様々な音楽要素が混ざり合うことでFuture Bassサウンドが生まれます。
ムーブメントは過ぎましたが、今もFuture Bass系のアプローチを取り入れるアーティストは多く、根強い人気を誇っています。
曖昧なジャンル
Future Bass(フューチャーベース)は2009年頃からクラブミュージックシーンに浸透し始め、瞬く間に人気の音楽となりました。
発祥地や名前の由来は不明であり、複数のアーティストによって文化的に生み出された可能性が高いジャンルと言えます。
サウンドの自由性が高い反面、Future Bass(フューチャーベース)と呼ぶかどうかの線引きは曖昧で、アーティストやリスナーの認識次第と言わざるを得ません。
世界初のFuture Bass
最も早くFuture Bassっぽいアプローチをした曲として知られているのが、ハドソン・モホークというアーティストがデビュー時にリリースした「Yonard」です。
Future Bassムーブメントが起きる前の原石なのでだいぶ雰囲気は違いますが、後に生まれるアーティスト達に影響を与える要素が満載のサウンドですよ。
Future Bass(フューチャーベース)の特徴
明確な定義がないFuture Bass(フューチャーベース)ですが、いくつかの特徴があります。
これから紹介する特徴は様々な音楽ジャンルにも当てはまるので、必ずしもFuture Bassっぽくなるとは限りませんが、雰囲気を掴むのに参考になるので覚えておくと良いですよ。
BPMは70~90or140前後
Future Bass(フューチャーベース)は曲の速さを決めるBPMが70~90、または140前後である場合が多いです。
BPMとは1分間に4分音符が何回おさまるかを数値化したもので、BPM70は1分間に70回の4分音符が鳴るということになります。
100以下のBPMは比較的ゆったりめのグルーヴが生まれ、140前後はミドルテンポと呼ばれる中間的な速度です。
Future Bass系の曲は速いビートを刻むことがほとんどないので、この辺りのBPMで作曲する傾向にあります。
ハーフタイムの2ステップ・ビート
Future Bass(フューチャーベース)にはハーフタイムの2ステップ・ビートがよく使われます。
2ステップ・ビートとは1拍目と3拍目にアクセントを入れるリズムパターンで、8ビートのようなスピード感とは対照的なスロー感を演出するのに最適です。
このパターンを使うと体感速度が本来のBPMの半分になるので、ハーフタイムと呼ばれています。
半分のテンポでも、4分音符で刻めばきちんと同じリズムになるので面白いですよ。
始まりはアンビエントなサウンド
アンビエントなサウンドで始まるのも、Future Bass(フューチャーベース)の特徴と言えます。
アンビエント系のアレンジのコツは、比較的静かな雰囲気のサウンドでフレーズを作ること。
始まりだけでなく、Aメロでもアンビエントなサウンドを使い、静かな雰囲気を保ったままサビで一気に激しくなるパターンが多いです。
盛り上げ方にすぐれた曲構成は、ダンスミュージックの要素がベースになっているのが伺えます。
対比をつける事で盛り上がりを演出するのは、Future Bass(フューチャーベース)のテンプレと言っても過言ではありません。
アクセントはヴォーカルチョップ
Future Bass(フューチャーベース)には、ヴォーカルチョップというAメロなどの声を加工してサビに使うテクニックもよく使われています。
ダンスミュージックにおいてサビはドロップと呼ばれ、歌ではなくサウンドのトラックで最も盛り上がる部分。
Future Bass(フューチャーベース)もこれにならい、ドロップで歌が入らない場合も多く、歌を入れる際はドロップ前までの声を加工して当てる傾向にあります。
波形を切り刻んで連続再生っぽくしたり、ピッチを変えたりと、アプローチの方法は様々です。
Future Bass(フューチャーベース)日本の曲3選
海外から急速にムーブメントが広まったFuture Bass(フューチャーベース)ですが、日本でもその勢いは凄まじいものがありました。
中田ヤスタカがプロデューサーを務めるPerfumeをはじめ、様々なアーティストがFuture Bass(フューチャーベース)を取り入れた曲でヒットを連発。
このジャンルを広めるのに大きく貢献しています。
日本でのおすすめ曲3選をご紹介しますので、ぜひ聴いてみてくださいね。
Future Pop / Perfume
Perfumeの「Future Pop」は2018年紅白歌合戦でも披露された曲です。
静かな雰囲気から盛り上がっていく展開は、まさにFuture Bass(フューチャーベース)らしいと言えるでしょう。
ダンスミュージックっぽいアプローチながらも、サウンドはシンセサイザーをベースにキラキラ系を使っていることでPOPな雰囲気を演出しています。
Hello,Morning / キズナアイ
バーチャルYouTuberキズナアイの「Hello,Morning」も、Future Bass(フューチャーベース)を取り入れた曲です。
ハーフタイムの2ステップ・ビートに、DJのスクラッチっぽいアレンジが加わるのが聞きどころ。
Future Bass(フューチャーベース)としては比較的、耳に残りやすいボーカルメロディーが散りばめられているのも特徴と言えます。
無限未来 / Perfume
Perfumeの「無限未来」もハーフタイムの2ステップ・ビートをベースにした、Future Bass(フューチャーベース)らしい曲です。
幻想的なサウンドで静かな雰囲気からドロップで2ステップ・ビートになる展開は、まさに王道のパターンと言えます。
この曲は映画「ちはやふる -結び-」の主題歌にもなったので、聞き覚えがある人も多いのではないでしょうか。
【日本発】Kawaii Future Bassとは
日本から生まれた派生ジャンルとして、Kawaii Future Bass(カワイイフューチャーベース)というものがあります。
キラキラした可愛らしいサウンドを所々に取り入れており、名前の通り「カワイイ」印象を与えるアレンジが特徴です。
日本の「カワイイ」という感覚は英語の「Cute」とは別物であり、海外からも日本独自の「Kawaii文化」として捉えられています。
言葉では言い表せない感覚が音楽に反映されたのは、とても芸術的なことですね。
【原点】Nyan Nyan Angel! / Ujico*(Snail’s House)
「Nyan Nyan Angel! 」は日本人トラックメーカーのUjico*(Snail’s House)が、Kawaii Future Bass(カワイイフューチャーベース)として提唱した曲です。
2ステップ・ビートにキラキラしたサウンドの組み合わせが、EDMのような重厚感とは対照的にPOP感を演出しているところに注目して聴いてみてください。
「Nyan Nyan Angel! 」を発表する際、Ujico*は「Kawaii Trap / Kawaii Future Bass」とタグ付けをして公開しました。
この「Kawaii Trap / Kawaii Future Bass」いうワードが広まったことでKawaii Future Bass(カワイイフューチャーベース)がうまれたのです。
「Nyan Nyan Angel! 」は正真正銘、Kawaii Future Bassの原点と言えるでしょう。
ジェリーフィッシュ feat. ローラーガール / Yunomi
SoundCloudで多くのフォロワーを持つYunomiの「ジェリーフィッシュ feat. ローラーガール」は「萌え」要素が満載!
気が緩みそうなカワイイ効果音や宇宙っぽいシンセサイザーは、聴いていると癒されるでしょう。
子供が好きそうな雰囲気作りが、Kawaii Future Bass(カワイイフューチャーベース)を作るコツと教えてくれる作品です。
Future Cαndy / YUC’e(ゆーしえ)
YUC’e(ゆーしえ)もマルチな才能を発揮するトラックメーカーの1人です。
「Future Cαndy」は可愛らしいキラキラしたサウンドをふんだんに取り入れながらも、ダンスミュージックっぽいアレンジを大胆に加えたアグレッシブなナンバー。
Kawaii Future Bass(カワイイフューチャーベース)でありながら、クラブでも盛り上がりそうな感じがしますね。
Future Bass(フューチャーベース)おすすめK-POP3選
日本ではK-POPの人気が高いですよね。
Future Bass(フューチャーベース)はK-POPにも取り入れられ、ムーブメントの波に乗ってきました。
歌唱レベルの高いK-POPグループの曲に使われているFuture Bass(フューチャーベース)は、必ずチェックしておきたいところです。
おすすめ曲を3選ご紹介しますので、ぜひ聴いてみてください。
Euphoria / BTS(防弾少年団)
世界的な人気を誇るグローバルボーイズグループ、BTS(防弾少年団)の「Euphoria」です。
K哀愁あるメロディーに、Future Bass(フューチャーベース)っぽいサウンドアレンジをうまく融合させています。
しっかりと歌を聴かせてくれるので、Future Bass(フューチャーベース)初心者にもおすすめですよ。
CHANGE UP / SEVENTEEN
「CHANGE UP」は 13人組ボーイズグループSEVENTEENのヒップホップ要素が強い曲です。
エレクトロニックなサウンドに韓国語のラップと英語のメロディーをミックスさせたアレンジは聴いていて飽きません。
ブラスのオブリガートが重要な役割を果たしているのも聴きどころで、Future Bass(フューチャーベース)が定義のないジャンルであることを改めて感じるでしょう。
Girl Front /ODD EYE CIRCLE(LOOΠΔ)
ODD EYE CIRCLE(LOOΠΔ)とは、ガールズグループLOONAの2番目のサブユニット。
「Girl Front」はFuture Bass(フューチャーベース)では珍しい8ビートを取り入れています。
はじめはダンスナンバーにも聞こえますが、ピコピコしたサウンドなどFuture Bassらしいアプローチをしっかりと加えているので、オケに注目して聴いてみてくださいね。
Future Bassは音作りが特徴的!ハマるシンセサウンドは一度聴いたら忘れられない
Future Bass(フューチャーベース)は曲作りよりも、音作りに特徴があるのをお分かりいただけたでしょうか。
全く同じフレーズでも鳴らす音を変えればガラッと雰囲気が変わるので、いくつもあるシンセサウンドの中からイメージに最適な音を選び出すことがとても重要なのです。
Future Bass系アーティストはとにかく音の選定が抜群にうまく、一度聴いたら忘れられない
フレーズを次々に生み出しています。
シンセサウンドをベースにした音楽を作りたい人は、おすすめ曲をぜひ参考にしてみてくださいね。
この記事のまとめ!
- Future Bass(フューチャーベース)は定義が曖昧な自由性の高い音楽ジャンル
- 2ステップ・ビートの曲が多く、BPMは70~90or140前後にするとFuture Bass(フューチャーベース)らしさが出やすくなる
- 日本独自の「Kawaii文化」から生まれたKawaii Future Bass(カワイイフューチャーベース)という派生ジャンルも必見
- K-POPのFuture Bass(フューチャーベース)もおすすめ!ぜひ曲を聴いてみよう