あなたは「アシッドジャズ」という音楽ジャンルを聞いたことがありますか?
やはり「ジャズ」というくらいなので、バーで流れているようなサックスやピアノをメインとしたおしゃれな音楽だと思う人は多いかもしれません。
しかし、アシッドジャズは老舗ジャズレーベル「ブルーノート・レコード」からリリースされているものとは、また違うおしゃれさがあるのです。
この記事でわかること
アシッドジャズとは?
アシッドジャズとはどんな音楽ジャンルなのでしょうか?
アシッドジャズとはどういう音楽?
アシッドジャズは簡単にいうと、1980年代にイギリス・ロンドンをはじめとするクラブシーンで生まれた「踊れるジャズ」です。
70年代のソウルやファンクなどの要素を取り入れたアシッドジャスは、後にR&Bやヒップホップにも影響を与えていきます。
アメリカ・シカゴで生まれたハウスなどのクラブミュージックに近いイメージで、ジャズのおしゃれさを残しつつも、ハウスの高揚感を兼ね備えた、ハイブリッドなジャンルといえるでしょう。
アシッドジャズの歴史
アシッドジャズの歴史を語る上で外せない人物が「ジャイルス・ピーターソン」です。
当時のクラブシーンでは遠い存在となっていた1970年代のジャズを「踊れるサウンド」に組み立てていったDJ、その中心にいたのが彼です。
15歳にして自宅に海賊ラジオ局を作り、自力で音楽を配信していたジャイルス・ピーターソン。
彼はそれまで大人のための古典的な音楽というイメージがあったジャズを、クールなものとしてダンスミュージックに再定義しました。
そして、1987年にはDJエディ・ピラーとともに、レーベル「アシッド・ジャズ」を立ち上げるのです。
レーベル「アシッド・ジャズ」とともに音楽ジャンルとしてのアシッドジャズを引っ張ってきた最重要人物といえます。
アシッドジャズによる日本への影響
アシッドジャズは日本でも渋谷系というジャンルで大きなムーヴメントを起こしていました。
その中でもジャイルス・ピーターソンに「アシッドジャズの歴史の中で極めて重要なグループ」として位置付けられているのが、日本のクラブシーンにおいてジャズを選曲するDJのパイオニア「U.F.O(ユナイテッド・フューチャー・オーガニゼイション)」です。
アシッドジャズの最大のテーマである「踊れるジャズ」を圧倒的なセンスで完璧に体現したサウンドは、日本だけに止まらず、本場イギリスでも大人気となりました。
アシッドジャズを代表する《洋楽》人気アーティスト&名盤
Space Cowboy|Jamiroquai
This is the return of the space cowboy
lnter-planetary
Good vibe zone
At the speed of Cheeba
We’ll go deeper
Maybe I’ll have to get high
Just to get by.
アシッドジャズをこれから聴こうとしているあなたにおすすめなのが、アシッドジャズの世界で最も成功したといわれるイギリスのアーティスト「Jamiroquai(ジャミロクワイ)」です。
彼らの大ヒット曲『Space Cowboy』は、アシッドジャズの持つおしゃれさと踊れるグルーヴ感の両方を余すことなく感じられる最高傑作です。
Don’t You Worry ‘Bout A Thing|Incognito & Stevie Wonder
But don’t you worry
‘bout a thing
Don’t you worry
‘bout a thing, baby
‘Cause I’ll be standing on the side when you
check it out ah・・・
ミュージカル3Dアニメーション「SING」にも起用されたことで有名な『Don’t You Worry ‘Bout A Thing』。
恥ずかしがり屋のゾウの女の子「ミーナ」が、自分らしく歌うことに喜びを感じソウルフルに歌い上げるシーンは感動を誘います。
この曲はもともと1973年にアメリカのシンガーソングライター「Stevie Wonder(スティーヴィー・ワンダー)」が発表した曲。
さまざまなアーティストによってカヴァーされ、時代を超えて多くの人々に愛されています。
Breakout|Swing Out Sister
Breakout
Don’t stop to ask
Now you’ve found a break to make at last
you’ve got to find a way say
what you want to say
日本のR&B系アーティストに大きな影響を与えたのが、イギリスの男女デュオ「Swing Out Sister(スウィング・アウト・シスター)」。
1986年にリリースされた彼女たち最大のヒット曲『Breakout』は、シンセポップスの懐かしさと、80年代の楽曲とは思えない新しさを感じる不思議なサウンドが特徴です。
アシッドジャズのおすすめ《邦楽》人気アーティスト&名曲
FUNNY GOLD|Suchmos
Do you love? Do you love me? I’ll never let your love
Do you love? Do you love me? 火が点いた今夜
Do you love? Do you love me? I’ll never let your love go.
Do you love? Do you love me? 火が点いた今夜
第69回NHK紅白歌合戦への出場を果たした、おしゃれ系ロックバンド「Suchmos(サチモス)」。
「ルイ・アームストロング」などの世界的ジャズ・ミュージシャンの影響を色濃く受けているため、「ロック」よりも「アシッドジャズ」の要素が強いバンドだといえます。
大ヒットナンバー『FUNNY GOLD』は、サウンドとメロディのおしゃれさと、ついつい身体でリズムを取りたくなってしまうグルーヴ感が魅力。
日本のアシッドジャズを代表する楽曲といえます。
『FUNNY GOLD』は、アルバム「THE ASHTRAY」に収録されています。
Sweet and Sour|Nulbarich
I wish upon a star
世界は相変わらず
急ぎ足でrun
追いつけないまだ
Pain と笑みで racing
答えはその先に
2016年結成のロックバンド「Nulbarich(ナルバリッチ)」は、メディア露出が極端に少なく、ボーカルのJQ以外顔出しをしないなど、”音楽だけで勝負をする”というブランディングにこだわりをみせています。
そのため、Nulbarichのリスナーは、彼らの作り出す歌詞やメロディ、ノれるおしゃれなサウンドなど彼らの”音楽”の虜になっています。
おすすめは、彼らにしか生み出せないサウンドが詰め込まれた楽曲『Sweet and Sour』。
この曲のMVでNulbarichの持つアーティスティックなセンスが感じられます。
Joseph|yahyel
We are going to give our soul
We are going to give our heart
There is still a thing to burn, burn, burn
We are going to spoon your life
We are going to pour your lies
It makes my guts to burn, burn, burn
2015年に結成された、世界を舞台に活躍するバンド「yahyel(ヤイエル)」。
名曲『Joseph』は、日本人が作ったとは思えないほど、前衛的でハイセンスな音作りを感じられる楽曲です。
結成の翌年2016年には、欧州ツアーを成功させるなど、いま注目のバンドです。
『Joseph』は、Fool+Midnight run(アナログ7inchシングル)を購入するとダウンロードできます。
大停電の夜に|cero
外には夜汽車が走っていた
手を振る友達楽しそう
普通の会話を愛している
手を振る友達淋しそう
あらゆるジャンルの要素を取り入れて、オリジナルのサウンドを作り出している2004年結成のバンド「cero」。
その中でも代表曲『大停電の夜に』は、エモーショナルなメロディと歌詞が印象的。
スローテンポな楽曲ながら、なぜか身体を揺らしたくなる不思議なナンバーです。
Stay|FIVE NEW OLD
Stay forever
Don’t walk away
How’d I fall in love again without you girl?
Just stay forever
Get back to where we started
Get it over
Dear, don’t lose the fever again
2010年に結成されたロックバンド「FIVE NEW OLD」。
当初はパンクロックバンドとして活動していました。
けれども、ブラックミュージックやゴスペルなどあらゆる音楽ジャンルの要素を取り入れ進化し続けています。
彼らの代表曲『Stay』は、洋楽ポップスのような爽やかで心地よいリズム、さらにスタイリッシュなコーラスワークが魅力。
まさに、これからの邦楽アシッドジャズを引っ張るバンドです。
アシッドジャズは洋楽・邦楽どちらもかっこいい!
ジャズのおしゃれな要素と、ハウスなどの踊れる要素が組み合わさった、おしゃれで踊れるハイブリットな音楽。
それが「アシッドジャズ」。
再生すれば自然に体が動いてしまう高揚感がたまりません。
アシッドジャズの本場であるイギリス出身の洋楽アーティストから、日本のおしゃれなサウンドが魅力のロックバンドまで。
アシッドジャズに魅せられたアーティストたちが、さまざまな名曲を生み出し続けています。
洋楽も邦楽もどちらもかっこいいので、アシッドジャズに興味を持った人はぜひ聴いてみてくださいね。
あまりにもはまりすぎて、関連雑誌を読みあさるようになったり、アシッドジャズで検索して音楽情報やニューアルバムを片っ端からチェックしたりしましょう。
輸入盤のLPレコードを取り寄せたりするようになったら、もはやあなたはアシッドジャズのトリコ。
ついでにほかのダンスミュージックのジャンルもどんどん聴いてみましょう。
この記事のまとめ!
- アシッドジャズは1980年代後半にイギリスのクラブシーンで生まれた
- アシッドジャズはハウスのような「踊れるジャズ」
- 日本にも大きな影響を与えている
- 洋楽も邦楽もかっこいい楽曲ばかり