黒人音楽をルーツに持つブルース。
海外では根強い人気がありますが、日本ではあまりメジャーとは言えないジャンルです。
とはいえ日本の人気ポップスでも、ブルースが取り入れらているものも少なくありません。
この記事ではブルースを聴いたことがない人でも、かっこよくて聴きやすいブルースロックを史上最高の名盤ともいわれる中からギュッとまとめて紹介していきます。
【ブルース】と【ジャズの違い】
ブルースとジャズは、どう違うのでしょう。
よく知らない人からするとなんとなく同じようなものだと感じてしまいますが、それもそのはず。
2つはアメリカ南部をルーツに持つ兄弟のような音楽なのです。
同じようなルーツを持つため混同されてしまうことの多いブルースとジャズですが、大まかな違いが3つあります。
順を追って説明しましょう。
元祖はアメリカ?イギリス?ブルースロックおすすめ名盤・ギタリストを紹介
音楽の主役が違う
一番わかりやすい違いは、メインとなる音楽の違いです。
- ブルースは「歌とギター」
- ジャズは「楽器」
ブルースは恵まれていない自分達の境遇をギター一本のスタイルで歌ったものが始まりとされ、基本的にギターと歌があればブルースといえます。
ジャズはそのブルースに伴奏を加え、BGMやダンスミュージックとしてエンターテインメントに昇華させたもので、楽器演奏が主役です。
もちろん歌もありますが、なくてもジャズになります。
リズムが違う
兄弟のようだと例えられるジャズとブルースですが、基本のリズムが大きく違います。
ブルースはシャッフルビート、ジャズは多くがスウィングと呼ばれる4ビートです。
簡単に言えばブルースははねる、ジャズははねないという感じでしょうか。
実際に比べて聴いてみるとすぐにわかります。
ロックへの影響
ジャズはロックにほとんど影響を与えていないのに比べて、ブルースは大きな影響を与えました。
ほとんどのロックミュージックはブルースのスケールや進行、アドリブなどを土台として生まれたといってもよいほどです。
一方、映画「セッション」でも題材として取り上げられたジャズは「ファンク」や「ヒップホップ」に影響を与えたといわれています。
【邦楽】ブルース・ロックの人気おすすめ名曲
黒人音楽をルーツに持つブルース・ロックですが、日本でも独自の解釈で歌われています。
かっこよくて味のある邦楽ブルース・ロックを紹介します。
世界に誇る【日本のR&B】男性&女性アーティストのおすすめ名曲
世界の終わり|THEE MICHELLE GUN ELEPHANT
世界の終わりは そこで待ってると
思い出したよに 君は笑い出す
赤みのかかった 月が昇るとき
それで最後だと 僕は聞かされる
1991年に結成されたTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT(略称ミッシェル)は、2003年に解散するまでの間、その容姿、繊細ながらも圧倒的なギター、ハスキーなボーカルで当時のバンドキッズたちを夢中にさせてきました。
デビュー曲『世界の終わり』(発売日:1996年2月1日)は、力強いサウンドと奥深い幻想的な歌詞で、今でも語り継がれる名曲です。
彼らのライブでのアンコール定番曲となっていました。
深夜高速|フラワーカンパニーズ
生きててよかった 生きててよかった
生きててよかった そんな夜を探してる
生きててよかった 生きててよかった
生きててよかった そんな夜はどこだ
ブルースロックも手がけるフラワーカンパニーズは、1989年の結成以来メンバーチェンジなしで活動を続けているバンドです。
インディーズ時代から機材車に乗り込み、全国を回ってライブを続けています。
バンド結成20周年記念として発売されたトリビュートアルバム。
それが歌詞をご紹介している『深夜高速』。
この1曲のみを13組のアーティストがカバーしたというものです。
全力で叫ぶ「生きていてよかった」というフレーズは、何かにつまずいた人の心にずしんと響きます。
さらば青春|Drop’s
さよなら あの日のわたし
さよなら 透明な時間
じわじわと でも確かに
大人になるのさ
Drop’s は2009年、札幌在住の女子5人組で結成されたブルースロックンロールバンドです。
アナログ盤EP「さらば青春」に収録されたタイトル曲は、ヴォーカルの中野ミホさんの高校卒業時の作品です。
10代の”透明な日々”に別れを告げ、少女から大人の女性になる際、誰もが経験する苦々しくも鮮烈な旅の始まりを、クリアな感性で描いています。
中野ミホさんの力強い歌声が魅力的ですね。
I’M GETTIN’ BLUE|ZIGGY
I’m gettin’ blue 放り出され…
So hard rain 降り続く
季節外れのこの街さ…
I’m thinkin’ bout あいつのこと
確かめたい何か足りない
Blueな夜が続く理由
1984年に森重樹一さんを中心として東京で結成され、2008年に活動休止されるまで精力的に活動してきたZIGGY。
『GLORIA』とともにZIGGYの代表曲のひとつである『I’M GETTIN’ BLUE』は、テレビ朝日系「ど~する!?TVタックル」のエンディングテーマに起用されていました。
1988年にオリジナル盤が発売され、その後1989年に再発盤されました。
無期限の活動休止から約10年ぶりの2017年には、オリジナルメンバーは森重樹一さんのみですが、新曲をリリースし、全国ツアーも開催しました。
I KNOW|The Birthday
DEVIL’S ROCK’N’ ROLL LAW
俺は知ってるぜBABY
なんでもありの自由なWORLD
2015年に結成10周年を迎えたThe Birthday。
『I KNOW』はその10周年シングル第1弾として発売されました。
ドラムだけで始まるイントロがかっこよくインパクトがあります。
The Birthdayらしい分厚く骨太なサウンドと豊かなビート、ざらついた声が想像を刺激するチバユウスケさんのボーカルが圧巻です。
この曲はチバさんが「渾身のアルバムです」とコメントした8枚目のCDアルバム「BLOOD AND LOVE CIRCUS」に収録されています。
初回限定盤はDVD付きです。
ほか、フォークのイメージが強い泉谷しげるさんの『行きずりのブルース』もぜひ聴いてみてください。
渋くてかっこいいですよ!
【洋楽】ブルース・ロックの人気おすすめ名曲
とにかくかっこいい洋楽のブルース・ロック。
名盤といわれる曲のなかでもおすすめ度の高いものを紹介します。
このジャンルに興味がない人にも聴いてほしい名曲揃いです。
ブラックミュージックとは?邦楽&洋楽の人気おすすめ名曲厳選まとめ
Crossroads |Eric Clapton
I’m going down to Rosedale, take my rider by my side.
I’m going down to Rosedale, take my rider by my side.
You can still barrelhouse, baby, on the riverside.
元となっているのは“すべてのブルースやロックの永遠の原点”といわれ、エリック・クラプトンの憧れの存在でもある伝説のシンガーロバートジョンソンの名曲です。
2010年にシカゴで開催された、エリック・クラプトン主催のチャリティコンサート「クロスロード・ギター・フェスティバル」で、クラプトンはBBキングと共演し、この曲を熱唱しています。
この模様はDVDとBlu-rayに収録されており、ほかの豪華な顔ぶれによるギター演奏も堪能できます。
Light My Fire(ハートに火をつけて)|The Doors
Come on baby, light my fire
Come on baby, light my fire
Try to set the night on fire
1993年にロックの殿堂入りを果たしたドアーズの最高傑作で、最大のヒット曲にして不朽の名作といえば『ハートに火をつけて』です。
アルバム「The Doors」に収録されていましたが、ファンからの強い要望でシングルカットされ、全米1位を獲得するなど熱狂的に支持されました。
アルバムでは3分以上ある間奏の中で、マンザレクのオルガンとロビーのギターによるバトルが聴けますが、シングルでは長すぎることからカットされてしまっています。
Purple Haze(紫のけむり)|Jimi Hendrix
Purple haze all my brain
Lately things they don’t seem the same
Acting funny,
But I don’t know why
Cause me while
I kiss the sky
1970年に亡くなってからも、なお語り継がれる天才ギタリスト、ジミ・ヘンドリクス(通称ジミヘン)の代表曲といえば『Purple Haze(紫のけむり)』をあげる人が多いでしょう。
ギターを背中や歯で引き、火を放ち破壊する、その過激なパフォーマンスで有名ですが、ブルースへのリスペクトを強く持っていました。
また、ジミ・ヘンドリクスは音楽雑誌各誌で最も偉大なギタリスト1位に何度も選ばれています。
まさに世界を代表するベストギタリストだといえるでしょう。
WORKING ON A DREAM|Bruce Springsteen
I’m working on a dream
Though sometimes it feels so far away
I’m working on a dream
And how it will be mine someday
愛称”ボス”で知られるブルース・スプリングスティーンは、アメリカを代表するロック・アーティストのひとりです。
既発アルバムの全米トータルセールス6400万枚は歴代15位、全世界トータルセールスは1億2000万枚を突破、1999年にはロックの殿堂入りを果たしました。
The House Of The Rising Sun(朝日のあたる家)|The Animals
There is a house in New Orleans
They call the ‘rising sun’
And it’s been the ruin of many a poor boy
In God I know I’m one
『The House Of The Rising Sun(朝日のあたる家)』はアメリカ合衆国の伝統的なフォークソングです。
元々メジャー調だったものが、歌い継がれるうちに暗い情念に満ちた旋律に変化していきました。
この曲は多くのミュージシャンがそれぞれのアレンジで演奏しています。
1944年にロックの殿堂入りを果たしたイギリスのバンド、アニマルズは主人公を女性から男性に変え、ロックアレンジにしてシングルリリース、世界各国で大ヒットとなりました。
ブルースロックは大人の雰囲気溢れる名盤揃い
いかがでしたか?
ブルースってなんだか難しそう、そう感じる人でもかっこいいブルースロックなら聴きやすく、すんなり入っていけます。
多くのアーティストが語り継ぐ名曲には、かっこよさの中に情念や哀しみなど、さまざまな感情が込められており、時を経ても人の心を打ちます。
戦前のものは紙ジャケット仕様の輸入アナログレコード(LPレコード)で聴けばそのよさは倍増するでしょう。
ブルースが広まるきっかけを作ったレーベル「チェスレコード」が送り出した音楽を聴いてみるのもよいでしょう。
また、ブルース界に名を残すアーティストたちの名演を聴いてみるのもおすすめ。
代表的ブルース・シンガー「ジミー・リード」、ブルース・ピアノの名手「メンフィス・スリム」、ブルース界の重鎮ギタリスト「アルバート・キング」、有名ブルース・ギタリスト兼歌手「ロバート・ロックウッド・ジュニア」、アンプリファイド・ハープの元祖とされる「リトル・ウォルター」など。
彼らが送り出した名盤をどんどん聴いてみてください!
戦前の雑音の入った録音でブルースを聴くのもまた味わい深いですよ。
ちょっと変わったところで、日本のロックバンド「ブルース・クリエイション」のアルバム「悪魔と11人の子供達」に収録されている『ミシシッピー・マウンテン・ブルース』も機会があれば見つけて聴いてみてくださいね。
このページでご紹介した名盤も参考に大人の雰囲気が溢れるブルースロックの世界をぜひ味わってみてください。
この記事のまとめ!
- ブルースは歌とギターが主役
- 語り継がれる名曲がある
- かっこよさのなかに大人の雰囲気がある