ライブに行ったことがある人は、ステージがはじまる前に音響スタッフさんがマイクチェックをしているのを聞いたことがあるのではないでしょうか。
「もうすぐライブがはじまる」というワクワク感でいっぱいになり、あの時間が好きという人も多いかもしれません。
音響スタッフさんから発せられるセリフのような、呪文のような音声がスピーカーから聞こえてきますよね。
いつも私たちは何気なくその様子を聞いたり見たりしていますが、そもそもマイクチェックとはなんのために行うのでしょうか。
この記事では、マイクチェックの目的や意味、マイクチェックを行う際の注意点について解説していきます。
意味を知るとライブに行くのがいつも以上に楽しみになりますよ!
この記事でわかること
ライブのリハーサルで耳にするマイクチェックの目的
ライブではただ単に音を聴かせればいい、音を出せばいいというものではありません。
まずは、どんな目的があってマイクチェックを行うのか見て行きましょう。
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スピーカーチューニングのため
環境やマイク、スピーカーの種類によって、会場内の音の鳴り方は変わってきます。
ただ単に音を出したらいいだけという訳ではなく、そのステージに合った「音作り」が重要。
そのため低い音から高い音まで均一に聴こえるよう、スタッフによる入念なチェックが行われるのです。
観客側に向けられたメインスピーカーはもちろん、ステージ用のモニタースピーカーまでしっかりチェックします。
ライブを楽しみにしている人たちだけでなく、出演者や演奏者のためにもマイクチェックは大事な行為なのです。
ハウリングさせないため
イベント会場などで、時々スピーカーから「ボーン」や「キーン」という不快な音が聞こえてくることがあります。
カラオケのオーディオスピーカーからよく起きる現象ですが、これが「ハウリング」と呼ばれるもの。
ハウリングは、スピーカーから出た音をマイクがひろってしまうことが原因で起きる現象です。
もしも、ライブ中にあんな音が響き渡ってしまったら盛り上がった空気に水を差してしまうでしょう。
そんな事態を避けるべく、スタッフさんがグラフィックイコライザーを使ってハウリングを起こす周波数成分をカット。
マイクチェックで「高音テスト・低音テスト・短音テスト」をしてハウリングを起こさないよう調整しているのです。
気になるやり方「チェックワンツー」を発声する意味
マイクチェックの際に「チェックワンツー」というのを聞いたことがありますか?
実は適当に発声しているわけではなく、この「チェックワンツー」には深い意味があるのです。
あらゆる発音が含まれている
「チェックワンツー」という言葉には、さまざまな発音が含まれています。
ハウリングを起こさないか、大きい音や小さい音のなど調整途中に無理なく自然にチェックできるフレーズとしてちょうどいいのです。
- チェック
硬い音と高音のチェックが可能。
勢いよく「チェッ、チェッ」と何度も発声して、ハウリングの確認をしているのです。 - ワン
低音と音量(大きい音)のチェックが可能。
母音が「あ」であるため、出力が大きすぎていないかを確認できます。 - ツー(トゥー)
高音と音量(小さい音)のチェックが可能。
低音の響きを確認しつつ、「チェック」でとらえられなかったハウリングを見つけることができます。
このように異音を気にしながら、音質や音量などあらゆる種類の音のチェックができるのです。
自由自在に音程や音量を変えることができる人間の声は、まさに優秀なサウンドチェック装置といえるでしょう。
世界共通のサウンドチェック
「チェックワンツー(check one two)」は、世界共通語である英語です。
「マイクチェック、マイクチェック」と言えば、その場の誰もが「今マイクの確認をしているんだな」ということがわかるでしょう。
あらゆる音をぬかりなくチェックできる「チェックワンツー」は、マイクチェックにふさわしい優れたフレーズといえます。
日本のマイクテスト用語「本日は晴天なり」とは
「チェックワンツー」とは別に、「本日は晴天なり」という日本独自のマイクチェックのフレーズがあります。
この言葉はもともと「It is fine today」という発声試験語からきており、日本語にしてしまうと発声的にはまったく効果がありません。
学校の先生がこのフレーズでマイクチェックしているのを思い出したという人もいるかもしれませんが、効果がないことがあまり知られていないということですね。
「It is fine today」は、すべての母音・破裂音・摩擦印といった要素が含まれており、マイクチェックにふさわしいフレーズなのです。
ちなみに「チェックワンツー」「本日は晴天なり」のほかにも、日本語50音のなかで最も弱い発音”ハ行”と強い発音”タ行”を使って行う方法もあります。
そのため、ライブ会場などでは「ヘーヘー」や「ヘーツッ!」などとチェックしているのを聞くこともあるかもしれません。
マイクチェックにおけるNG行為
マイクチェックには絶対にやってはいけないNG行為があります。
マイクに息を吹きかけたり叩いたりする行為は、スピーカーが損傷する可能性がありますので絶対にやってはいけません。
振動に弱いマイク自体にも強いダメージを与えることになります。
マイク先の丸い部分(グリル)を指でガリガリするのも、もちろん禁止。
とくに、マイクに繋がった機材の電源が入った状態でケーブルを抜き差しするのなんて最悪です。
あらゆる製品をダメにしてしまう恐れがあるので、絶対にやってはいけません。
マイクチェック時に限らず、カラオケや司会などでマイクを使用する際も同じことがいえます。
そのほかの音響機器が損傷するケースもあります。
もしマイクチェックをする際は、ほかの機材の知識もあると安心です。
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マイクチェックの歌&歌詞を紹介!
華やかな舞台を作り上げるためのマイクチェックですが、作業自体は地味。
しかし、そんなマイクチェックをたたえている歌があります。
その歌詞に込められた思いはどんなものなのでしょうか?
早速歌詞をチェックしてみましょう。
愛しのマイクチェック1、2|HOME MADE 家族
CHE, CHE, CHE, CHE,MIC CHECK 1、2
That’s da first step we have to do
まずは入念なサウンドチェックuh! uh!
サウンドテストベストですPAさん
『愛しのマイクチェック1、2』を歌っているのは3人組ヒップホップグループのHOME MADE 家族です。
『サンキュー』や『少年ハート』などの楽曲がヒットし、現在は名古屋を拠点に活動中。
音楽活動はもちろんラジオ出演などしています。
歌詞のなかに、マイクチェックを行うスタッフさんの必死さが表れています。
メンバーのライブに賭ける熱い思いも込められ、ライブでは大盛り上がりのナンバーです。
ラップ調の縦ノリビートで、歌い方もバックミュージックもかなりカッコいい楽曲となっています。
マイクチェックのうた|hy4_4yh
チェック チェック チェック チェック マイクのチェック
マイクのテスト テスト チェック1 2
チェック チェック チェック チェック マイクのチェック
マイクのテスト テスト1 2
女性4人グループのhy4_4hy(ハイパーヨーヨ)による『マイクチェックのうた』。
現在はガールズ・ラップ・デュオとしてユカリン(中島由香利さん)とチャンチャラ(坂越由実子さん)の2人で活動しています。
ガールズグループだけあって、とても可愛らしい曲調で、幻想的な楽器の音にも注目。
こちらも全体的にラップで、ライブにはぴったりのノリのいい曲になっています。
マイクチェックにひっかけた言葉あそびのような歌詞が面白く、聴いていて心地のいい1曲です。
意味がわかるとマイクチェックを聴くのが楽しみになるかも!
「チェックワンツー」のほかにも「テステス」とか「ツェーアー」などのマイクチェックフレーズがありますが、マイクチェックの意味を知らないと思わず笑ってしまいそうになります。
しかし、今まで気にしていなかったマイクチェックは、ライブにおいて重要な存在です。
オリジナルのマイクチェックをしている人もいて、その方法や癖は十人十色。
どんな発声でマイクの確認をしているか、注目して聴いてみるのも楽しいですよ!
音響スタッフさんの入念なマイクチェックと細かな調整のおかげで、私たちは思い出に残るような素敵な時間を過ごすことができます。
次回ライブに行ったときは、どんなフレーズでマイクチェックをしているか聴いてみてください!
この記事のまとめ!
- スピーカーチューニングやハウリングの目的がある
- 「チェックワンツー」というセリフは、マイクチェックの理にかなったフレーズだった
- 「本日は晴天なり」のマイクチェック方法効果なし
- 私たちが快適にライブを楽しむために音響スタッフさんはマイクチェックを行っている!