腹筋の力は、声量やブレスコントロールなど歌に重要なテクニックを支える大切な存在です。
「もっと上手く歌いたい」と考えているなら、お腹トレーニングを練習の取り入れてみてはいかがでしょうか。
この記事でわかること
腹筋を鍛えると歌が上手くなる?
「腹筋」は、美しい歌声に欠かせない筋肉です。
しかし、いくら筋肉を鍛えあげたからといって歌の上達に直結するわけではありません。
ではなぜ歌に欠かせないのかというと、お腹の筋肉は姿勢や身体のバランス、呼吸法などに関わりがあるからです。
どんなに豪華な家でも、土台がしっかりしていなければ崩れやすく不安定ですよね。
腹筋はまさに「歌の土台的な存在」なのだと考えましょう。
「ボイストレーニングや発生練習で上達しにくくなった」という場合、技術が充分でもそれを支える筋力に問題があるのかもしれません。
まずは、歌声にどんな影響を与えるのかをしっかりと知って、今後の練習に活かしましょう。
歌と腹筋の関係
歌う時にきれいな声を出すには、身体全体のバランスを維持する必要があります。
人の身体が正しい姿勢とバランスを維持するには、腹部や腰回りの筋肉が欠かせません。
特に、お腹周辺の筋力が不足していると、立っているだけでもふらふらと安定しない状態になってしまうでしょう。
腹筋を鍛えて身体のバランスを整えれば安定した状態で声が出せるようになり、声域や声量の広がりに繋がりやすくなるのです。
腹筋が必要な理由
声量を操るためには、腹筋が強くなければなりません。
大きな声は「音」だけではなく「空気」によって生み出されます。
喉の力だけで大声を出そうとして、しゃがれ声や掠れ声になってしまったという経験はありませんか?
伸びやかで大きな声量は、お腹に貯めた空気に音を乗せて吐き出すことで作られるのです。
大声を無理なく出すには、腹式呼吸という呼吸法でより多くの空気を取り込む必要があります。
腹式呼吸では、横隔膜を充分に下げるためにお腹の筋力が必要不可欠です。
またその応用として、声量の大小で歌の表現力を高めるブレスコントロールにも、腹筋の動きが関わっていますよ。
歌に必要なのは腹斜筋
お腹の筋肉と言っても、歌に必要な筋肉は腹斜筋と呼ばれる横側の筋肉です。
腹筋は、複数の筋肉の塊が集まって構成されています。
シックスパックと呼ばれる割れたお腹を手に入れるには前面にある「腹直筋」が使われますが、歌に関わる筋肉は「腹斜筋」と呼ばれる部位です。
大まかな位置は両脇腹と下腹部で、腹直筋を囲むように位置していると考えましょう。
腹式呼吸をしながら歌う時はこの腹斜筋をメインに使うので、いわゆる腹筋のトレーニングなどとは別に、筋トレでも意識的に鍛えることが大切です。
また、腹斜筋には「外腹斜筋」と「内腹斜筋」という2種類があり、弛緩と収縮が反対に作用します。
腹斜筋を鍛える時には、このそれぞれを鍛えられる複数の筋トレを取り入れましょう。
歌における腹筋のメリット
歌と腹筋には深い関わりがありますが、実際に鍛えることでどんなメリットが得られるのでしょうか。
何事も、達成した時に得られるものがなければモチベーションは持続しません。
「腹筋を鍛えると歌にどういう効果をもたらすのか」を知っておけば、筋トレを頑張って続けようという気持ちも強まりますよね。
お腹を鍛えるメリットをまとめたので、モチベーションアップの参考にして下さいね。
体のバランスがよくなる
腹筋を鍛えると身体全体のバランスが整いやすくなります。
身体のバランスが整うというのは「声を出すための土台が安定する」ということです。
腹筋を鍛えることで姿勢が正され体幹が安定するため、声量や音域の幅も広がります。
また、筋肉は「長時間立ったまま歌う」という行動にも重要な部分です。
鍛えておけば筋肉が疲れにくくなり、長い時間歌っても身体が疲れて声が出ないという状況になりにくいでしょう。
発声が安定する
腹式呼吸でお腹から息を吐き出すことで、安定した歌声を発揮できます。
腹式呼吸を正しく行うには、腹筋を鍛えて横隔膜の上下運動をスムーズに行わなければなりません。
腹筋を鍛えると横隔膜が大きく動かせるようになるため、腹式呼吸を長時間維持できるようになります。
お腹の筋肉を鍛えるほど、安定した発声を手に入れられるのです。
無駄な力が入らなくなる
本来歌に使うべき腹筋を鍛えておくと、他の余計な筋肉に力を入れなくてもはっきりと美しい歌声で歌えます。
声量や声域に自信がない人は喉を使って歌ってしまうので、声帯を痛めたり肩や首の筋肉に負担をかけてしまいがちです。
正しい筋肉だけを使えば身体もリラックスするので、自身が持つ本来の実力が発揮できるでしょう。
長時間歌えるようになる
身体に筋肉をつけておけば基礎体力がアップし、カロリーを消費しても疲れにくくなります。
歌うという行為は、たくさんのカロリーを消費します。
通信カラオケDAMの調べによるとカラオケで歌う時は平均すると一曲10kcal〜20kcalもエネルギーを消費するのだとか。
長時間曲を歌い続けても疲労感を感じず安定した歌声を維持するには、腹筋の基礎体力が不可欠なのです。
歌が上達する腹筋トレーニング
筋肉は日常生活でも鍛えられますが、筋力トレーニングを継続して行えばさらに効率的に筋力アップが目指せます。
違う部位を鍛えるトレーニングを組み合わせて、歌用の筋トレメニューを組み立ててみましょう。
最初は短い時間やセット数で大丈夫なので、まずは少しずつでも続けることを意識してくださいね。
ここでは、歌に使う腹筋を鍛えられるおすすめの筋トレ方法をピックアップしました。
バイシクルクランチ
「バイシクルクランチ」は、腹斜筋の中でも内腹斜筋を鍛えられるトレーニングです。
まず、仰向けに寝転がって膝を90度曲げて持ち上げましょう。
手は頭の後ろに当てるようにして、そのままおへそを覗き込むように上半身を持ち上げます。
右の肘を左の膝に当てるように体を捻り、元の位置に戻ります。
反対の動作も同様に行いましょう。
素早く動かすよりも、一つ一つの動作を丁寧にゆっくり行なった方が効き目が高まります。
サイドエルボーブリッジ
「サイドエルボーブリッジ」は、外腹斜筋への効き目が高い筋トレです。
最初は膝を伸ばして、横向きに寝転がった状態から始めます。
床側の膝は少し曲げて体を安定させて下さい。
上半身を持ち上げ、床側の肘が肩の真下にくるように置きましょう。
膝・腰・頭が一直線になるように腰を持ち上げます。
その状態で、上側の腕をまっすぐ天井に向かって伸ばし、胸を張って30秒程度キープして下さい。
筋力が偏らないように、左右同じ時間行いましょう。
サイドクランチ
内腹斜筋を集中して鍛えたい場合は「サイドクランチ」がおすすめです。
まず横向きになって、膝を軽く曲げてください。
上側の手を頭に添えて肘を上に向け、床側の手は脇腹に乗せるように置きましょう。
頭の横で軽く曲げた肘を脇腹に近づけるように、上半身を起こしていきます。
体が傾いたりしないよう、収縮と弛緩を感じながらゆっくり動くのがポイントです。
左右同じ回数、同じセットを行いましょう。
ヘビー・サイドブリッジ
「ヘビー・サイドブリッジ」は、サイドエルボーブリッジの応用的な筋トレで、外腹斜筋を集中的に鍛えられます。
基本的にはサイドエルボーブリッジと変わらず、横向きに寝転んで腰を上げるという方法です。
ただし、ヘビー・サイドブリッジの場合は、膝を伸ばして足先から頭の先までが一直線になるように維持します。
さらに負荷をかけたい場合は、上側の手を腰に当てて、上側の足を肩と同じラインまで持ち上げましょう。
安定感が必要なので、体幹を鍛えるのにも効果的です。
ふらついて倒れてしまう可能性があるので、広い場所で行いましょう。
レッグライズ
「レッグライズ」は腹直筋の下部や、インナーマッスルを鍛えるトレーニング方法です。
歌に使うメインの筋肉は腹斜筋ですが、腹直筋も姿勢の維持に重要なので、適度にこの練習方法を取り入れましょう。
やり方はとても簡単で、床に仰向けに寝転び腕を身体の両脇に置く姿勢からスタートします。
両脚を揃えて床から少しだけ浮かせ、そのままゆっくりと持ち上げていきます。
45度程度まで持ち上げたら10秒ほどキープし、ゆっくりと下ろしましょう。
この時、セット数が終わるまでは脚を床につけず、少しだけ浮いた状態を維持することで効果が高まります。
前腕プランク
前腕プランクは、インナーマッスルを鍛えて体幹を強くするトレーニングです。
うつ伏せに寝転がった状態で、前腕から先を床につけて下さい。
そこから体を持ち上げ、足のつま先と前腕から先だけで身体を支えましょう。
腹筋に力を入れて、身体がまっすぐになるよう意識して下さい。
腰が上がりすぎたり下がりすぎたりすると、筋トレの効率が下がり腰を痛めてしまいます。
なるべく自然に息をしながら、腹筋以外の筋肉に余計な力を入れないことがポイントです。
リバース・トランクツイスト
「リバース・トランクツイスト」は、腹斜筋の筋力アップに効果的なトレーニングです。
まず、仰向けに寝転がって足をまっすぐ伸ばしましょう。
手は左右に開いて、上から見たとき十字のようになっていれば正しいスタートポジションです。
足をまっすぐ伸ばして、揃えたままゆっくり持ち上げていきましょう。
なるべく垂直に近い位置まで伸ばしたら、膝を曲げないように気をつけながら右斜め下に脚を倒して下さい。
膝が地面スレスレになったら元の位置に戻して、左側にも同じように倒します。
足の先で半円を描くような軌道を意識しましょう。
歌が上手くなりたい人は腹筋を鍛えることも大事!筋トレで声量UPを目指そう
歌は発声練習や体力作り、技術や表現力などたくさんの要素が重なり合って上達していきます。
その全ての基礎的存在が、腹筋を使った腹式発声です。
空気をたくさん吸い込んで声に変えることで、培ってきた技術や表現力を、美しい歌声で披露できるようになるでしょう。
腹式呼吸を行うために必要な筋肉の動きや正しい姿勢は、強い腹筋から生まれます。
歌のレッスンに体力作りや筋トレを取り入れて、今以上に広がりを感じる美声を手に入れましょう。
この記事のまとめ!
- 腹筋を鍛えると身体のバランスが良くなる
- 腹式呼吸には横隔膜を下げる腹筋の力が必要不可欠
- 筋肉を鍛えると基礎体力が付いて長く歌っても疲れにくい
- 腹筋は細かな部位の集合なのでそれぞれに合った筋トレをするべき