日々の生活のなかで会社の同僚や友人とカラオケに行ったり、自分の好きなミュージシャンの音楽を口ずさんでみたり、そのような瞬間が誰しもあるはずです。
そんなときに「自分は音痴だから…」「自分の歌を聴くのが好きじゃない!」といった理由で、歌うことを好まない人もなかにはいるのではないでしょうか。
歌というと、一般的にリズムやメロディなどの音程にとらわれやすいですが、音程だけに限らず声質も深く関係していることをご存知ですか?
この記事でわかること
歌が上手い人の特徴
世の中には歌手やミュージシャンがいる傍ら、バラエティ番組に出るような歌下手芸人もいます。
歌が上手な人もいれば、あまり得意ではないという人もいるのです。
そこで、歌が上手な人にはどんな特徴があるのかまとめてみました。
音程が正確に取れる
どんな歌にもメロディー、つまり“音程”というものがあります。
音程とは、“音同士の高さの差”のことを指します。
この音程があってはじめてメロディーが生まれ、歌になっていくのです。
音程が外れてしまうと、俗に言う“音痴”となり、みなさんが聴いている曲とは違ったメロディーになってしまいます。
歌が上手な人は、この音程を外さずに正確に取ることで、聴き慣れたメロディーを歌うことができるのですね。
リズム感がある
どの音楽にもテンポというものがあり、そのテンポの中にリズムが存在しています。
“テンポ”とは、曲の速度を表すもので、“リズム”とは、音が鳴るタイミングのことを表します。
テンポの中にリズムが存在しているということは、まず曲のテンポをとることが大切になってきます。
手のひらを一定のタイミングで曲に合わせて叩いてみましょう。
そうすると、手を叩くタイミングと歌のタイミングが一緒になりませんか?
それがリズムになります。
このリズム感があると、聴いていて思わず乗ってしまいたくなるような気持ち良さが生まれるわけです。
声量がある
いくら音程やリズムが取れていても、ボソボソといった歌ではとても上手とは言い切れません。
歌手やミュージシャンなどのプロを見ていると演奏に負けないほどの声量があり、アカペラなどで歌ってみても圧倒させるほど声量の迫力があります。
声量は歌を伝えるのに最も重要なものであり、声量がなければ歌も聞こえません。
歌が上手な人に見られるはっきりとした歌声は、紛れもなく声量があってこそなのです。
マイクの使い方が上手
マイクは音を拾うもので、歌を歌うにあたって私たちの声を惹き立たせてくれる道具です。
マイクといえば、カラオケボックスやライブハウス、スタジオ、学校などでも一般的に使用されているダイナミックマイクが代表的ですが、マイクにも適切な使い方があります。
それぞれマイクには音を拾える範囲があり、ダイナミックマイクの場合だとマイクの上部の網目の部分(グリルボール)全体が音を拾えます。
全体が音を拾うとはいえ、一番音を拾う場所はマイクの頂上部分なので、垂直にマイクを使うことでより大きく鮮明に音を拾うことができます。
ひとつ注意なのが、このグリルボール全体を握ってしまうと、キーンと音がハウリングしていまい上手く歌が拾われませんのでお気をつけください。
ミックスボイスが出せる
“ミックスボイス“とは、別名“ミドルボイス”ともいいます。
ミックスボイスは「地声と裏声の中間」という意味合いをもっており、地声のような強さを保ちつつ、裏声のような高音域の歌声を出すことです。
つまり裏声と地声をうまく使い分けられるようになると、上手に歌が歌えるということですね。
ミックスボイスを出している間の声帯は締まっています。
この声帯の締めが弱いと“裏声”になってしまい、逆に強すぎてしまうと喉から絞り出したような“喉声”になってしまいます。
一方この裏声にも名前がついており、“ファルセット”と言います。
口を閉じた状態で歌を歌ってみましょう。それは“ハミング”といい、ファルセットの声のもとになるものです。
こちらも、喉を強く締めてしまうと響きの美しい裏声を出すことができなくなります。
自分のミックスボイスが出せる音域を理解し、ファルセットとミックスボイスをうまく使い分けることが、歌が上手くなるための第一歩になるということですね。
ボイストレーニングで基礎を作ろう
基礎を身につけていれば、練習次第では応用が必要な歌もこなせるようになるはずです。
「専門のボイストレーニングに通う時間はないけど、歌は上手になりたい!」という人必見です。
ボイストレーナーがいなくても、自宅にてひとりで簡単にできる練習方法を紹介します。
リップロール
“リップロール”とは、口を閉じた状態で唇をブルブルと震わせ、空気を吐き出す練習方法です。
小さな子供が遊びやいたずらなどでやるものですね。
リップロールの代表的な効果としては
- 唇のリラックス
- 裏声が綺麗に出るようになる
- 正しく音程が取れるようになる
- 声帯を開く練習になる
などがあります。
やり方としては、唇の力を抜き、息をまっすぐに細く出すのがコツです。
やる前に少し唇を濡らしてみるのもひとつの手になります。
さて、早速ですがリップロールをしながら最大まで高い音を出してみてください。
普段よりもずっと高い音が出ませんか?
実は、それがあなたの出せる本来の最大の高音なのです。
この練習をすれば、出し切れなかった高音も出せるようになるはずです。
腹式呼吸
歌を歌うにあたって大事な呼吸法が“腹式呼吸”になります。
“腹式呼吸”とは、寝ているときの呼吸です。
「寝ているときと普段起きているときの呼吸って違うの?」と思った人もいるでしょう。
違います!
普段起きているときの呼吸は、息を吸ったときに肺が膨らんでおなかがへこみます。
一方寝ているときの呼吸は、息を吐いたときに肺が膨らみ、おなかはへこみます。
この息を吐いたときに肺が膨らむ呼吸法は、肺を動かす筋肉である横隔膜を使い、肩や首、喉などの余計な筋肉を使うことが歌うときには最適であるといわれているのです。
腹式呼吸のやり方
まず背筋を伸ばした状態で鼻からゆっくりと息を吸い込み、おへその下に空気をためていくイメージでおなかをふくらませます。
次に鼻から吸った息を、おなかをへこませながらゆっくりと口から吐き出します。
吸ったときの倍ほどの時間をかけることを意識してください。
最初は1日5回程度からはじめていき、慣れてきたら体調に合わせて10〜20回と増やしていきましょう。
腹式呼吸の効果
腹式呼吸は発声の手助けをするだけではなく、
- ダイエットのサポート
- 脂肪燃焼
- 免疫力を上げる
- 内臓機能の向上
- 冷え性対策
といった嬉しい効果があるので、おすすめの呼吸方法です。
ビブラート
歌のなかで声を伸ばすときに声を揺らすテクニックを“ビブラート”といいます。
きれいなビブラートの基本は、声の揺れ幅・速さが一定で途切れないということです。
ビブラートのかけ方にはいくつか方法があるのですが、ここでは一番自然で理想的だといわれている“横隔膜でかけるビブラート”を紹介します。
横隔膜でかけるビブラート
先ほどお話した腹式呼吸を使い、横隔膜を上下に揺らすことでかけるビブラートです。
しっかりした発声をすることが前提で、ゆったりとした曲におすすめです。
こちらは“ドギーブレス”という、犬が暑い時などに舌を出して「ハァハァ」と言うあの呼吸法を使い練習することができます。
練習の手順
- ドギーブレスをしながら横隔膜が揺れているか確かめる
- 「あーー」と声を出しながらドギーブレスを続け、声が途切れないように意識する
以上に気をつけて練習を続ければ、理想的なビブラートを手に入れることができます。
ビブラートをかけるためには、“腹式呼吸”と“喉のリラックス”が大事になってくるので、力みすぎずにゆっくりと呼吸をして歌うことが大切になってきます。
ビブラートの習得まである程度時間はかかりますが、喉を傷めにくい方法なのでぜひ練習してみてください!
歌が上達する練習方法
いくつか発声の基礎を紹介してきましたが、さらに上達するためにはどのようなことをしたらいいのでしょうか?
基礎の練習を重ねたうえで、よりよい歌声になるためのテクニックを紹介します。
自分の声を録音する
自分の声を録音するとどんなメリットがあるのかというと、自分の声や歌の癖を理解することができます。
冒頭で「音程に限らず、声質も深く関係している」というように書きましたが、覚えていますか?
人は誰しも生まれ持った声質というものがあります。
自分の歌声を第三者の視点で聴いてみることにより、自分の歌声の直すべきところや、自分に合った歌を歌うための改善点を見つけることができるのです。
いわば自分の歌を聴きこむことによる、“歌声の研究”といったところでしょうか。
録音した声を聴くときに意識するポイント
そこで自分の歌声を録音した際には、以下の4つのポイントに気をつけながら聴きましょう。
- 全体を通して抑揚がついているか。
- 息遣いのタイミングや、曲のリズムと合っているか。
- 力みすぎていたりなど、自分の声の質を潰してしまっていないか。
- 音程がしっかり取れているか
いざ録音して聴いてみると、正確に歌っていたつもりでも意外とそうでもなかったりします。
“〜したつもり”にならぬよう、しっかりと自分の歌声を復習することは大切なことなのです。
歌う曲を聴き込む
歌いたい曲は何度も聴き込むことによって、メロディーと歌詞を自然に覚えます。
そうすると、どこにアクセントをつけて歌ったらよいのか、どこに抑揚をつけるべきなのかなど、歌をより上手に歌うためにするべきことが見つかるのです。
早い上達を望んで難しい曲に片端から挑戦していくよりも、簡単なものでもよいのでひとつ課題曲を決めましょう。
少しずつ自分の改善するべき歌の癖を直していくことが大切です。
体全体で歌う
歌にはリズムとテンポが存在するというお話をしました。
そのテンポに口先から出る自分の歌声だけで乗ろうとするのは少々無謀ですので、体を揺らしたり手を叩いたりと体全体で音楽に乗ることが大切になります。
そのほかにも背筋を使って歌うことにより発声の手助けにもなるので、体全体で歌うということは歌の上達には欠かせないものです。
そのひとつとして、“普段より力強い声が出せる“という点です。
声帯のコントロールや息遣いのタイミングのコントロールに背筋は深く関わっているので、その背筋を鍛えることにより、より上手に歌えるようになります。
簡単な練習方法をしては、歌うときに“片足立ちをする“、これだけです。
普段の歌の練習のついでに片足立ちをするだけで、声に張り、力強さが加わります。
片足立ちをすることにより崩れるバランスを整えるため、体は余計な力を抜く必要があるので、必要のない力みをなくさせてくれるのです。
歌の練習頻度のポイント
それでは、歌の練習にあたって最適な頻度をみていきましょう。
1日1回がベスト
「何事も練習だ!」という言葉はよく目にしますが、練習しすぎることで喉に負担がかかってしまいます。
1日に短時間でも練習時間を決め、その練習時間はしっかりと集中し、それ以降は次の日にやる、ということが大切です。
なぜなら歌うことにも筋肉を使い、その筋肉を酷使してしまうと喉を傷め、最悪の場合病気になってしまう可能性があるのです。
歌を練習したあとは、そのときに使った筋肉や喉を十分に休ませ、無理のない範囲で継続して歌えるように喉を管理しましょう。
声が枯れる直前でやめる
喉が枯れてしまっては歌を歌うことができません。
人により適切な練習時間は違いますが、どのくらいまで練習を続けてよいのかというと「声が枯れる寸前まで」です。
最初は無理のない程度で練習し、声帯や筋肉が鍛えられてきたら徐々に時間を伸ばしていきましょう。
何事にも無理は禁物です。
朝に声が枯れていたらやらない
先ほど「声が枯れる直前でやめる」とお伝えしましたが、朝に声が枯れていたら無理して練習をしたところですぐに枯れてしまいます。
ですが、歌うだけが練習ではありません。
前にお話した“歌声の研究”も、このようなときに最適です。
普段の練習から自分の歌声を録音し、聴き返し改善点を見つけることは歌えなくてもできることです。
ほかにも筋トレをしたり、上手な人の歌を聴いて勉強したり、十分に喉を労ったりと喉に負担をかけずにさまざまな方法で練習できる環境を作りましょう。
歌の練習に使えるおすすめアプリ
気軽に練習ができる、歌が上手くなりたい人必見のアプリです。
【音程グラフ採点・カラオケJOYSOUND +】
カラオケができる無料アプリです。
カラオケボックスJOYSOUNDの公式音源で歌えます。
採点機能もついており、自分の点数の変化がわかるグラフも表示され録音もできるので、楽しみながら練習がしたい人に最適です。
【カラオケ!好きなだけ歌いましょう】
YouTubeのカラオケ用動画を活用した無料のアプリです。
音の調整もでき、自分の歌声に合わせることができます。
PCなどに繋げて大画面で表示することも可能なので、友達や仲間と楽しくカラオケをして遊べます。
大勢で楽しむのはもちろん、ひとりで練習するのにもおすすめです。
【うたスマ – 持ってる曲で採点カラオケ】
iPhoneやiPod touchに入っている曲を使ってカラオケができる無料アプリです。
ボーカルを消すこともでき、録音機能もついています。
イヤホンなどに付属しているマイクを使えば声にエコーもかかるので、気持ちよく歌えること間違いなしです。
簡易的な採点機能もついているので、自分の歌声を復習しながら練習したい人におすすめです。
カラオケでおすすめの練習曲
一番身近で大きな声をだして練習ができる場所といえばカラオケボックスですよね。
そこで歌の練習におすすめの練習曲を紹介いたします。
必ずしも原曲キーである必要はないので、出しやすいキーに設定してトライしましょう。
【また逢う日まで】 尾崎紀世彦
ふたりでドアをしめて ふたりで名前消して
その時心は何かを 話すだろう
1970年にソロデビューをした尾崎紀世彦のシングル第2弾『また逢う日まで』。
当時大ヒットして名曲となりました。
ロングトーンを多用している歌のため、ビブラートの練習にもなります。
テンポがよくリズム感の練習にもなりますし、切ない歌詞が感情移入しやすく、抑揚をつけるコツも掴めるはずです。
【愛を込めて花束を】 Superfly
愛をこめて花束を 大袈裟だけど受け取って
理由なんて訊かないでよね
今だけすべて忘れて 笑わないで受けとめて
照れていないで
ボーカルの越智志帆が、大学時代に入っていた音楽サークルで結成されていたバンド「Superfly」に加入し、メンバーの入れ替わりが激しいなか、デモ音源をレコード会社や芸能プロダクションに送ったのがきっかけでデビューのチャンスを得たそうです。
この曲は大切な人との愛のかたちを歌っている素敵な歌詞です。
ミックスボイスを使って高音域の場所をいかに迫力強く歌えるかが大切になってくる曲です。
英語の箇所もあるので、英詞の練習にもなりますね。
【残酷な天使のテーゼ】 高橋洋子
残酷な天使のテーゼ 窓辺からやがて飛び立つ
ほとばしる熱いパトスで思い出を裏切るなら
この宇宙を抱いて輝く 少年よ神話になれ
「新世紀エヴァンゲリオン」のオープニング曲で、カラオケでも定番の人気アニメソングです。
メロディーの波が激しいので音程を意識しながら歌いましょう。
リズムも大事な曲なので、テンポをあえて遅くして歌ってみるとより効果的な練習になります。
【366日】 HY
恐いくらい覚えているの あなたの匂いや しぐさや全てを
おかしいでしょう?そう言って笑ってよ
別れているのにあなたの事ばかり
ドラマ「赤い糸」の主題歌に起用された有名曲です。
ファンから「失恋した」という内容の手紙が届き、それをHYのメンバーが読んだのがこの曲を作るきっかけでした。
曲を作る際にボーカルの仲宗根泉は、なんと当時付き合っていた彼氏に別れを告げ、失恋の気持ちを実際に体験して作曲に打ち込んだそうです。
この曲は全体を通してスローテンポで、低音域から高音域までの振り幅が広いので、音程とリズムをより意識しながら裏声をうまく活用するのがコツです。
上手くなった歌声で周囲を驚かそう!
今回は歌が上手くなる方法を紹介しました。
練習方法やマイクの使い方、用語などの説明はお役にたちましたか?
練習を重ねて歌が上手くなったら、アーティストを目指している人や、人前で歌うのが恥ずかしかった人が、今までよりももっと自信をもって歌を歌えるようになることでしょう。
人前で歌ってみたいという人は、路上ライブに挑戦してみるのもいいかもしれません。
日常で欠くことのない音楽をより楽しむために、たくさん練習して素敵な歌を歌えるようになりましょう!
この記事のまとめ!
- 歌を歌うときはリラックスして力を抜くことが大切
- 自分の歌のクセを理解して改善点を認識する
- 喉の性質を理解して無理のない練習をする
- 気軽にできる練習を重ねることが歌上達のにつながる