カラオケやライブで上手く歌えるように、ボイトレ教室に通ったり、自宅でレッスンをしたいと考えている人は多いのではないでしょうか?
そんな中、ボイストレーニングのことを調べていると、「エッジボイス」という言葉を見たことがある人もいるでしょう。
エッジボイスを習得して、ボイストレーニングを行うことで音域が広がり、表現力も増すのです。
この記事でわかること
エッジボイスとは
エッジボイスとは、声帯を閉じながら発声することです。
喉の奥でコポコポと空気を出しながら「あ゛あ゛あ゛あ゛」と発声します。
映画「呪怨」のワンシーンで、テレビの映像が乱れた時に流れていた声を思い出すとイメージしやすいでしょう。
エッジボイスは「ボーカルフライ」とも呼ばれ、ボイストレーニングの一種として使われています。
簡単なテクニックですが、プロの現場でも取り入れられていることが多いので、歌が上手くなりたい人はぜひ習得しておきましょう。
エッジボイスの効果
ボイストレーニングについて調べていると頻繁に目にするエッジボイスですが、習得するとどのような効果があるのでしょうか。
実はエッジボイスを習得すると高い音を楽に出せるようになったり、少ない息でもリラックスして歌えるなどのメリットがたくさんあるのです。
まずはエッジボイスを習得すると得られる効果を、一つひとつ解説していきます。
声帯閉鎖の練習になる
エッジボイスを練習することで、発声の基礎である声帯閉鎖の練習にもなります。
エッジボイスを出すには声帯を締める必要があり、それによって声帯を閉じる感覚が身につくのです。
エッジボイスは大きな声を出さなくても出せるので、周りを気にせず、喉に負担もかけず声帯閉鎖の練習ができます。
声帯閉鎖のコツをうまくつかめない人は、エッジボイスを練習してみると良いでしょう。
声帯がリラックスする
エッジボイスを練習すると、声帯をよりリラックスさせた状態で発声ができます。
そもそもエッジボイスは、声帯がリラックスした状態でなければ出すことはできません。
そのため、習得すると声帯をリラックスさせながら発声する練習になるのです。
声帯に無駄な力が入っていると、歌声に雑音が入ったり喉を痛める可能性があるので、歌っている時力んでしまう人はエッジボイスを練習するのがおすすめです。
高音が楽に出せる
エッジボイスを出すことで、声帯を閉じる「閉鎖筋」という筋肉のトレーニングになります。
閉鎖筋を鍛えることで高音に雑音が混ざりにくくなり、より伸びやかで綺麗な声の印象になるでしょう。
また、閉鎖筋が発達すると高音を出す時に、無駄な力を入れる必要がなくなります。
高い音の連続する曲でも喉が疲れづらく、一曲を通して楽に歌えるようになるでしょう。
息がもれなくなる
エッジボイスを練習すると、発声の時に息がもれなくなります。
声帯がきちんと閉じていないと、発声した時に息が声にならず、息が無駄になってしまう場合があります。
息漏れがあると声に雑音が入る上に、無駄な息を消費して疲れやすくなってしまうのです。
エッジボイスは声帯を上手く閉じないと出せないので、息を余すことなく声に変換できます。
その感覚をつかむことで、歌う時も息もれがなくなり、ハリのある声を出せるようになりますよ。
ミックスボイスの練習になる
エッジボイスは、高い声を出すための発声法であるミックスボイスの練習にもなります。
ミックスボイスは「ミドルボイス」とも呼ばれ、プロの歌手の多くが身に付けている歌唱法です。
地声と裏声をスムーズに繋げることで、地声から裏声になった瞬間の急激な音量や音質の変化がなくなります。
エッジボイスで声帯を閉じながら地声と裏声を繋げる練習をすると、ミックスボイスのコツをつかめるようになるのです。
表現力があがる
エッジボイスは実際に歌う際の表現としても使えます。
歌の端々にエッジボイスを絡めることで、感情を豊かに表現できたり、歌声にグッと色気が出せますよ。
有名な歌手もこの方法を使っており、男性では平井堅や福山雅治、女性ではマライア・キャリーやAimerなどが代表的です。
エッジボイスの出し方
エッジボイスを習得すると様々なメリットがありますが、そもそもどうすればエッジボイスを出せるのでしょうか。
エッジボイスは他の発声法と比べると簡単で、人によっては見よう見まねでいきなり出すこともできます。
そうでない人も、コツをつかめばすぐに出せるようになるでしょう。
次ではエッジボイスの出し方を順番に解説していきます。
喉の力を抜く
エッジボイスを出すには、まず喉の力を抜くことが大事です。
ブツブツした音の印象からか力を入れて発声しようとする人も多いですが、リラックスしてゆっくりと息を吐かないとエッジボイスは出せません。
また、リラックスするには姿勢も大事です。
空気を体の中にしっかり入れるために背筋を伸ばし、腕をぶら下げるように力を抜いた状態で発声しましょう。
息を吐く
喉を十分脱力できたら、実際に息を吐いていきましょう。
呼吸しやすいように両足をしっかりと床に付け、肩幅に開きます。
そして、呼吸と体の動きが連動していることをしっかりと意識してください。
息を吸っている時はお腹が膨らみ、吐く時にはへこんでいきます。
息を吐く時にどうしても力が入ってしまう場合は、仰向けに寝そべってもかまいません。
とにかく、喉がリラックスできる状態で息を吐くことを意識しましょう。
吐いている途中で息を止める
リラックスした状態で息を吐けるようになったら、その息を途中で止めましょう。
吐いている息をせき止めるように声帯を閉じ、息が漏れないようにします。
その時に動いている筋肉が閉鎖筋です。
しっかりと閉鎖筋が動いて息をコントロールしている感覚をつかむまで、繰り返し練習しましょう。
この時も無駄な力が入らないように、常に力を抜くことを忘れないようにしてください。
止めたまま低い声を出す
息を止める感覚がつかめてきたら、息を止めた状態で声を出してみてください。
その時、最小限の息の量で、できるだけ低い声を出すことを意識します。
きちんと声帯が閉じていれば、声というよりも空気の粒がコポコポと漏れるような音が出るはずです。
この音が出ればエッジボイスがきちんと出せている証拠です。
出ない場合は、今までの動きをもう一度確認してみたり、体に余分な力が入っていないかをチェックしましょう。
エッジボイスの具体的な練習方法
エッジボイスが出せるようになったら、いよいよエッジボイスを使った発声を練習していきましょう。
エッジボイスを出すだけでも十分練習にはなりますが、エッジボイスから地声、地声から裏声に移行させる練習をすることで、より発声に磨きがかかります。
また、小さい声で練習できるので、練習場所も選ばずに済むでしょう。
声帯を使うトレーニングなので、体調や喉の状態が良くない時は治ってから行ってくださいね。
また、練習する時は十分に水分をとり、喉に痛みを感じたらすぐに喉を休めましょう。
呪怨の声真似をする
まずは難しいことを考えず、映画「呪怨」の「あ゛あ゛あ゛あ゛」という声の真似をしてみましょう。
初めの段階で音程や倍音(地声の他に鳴っている音)まで再現できる人は、かなり筋が良いと言えます。
倍音もコントロールできるので、慣れてきた人は挑戦してみてくださいね。
コポコポした倍音を大きくしたい場合は、口ではなく鼻から声が抜けるようなイメージで発声すると上手くいきやすいですよ。
自分の音域を知る
エッジボイスを使うと、自分の音域がわかります。
まずは普通の声を出し、音程をどんどん低くしていきましょう。
限界まで低くすると、声がはっきりと聴こえなくなり、自然にエッジボイスになるポイントがあります。
そのポイントが自分の出せる最低音です。
自分の音域を把握しておきたい人はもちろん、エッジボイスが上手く出せない人にもおすすめの方法ですよ。
少しずつ地声に変えていく
エッジボイスが上手く出せるようになったら、エッジボイスを少しづつ地声に変えていく練習をしましょう。
エッジボイスを出した時の声帯を閉じる力を少しずつ強めながら、地声に持っていきます。
エッジボイスと地声を上手く繋げると、喉が絞まった状態で発声ができるので、息もれのないハリのある力強い声になります。
地声に力がない人や、発声の時に息が漏れて雑音が入ってしまう人におすすめですよ。
地声と裏声をつなげていく
最後に地声と裏声をつなげていく練習をします。
エッジボイスを出した時の声帯閉鎖の感覚で、エッジボイスから地声、地声から裏声というように声を移行させましょう。
裏声まで出せたら、また地声、エッジボイスと繰り返します。
最初は感覚をつかみやすいように、小さな声で練習するのがコツです。
この練習が上手くできるようになれば、地声成分の強い裏声、つまり「ミックスボイス」の感覚がつかめます。
うまくできない場合はボイトレを受けるのもアリ
「独学の限界を感じた」「早く上達したい」という方は、ボーカル教室でボイトレを受けるのも1つの手です。
プロに直接教えてもらうことができるので、的確なアドバイスをもらえますし疑問点をすぐに解消することができます。
数回通うだけでもレベルアップが期待できるので、ぜひ一度ボーカル教室について調べてみてはいかがでしょうか。
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【男女別】エッジボイスのお手本になる歌手
エッジボイスは発声練習やウォーミングアップだけでなく、歌の表現方法としても使われています。
歌声にエッジボイスを絡めることで色っぽい印象になったり、より感情がこもった声になるのです。
日本では平井堅やONE OK ROCKのTAKA、海外ではマライア・キャリーなどが有名ですね。
最後にエッジボイスを使って歌うアーティストとその楽曲を紹介するので、お手本にして練習に活かしてみてくださいね。
【男性アーティスト】
平井堅
平井堅の「ノンフィクション」という曲では、ところどころにエッジボイスが使われています。
冒頭の「描いた夢は~」の「え」の歌いだしをエッジボイスにすることで、そのあとに続く歌声にグッと引き込まれるような感覚になるでしょう。
また、Aメロの「優しい隣人が~」では、エッジボイスと地声を行ったり来たりすることで平井堅の甘い歌声を引き立たせています。
平井堅はエッジボイスの他にも、ミックスボイスも美しいのでぜひ参考にしてみてください。
福山雅治
甘い低音ボイスで有名な福山雅治も、曲中でエッジボイスを多用しています。
「虹」という曲では、Aメロの歌いだしはほとんどがエッジボイスを絡めており、よりセクシーに聴こえるでしょう。
また、低い音が続く部分でエッジボイスを絡めることで、より正確に音程を捉えられる効果もあります。
低い音が上手く出せない人は、福山雅治の発声を参考にしてみるのも良いかもしれませんよ。
TAKA(ONE OK ROCK)
エッジボイスはゆったりとしたバラード以外にも、激しいロックでも使われます。
ONE OK ROCKのTAKAは「完全感覚Dreamer」という曲の中で、随所にエッジボイスを絡めた歌い方をしています。
エッジボイスを取り入れることで歌にメリハリをつけるのはもちろん、地声と混ぜることで叫ぶような声質になっている部分も印象的です。
【女性アーティスト】
BENI
BENIの「恋焦がれて」という曲は、随所にエッジボイスが使われています。
歌いだしでいきなりエッジボイスが使われており、普通に歌うよりも感情が豊かに伝わってくるでしょう。
これにより、聴き手は切ない曲調や歌詞に感情移入してしまうのではないでしょうか。
また、エッジボイスを取り入れることで歌声に強弱がつき、曲全体の厚みも増しています。
Aimer
Aimerの「蝶々結び」は、アコースティックなウィスパーボイスが印象的な曲です。
優しいハスキーボイスに時折エッジボイスが絡み、切なさや力強さを上手く表現しています。
また、Aimerの歌声は息を繊細に操っているのも特徴です。
エッジボイスで声帯を閉じ、息もれを防ぐのは基本ですが、Aimerは意図的に息をもらして歌声に息の音を入れています。
かなりの上級テクニックですが、エッジボイスを練習して息の量をコントロールできるようになれば不可能なことではありません。
Mariah Carey(マライア・キャリー)
マライア・キャリーのクリスマスソングの定番として有名な「All I Want For Christmas Is You」ですが、この曲ではエッジボイスを用いた表現がたくさんあります。
ゆったりとした荘厳なイントロ部分はもちろん、曲調がアップテンポになるところエッジボイスが使われており、感情表現の幅を広げていますね。
彼女のハイトーンボイスやハスキーボイスが、エッジボイスによりいっそう目立っているのではないでしょうか。
エッジボイスができれば一気に歌はうまくなる!有名アーティストをお手本にカラオケで歌って練習しよう
エッジボイスを習得すると、きちんとした発声が身につきます。
エッジボイスを使った練習をすることでミックスボイスのコツも掴めるので、習得することは歌がうまくなるための第一歩と言えるでしょう。
また、エッジボイスは表現方法の一つとしても使えます。
有名アーティストをお手本に、カラオケに行ったり自分の部屋で声を録音したりして練習してみましょう。
この記事のまとめ!
- エッジボイスとは発声練習やウォーミングアップに効果的
- エッジボイスを習得すると、高音が楽に出せる・ミックスボイスのコツが掴める・表現力が上がるなどのメリットがある
- エッジボイスを出すにはまずリラックスし、吐く息を声帯を閉じて止め、そこから低い声を出す
- エッジボイスの感覚を使って、地声と裏声をつなげるトレーニングをするのがおすすめ
- 有名アーティストをお手本にエッジボイスを習得しよう