曲は人の声によって大きくイメージが変わりますよね。
実は声には人それぞれ発声のタイプや種類があり、自分の歌声がどんなタイプなのかが分かると、自分に合った曲を見つけることができますよ。
また、声の種類はトレーニングで増やすことができるため、多くのシンガーは何種類かの声を使い分けて表現豊かに曲を歌い上げているのです。
この記事でわかること
声の種類
自分が普段使っている声が、どの種類に当てはまるのか気になりますよね。
声には地声と裏声がありますが、意識して使い分けている人は少ないでしょう。
他にもシャウトするようなしゃがれた感じの声やささやくようなやさしい声など、声には様々な種類があり、その一つひとつに名前が付いているのです。
まずは声の種類とその特徴を紹介します。
チェストボイス
チェストボイスとは、地声のことを言い、裏声のような息の音が混ざらない声のことす。
また、胸のあたりが鳴る感覚があることからチェスト(Chest=胸)ボイスと呼ばれます。
チェストボイスとは、福山雅治の桜坂やささきいさおの宇宙戦艦ヤマトのように輪郭のはっきりした聴き取りやすい歌声が特徴です。
ミックスボイス
ミックスボイスは、地声(チェストボイス)と裏声(ヘッドボイス )をブレンドさせた歌声のことです。
地声が持つ声の強さを維持したまま、裏声の持つ豊かな響きを取り入れることができますよ。
高い音が綺麗に出やすく、秦基博やアンジェラ・アキなど、J-POP歌手にはミックスボイスを使う人が多いです。
ヘッドボイス
ヘッドボイス は裏声でも息が混じらず、声の輪郭がしっかりしている声の種類です。
発声したときに頭に響くような感覚があることからヘッドボイス と名付けられました。
クラシックや声楽で、ソプラノ歌手が使う発声としても知られており、J-POPでは平原綾香がヘッドボイスの名手と言われています。
ファルセットボイス
ファルセットボイスは地声とは違い、弱々しい声になるのが特徴です。
裏声になると息がたくさん入り、地声とは違う弱々しい声になりますよね。
ファルセットボイスは声帯を開くと声の高さに関係なくチェストボイスやヘッドボイスなどの異なる発声の合間に使うこともできるのです。
軽く広がりのある声になるため、違和感なく使いやすいでしょう。
ハイトーンボイス
よく伸びる高音域のクリアボイスをハイトーンボイスと言います。
裏声と違い、鼻腔と頭部をよく響かせることで、濁りのない高音を作れるのです。
息と一緒に声が抜けていくような発声なので、低音で使うのは難しいでしょう。
しなやかで艶のある高音のハイトーンボイスはとても魅力的で、L’Arc-en-CielのHydeやSuperflyなどはハイトーンボイスをよく使っています。
ホイッスルボイス
マライア・キャリーやMISIAなどが使っているホイッスルボイスは、男性・女性に関わらず、とても高い声が出せます。
人間が出せる音域の中で1番高いと言われており、奇声のように歌うのが特徴です。
歌詞をしっかり聞かせるよりも、曲を盛り上げる時に使われることが多く、音程はあまり感じられません。
ホイッスルボイスは発声が難しいですが、練習すれば習得できる声なのでぜひ試してみてください。
ウィスパーボイス
ささやくようなやさしい声をウィスパーボイスと言います。
息漏れが多い声で、スモーキーやシルキーな音を出すことができるのです。
ウィスパーボイスはただささやくだけでなく、ウィスパリング・テクニックと呼ばれる発声を使って息と声の量を上手く調節しながら歌います。
日本の代表的な歌手では、Charaがウィスパーボイスを使って感情を見事に表現していますよ。
ハスキーボイス
ハスキーボイスは、ウィスパーボイスよりも低く、しゃがれた感じの声のことです。
かすれた声ですが、耳障りなダミ声とは異なり、セクシーな雰囲気が出せますよ。
ハスキーボイスは声帯の閉じ具合を調整して作り出します。
声帯をゆるく閉じて歌うと、息の多いセクシーなハスキーボイスになるでしょう。
八代亜紀やGLAYのTeruもハスキーボイスで、色気を感じさせる歌声を披露しています。
デスボイス
ハードコアやメタルなどの激しい音楽によく使われているのがデスボイスです。
わざとダミ声やがなり声を出し、歌うというよりは怒りや悲しみの感情を叫びで表現するように使われます。
マキシマムザホルモンやDIR EN GREYなど、激しめのサウンドのバンドが使用することが多く、曲を一気にエモーショナルにすることができますよ。
歌うときの発声の種類
様々な種類の声を出すためには、どんな発声をするかがポイントです。
発声の種類は大きく分けて4種類あり、人によって癖があります。
自分の発声のタイプを知ると声の癖が分かるため、出したい声に適した発声を練習してくださいね。
ここからは歌うときの発声の種類をチェックしていきましょう。
プル
英語で引っ張るという意味のプル(Pull)は、チェストボイス(地声)のまま高音まで声を引っ張り上げる発声です。
特に初心者で頑張って高音を出そうとしたときにやってしまう人が多いでしょう。
プルで高音域を発声すると、無理に地声を持ち上げてしまうため、苦しそうに聴こえてしまいます。
また、すぐに疲れてしまったり、声が枯れてしまう人はプルで歌っている可能性が高いでしょう。
まずは声帯を薄く使うことを意識しながら、裏声を練習してみてください。
フリップ
フリップ(Flip)は英語でひっくり返るという意味があり、高音域を歌おうとすると声がひっくり返ってしまう発声のことです。
ひっくり返る原因としては、地声から裏声に上手くつなげられないことが挙げられます。
フリップを起こさないためには、チェストボイスからヘッドボイスにつなげる感覚をつかむためのトレーニングが必要です。
地声のままで高音を出すプルの発声をしている人は、やりすぎると声がフリップしてしまうので、まずはプルをやめましょう。
ライトチェスト
地声をほぼ使わずに、裏声だけで歌う発声方法をライトチェストと言います。
地声が弱くて息漏れも多いため、声量が小さいことが特徴です。
マイクを使ってもノリが悪く、聴き取りづらいというデメリットもあります。
ライトチェストのみで歌うと迫力がなく、特に低音域が薄くなってしまうので、声帯を厚く使ったり、強く発声できるようにトレーニングするといいでしょう。
ハイラリンクス・ロウラリンクス
ハイラリンクス・ロウラリンクスは、喉仏の位置で分類できる発声です。
ハイラリンクスは喉仏の位置が高く、硬くてキンキンした声になります。
明るくきらびやかな雰囲気の声のため、軽やかな曲に適しているでしょう。
ロウラリンクスは、喉仏の位置が低く、深みのあるこもった声になります。
オペラやクラシックなどでよく使われる歌い方です。
声の種類を増やす方法
使える声の種類が増えれば、歌える曲のレパートリーも増えそうですよね。
声の種類を増やすためには、発声の基本をしっかりとマスターすることが大切です。
しっかりとした発声ができれば、声の種類が増えて、色々な歌い方ができるようになりますよ。
最後に正しい発声をするためのトレーニングのやり方と、効果について紹介します。
喉を開くトレーニング
歌っているとすぐに疲れてしまう人は、喉を開くトレーニングをしましょう。
喉が開いていないと正しい発声ができず、色々な種類の声を使うことができません。
喉を開くには、あくびをしているときの感覚を覚えましょう。
具体的なトレーニング方法としては、パインアメを口に加えながら発声練習をするのがおすすめです。
アメの真ん中の空洞が正面から見えるようにくわえるのがポイントで、舌根が下がって余計な力が入らなくなりますよ。
声帯をほぐすトレーニング
声の種類を増やすには、声帯をほぐしましょう。
声帯をほぐす方法として、リップロールというトレーニングが効果的です。
一流シンガーも取り入れているトレーニングで、唇をブルブルと震わせながら声を出ことにより、喉周辺の筋肉をリラックスした状態にすることができます。
声帯をほぐすと、いつもより高い声が出やすくなりますよ。
息をコントロールするトレーニング
歌声を安定させるためには、息をコントロールするトレーニングがおすすめです。
息をコントロールできるようになると、声が安定し、聴きやすい歌声を手に入れることができます。
また、息をコントロールすることで、表現の幅が増え、声の種類を使い分けるときにも活用できるでしょう。
トレーニング方法は、ストローから出る息の量が一定になるように音階を発声し、腹式呼吸で行ってください。
舌根をほぐすトレーニング
力強い高音を出したいときは、舌の付け根(舌根)をほぐすトレーニングをしましょう。
舌根をほぐすには、「ネイ・ヤイトレーニング」という練習方法がおすすめです。
やり方は「ネイネイネイ」や「ヤイヤイヤイ」などネイかヤイだけで発音してみてください。
ネイやヤイは発声するときに口を縦に開くため、顎をほぐす効果があります。
そのため、舌根がほぐれて鳴りの強い高音が作りやすくなるのです。
声の種類は息の量や喉の開き方で分けられる!自分の発声方法に合ったトレーニングを取り入れよう
声には様々な種類があり、それらの声を出すためには正しい発声方法を身に付ける必要があります。
喉や声帯を正しく使うトレーニングをして息をコントロールできるようになると、色々な声が出せるようになりますよ。
また、自分の声質を変えることはできないので、自分の声のタイプを把握した上で、似たような種類の声から増やしていくのがおすすめです。
この記事のまとめ!
- チェストボイスやヘッドボイスなど声には多くの種類がある
- 色々な声を出すためには正しい発声を身に付けることが大切
- 間違った発声をしないように意識しよう
- 声の種類を増やすためにトレーニングを行おう