プロデューサーやDJなどが良く使っている「サンプラー」。
導入を考えているけれど、どんな機材なのか、何を基準に選べば良いか分からないという人も多いでしょう。
この記事のもくじ
サンプラーとは
サンプラーとはサンプリング(録音・抽出)した音声を、音楽的に再生するための機材のことです。
ヒップホップやダンス系の音楽で良く使われる機材で、主に音源の1フレーズを別の曲に使いたいとき、身の回りの音を音楽に応用したいときなどに使われます。
サンプリングの取り込みと設定、加工を済ませれば、自由にトラックやビートを作って楽しめるようになるのが特徴。
決まった音を出す普通の楽器とは少し勝手が違いますが、うまく使いこなせば独創的なサウンドを生み出してくれる素敵な機材です。
サンプラーとシンセサイザーの違い
サンプラーと混同されがちなシンセサイザーですが、実は両者には音源の扱いや機能に違いがあります。
サンプラーは外部から取り込んだ音源を加工・再生するのが基本。
対するシンセサイザーは内蔵された音源を自前で再生したり、加工したりする機能がメインとなっています。
音源を再生するという点が同じなほか、両方の機能を備えた機材もあるため少し難しいですが、音源の扱い方や基本機能を意識すると簡単に区別できるでしょう。
サンプラーの使い方
サンプラーについては分かったけれど、何に使うものなのか分からないという人も多いでしょう。
シンセサイザーと比べると少しマイナーな存在で、使い方に関する情報も少ないのでなかなか分かりにくいですよね。
そこで次は、サンプラーの定番の使い方について紹介します。
この機材について、もっと詳しく知りたいという人は参考にしてみてくださいね。
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演奏
サンプリング音を自由に鳴らせるサンプラーは、ライブパフォーマンスや気軽な演奏でも大活躍です。
曲のプレイ中に効果音を入れるといった定番の使い方でも十分に楽しめるほか、他の曲からサンプリングしたフレーズを使えばより楽曲を印象的なものにできますよ。
取り込む音の種類によっては、リズムマシンやシンセ的な使い方ができるのもポイント。
環境音を取り込ませて独創的なサウンドを演出するといった使い方も可能と、演奏だけでも幅広い使い方ができるのがこの機材の魅力です。
楽曲制作
楽曲制作も、サンプラーの定番の使い方の1つです。
特にヒップホップ系のインストや伴奏トラックの作成に便利なので、多くのビートメイカーがこの使い方を取り入れていますよ。
初心者には少しハードルの高い使い方ですが、サンプリングした音でメインフレーズを作ったあとに、リズム系の音を重ねていくだけでも楽しめるので試してみてくださいね。
また、DAWを使った作曲に慣れているなら、ぜひDAWと連携してかっこいいトラックを作ってみましょう。
ポン出し
サンプラーの音楽以外の用途として有名なのが、お笑いライブやイベント、演劇などで効果音を演出する作業「ポン出し」です。
もともと効果音の取り込みと再生は得意な機器なので、相性はバツグン。
さらに導入も簡単なので、多くの音響スタッフがポン出し用の機材として使っています。
このように、音楽以外のシーンでも活躍しているのが「サンプラー」です。
サンプラーの選び方
取り込んだ音を再生し、音楽を作り上げていく個性的な機材サンプラー。
自分にピッタリの1台を購入したいけれど、どれを選べば良いのか分からないという人も多いのではないでしょうか?
また、通販サイトや公式サイトの解説を読んでみたけれど専門用語が多く、内容も難しかったので選ぶ段階にまで行けなかったという人も多いでしょう。
そこで次は、サンプラーの選び方を、シンプルなポイントを中心に紹介します。
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用途
自分の好みに合ったサンプラーを見つけたいなら、用途をしっかりと確認してから選ぶようにしましょう。
もちろん、いきなり人気モデルから選んでも良いですが、用途に合っているかを確認してから選ぶだけでも失敗のリスクを大幅に減らせますよ。
演奏やポン出しがメインならパッドが押しやすく、視認性にも優れたサンプラーがおすすめ。
作曲に使うなら、自動で再生する「シーケンサー」機能が付いているか、DAWとの連携機能が充実しているかなどを意識して選ぶと良いでしょう。
気軽に持ち運びたいなら、軽量でコンパクトなモデルがおすすめです。
パッド数
音源をセットする「パッド」の数も、サンプラーを選ぶうえで重要なポイントです。
一言にサンプラーといっても、備えているパッド数はモデルによって違っています。
シンプルな使い心地が好き、この機材の使用が初めてなら8個前後のタイプ。
より幅広いサウンドを出したいなら、定番の16個タイプを選ぶと快適に使えるでしょう。
また、今は初心者だけれど、将来的に複雑なプレイをしてみたいという人は、最初から16個タイプを購入するのもおすすめです。
駆動タイプ
サンプラーにはパソコンと連動して動作するタイプと、1台で完結するスタンドアローンタイプの2種類があります。
パソコンと連動するタイプはその名の通りパソコンと一緒に使うタイプで、優れた拡張性を備えているのが特徴。
しかし、本体のみではサンプリングや編集、録音ができない・難しい、ノートPCがないとライブに使えない機種があるといったデメリットがあります。
対するスタンドアローンタイプは、全体的に価格が高めなものの、1台で録音や編集ができるのでパソコンが用意できない場面でも問題なく使えます。
このように、それぞれにメリット・デメリットがあるので、手持ちの機材や好みを考えながら選んでみてくださいね。
その他の機能
取り込みと再生が基本のサンプラーですが、実は多くのモデルがその他の機能を備えています。
「リアルタイム入力機能」をはじめ、ボタンを押すだけで簡単にビートを作れる「ステップ機能」、音を変化させる「エフェクト」など種類もさまざま。
ほかにも、音の強弱や表現力に関連する「ベロシティの切り替え機能」、他機器との連携機能など色々な機能がありますよ。
ポン出しがメインならあまり気にする必要はありませんが、よりこだわって演奏や作曲をしたいなら、その他の機能の充実度もチェックしてみましょう。
初心者におすすめのサンプラー5選
選び方の次は、初心者におすすめの高コスパなサンプラーをチェックしていきましょう。
全体的な価格は安めですが、AKAI(アカイ)やKORG(コルグ)、ROLAND(ローランド)といった有名メーカーの高品質な商品が揃っているので、快適に演奏や作曲を楽しめますよ。
次は、初心者はもちろん、気軽に使える1台が欲しい人にもおすすめの高コスパなサンプラーを紹介します。
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AKAI / MPX8
AKAIの「MPX8」は、8つのパッドと液晶ディスプレイを備えたシンプルな設計のサンプラーです。
幅29.5cm、奥行10cmとコンパクトな設計ながらも、SDカードを使ったサンプリングの読み出し、ベロシティ対応と気軽な演奏やポン出しには十分な性能を備えています。
ドラムマシンやベース音、効果音を内蔵しているほか、特典を利用すれば3000を超えるサンプルが無料でダウンロードできるのもポイント。
気軽に使える安いサンプラーが欲しい人、入門用の1台を探している人にピッタリのモデルです。
KORG / volca sample2
サンプルを使って気軽にビートメイクを楽しみたい人にピッタリのサンプラーが、KORGの「volca sample2」です。
自動で演奏してくれる「シーケンサー機能」に特化したモデルで、直感的な操作で本格的なトラックが作成できるようになっています。
PCから音源を取り込めるのはもちろん、アプリとiPhoneを使えばiPhone側で録音したサンプルを取り込めるのも特徴の1つ。
シーケンサー的な側面が強いため使い心地も一般的なサンプラーとは違いますが、サンプルを組み合わせてトラックを作ってみたい人なら十分に楽しめるモデルです。
Roland / SP-404 MKII
Rolandの「SP-404 MKII」は幅17.8cm、奥行27.6cmとコンパクトな設計ながらも充実した機能を備えたサンプラーです。
17段階のベロシティに対応した、16個のパッドを搭載しているのが特徴。
サンプルに音階をつける機能や高品質なエフェクトも搭載しているので、これ1台だけでも豊かな音楽表現が楽しめます。
モバイルバッテリーやUSBバスパワー、乾電池など色々な電源に対応しているほか、内蔵メモリへのサンプルの保存も可能なコンパクトで多機能なサンプラーです。
KORG / ELECTRIBE2S-RD
使いやすさと視認性に優れた、演奏利用におすすめのサンプラーが「ELECTRIBE2S-RD」です。
編集機能が充実したモデルで、シンプルな操作でモジュレーションやエフェクトを調節できるようになっています。
パッドも押しやすいサイズのものを16個搭載しているので、初心者でも気軽にビートメイクを楽しめるでしょう。
加工した音をさらにサンプリングする「リサンプリング」に対応しているのも特徴の1つ。
内蔵サンプルも豊富なほか、237種の音源が無料でダウンロードできる特典が付属しているのも魅力の人気サンプラーです。
SONICWARE / SmplTrek v2.0
十字キーと2ボタンを使った、往年のゲーム機をイメージさせる操作感が楽しめるサンプラーがSONICWAREの「SmplTrek v2.0」です。
USB接続を使った取り込みはもちろん、エレキギターやマイクを接続してのサンプリングや、本体マイクを使ったサンプリングにも対応しているのが特徴。
幅広いサンプリング方法に対応しているので、定番の音を使いたい人はもちろん、より個性的なサンプルを使いたい人でも快適に使えますよ。
ベロシティ対応の15個のパッド、36種類のエフェクトによる豊かな表現も楽しめる個性派サンプラーです。
こだわりたい人におすすめの多機能サンプラー3選
本格的な演奏、作曲に使いたい、機能が充実したモデルが欲しい人には多機能なサンプラーがおすすめです。
価格は少し高めですが、とにかく機能が充実しているほか、操作性もバツグンなので快適に演奏・作曲を楽しめますよ。
最後に、操作性や機能性を重視したい、プロ仕様の機材が欲しい人におすすめの、多機能なサンプラーを紹介します。
AKAI / MPC ONE+
AKAIの「MPC ONE+」は、コンパクトなスタンドアローンタイプのサンプラーです。
ベストセラー商品「MPC ONE」の後継モデルで、高性能なプロセッサやタッチディスプレイの搭載、多機能な設計といった好評な要素をそのまま引き継いでいます。
今作では新たにWi-FiとBluetoothを使ったワイヤレス接続に対応。
これにより、音源やプラグインなどをワイヤレスで取り込めるようになっていますよ。
多機能なため使いこなすのは少し難しいですが、本格的なサンプラーが欲しい人はチェックしてみてはいかがでしょうか?
AKAI / MPC LIVE 2
「MPC LIVE 2」はAKAIのMPCシリーズの人気モデルです。
「MPC ONE+」と同じスタンドアローンタイプで、モニタースピーカーと充電式のバッテリーを内蔵しているのが特徴。
トラックメイクや作曲に役立つ機能も充実しているので、これ1台だけでも快適に音楽制作を進められるでしょう。
タッチディスプレイや大きめの高性能パッドによる安定した操作性、ワイヤレス通信による利便性も魅力の高性能サンプラーです。
Pioneer DJ / DJS-1000
多くのプロDJが愛用している、スタンドアローンタイプのサンプラーが「DJS-1000」です。
DJ機器との連携に特化したモデルで、MIDI対応機器とのクロック同期が可能なほか、同社のPRO DJ LINK対応機器と組み合わせれば小節や拍単位の同期も可能となっています。
ベロシティ対応の大型パッドによる、表現力豊かな演奏が楽しめるのもポイント。
DJ用の本格サンプラーが欲しい、ライブ用の高性能モデルが欲しい人は要チェックのモデルです。
気軽に使いたいならアプリタイプのサンプラーもおすすめ
気軽に試してみたい、費用を抑えたい人にはタブレットやスマホ上で動作するアプリタイプのサンプラーもおすすめです。
ハードタイプや本格的なソフトと比べると機能は控えめですが、手軽にサンプラーの基本機能を楽しめますよ。
おすすめは「koala sampler」と「KLANG2」。
どちらも有料アプリですが、評判が良く使い勝手にも優れるので、気になる人はぜひチェックしてみてくださいね。
サンプラーは色々なシーンで活躍する音響機器!用途に合った1台を手に入れて使いこなしてみよう
サンプラーはDJプレイや演奏、作曲といった音楽に関連することがらから、ポン出しまで幅広く使える便利な音響機器です。
サンプリングの手間があるため、楽器とは少し勝手が違いますが、うまく使えば個性的なサウンドを生み出してくれますよ。
まずは、用途をしっかりと考えて自分に合った1台を手に入れてみましょう。
手に入れたらぜひ使いこなして、その素晴らしさを存分に体験してみてくださいね。
この記事のまとめ!
- サンプラーとはサンプリングした音声を再生するための音響機器
- 作曲や演奏から、ポン出しまで、サンプラーの用途はさまざま
- パッド数や機能、用途などを意識して選べば自分に合ったサンプラーが見つかる
- お手頃価格のモデルから、高価な多機能モデルまで色々な商品が販売されている
- 気軽にサンプラーを試してみたいなら、アプリタイプを使ってみるのもおすすめ