作曲に挑戦したいけど、コード進行がよく分からず曲が作れない!と悩む人も多いのではないでしょうか?
実はとてもシンプルなので、基本を学べば初心者でも曲を作れるようになりますよ。
この記事のもくじ
コード進行とは
コード進行とは、コードの並びや展開を指す言葉です。
ポップスやジャズ、ロックなどのポピュラー音楽で良く使われる考え方で、上手く使うとメロディの響き方や曲の雰囲気を豊かにすることができます。
バークリーメソッドや和声学のような体系化された理論があり、パターンもある程度決まっているのが特徴。
これらの手法は学びすぎると個性が無くなるという意見も多く、理論反対派の人からは必要の無い知識と叫ばれることもあります。
しかし、上級理論では例外的なコード進行もまんべんなく理論化されているため、実際には「学ぶほどに自由度が上がるもの」なのです。
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コード進行を作るための基礎知識
コード進行を自由に作ったり、安定したクオリティで作るたりするためには、音楽の基礎知識が必要です。
知識や理論というと難しいイメージがありますが、今まで弾いた曲やフレーズと関連付けながら覚えていけば、理論初心者でも簡単に覚えられますよ。
次は、コード進行作りはもちろん、アレンジや演奏、耳コピにも使える基礎知識を紹介します。
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キー(調性)
コード進行を作るためには、キー(調性)の知識が必要です。
キーとは「主役となるコードや音、スケール」を表したもので、メジャー系のメジャーキーとマイナー系のマイナーキーの2種類がありますよ。
コード譜では「KEY=C・KEY=Am」などと記載されることが多く、五線紙では音部記号(ト音記号やヘ音記号)の右隣に「#・♭(調号)」を使って表記されます。
種類の数は、メジャーキーとマイナーキーが12個ずつの合計24個。
完全に理解するためには表記方法や五度圏なども覚える必要がありますが、進行を作るだけならコードやスケールを表すものと覚えるだけでも充分でしょう。
ダイアトニックコード
メジャーキー | Ⅰmaj7 | Ⅱm7 | Ⅲm7 | Ⅳmaj7 | Ⅴ7 | Ⅵm7 | Ⅶm7(♭5) |
KEY=Cの場合 (調号に#や♭無し) |
Cmaj7 | Dm7 | Em7 | Fmaj7 | G7 | Am7 | Bm7(♭5) |
マイナーキー | Ⅰm7 | Ⅱm7(♭5) | ♭Ⅲmaj7 | Ⅳm7 | Ⅴm7 | ♭Ⅵmaj7 | ♭Ⅶ7 |
KEY=Cmの場合 (調号に♭が3つ) |
Cm7 | Dm7(♭5) | E♭maj7 | Fm7 | Gm7 | A♭maj7 | B♭7 |
ダイアトニックコードとは、キーのメインとなるスケールを使って作ったコードです。
キーと調和しやすい響きを持っているため、並べ方を工夫するだけでコード進行を作れるのが特徴。
上記の表のように、各キーには7個のダイアトニックコードあり、メジャーキーとマイナーキーで構造が少し違っています。
覚えるだけで作曲もスムーズになるなど、楽曲の分析や応用理論にまで使える便利な知識です。
コードファンクション
メジャーキー | Ⅰmaj7 | Ⅱm7 | Ⅲm7 | Ⅳmaj7 | Ⅴ7 | Ⅵm7 | Ⅶm7(♭5) |
ファンクション | T | SD | T(D) | SD | D | T | D |
マイナーキー | Ⅰm7 | Ⅱm7(♭5) | ♭Ⅲmaj7 | Ⅳm7 | Ⅴm7 | ♭Ⅵmaj7 | ♭Ⅶ7 |
ファンクション | T | SD | T | SD | D | SD or T | SD or D |
ダイアトニックコードの響きや機能を表したのが、コードファンクションです。
このコードファンクションを知っておくと、コード進行をスムーズに、かつ安定したクオリティで作れるようになりますよ。
安定感のある響きの「トニック(T)」少し不安定な「サブドミナント(SD)」不安定でトニックに行きたがる「ドミナント(D)」と大きく3つに分類されるのが特徴。
ダイアトニックコードと組み合わせると数が多くて覚えるのが大変ですが、一度覚えればアレンジや作曲、演奏まで幅広く活用できる理論です。
コード進行の作り方の基本
コード進行作りに必要な基礎知識を覚えたら、次は作り方の基本を覚えていきましょう。
こちらも、ルールをいくつか覚えるだけと簡単です。
実践で使えるレベルにまで落とし込めば、シンプルな曲ならすぐに作れるようになりますよ。
基礎知識の次は、コード進行の作り方を紹介するので、作曲できないと悩んでいる人はぜひ参考にしてみてくださいね。
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ダイアトニックコードを中心に組み立てる
コード進行の作り方の基本は、ダイアトニックコードを中心に組み立てることです。
ダイアトニックコードを中心にすると、意図しない転調や外れて聴こえる和音、メロディとコードトーンの衝突を簡単に回避できます。
また、キーをハッキリとさせられるので、作成と演奏を繰り返せばキーと各コードの関係を耳で覚えられるのもポイント。
感覚だけでハイクオリティな進行が作れる天才肌の人、作曲上級者は自由に組み立てますが、不慣れな人はダイアトニックコードを使ってコツを掴んでいきましょう。
ファンクションの違うコードを交互に並べる
ファンクションの違うコードを交互を並べるように作るのも、コード進行作りのコツです。
トニックだけを何個も並べるとメリハリが無く、サブドミナントやドミナントだけを使うと転調した雰囲気になり、音楽的な仕上がりになりません。
1つのコードを何小節も鳴らすテクニックなどもありますが、基本的にファンクションを交互に鳴らしたほうが心地良く聴こえるのでおすすめです。
4小節・8小節単位で考える
コード進行の作り方の基本は、4小節や8小節単位で考えることです。
4の倍数は収まりが良く、メリハリも付けやすいため、クラシックの時代から現代まで定番の小節数として使われ続けています。
16小節のAメロなら、4小節のコード進行を4回繰り返す、8小節を2回繰り替えすなど、小分けにして構成するとバランスの良い仕上がりになりますよ。
まずは4の倍数に慣れることからはじめ、イメージ通りに作れるようになったら小節を足す、減らすなどのテクニックを使って思い通りに作曲してみてくださいね。
コード進行の考え方
コード進行の作り方だけでも作曲は可能ですが、考え方や作成手順を覚えればよりイメージに近い進行が作れるようになります。
アレンジにも役立つので、これから曲を沢山作って音楽を楽しみたい人は、ぜひチェックしておきましょう。
作り方の次は、コード進行の考え方を手順やコツと共に紹介します。
キーを決める
まず、キーを決めるところからはじめるのが、コード進行の考え方の基本です。
24個もあるキーの中から決めるのは少し難しいですが、歌の音域やメロディの雰囲気、演奏する楽器に合わせれば簡単に決められます。
歌をベースにするなら「音域に合ったキーや歌い慣れたキー」、ピアノで演奏するのであれば「黒鍵を多用しないキー」から選びましょう。
ギターならEmやAm、G、Dなど、開放弦が使いやすいキーがおすすめです。
ダイアトニックコードを確認する
キーを決めたら、次は選んだキーのダイアトニックコードを確認しましょう。
7つのコードを導きだし、それぞれのファンクションや中心コードをチェックすればダイアトニックコードの確認はバッチリです。
平行調と呼ばれる、調号が同じメジャー・マイナーキー(CならAm、GならEm)を合わせて確認しておくと作曲や演奏もやりやすくなりますよ。
カデンツを意識しながらコード進行を作成する
ダイアトニックコードの確認が終わったら、次は実際にコード進行を作っていくステップです。
このステップは、ファンクションを交互に使うという考え方でも十分ですが「カデンツ」という、コード進行の最小単位を意識すると組み立てやすくなります。
種類は第1型の「T→D→T」第2型の「T→S→D→T」第3型の「T→S→T」の3つと少ないので、ぜひ覚えて進行作りに役立ててみてくださいね。
耳で確認しながら調整する
コード進行の考え方の最終ステップが、耳で確認しながら調整することです。
最終調整や仕上げ、ブラッシュアップと同じもので、作ったコード進行を演奏しながらイメージ通りに作れているかを確認していきます。
イマイチだと思う部分があれば、コードの変更や数の増減、位置の調整などを行い、最終的に理想のサウンドになれば作業は完了です。
コード進行作りのセンスを高めるための練習法
「作り方や考え方を覚えたけど、思うように作曲できない…」という人には、コード進行作りのセンスを高める練習がおすすめです。
「センス」というと先天的な要素が強いと思われがちですが、名曲のエッセンスを取り込んだり、実践的な練習を積んだりすれば誰でも向上させることができますよ。
次は、コード進行作りのセンスを高めるのに役立つ練習を紹介するので、日頃の練習メニューに取り入れてみてくださいね。
好きな曲のコード進行を分析する
センスを高めるためには、好きなコード進行を分析する練習がおすすめです。
分析というと難しいイメージがありますが、曲のキーを割り出したあとに、各コードをディグリー表記に変換し、どんな構成になっているかを調べるだけと方法はシンプル。
加えて、ベースラインの動きや、メロディと和音の関係を調べたりすれば、より効果的です。
有名アーティストでも定番進行を使うほどなので、どんどん分析してストックを増やし、作曲に生かしていきましょう。
リハーモナイゼーションに挑戦してみる
分析に慣れてきたら、次は好きな曲や名曲のリハーモナイゼーションに挑戦してみましょう。
リハーモナイゼーションとは、コードを置き換えたり、数を増やしたりするアレンジテクニックで、コード進行作りの練習にも役立ちます。
曲を選び、自分なりにコードを入れ替えるだけとやり方はシンプルで、演奏しながら響きの違いを確認するとさらに効果的。
コード進行の分析と進行作りの練習の両方を同時に進めることができる、効率の良い練習方法なので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
耳コピをする
コード進行作りのセンスを高めたいなら、細かく耳コピしてみるのもおすすめです。
「細かく」とは、得意楽器や歌メロだけでなく、ベースラインや装飾音的なものなど、音階があるものをできるだけ拾うこと。
音を拾ったあとは構成音やスケールと照らし合わせ、何のコードになるかを考える作業をすれば市販の楽譜よりも細かく分析できますよ。
テンションの使い方やコード進行の考え方はもちろん、アレンジについても学べるおすすめの練習方法です。
個性的なコード進行を作るためのテクニック
コード進行の作り方や考え方を学んでも、型通りのものしか作れないのではないかと不安に思う人も多いでしょう。
実は、基本テクニックのマンネリ化を防ぐために作られた音楽理論はたくさんあります。
音楽理論の使い方次第で、個性的な構成を作ることもできるようになっていますよ。
最後に、個性的なコード進行を作るための応用テクニックを、使いやすいものを厳選して紹介します。
テンションコード・オンコード
イメージに近いコード進行ができたけど、なにか物足りないという場合におすすめなのがテンションコードとオンコードです。
テンションコードは9thや11th、13th(Cmaj7ならD・F・A音)を加えたコードで、響きをおしゃれにしたい、曖昧にしたいときに便利。
オンコードは、ベース音を指定したC/EやAm7/Eなどのコードで響きを変えるときや、「C→G/B→Am7→G7」のようにベース音を下るアレンジに良く使われるものです。
ダイアトニック内のコードでも使えるので、基本の作り方をマスターした人はぜひ使ってみてくださいね。
セカンダリードミナント
セカンダリードミナントは、ダイアトニックコード内には存在しない、ドミナントセブンスを挿入するテクニックです。
使い方は「C→E7→Am7→C7→Fmaj7→G」のE7・C7のように、任意のコードをⅠ・Ⅰmに見立てて、直前にⅤ7を入れるだけとシンプル。
部分的に印象を変えたい、コード進行をジャズっぽくしたいときに活躍するほか、転調にも使える汎用性が高いテクニックです。
モーダルインターチェンジ
複雑な響きのコード進行を作りたい人におすすめなのが、モーダルインターチェンジです。
借用和音やモードなどの理論を使った中上級者向けのテクニックですが、メジャーキーの曲でマイナーキーのコードを使うという定番パターンなら、初心者でも簡単に使えますよ。
上記の譜例は、KEY=Cの進行にCマイナーキーから借りたFm7(Ⅳm7)とA♭maj7(♭Ⅵmaj7)を使ったもので、シンプルな進行に切ない響きを演出しているのが特徴。
コツを掴めば使いこなせるようになるので、難しく考えず気軽に使ってみましょう。
コード進行の作り方や考え方が分かると作曲がもっと楽しくなる!色々なコードを試して自分好みの進行を作ってみよう
コード進行の作り方や考え方は、アレンジや作曲、演奏をもっと楽しくしてくれる魅力的なツールです。
基本や応用テクニックを覚えて使いこなせるようになれば、シンプルな曲からモダンな曲まで幅広く作れるようになりますよ。
より個性的な曲を作りたい人は、モードやハイブリッドコード、ポリコード、コンスタントストラクチャーなどの発展的な手法を学んでみるのもおすすめ。
まずは、コード進行作りの基本を覚え、色々なコードを試しながら自分好みの曲を作ることがらはじめてみてくださいね。
この記事のまとめ!
- コード進行とはコードの順番や展開を指す言葉
- キーとダイアトニックコード、コードファンクションの知識はコード進行を作るときに役立つ
- 定番ルールを押さえつつ、順序立てて作っていくのがコード進行の作り方の基本
- コード進行作りのセンスは分析やリハーモナイゼーション、耳コピで鍛えるのがおすすめ
- コード理論や進行の手法を学べば、色々なコード進行が作れる