プロのバンドのライブでケーブルを使わず、ストラップに機材をつけているギタリストを見たことがある人も多いのではないでしょうか。
彼らはワイヤレスシステムという機材を使っており、ケーブルを使わずギターの音をアンプから出しています。
リーズナブルな製品も多く、アマチュアでも導入するバンドが増えてきています。
ココがおすすめ
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この記事のもくじ
ギターのワイヤレスシステムとは
ギターのワイヤレスシステムは、ギターから出力された音をシールドケーブルを使わずにアンプやPA、エフェクターボードに送信する演奏用アイテムです。
Bluetooth機器と同じように、デバイス同士をケーブルで接続しなくても音を飛ばせるので、ライブや自宅での利便性や取り回しを重視する人に愛用されています。
ワイヤレスシステムの仕組みや音質、音の遅延について紹介するので、自分に合っているのか考えてから購入を検討してみましょう。
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ワイヤレスシステムの仕組み
ギターの音を一度電波として変換し、PAやアンプの直前で元の音声信号に復元するのがワイヤレスシステムの基本的な仕組みです。
電波への変換と送信を行う機器をトランスミッター(送信機)、電波を受信して音声信号に復元する機器をレシーバー(受信機)と呼びます。
音の送受信に使われる電波は、Wi-FiやBluetooth、携帯電話などと同じ周波数帯の安定性や信頼性が高いものが使われています。
音質は劣化する?
ギター用のワイヤレスシステムを使用しても、音質の劣化はほとんどありません。
高価なシールドを最短距離でつないだサウンドと比べると、音痩せを感じる場合もありますが、基本的にはシールドケーブルと同等のギターサウンドが得られます。
デジタル特有の高音域がハッキリした音、全体的にスッキリしたサウンドなどの個性はあるので、購入前に動画やサイト、試奏などで音を確認しておくと良いですよ。
音は遅延する?
ワイヤレスシステムにはわずかな遅延がありますが、演奏していても気にならないレベルです。
各機種のスペック表には、レイテンシーという名称で遅延する時間が記載されています。
単位はms(1000分の1秒)で、ほとんどのモデルは10ms以下の性能を持っています。
10msは音が約3m進むのと同じくらいの時間なので、ライブハウスやスタジオ、自宅練習で使用するのであれば遅延を感じることはほとんどありません。
ワイヤレスシステムのメリット・デメリット
ワイヤレスシステムには、有線のケーブルにはないメリットがありますが、デメリットもあります。
ライブ前の準備やデメリット対策などの手間も増えるので、導入前にメリット・デメリットの両方を把握しておきましょう。
代表的なメリット・デメリットを紹介するので、自分の演奏する環境に合っているか考えてみてくださいね。
メリット
ワイヤレスシステムには、ケーブルよりも優れている点がいくつかあります。
短いケーブルしか使わない人やライブでも座って演奏する人であれば気にしないポイントですが、ステージングや利便性にこだわる人にとっては大きなメリットです。
以下2つのメリットが魅力的だと感じる人には、ワイヤレスシステムの導入がおすすめなので、本当に必要なのかを確認する時の参考にしてみてください。
ケーブルが絡まる心配がない
ケーブルが絡まってしまうとセッティングに時間がかかったり、楽器からケーブルが抜けてしまうなどのトラブルを引き起こしてしまいます。
ワイヤレスシステムを使うとケーブルの本数を減らせたり、ケーブルが不要になったりするので、ケーブル同士が絡まる心配がありません。
不要なトラブルを防げるので、ライブやスタジオ練習の進行もスムーズになり、時間を有効活用できるようになります。
ステージを自由に動ける
ワイヤレスシステムは、ケーブルの長さによる制限や機材に引っかかる心配がないため自由度が高いです。
演奏中にメンバーのところに行ったり、ステージを移動したり、ソロを弾く時に前に出たりする時もストレスがなく、ステージングに集中できます。
また、ギター回しなどの派手なアクションもやりやすいので、ライブで派手に動きたい人におすすめです。
デメリット
ワイヤレスシステムは、全てがケーブルよりも優れているわけではありません。
演奏やセッティングに関しては快適ですが、導入やセッティング以前の準備で手間がかかってしまう場合があります。
対策や工夫で回避できるデメリットもあるので、しっかりと把握して快適な環境で演奏しましょう。
シールドより値段が高い
ワイヤレスシステムはシールドよりも値段が高いため、予算が高くなってしまうのがデメリットです。
多少お金がかけても自由に動けるようになりたい人には便利ですが、費用を抑えたい人には不向きです。
- シールド…3000円~8000円程度
- ワイヤレスローエンド…1万円前後
- ワイヤレスミドルレンジ…2万円前後
- ワイヤレスハイエンド…5万円以上
音が途切れることがある
ワイヤレスシステムは電波を使っているので、障害物の有無や電波が混み具合によって音が途切れてしまう場合があります。
有線のシールドであれば演奏中に途切れる心配はありませんが、ワイヤレスシステムを使う場合は音切れ対策が必要です。
バンドメンバー全員で同じモデルを使ったり、ライブハウスのスタッフや他の出演者と打ち合わせするのが一般的です。
ワイヤレスシステムを使う時は、周りの人とコミュニケーションを取りながら使用しましょう。
電池や充電の管理が必要
ワイヤレスシステムを使う時は、電池や充電の管理が必要です。
電池が切れてしまうと音が出なくなってしまうため、演奏やライブが続行できなくなってしまいます。
ほとんどのモデルは3時間以上の連続使用ができるようになっていますが、電源をオフにするのを忘れていたり、充電が不足しているとすぐに使えなくなってしまうでしょう。
トランスミッターやレシーバーには、電池残量の表示機能が搭載されているので、使用する当日や待ち時間などに残量をチェックして、交換や充電を行っておくと安心ですよ。
ギター用ワイヤレスシステムの選び方
ギター用ワイヤレスシステムを導入したいけど、どんなモデルを選べば良いのか分からないという人も多いのではないでしょうか?
自宅練習のみに使用するのであればサウンドや価格で選んでも良いですが、ライブやスタジオでも使いたい人はスペックや機能も確認する必要があります。
選び方や確認するポイントを紹介するので、ワイヤレスシステム選びの参考にしてくださいね。
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混線の回避機能
ワイヤレスシステムを選ぶ時に確認しておくべきポイントは、混線の回避機能の有無です。
電波状況を確認して自動的にセッティングしたり、ギターの電波に干渉しそうな信号を確認した時に周波数を切り替えたりする機能で、難しい設定をしなくても混線を回避してくれます。
ミドルクラスのモデルやハイエンドモデルに搭載されていることが多いため、少し割高になってしまいますが、安心感を重視したい人は混線の回避機能が付いているモデルを選びましょう。
最大同時運用数
ライブやスタジオで使おうと考えている人は、最大同時運用数も必ずチェックしておきましょう。
スペック表や商品説明に「波」や「チャンネル(ch)」という単位記載されているもので、同じ空間で使えるワイヤレスの最大数を表しています。
最大の運用数なので環境にも作用されやすく、ほとんどの場合記載された数字と同じ本数は使えません。
また、ボーカルやベース用のワイヤレスシステム、PAが使うインカムなどもカウントするので、最大同時運用数がメンバーや楽器の数よりも多めのモデルがおすすめです。
周波数帯
B型(800MHz帯)と2.4GHz帯が一般的なワイヤレスシステムの周波数帯です。
B型は障害物に強く、遠くまで飛ばせるというメリットがありますが、最大同時運用数が少なく使用者も多いので、混線しやすいというデメリットがあります。
2.4GHz帯はチャンネル数が多く高音質で、コストパフォーマンスに優れたモデルが多いです。
B型に比べると障害物に弱く、Wi-FiやBluetoothと同じ周波数帯なのでデジタル機器と干渉してしまう可能性があります。
最適な周波数帯はワイヤレスを使うメンバー数や環境、予算によっても異なるので、デメリットとメリットを把握して自分に合ったものを選びましょう。
通信可能範囲
通信可能範囲は、ワイヤレスシステムがどのくらいの範囲まで通信ができるかを表しています。
高機能なモデルでもこの範囲を出てしまうと音切れが起こるので、ある程度の余裕を持たせておきましょう。
目安の距離
- スタジオ練習であれば15m前後
- ライブハウスでの使用なら20m前後
- ホールや大きなステージで演奏する場合は40m以上
電池式と充電式
ワイヤレスシステムには電池を入れて動かせるタイプ、USB充電式、レシーバーに接続して充電するタイプがあります。
充電式は電池を買い換える必要がないので手間やお金もかかりませんが、こまめな残量の管理が必要です。
電池式は予備を持っておくと簡単に交換でき、電池切れのトラブルも防げます。
自宅やスタジオでの使用がメインの人は充電式、ライブをたくさんやる人には電池式がおすすめなので、使用目的に合わせて選んでみてくださいね。
重さと大きさ
ワイヤレスシステムには、エフェクターボードやギターバッグに入るものから、専用のケースが必要なほど大きなものまであります。
コンパクトで軽いモデルは演奏時のストレスも少なく、持ち運びに便利ですが、機能が少なかったり耐久性に不安があるモデルが多いです。
大きくて重いものは耐久面や機能面に優れているモデルが多いので、プレイスタイルや欲しい機能、利便性を考えて選びましょう。
ギター用ワイヤレスシステム10選
ギター用のワイヤレスシステムは、色々なメーカーから販売されています。
メーカーやモデルごとに機能の数や、重視するポイントが違っているので、先述した選び方を参考に自分に合った機種を探してみましょう。
コスパに優れた入門用モデル、使いやすさにこだわったモデル、多機能でライブでも大活躍するモデルを中心に紹介します。
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ammoon Rowin WS-20
「ammoon Rowin WS-20」はギターやベース、電子楽器用に設計されたコンパクトなワイヤレスシステムです。
1万円前後のリーズナブルなモデルで、周波数帯は2.4GHz、通信可能範囲は20m~30m、バッテリーは充電式を採用しています。
レイテンシーや機能面は控えめの性能ですが、シンプルな操作性で、充電用のUSBケーブルもセットになっているので自宅練習用としておすすめのモデルです。
AKG WMS40 PRO MINI INSTRUMENTAL SET
オーストリアの音響メーカーAKGが販売する、コストパフォーマンスに優れたワイヤレスシステムが「WMS40 PRO MINI INSTRUMENTAL SET」です。
トランスミッターとレシーバーの電源を入れ、出力レベルを調節するだけで使用できるモデルで、初心者でも簡単に使えます。
最大同時運用数は2チャンネルと少なめですが、安定感のあるB型の周波数帯を使っているので、練習用や小さなハコでのライブにピッタリです。
XVIVE XV-U2
「XVIVE XV-U2」はコンパクト設計で、カラーバリエーションが豊富なワイヤレスシステムです。
トランスミッターはギターに直接接続するタイプで、メタルレッドやブルー、ピンクなどのカラーがあるので、ギターの色に合わせて選ぶのも良いでしょう。
最大4チャンネルの同時使用ができ、レイテンシーも6msと安価なモデルの中では高性能なので、自宅での練習やライブハウスなど幅広い場面で使えます。
SHURE GLXD16
「SHURE GLXD16」は、イヤホン・ヘッドホン、マイクで有名な音響メーカーSHUREが販売するギタリスト・ベーシスト用のワイヤレスシステムです。
トランスミッターは付属のケーブルを使ってギターと接続するタイプで、直接接続するタイプでは使用できないアクティブピックアップを搭載したギターにも対応しています。
レシーバーはチューナーを搭載したコンパクトエフェクタータイプを採用、ライブでワイヤレスシステムとエフェクターボードの両方を使いたい人におすすめのモデルです。
NUX B-2
「NUX B-2」は低価格ながらも、性能と使いやすさにこだわられたワイヤレスシステムです。
レイテンシーも5msと高水準で、電池の節約ができるオートスリープ機能を搭載。
ギターとアンプに直接つなぐタイプで、両方のチャンネル番号を合わせるだけで簡単に音が出せます。
トランスミッターとレシーバーをジョイントできる機能、セット品に2台を同時に充電できるUSBケーブルが付いているなど演奏以外の利便性も考えられたワイヤレスシステムです。
Line 6 Relay G30
コストパフォーマンスや耐久性、サウンドを追求したワイヤレスシステムが「Line 6 Relay G30」です。
ギターのシールドを使ったような自然なサウンドを再現する「ケーブルトーン機能」を搭載し、レイテンシーも2.9msと最高水準の仕様になっています。
フロアタイプのレシーバーはアダプター駆動、トランスミッターは電池駆動で、カバーには強度が高い素材を使用。
ライブでの信頼性を重視する人にピッタリのモデルです。
Line 6 Relay G10S
「Line 6 Relay G10S」はRelay G30のサウンドクオリティをそのままに、使いやすさを重視したモデルです。
2.9msのレイテンシー、ケーブルトーン機能などサウンド面は基本的に同じですが、レシーバーは電波状況や電池残量が見やすい設計になっています。
トランスミッターは充電タイプで、レシーバーに差し込むだけで充電できます。接続や設定も簡単なので、高品質なワイヤレスシステムが欲しい人におすすめです。
BOSS WL-20
エフェクターで有名なBOSSが販売する、コンパクト設計で高品質なワイヤレスシステムが「BOSS WL-20」です。
ギターやアンプに直接接続するタイプで、つなぐだけで設定や接続が完了します。
2.3msの低レイテンシーを実現、BOSS独自のギターケーブルの音を再現した「ケーブル・トーン・シミュレーション」を搭載しており、サウンド面もこだわっています。
細かな設定機能や特殊な機能はありませんが、操作性や音質が優れているのでワイヤレス初心者やセッティングを素早く行いたい人におすすめですよ。
BOSS WL-50
「BOSS WL-50」は、フロアタイプの多機能なレシーバーが特徴のワイヤレスシステムです。
レイテンシーはWL-20と同様で、ケーブル・トーン・シミュレーションはOFF、SHORT、LONGの3つから選べるようになっています。
レシーバーはアダプターと電池の両方で使用でき、エフェクターへの電力供給機能やギターと有線で接続する機能を搭載した、ライブで役立つ機能を備えたモデルです。
audio-technica ATW-1501
イヤホンやヘッドホンで有名な「audio-technica」が販売する、高性能なワイヤレスシステムが「ATW-1501」です。
混線の回避機能や自動設定機能、ステレオ出力や片方の消音が可能な2つの出力端子など、機材のセッティングに役立つ機能が搭載されています。
周波数帯は定番の2.4GHz帯を使用、最大8チャンネルの同時使用が可能なので、初心者から上級者まで幅広いギタリストにおすすめできるワイヤレスシステムです。
ギター用ワイヤレスシステムを使えば煩わしいケーブルから開放される!目的に合った製品を選んでみよう
ギター用ワイヤレスシステムは、ギタリストをケーブル悩みから解消してくれる便利な機材です。
ライブだけでなく、自宅やスタジオの練習でも活躍するアイテムなので、ギターをもっと快適に楽しみたい人は導入を検討してみてはいかがでしょうか。
シンプルでコスパに優れた機種から、多機能なモデルまで色々な製品があるので、今回の記事を参考に自分に合ったワイヤレスシステムを探してみてくださいね。
この記事のまとめ!
- ワイヤレスシステムはギターの音の信号を電波で送信するもので、音質や遅延もシールドとほとんど変わらない
- ワイヤレスシステムには演奏やステージングを快適にするというメリット、電源や電波を気にする必要があるというデメリットがある
- ワイヤレスシステム選びは音質だけでなく、スペックの確認も重要
- 色々なワイヤレスシステムが販売されているので、使いやすさやメーカーの独自技術、コストパフォーマンスなどにも注目してみよう