ハーモニックマイナースケールをギターで弾いてみたいけど、どんな音階なのか知らない、使い方がわからないので、演奏に使えないという人も多いのではないでしょうか?
独特な響きを持つため難しいイメージもありますが構造や響き、使えるコードを意識しながら練習すると使いこなせるようになりますよ。
この記事のもくじ
ハーモニックマイナースケールとは
ハーモニックマイナースケールとは、ナチュラルマイナースケールの音でコード進行を作ると、メリハリ(終止感)のない進行になるという問題を解決するために作られた音階です。
コード的な問題を解決する音階なので、日本ではコードを意味する和声という言葉を使った「和声的短音階(和声短音階)」という名前でも呼ばれていますよ。
はじめに、ハーモニックマイナースケールの構造や派生理論などを紹介するので、どんな音階か詳しく知らないという人は参考にしてみてくださいね。
ライブUtaTenの関連記事!
-
ギタークロスおすすめ10選!種類や使い方から代用方法まで紹介
続きを見る
ナチュラルマイナースケールの変形
ハーモニックマイナースケールは、ナチュラルマイナースケール内の1音を変えて作られた音階です。
そのため、ナチュラルマイナースケールの構成音と比べながら覚えていくと、違いを理解しやすくなりますよ。
キーがCマイナーの場合のナチュラルマイナーは上記の通りで、3度のE音と6度のA音、7度のB音を♭にした構造になっています。
ハーモニックマイナースケールは、Ⅲ度音のE♭とVI度音のA♭は同じですが、VII度音のBには♭がなく、半音上がっているのが特徴です。
A♭からみるとBまでの距離が1音半という、1音や半音のみを使った通常の音階にはない広い音程になっているので、響きもそのぶん独特なものになっています。
また、GからBまでの距離がメジャーコードに使われる、メジャー3度になっているのもポイント。
ナチュラルマイナーではG・B♭・D・FのGm7しか作れませんでしたが、Bが半音上がることでG7という、Cm7に向かおうとする不安定なコードを作れるようになっていますよ。
このように、ナチュラルマイナーのⅤ7が作れないという問題を解決し、結果的に独特な響きの音階になったものがハーモニックマイナースケールです。
ハーモニックマイナースケールの応用編
ハーモニックマイナーを応用して作られたスケールもいくつか存在します。
「アヴェイラブル・ノート・スケール」という和音とスケールに関する理論が含まれるため少し難しいですが、色々な音階を使いたいという人はぜひ覚えてみてくださいね。
構造の次は、ハーモニックマイナーをベースにして作られた音階と、開始位置を変更した派生スケールを紹介します。
メロディックマイナースケール
メロディックマイナースケールは、ハーモニックマイナースケールを使いやすいメロディにするために作られた音階です。
メロディに関連したスケールなので、日本では「旋律的短音階」とも呼ばれていますよ。
ハーモニックマイナースケールには6度と7度の間に1音半という広い間隔があるため、メロディを弾くとクセの強いものになってしまいます。
そこで、6度を半音上げ、7度と1音の間隔にしてあげることで、より自然なメロディを作れるようにしたものがメロディックマイナースケールです。
ジャズやポップス系の音楽では定番の音階で、単体での使用はもちろん第7音から弾き始めるオルタード、第4音からはじめたリディアン♭7などの派生モードもよく使われます。
ハーモニックマイナーパーフェクトフィフスビロウ
ハーモニックマイナーパーフェクトフィフスビロウは、ハーモニックマイナースケールのスタート地点を第5音に変更した音階です。
ジャズ理論を学んだギタリストからは「ミクソリディアン♭9♭13(♭2♭6)」や「フリジアンドミナント」といった、構成音に注目した名前で呼ばれていますよ。
上記の表はFハーモニックマイナースケール(F、G、A♭、B♭、C、D♭、E)の第5音Cからはじめたもので、スタート地点が違うのみで使っている音は同じになっています。
3度のEと7度のB♭の関係が、不安定な響きのトライトーン(♭5度の関係)になっているほか、♭2や♭6といった不安定な響きを強めるテンションが入っているのが特徴。
ジャズやポップス、ロックではよく使われる使音階なので、基本のハーモニックマイナースケールをマスターしたら挑戦してみましょう。
ハーモニックマイナースケールの使い方
ハーモニックマイナースケールは7度の指定がないマイナーコードや、CmM7といったマイナーメジャー7thコード上で使うのが基本です。
派生モードのハーモニックマイナーパーフェクトフィフスビロウはマイナーキーのⅤ7、メジャーキーのⅥm7に向かうためのⅢ7(キーCならAm7直前のE7)上で使います。
また、ジャズを演奏したいという人は第3音から始めるアイオニアン#5という、Maj7(#5)に対応したモードも覚えておくと難しい曲を演奏するときに活躍しますよ。
メロディックマイナーほど使用頻度は高くありませんが、上手く使えば古典クラシックのような独特な響きを出せるので、ぜひ試してみてくださいね。
ライブUtaTenの関連記事!
-
アコギを消音するには?ギターの消音方法と防音対策や自宅以外の練習場所を紹介!
続きを見る
ハーモニックマイナースケールの覚え方
ハーモニックマイナーの構造や使い方を覚えたら、作曲やアドリブ演奏にも使えるように響きや音の位置を覚えましょう。
基本的なギタースケールの知識や音楽理論は必要になりますが、それらをマスターしていれば違いを意識しながら練習するだけで、簡単に弾けるようになりますよ。
最後に、ハーモニックマイナースケールの覚え方を段階ごとに紹介します。
ライブUtaTenの関連記事!
-
【名著】ギターの教則本おすすめ17選!初心者に人気の入門書や音楽理論解説本を紹介
続きを見る
響きを耳で覚える
ハーモニックマイナースケールは響きを覚えて、感覚を掴むことから始めるのがおすすめです。
響きが独特なので対応するコードを弾いたり、基準音を鳴らして簡単なメロディを弾いたりするだけでも雰囲気がつかめますよ。
コードを弾く場合には、まずマイナーメジャー7コードを弾いて、独特な響きを味わってみましょう。
慣れてきたら、マイナーツーファイブと呼ばれる「Dm7(♭5)→G7→Cm7」や、循環コードというループ可能な進行「Cm7→A♭Maj7→Dm7(♭5)→G7」を弾いてみるのもおすすめ。
単音が中心ならルート音としてCやGを鳴らし、その後に高音弦でE♭やG、A♭、Bを弾いてみると響きを理解しやすくなります。
ダイアトニックスケールで覚える
響きを覚えたら、第1音から弾くとメジャースケール、第6音から弾くとマイナースケールになるダイアトニックスケールと比べながら覚えていきましょう。
ハーモニックマイナーを度数でみると「ルート・2nd(9th)・♭3rd・4th(11th)・5th・♭6th(♭13th)・7th」となり、次の音との間隔は「全・半・全・全・半・1音半・半」となります。
メジャースケールと比べると3度と6度が♭し、下がった箇所の1つ前の音との間隔は狭くなり、後ろの音との間隔は広くなっています。
マイナースケールの場合は7度が半音上がっているので、7度前後の間隔のみが変化していますよ。
この違いを意識して、普段弾いているメジャー・マイナースケールの押弦する場所を変えながら弾いていくと、構造と響きの違いを深く理解できるので試してみてくださいね。
ポジションごとに覚える
ハーモニックマイナースケールの響きや構造を覚えたら、次はギターの指板全体の音をポジションごとに分割し、実践でも使いやすい形で音の位置を覚えましょう。
まずは、5つのポジションに分け、ポジションごとに上昇・下降フレーズを弾いたり「C・E♭・D・F・E♭・G」のように1音飛ばしで弾いたりするのがおすすめです。
形を覚えてきたら、響きや構造をイメージしながら思いついたメロディを弾く練習も取り入れると、作曲やアドリブ演奏にも使いやすくなります。
また、全体を7分割した「スリーノートパーストリングス」という、速弾き向きのポジションもあるので5ポジションをマスター人はぜひ挑戦してみてくださいね。
ハーモニックマイナースケールは活用しながら使おう!ポジションごとにスケールを覚えるのがおすすめ
ハーモニックマイナースケールは響きを意識しながら練習したり、使えるコード上で弾いてみたりと実際に活用しながら覚えるのがおすすめです。
他のスケールと同じく使いこなせるまでには少し時間はかかりますが、響きと構造、音の位置を意識しながら練習していくと実践でも効果的に使えるようになりますよ。
音の位置に関してはポジションごとに覚えるのがおすすめなので、ぜひマスターして作曲やアドリブに使って曲の雰囲気に独特な響きをプラスしてみてくださいね。
この記事のまとめ!
- ハーモニックマイナースケールは、ナチュラルマイナースケールが持つⅤ7が作れないという問題点を解決するために作られたスケール
- ナチュラルマイナーの7度を半音上げたものが、ハーモニックマイナースケール
- ハーモニックマイナーは、マイナーコードやマイナーメジャー7thコード上で使おう
- ハーモニックマイナーパーフェクトフィフスビロウは使用頻度が高く、マイナーコードの直前のⅤ7やⅢ7でよく使われている
- 響きと構造、音の位置を覚えれば実践でも使いやすくなるのでおすすめ