蜃気楼 歌詞 水咲加奈 ふりがな付

あなただけが全すべてじゃないから
悲かなしいだけが別わかれじゃないから

満みたされない
それが僕ぼくたちの合言葉あいことばで繋つながっていた
缶かんビールの底そこみたいな虚むなしさが
僕ぼくたちにはお似合にあいだった

少年しょうねん少女しょうじょの錯覚さっかく 浴槽よくそうの中なかで抱だいた
溢あふれそうな透明とうめいをそっと揺ゆらして
ユートピア
絶対的ぜったいてきだった僕ぼくたちに未来みらいはなかった
あなたは言いった
「蜃気楼しんきろうみたい」

あなただけが全すべてじゃないから
悲かなしいだけが別わかれじゃないから

満みたされない
それを僕ぼくたちはいつの間まにか言いわなくなった
今いま思おもえば僕ぼくたちに接点せってんは何なにもなかった

あなたはスーツを着きて薄化粧うすげしょうで家いえを出でた
滲にじみ出でる聡明そうめいをそっと照てらして
普通ふつうになっちゃいけない理由りゆうなんてないのに
すごく怖こわかった
あなたは言いった
「二に度どと戻もどれない」

暗くらい暗くらい瞳ひとみの奥おく
ぬるい広ひろい水槽すいそう
思おもい出だしてただ叫さけんでいた
有象無象うぞうむぞうの中なかでひとつ
傷きずくらい持もってかせてほしいよ

僕ぼくを殴なぐって

あなただけが全すべてじゃないから
悲かなしいだけが別わかれじゃないから
あなただけが全すべてじゃないけど
満みたされないことに満みたされてたから

あなたの涙なみだが混まざったこの痛いたみを
感かんじない日々ひびに慣なれていくから
あなただけが全すべてじゃないから